──ウォルターより休暇が与えられた日。バンとロニーは向かう場所がブラックマーケットの技術者達のところだから一緒に向かうことになり、現在2人で並んで歩いていた──
拠点を出て数分後、ロニーがそういえば、と話しを切り出す。
「久しぶりだね、こうして2人で歩くのは。」
「そうですね!こうして歩くのは出会ったとき以来じゃないです?だいたい他にも一緒に来ていたりとかですもんね!」
「うん。あの時、武器も体もボロボロでみんなが居なかったらヘイローが砕けてたかもしれなかったから今でも感謝してる。」
「もー、感謝だなんていいですよぅ!でもあの状態からこうして元気になってくれて良かった!それに、『レイヴン』だった頃より感情の変化が分かりやすくなっててもうすっかり馴染んでくれたみたいでお母さん嬉しいわ!」
「あんまり、からかわないで。それにお母さんじゃなくて『きょうだい』でいたい。」
ちょっと恥ずかしいのかほんのりと頬を赤らめて眉尻が下がり、上目遣いでそんな可愛いことを可愛い妹分が言うと姉貴分は当然、
「──はっ!?天使がいる!!昇天するところだった…も〜!そんな嬉しいことを言う妹にはこうしてやる!うりうりうりうり〜!スリスリスリスリ!」
頭わしゃわしゃをする。ほっぺたをぴたっとくつけてすりすりもする。人によっては鬱陶しく感じたり恥ずかしくなったりで引き離そうとするのだが、このロニーは、
「むふー」
と満更でもなく受け入れていた。なんなら自分から頭を押し付けたりスリスリとしたり、さながら構ってもらって嬉しいわんこのようだ。
ひと通り満足したらまた歩き出す。今度は手を繋いで。バンは満面の笑みで上機嫌に。ロニーは口角が上がり先程よりバンにくっついて歩いている。
これを見ていた一般通過不良生徒は、「見ているだけで浄化されそうだった。」と呟いていた。
そうこうしているうちにたどり着いたのが目的の場所、『RaD』。もとはならず者の集まりだったがいつの間にか技術者たちや武器商人の集まり場所となっていたらしい。
ここはウォルターの話に聞いていた友人が率いるブラックマーケット随一の技術者集団、そして武器商会である。
武器を製造・販売をしていてこうして友人からの紹介であれば武器の調子も見てくれるという面倒見の良いところだ。
武器商会なだけあってならず者から襲撃があったりするが、その技術者集団や商人たち、頭目がことごとくを返り討ちにしている実力者集団でもある。
そのためブラックマーケットでは「RaDに手を出すのはやめておけ」という暗黙の了解が敷かれている。
「おぉ、久しぶりに来ましたがあんまり変わってないですね!お!?あれは小型2連装バズーカ『ソングバード』…かっこいいのが増えてる!」
「こっちは仕込み杖…スイッチを押せばパルスブレードの剣身が出てくるんだ。これはウォルターに…」
「こっちはチェーンソーMK.II?…『Mk.Ⅰはデカすぎ重すぎエンジン固すぎで扱えるものが少数だったため、取り回しやすく軽量化、エンジンもかかりやすくした。その分威力も下がったがチャージ攻撃の押し当てて切り払う2撃は侮れないものとなっている』…ですか。確かロニーが昔にチェーンソーを振り回していた時期があったと聞きましたがそれの軽量版でしょうか。どっちにしろかっこいいです!」
武器を見て回りながら奥に進んでいくと男の声がかかる。
「なんだぁ?見ねぇツラ…あぁ、ビジターじゃねぇか。じゃあそっちのは連れ添いか。まあ、暴れねぇってんなら好きに過ごせよ。もし暴れたらこの''無敵''のラミー様が相手になるぜ!はーっはっは!」
言いたいことを言ったのかふらふらと酔っ払った動きでどこかへ消えていったラミー。彼は正直弱い。しかし、常に酒を飲んでいて酔っ払っているため勝負で負けてもその記憶がトンでいるから無敗で無敵だと思い込んでいる。
