一林高校ってどこだよ   作:むすっとしたハムスター

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日向が一年生の代の春高優勝校の一林高校。どんな高校なのかなーって妄想してたら、いろいろ思いついたので衝動書き。

作者は一応バレー部です。


序幕 かくして少年は知らん高校へかっ飛ばされる
一林?どこだよそこ


 テンプレ死からの転生ムーヴ。気がついたらハイキュー世界に居ました。

 

 状況がまったく飲み込めないが、無理に飲み込もうとすると喉につまらせて死ぬので理解は諦めます。なんてったって俺はまだ0才児だからな。

 

 オギャるのが業務の赤ん坊ですよ。ほんま楽な仕事ですわ。

 

「おぎゃーおぎゃー」

 

 腹が減った!ママごはん!あとテレビCSにして!

 

 

 

 

「レェフトォォォ!」

「ほいっ」

 

 ふんわり、やんわり、はんなり……はんなりは違うな。

 呼び声がした方に、優しいタッチでボールを上げる。

 

 曲線を描くように上がり、アンテナ付近へと落ちていくボール。そして、そのボールの軌道は一瞬、彼の最高到達点と重なる。

 

 そして、この一瞬を逃さないのが、スパイカーというものだ。

 

 パァン!と乾いた音。強烈な前回転の掛かったボールが体育館の床に突き刺さるように叩き付けられ、その反作用で大きく跳ねる。

 

「だぁっしゃーい!!!」

「うぇーい、ナイスキー翔陽!」

「そっちもナイストス!ユーダイ!」

「うい。やっぱり、よく翔ぶね〜」

「小さな巨人に俺はなる!」

「おう、頑張れ〜」

 

 テンプレ死からの転生ムーヴ。ハイキュー世界にいることに気が付いてからはや12年。

 

 時の流れとは早いものだと感心していたら、なんか知らんうちに原作主人公と仲良くバレー始めてしまいました。

 

 流石に状況は飲み込めるし、ここは俺にとって都合の良い世界だということも何となく分かった。

 

 己に与えられた高い身長にずば抜けた運動神経、そして原作主人公は幼馴染と……ご都合過ぎてウケる。

 

 ……さて、そんなご都合主義系転生者の俺の名前は、比川雄大という。現在12歳、宮城のとある小学校に通う小学6年生だ。地元から少し外れた体育館で練習をしているバレーボールクラブに所属していて、ポジションはセッター。背番号は一番で、つまりキャプテン。

 

 前世では小学生からバレークラブに所属し、高校、大学と続けていき、在学中に俺は死んだので、俺のバレー遍歴は大学までということになるが、もし社会人になれていたとしたら、バレーボールは必ず続けていただろう。まぁつまり、俺はバレーボールを心の底から愛しているということだ。

 

「翔陽、次サーブ。ちゃんと入れろよ〜」

「おう!任せとけって!」

 

 そんで、さっき俺がトスを上げたこの少年こそが原作主人公の日向翔陽だ。オレンジ色の頭に小さな体躯。そして、その控えめな体格からは想像のつかないほどのジャンプ力と、俊敏性を持ち合わせる。原作では最終的に日本代表入りを果たすらしい。俺はアニメ勢だったので、人づてにネタバレされた情報だが。ポテンシャルは十二分にあるということだ。

 

 いまは、サーブを打つために意気揚々とボールを両手にもってエンドラインの方まで歩いていっている。

 

「ナイッサー!」

 

 ピ!とホイッスルによる合図。よっしゃ、頑張れ翔陽。いいヤツいっぽ───

 

「あだっ」

「ア゛ー!ゴメーン!!!」

 

 まさかの後頭部直撃サーブ。うーん……ポテンシャル"は"十二分にあるんだけどなぁ……。

 

 

 

 

 テンプレ死からの転生ムー(以下略

 

 俺は中学1年生になった。進学先は、北川第一というバレー強豪校だ。翔陽も一緒だぞ。

 

「ユーダイ!部活いこー!!!」

「おーう。ちょいまち、今日直日誌書いてる」

「はやくはやくー!」

「だから待てって。てか、そんなはやく行きたいんだったら一人でいけよ」

「えっ、いやそれはちょっと……先輩怖いし……」

「よくわかんないとこでビビリだよなお前」

 

 中学生になっても身長と肝っ玉は小さいままのようだ。

 

 教室の後ろの扉から顔を覗かせて俺を待っている翔陽。すると後ろから、中学生1年生にしては比較的大柄な少年がこれまたこちらの方へと顔を覗かせてきた。

 

