「ウォルター、危なかったとはいえ無事に帰ってきたんだ、1週間後にこのRaDでパーティーを開こうじゃないか。」
「それは…いや、そうだな。都市の防衛と五体満足での生還だ、祝いの1つでもしなくてはな。」
「そう来なくっちゃね!せっかくだ、あんたンとこの子達の好きな物教えな、わんわんヘルメット団とRaDのメンバーでパーッと楽しもうじゃないか!」
「そうだな。それと……。」
「ああ、分かったよ。」
「感謝しよう。」
レイナとロニー…【バレルハウンド】と【レイヴン】の初陣から1週間が経過。RaDの頭目、カーラが主催の''AC初陣お祝いパーティー''が開かれ、皆が楽しくわちゃわちゃしている。そこに見慣れた小型のMTがキャタピラを動かしてレイナとウォルターの元へ来た。
『よく来たな、
「ん。パーティー開いてくれてありがとう。」
「俺からも感謝しよう、チャティ・スティック。俺ではこのような催しは開けなかった。…カーラは何処にいる?主催が見当たらないが。」
『礼には及ばん。カーラについては抜けられない用事が入ってしまって今は来れない。だが、すぐに終わらせると言っていたからもうじき合流する。』
「そう。わかった。」
「レイナさーん!このラーメン美味しいですよ!出来たてで、ウォルターの味付けそのまんまです!ウォルターも一緒に食べましょう!!」
『最後に、このパーティーはRaDからの純粋な贈り物だ。楽しんでくれたら嬉しい。 要件はこれだけだ、じゃあな。』
そう言うとチャティは機体を翻しどこかへ行ってしまった。
「おい!そのデカい唐揚げは俺様のだぞ!」
「はん!知るかよ!早い者勝ちだ!あぁぅむ…ンンウゥンマアァアアアイ!!」
「テメェ!…お、いいデカさの寿司があんじゃねぇか。…うめぇ!何時もの飯より何倍もうめぇな!」
「ラミー!お前、俺の皿からとってんじゃねぇ!」
「さっさと食わねぇのが悪ぃんだろ!…これも美味いな!」
「取んな!」
「先に取ったのはお前だろうが!」
「あぁ!?やんのか!?」
「やってやろうじゃねぇかこの野郎!!」
「おい!ラミーとドリーの喧嘩だ!」
「マヌケとアホのマッチアップだって!?」
「俺はラミーが勝つに3000だ!」
「私はドリーに2000!」
「楽しみ方が下手っぴさ…!ラミーに5000よ!必ず勝ちな!」
食べ物の恨みは恐ろしいぞってことで、殴り合いが始まった。それを野次馬しているやつらが賭けを始める始末。ろくでもない奴らだけど楽しそうだ。
そんなこんなでわいわいガヤガヤとドーザー共が騒がしくして会場を賑やかにしている。それを背景にロニー達は食事と会話を楽しんでいる。
それを眺めながらひっそりと食事をしている男が1人、ウォルターだ。先程からメンバーの誰かしらが一緒にいたが少し疲れたからと言って隅っこに来たのだ。
「…パーティーを楽しめ、お前たち。人生とはこういうものだ。命の価値が薄れるような生活ばかりでは無い。」
わんわんヘルメット団とかつてのハウンズを重ねているのか1人でしんみりとしている。''前''はこんな催しなど一切無かった。身内だけでなく外からも呼ぶ大きなパーティーは開いたところを襲撃される、内通者が食事に毒を盛る、爆弾を仕掛けるなど数えたらキリがないほどの危険がありまともに出来なかった。しかし今はRaDを襲うものは無く、毒を盛るやつも爆弾を仕掛ける内通者も居ない。
こうして安全に騒がしく楽しめている光景が、ウォルターにはとても尊いものに思えている。
「折角のパーティーなのになに暗い雰囲気出してんだい。RaDにキノコでも生やす気かい?ウォルター。」
「カーラか。…ああ、確かにパーティーで耽るものではなかったな。」
そんなウォルターの背中が叩かれ、浮いていた意識が一瞬で戻る。…ほんの一瞬だけ仕掛け杖を構えそうになったのは染み付いた癖だ。
「今日はパーティーに招待してくれたこと、感謝する。あの娘達があれほど楽しそうにしているのは嬉しい限りだ。」
「礼はいいさ、やりたくてやってるんだからね。それより、今チャティにグラスを用意させてる。挨拶がまだだったからね、そのためのものさ。あんたにはあたし手ずから渡そうじゃないか。」
いつの間にかマイクを持っているカーラが渡したのは酒の入ったグラスだ。ふとレイナ達のグラスを見ると、ちゃんとジュースが渡されていた。
『あー、あー……良し。お前たち!待たせたね!今日のパーティー楽しんでるかい!』
「「「おおおーー!!!」」」
『そいつは良かった。主催者のあたしが遅れたことはすまない。今更になるが、このパーティーは巨大発掘艦撃墜をうちのACに乗ったレイナとロニーが成し遂げたことを祝うものだ!2人には、前に来てもらおうか。』