ちなみに弱いと言ってもわんわんヘルメット団の基準でなのでそこら辺のならず者や数だけはいるPMCオートマタになんかは負けない実力はあり番犬として役割を担っている。
「私は久しぶりに会ったから忘れられてましたがロニーは定期的に来ているから覚えられていましたね!おかげで無駄な争いもなく''灰被り''のカーラのところまで行けそうです!」
「うん。知り合いを撃つのは少し気が引けるから良かった。」
そうしてまた進んでいくと大きい鉄の扉が見える。この奥に頭目であるカーラが居る部屋になる。
『よく来たねビジター、歓迎するよ。今扉を開けるから下がって待ってな。''チャティ''、ロック解除頼んだよ。』
カーラがそう言うとチャティという人物が落ち着いた声で返事をする。
『了解だ ボス。』
そのすぐ後にロックの外れる音がして数秒後、何重にもなる鉄の扉が重々しくゆっくりと開かれて行った。
部屋の奥には工房のように色々な機械や道具、ハンドガンからスナイパーライフルまで様々なものがあった。
部屋の中心ではこちらを待っていた灰色の髪、薄く赤色が混じったブラウンの瞳とタバコを吸っている女性''カーラ''が迎え入れた。来客用のソファと丸いテーブルの向こうに足を組んで座っている。
「よく来たねビジター!今日は武器のメンテナンスってことだが折角来たんだ、少しぐらいゆっくりしていきな。」
「じゃあお言葉に甘えて、よいしょ。ロニーもおいでー!」
「うん。よいしょ。」
ロニーが座ったのはソファ…に座るバンの膝の上だった。いつも自分が座っている場所がバンに座られたからというのもあるが、バンの膝に座りたいから座ったのだ。
「膝じゃ座り心地悪くない?ふかふかのソファに…」
「膝がいい。それともバンは座られるのいや?」
「嫌じゃない!!座って!!スーーーッ!」
「むふ」
大声で否定し座ってて欲しいと叫び、ロニーのお腹に腕を回して抱きついたら頭に顔を埋めて匂いを嗅ぐバン。それを満更でもなく受け入れご満悦のロニー。カーラは、
「あっはっは!こうも見せつけられたら逆に清々しいね!やっぱりあんたらは笑えるヤツらだよ!」
と笑っていた。
「それで、今日来たのはどの武器を見て欲しいんだい?」
「ん、このショットガンとパイルバンカー。この前見てもらった時から時間が経っているから見てもらいたくて。あと、バンの新武器の開発のために相談しに来たのをお供してる。」
「そうかい。じゃあ先に武器をささっと見てしまおうか。少し時間を貰うがそれで良いかい?バン。」
「はい!それぐらいなら大丈夫です!」
「じゃあちょっと見てくるよ。待ってる間武器を見てたり菓子をつまんだりして適当に過ごしてくれ。」
立ち上がりながらそう言ったカーラはロニーの武器を右手にショットガン二丁、左手にパイルバンカーを持つとへやの隅っこの扉から工房に引っ込んで行った。
「いやー、それにしてもこの大量の武器凄い…ん?あれは腕?その横にあるのは足かな?もしかしてパワードスーツを作ろうとしてるのかな?そしたら今回の話は協働出来そうかな?」
「…」
「あっちのは何だろ!火炎放射器かな?掃討の依頼来た時にあれがあれば制圧も楽になるんじゃない?」
「……」
「?もじもじしてどうしたのロニー。拠点にない武器とかパワードスーツの腕とかいっぱいあるよ!凄いね!」
「…うん。」
「なにか気になることでもあるの?…はっ!?まさかお手洗い我慢してるとか…!?」
「トイレじゃなくて…その…お姉ちゃんって呼んでいい、かな。」
「良いよォ!!!お姉ちゃんって呼んでぇ!!!」
「!バンお姉ちゃん!」
「ロニーィィイイイイイ!モーカワイインダカラーー!」
「メンテナンス終わった…何やってんだい2人とも」
メンテナンスが終わり工房からでてきたカーラが目にしたのは、だらしない顔を晒しているバンと満面の笑みを浮かべたロニーがぎゅっ!と抱き合っているところだった。