「比川、部活行くぞ」

「おー、影山。すまんけどけど先行っといてくれ、今日誌書いてるから。そこのオレンジ頭も一緒に連れってってやってくれ」

 

 彼の名を影山飛雄という。原作では、主人公の相棒、そして最大のライバルのポジションに位置する男。こいつは所謂天才というやつで、ポジションはセッター。天才ゆえ性格に難があるのが玉に瑕だが、それすらも原作においては彼のキャラクター性を際立たせている。

 

 俺が北川第一に入学したのはこいつ目当てだ。翔陽と影山の邂逅を早めたら原作への影響はどれくらい出るのだろうかっていう、俺の単純な好奇心が、俺と翔陽を北川第一まで導いた。

 

「オレンジ頭……?あぁ、居たのか日向。わりぃ。小さくて見えなかった」

「ハァーン!?何だお前影山テメェー!」

「悪かったて言っただろ!やめろボケェ!」

 

 天然煽りをかまされた日向がブチギレて影山に向かって飛びついて、影山もブチギレて応戦。入学してまだ2ヶ月も経ってないけど、なんかもう見慣れた光景みたいになってきている。

 

 ほんと、尽く相性がいいな。この二人は。

 

 

 

 

 6月、中総体予選。一般的にはインターハイって呼ばれてるやつ、の予選。とうとうやってきましたよこの時が。中学初の公式戦ですよ。ええ、ええ。

 

「及川さんナイッサー!」

「いったれ最近彼女に振られた腹いせサーブ!」

「やかましいな!?というか何で君がそれ知ってんのさ!?」

 

 アップゾーンの中から、これからサーブを打つ、キャプテンの及川さんに野次を飛ばす。及川さんはハイキュー屈指の強敵であり、翔陽が将来的に倒すことになる青葉城西高校のキャプテンだ。

 

 さて、北川第一は強豪校ということもあり、選手層がかなーり分厚い。なので、ほとんどの一年生はベンチ入りすらすることもできない。実際、翔陽と影山は観客席からの応援だ。

 

 だがしかし、俺は違う。なぜなら俺には前世があるから!

 

 バレーボール……というか、ほぼすべてのスポーツにおいて、経験というのものは何より重要なものだ。

 

 今の俺の競合相手は中学生。バレー歴は、長くても十年かそこら程度だろう。そんな中、俺のバレー歴は前世と今世の足し算でゆうに20年を超える。周りとは、2倍以上の経験の差があるということだ。

 

 まぁつまりそういうことだから今、俺はアップゾーンの中に立てているというわけだ。

 

「レェフトォォ!!」

「岩……ちゃんっ、と」

 

 及川さんがトスを上げる。ボールの行先は北川第一のエーススパイカー、岩泉さんの元だ。岩泉さんは原作だと青葉城西のエースで、及川さんとの息ぴったりのコンビネーションは翔陽たちにとってとても手ごわいものだった。しかし、今は味方だ。心強いったらありゃしない。絶対的に安定しているスパイカーだ。

 

『4番4番!』

『…せーのっ!』

「ブロック二枚!」

 

 相手のブロッカーもすかさず反応してくる。ブロックの枚数は二枚。クロスへのコースは絞められており、岩泉さんが狙えるコースはストレートのみ。

 

 

 パァン!と、岩泉さんのスパイクが炸裂する。やはりストレート。そして、ストレートのコースにはしっかりと、相手のリベロが待ち構えている。

 

『ナァイスレシーブ!』

『カウンター!』

 

 

 綺麗に上がったボール。相手セッターは綺麗にトスを上げて、相手スパイカーは綺麗にスパイクを決めた。これで、相手の得点だ。ちなみに、相手の中学の名前は千鳥山中学校という。北川第一に劣らない強豪である。

 

「だー!クソすまん!決めきれなかった……!」

「どんまいどんまい。今のは相手が上手かった。気にしないで次一本!」

「「「応!!!」」」

 

 

 試合も終盤、点数は19-20。こちらが一点リードを取られている。コートにいる皆の体力は、かなり消耗していて、息も絶え絶えといった感じだ。まぁそれは相手にとっても同じことだが、この状況で先に20点台に乗られてしまったのは結構痛い。

 

「比川」

 

 アップゾーンの中から今の戦況を見てムズムズしていたところ、ベンチに居る監督から、こっちに来いと手招きのジェスチャーを受けた。俺の出番が来たようだ。

 

「次、松川が下がってきたら交代だ」

「はい」

「比川、お前をこのタイミングで出す理由は……分かるな?」

「サーブで相手の牽制。あと守備強化…です?」

「あぁ。間違いない。自分の役割を理解出来ているのなら問題はない。頼むぞ」

「うす!」

 