「カーラに呼ばれてますよ2人とも!!さぁ、さぁさぁ!」
「行っておいで。私達はここで待っていることにしよう。」
「あぁ、ウォルターもカーラの横で待ってるよ。」
「ああ!行ってくる!」
「ん。行ってきます。」
一緒に食事をしていた3人が楽しみにしている様子を出しているから足早にカーラの元へ向かう。
『来たね。それじゃ、2人から一言お願いしようか!』
まずはロニーから、とマイクを渡される。急なことで驚いたが言葉はすぐに出てきた。
『先日は私の【レイヴン】を生み出してくれてありがとう。おかげで夜の空を羽ばたくことが出来た。』
会場からは、
「おおおー!いいって事よー!」
「大事に使ってくれよ!」
「俺たちはサポートだけだったがな!」
「言わなくていいんだよそんなことは…!」
という反応が。口笛も飛び交っていて、滑ることなく言えてほっとするロニー。カーラがマイクを受け取り次だ、とマイクをレイナに渡す。
『私も、私の【バレルハウンド】を作ってくれてありがとう。あの堅牢なシールドと重厚なアーマーのおかげで安全に発掘艦撃墜までたどり着けた。』
「ひゅーっ!ひゅーっ!」
「今度は引き際を見誤るなよー!」
「ガトリング作ったのは良い経験だったー!」
「もっと注文してくれよー!」
死にかけたことをいじられてちょっと恥ずかしくなったが、悪くない反応を得られて安心する。はい、とマイクをカーラに返すと近くにいるウォルターにひっついた。
『2人から言葉を貰ったことだ、パーティーの挨拶と行こう。チャティが配ったグラスを持ちな!2人のヒーローの生還と成功を祝って!』
「「「『乾杯!!!』」」」
カーラが音頭をとって一段と盛り上がる会場。喧嘩をするのはラミーとドリー以外にも増え、大声で歌うやつ、芸を披露するやつ、周りのヤツにウザ絡みするやつなど、もっと愉快な会場に変わった。変わらないのはどいつもこいつもみんな良い笑顔だということだ。
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2時間後、チャティは空になった皿を片付けテーブルもどかしている。それを見ながらマイクを持ったカーラが言葉を発する。
『お前たち!パーティーもそろそろ終わりだが、今日は楽しかったかい?』
「「「「「たのしかった!*1」」」」」
「終わっちゃうのか…」
「次は何時だ?」
「アイムドーザーとぅーとぅーとぅー♪」
『ククッ…じゃあ最後の余興だ。ロイとリクとバン以外のやつは上の観覧席*2に移動しな!3人はあたしの近くに来な!』
テーブルも椅子も全て片付けられて、天井が開いた。その様子になんだなんだとざわつきがあるも移動を始めるドーザー共と、3人を除いたわんわんヘルメット団。
「なにが始まるんでしょうか?」
「さぁ…でも、私たちがなにかするっぽいね。」
「カーラからのプレゼントだ、どんなものでも受け止める準備はしておこうか。」
そう話し合っている間に、遠くからヘリのプロペラを回す音*3が近づいて…辺りが暗くなる。上を見上げると巨大な輸送ヘリが3台ゆっくりと降りてきていた。
「なんだ…?」
「あのヘリ、ACぐらいの大きさじゃねぇか?」
「ならAC3機ってことになるぜ?誰が作ったんだよ」
「AC…?」
「まさか、私たちのプレゼントって…!」
「お披露目だけするのか、カーラが?」
ハッチが開かれると、巨大な機影が落下する。あわや衝突でバラバラになるかと思いきや、姿勢は崩れることなくブースターをふかしてゆっくりと着地した。
それは、形は違えどACだ。ロイ、リク、バンの使う武装に合わせて作られた、3人のためのACだ。
「お、おお、おおおお!!あれ!あれは私のじゃないですか!?あのパルスガン、絶対そうです!」
「あのマシンガン、私のさっちゃん達とほとんど同じではないか!」
「ミサイルめっちゃ積んでる…良いね。それでこそ私の機体。あの連装ミサイルと垂直ミサイル、いい数積んでる。」
『気に入ってくれたようで何よりだ。さぁ、名付けの時間だよ。あんた達の相棒にいい名前をつけてやりな!じっくり悩むといい。』
三者三様に喜び、3人同じように目を輝かせ、この子の名前はあれがいいか、これがいいかと頭を悩ませている。
数分悩んだ末に付けられたのは──
To Be Continued………
パーティー回は分けて書きます。なので原作に入るのはまだまだ先です…お楽しみに!
次回「機体(きみ)の名は─。(2)」
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