「それで、バンの相談したいことってなんだい?」
顔を元に戻しロニーを膝に座り直させたバンにきく。
「それが、先日依頼を受けた先で全身を覆うパワードスーツを来た敵がいて、それの複製をしたいんです。で、そのパワードスーツのジェネレータのエネルギーが分からなくて何か知っていたら教えて欲しいなと思いまして。一応こちら写真になります。1部戦闘で損傷していますが全体はこんな感じです。あと、ジェネレータはこんな感じで何かしらの燃料の痕跡とかを調べてみたんですが全く出てこなくて…」
「…ふむ。なるほどね。ちなみに、敵でそれを着用していたのはどのくらいの歳だ?」
「私達と同じ位の子供で3人来ました!理解して動かせる大人より体力があって体が柔らかいからかなって思ってるんですけど、やっぱり何かありますかね?」
「…そうだね、燃料の痕跡がないなら''そう''なんだろうね。まず、こいつのジェネレータは普通じゃない。痕跡が何も無いというのもそうだが構造がまるで直接原料のエネルギー供給を行ってそのまま使えるエネルギーとして変換、回路を通じて流している構造だ。そして搭乗者が子供となると、燃料は''神秘''だろうね。」
「''神秘''ですか?それって一体…」
「神秘は、個人差はあれどあんたら子供が持っているものさ。おそらくヘイローを根源に神秘が流れている。ほら、よくヘイローが砕けたら本人は死ぬし、本人が死ねばヘイローは砕けるって聞くだろ?それはつまりヘイローから流れる神秘が尽きてその負荷に耐えられなくなった肉体は死ぬ。逆に、死んだ肉体は動くことも意識が戻ることも無くなる。そうすると心臓が拍動を止めるようにヘイローから神秘の生成と供給が止まって活動を停止、その後に砕けると考えている。」
「でも、ヘイローを先に砕くなんてことは無いんじゃないですか?」
「そう思うだろ?だがヘイローに干渉することが出来るものが1つあるんだよ。」
「それがヘイローから流れる神秘ってことですか?」
「そうさ!なんで生徒の体にだけ流れていて、なんでヘイローに干渉できてなんで銃弾に込めると威力が上がったりするのか…そんなよく分からなくて理解もできないエネルギーを神秘って呼ぶんだ。で、そのジェネレータは子供がタンクになってジェネレータに神秘を供給、ジェネレータで神秘をエネルギーに変換して回路を流れている。これがきっと答えだ。」
「聞いた感じだと神秘そのものを流してもエネルギーとして十分そうですけど、そしたら神秘の強さに回路が耐えられなくなって使い物にならなくなるんですかね?」
「それもあると思うが、さっきも言ったように神秘には個人差があるのさ。だからその差で生まれる性能の違いを埋めるためにわざわざ使いやすく変換して動力としているんだろうね。あんたらが戦った奴らの動きに戦術的なものや経験値以外あんまり違いはなかったんじゃないかい?」
「確かにあんまりなかったかも!なるほど、違いを埋めることで連携を取りやすくして、回路を保護しているんですね!燃料については解決しましたね!あとは変換装置と回路なんですけど…」
「あぁ、それは…」
こうして問題であったジェネレータの燃料について解決した。
パワードスーツの腕と足は、RaDで作ったものを譲ってくれて今後またパワードスーツ、名称【アーマードコア】を作る際に声をかけることとなった。
2人が話している間ロニーが何をしていたのかって?ぐっすりと、バンに抱えられて寝ていたよ。
「RaDのチャティ・スティックだ。今日のボスは一段と楽しそうに弾んでいた。武器のアイデアが湧き出るようだと興奮しながら工房に篭った。
要件はそれだけだ。じゃあな。」
次回!未定です!(いつも通り)
ぺたぺたするかもしれないけどこの回は多分しないと思います
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