 そう話しているうちに、得点が動く。こちらが得点し、20-20の状況だ。監督の期待を背負い、コートに入る。その際、俺と交代する松川さんと手をハイタッチをしてすれ違う。すると松川さんは、俺にしか聞こえないような声量で呟いた。

 

「もしミスっても次があるから、ま、気楽にいけよ」

 

 おそらく、公式戦初出場の俺を気遣っての発言だろう。松川センパイ……めっちゃいい人ですやん。

 

 俺は、センパイの目を見て小さくうなずいた。

 

 ボールを受け取り、エンドラインから一歩、二歩、三歩、四歩五歩、距離を取る。

 

 さて、松川さんはああ言ってくれたが、こちらとしてはミスる気なんて毛頭ない。

 

 気楽にいけるということはないが、緊張でガチガチというわけでもない。

 

 程よい緊張感と、程よいリラックス。コンディションはまぁいい感じだ。

 

「ふー……」

 

───ピッ

 

 笛の音を合図に、トスを上げた。

 

 

 

 

 桜舞い散る校庭、卒業証書を持って、泣いたり笑ったりしている学生たち。

 

「とうとう卒業かぁ……」

「いやはや、早いようで短かったですなぁ」

「ああ、そうだ──いやそれだと早くて短いだけじゃねぇか」

「あれ?」

 

 どういう間違いだよ。

 

「それを言うなら長いようで短かった、だろバカが。図体もちっちゃけりゃ脳みそもちっちぇーのかバカ」

「んだと影山テメー!」

 

 あぁ、また始まったよ。

 

 いつものように取っ組み合いの喧嘩をする翔陽と影山に、呆れつつも、少し安心する。式の最中は二人共……いや、影山はいつも通りだったか。翔陽は式の最中、謎に神妙な顔付きをしてたから少し心配だったんだが、全然平気そうだ*1

 

「……つーか翔陽、おまえ背伸びたな」

「マジ!?やっぱり!?」

「ああ、俺の目測167はあるな」

「167?チビじゃねぇか」

「アァン!?」

 

 あぁもう、影山はまたすぐに無神経なことをいいよる……

 

「まぁまぁ、影山と比べたらチビかもしれないけど、中1の頃の翔陽と比べたら随分とデカくなってるだろ?」

「それは……たしかにそうだな」

「だべ?」

「中1の頃と比べたら、俺のほうが伸びてるけどな」

「影山おまえ……ほんとそういうとこ」

「?」

 

 いい感じに場を収められたと思ったのに、また影山が余計なことを言う。そんで、ブチギレる翔陽。全く、勘弁してほしいものだ。毎回仲裁に入る俺の身にもなってほしい。

 

 ……この馬鹿なやり取りを見れるのも、今日で最後か。そう考えると、少し寂しい。

 

「お前ら二人共、高校は烏野だよな」

「? おう!小さな巨人に、俺はなる!」

「おう、白鳥沢には落ちたからな」

「あ、影山白鳥沢受験してたのな……」

 

 んでしっかり落ちてると。そこは原作通りなのね。

 

「ま、二人共烏野で頑張れよ」

「ん?何いってんだ。ユーダイも一緒だろ?」

「あれ?言ってなかったっけ、俺、来月九州に引っ越すんだけど」

「「……ハァ!?」」

 

 珍しいことに、翔陽と影山の声が重なる。この感じ、言い忘れてたみたいだな。まぁ引っ越しが決まったのが受験期ってことで翔陽も影山も死にものぐるいで勉強してたし、俺も俺で結構バタバタしてたしな。

 

「親の仕事の都合でちょいとね……別にこれで会うのが最後になるわけじゃねぇし」

「いやいや!そういう話じゃねーだろ!なんでそんないきなり……」

「引っ越し自体は今年の頭辺りからきまってたんだけど、言い忘れてたわ。ごめんちょ」

「そのテンションで謝っていい問題じゃないよね!?俺これからもユーダイとバレーする気マンマンだったんですけど!」

「いやもう、ほんとゴメンって……。つか別に、もう二度と会えないってわけじゃないし、二度と一緒にバレー出来ないって訳じゃないっしょ?」

「それはそうだけど……そういうことじゃない!」

 

 どういうことだよ……。

 

 しかしまぁ、二人が怒るのも無理はないし、引っ越しの件を2人に伝え忘れていた俺に非があるのは間違いない。

 

 少しバツが悪くて首筋をぽりぽり掻きながら口を開いた。

 

「あー……いいか、翔陽、影山、よく聞けよ。俺はな、俺抜きでもお前ら二人は、十二分に最強だと思っている。もちろん、俺がいたら十五分に最強だがな。引っ越しがなきゃ烏野に行くつもりだった。俺だってさ、高校でもお前達とバレーしたかったよ。でもさ、俺、こうも思うんだよ。お前たち二人、変人コンビ。お世辞抜きに、今世代最強のコンビだろうよ。そんな二人を今度は、味方じゃなくて、敵として、迎え撃ってみたい、ってな」

「「!!」」

 

 大きく息を吸って、天を仰いで、大きく息を吐く。

 

 視線を二人のほうに戻して、口を開く。

 

「────全国。次、俺たちが一緒にバレーボールをする舞台だ」

「……これんのかよ、全国」

「たりめーよ。俺はバレーうまいし、俺の転校先、実はけっこーな強豪なんだぜ?てか、自分から言っといてなんだけど、お前たちのほうこそ全国いけんのか?」

「ぐもんだな!行くにきまってる!」

「ぐもん……??」

 

 翔陽の言葉に、首をかしげる影山。うーん、安定の阿呆。

 

「つまらない質問。問題の焦点をはずれた問いのこと!」

「あぁ、そういう意味ならこいつの言う通りだ。俺たちは全国に行く」

 

 愚問……確かにそうだな。こいつらがバチクソに強いことなんて、俺が一番よく知ってることじゃないか。

 

「いらない心配だったな。……まぁ、そういうことだから、次会うときは、俺たちは敵同士だ。首洗って待ってろよ。コノヤロー」

「こっちのセリフだぞコノヤロー。足洗って待っとけ!」

 

 洗っちゃダメだろ、足は。

 

 

 

 

 

 

 さて、とうとうこの日がやってきた。引っ越しの作業完了させたのがつい一昨日。その二日後、今日は高校の入学式だ。

 

 今現在、校舎の右手にある体育館で、式は執り行われている。

 

 新しい制服に身を包み、鉄パイプの椅子に座って校長の長話を聴いていると、中学の時の入学式のことを思い出す。

 

 あの時も、こんな感じだった。ただ、違う点があるとすればそれは、隣にちっこいオレンジ頭がいないこと。今思えばあいつ、いつでもとなりに居たな。一緒にいるときは喧しいやつだと思ってたけど、いざ居なくなられると、寂しさを感じなくもない。

 

 失ってから気づく、喧しオレンジのありがたみ……べつにありがたくはなかったな。うん。

 

『で、あるからして────』

 

 にしても、マージで話が長い。この校長。周りの人とか皆船漕いじゃってるよもう。

 

 

 

 

 校長の長話もとうとう終わったと思えば、そこからはサクサクと式が進行されていき、気が付くと式は終了していた。

 

「あー終わった終わった」

 

 ぐっと伸びをし、おおきく欠伸をする。

 

「おつかれさん。入学式どうだった?」

 

 同伴していた母に聞かれたので、俺はむすっとした表情で口を開いた。

 

「とにかく校長の話がながすぎた」

「それは私も思ったわぁ。随分とおしゃべりさんだったわねぇあの校長」

「ねー」

 

 別段中身のあるわけでもないどうでもいいような会話を母としながら校門を出る。

 

 心地の良い向かい風が吹き抜けた。風に促されたような気がして、後ろを振り向いた。

 

 俺の視界に映るのは、白い校舎。少し見上げて、校舎の壁には大きな校章がデザインされていることに気が付いた。

 

 校章に書かれているのは【一林】の漢字二文字。

 

 ずっと前から疑問に思っていたことだ。それが爆発したかのように、俺は心の中で大きく叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一林高校ってどこだよ!!!

 

 

 

 

*1
睡魔を耐えていただけ




オリ主:前世の経験を生かして中学バレーで無双してたらなんか知らん高校にかっ飛ばされた。中学三年時には総体ベスト8にまで上り詰めた。

日向:原作主人公。バレーボール魔人のオリ主が幼なじみだったせいでバレーに染まるのがだいぶ早まった。中学一年時点で影山と出会い、なんやかんやあり変人速攻を完成させる。全国大会では、準々決勝でまさかの発熱。途中退場となりその後、結果として北川第一は敗北した。相棒である影山とは犬猿の仲。

影山:天才ちゃん。自分より圧倒的に技量のあるオリ主にバレーの何たるかを叩きこまれた結果、バレーは六人でやる競技だと完全に理解した。中三で全国を経験しているので原作よりもかなりはやく日の目を浴びている。相棒である日向とは犬猿の仲。

次回投稿は未定。続きは書くけどいつになるかわからないです。

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