私は時間の魔女。本名は栗瀬時雨。◯◯高校に通う女子高生。趣味はタイムスリップ。特技は時間を操ること。好きなものはほしめさまで、嫌いなものは…特に無いかな。
というわけで自己紹介終わり!まぁ、私も自分の説明をしろって言われたから話すけど、聞いてもあまり気持ちの良い話じゃないんだよ?私の過去って。それに、あまり長く話すほど濃くないし。
それでもいいなら。
事の始まりは、私の両親がいわゆるできちゃった婚だったこと。それでも当時は愛し合っていたのは間違いなかったから結婚まで進んだんだろうね。
そして私を産んだ。
4歳くらいまではまともに育ててくれてたと思う。といってもそんなにときのことはほとんど覚えてないけどね。でも、嫌な思い出とかがないから、幸せだったんじゃないかな。
私が5歳だった年に、父親が働く会社が倒産した。なぜか借金を背負って帰ってきた。会社の負債の一部を押し付けられたらしい。そこら辺詳しくないからわからないけどちょっとおかしいよね?そして、そのことで父と母が大喧嘩。もともとそこまで深くはない愛情だったためか一瞬で覚めて離婚。私は母親についていった。
母親は、徐々に狂っていった。なんだかんだ父親を頼りにしていたからね。支えがなくなったから倒れていくしかない。
それでも、まだ、私を育てようと頑張っていた。
完全に壊れたのは、私が原因なんだよね。実をいうと。昔から痛みが気持ちいいと感じるタイプの人間でさ。ちょこちょこバレないように自分の指切ってみたりしてたわけ。それで『もっともっと!』って快楽を求めちゃってリストカットに手を出したんだ。これが10歳のとき。
私が異常であることは理解してた。あとは…あれかな。痛みを感じたことがないから感じてみたいっていう好奇心。まぁ、快楽で塗りつぶされてそんなこと忘れてるんだけど。
話を戻して、何回かはバレてなかったんだけど、ついにバレちゃって。気持ちよくて絶頂し続けて、人間が血を失い過ぎたら死ぬことなんて忘れてしまうくらいには甘美な快楽で。めちゃくちゃ油断してた。
私がリストカットしていることを理解したお母さんは気絶しちゃって救急車を呼ぼうとした。そしたらほしめさまが現れた。
そしてこう告げてきたんだよ。
『魔女になれ。』
当時の私としては全く理由がわからなかったよね。今でこそほしめさまと仲が良いし、魔女とは何かを教えられて納得できたからこそ私は時間の魔女になったわけで。
ほしめさまって優しいんだよ?お母さんから私のリストカットの記憶を消してくれて。私の傷跡も綺麗に治してくれて。
そして私は家を出た。もちろん、ほしめさまのところで暮らすために。学校なんて知らない。お母さんはほしめさまが記憶をいじってくれるからなんとでもなる。
他のことを放ったらかしてまでほしめさまについていきたかったのは、恩があるからっていうのと、魔法に強く惹かれたから。だって、傷が治るのなら、いくら自分を傷つけても問題ないってことだよね?
そんなわけで、魔女になったわけなんだけども、何を思ったのか、私はお母さんを殺したんだ。
ふふっ、さっきからこいつは何を言ってるんだ?って思ってそうだねぇ?
お母さんはお母さんだったよ?だけど、ほしめさまと生活していくうちにほしめさまのほうがお母さんっぽく思えてきて。母親はいらないやって思っちゃって殺した。それが15歳。
その時にね。初めて痛みを感じたんだよ。物理的じゃない、心の痛みってやつ。なんで殺したんだろうって思い始めたら後悔と涙が止まらなくなって。ほしめさまに助けてってせがんだけど死者蘇生はできないって言われた。
いやぁ我ながらイカれてるよ。このエピソードを思い出すたびにそう思う。あ、実際は死者蘇生できるんだよねほしめさま。なぜ死者蘇生してくれなかったのかは当時から今でも教えてくれない。でも、私の予想だと、死者蘇生はそうやすやすとするものじゃないって言うのが理由だと思う。単純に面倒くさかったという可能性もあり得ちゃうけどね。
「こんな感じかな?ほしめさま。」
「私に聞くな。お前の人生だろうに。」
ええー。ちょっとくらいアドバイスくれてもいいのに。実はこれ夏休みの宿題の自由作文で書いたネタなんだ。色々とぼかして脚色して誤魔化してるけど。例えば私が殺したんじゃなくて事故で死んだことにしたり。リストカットじゃなくて睡眠薬多量摂取に書き換えたり。
あ、みんなはやっちゃダメだよ!自殺なんて。どうしようもなくなっても、きっとなにか光明が差す。人生辛いことばかりじゃないからね。
あとは〜、殺した母親の死体をどうしたのかとか、なんで警察にバレなかったのかとかを考えてる人とはちょっとお近づきにはなりたくないな〜。勘の良いガキはってやつ。難しいことでも秘密にしたいことでもないから答えるけどね。
まず、穴を掘ります。そしてそこに死体を入れます。穴周辺の一定範囲内の時間を可能な限り加速させます。これでだいたい2時間位で白骨化します。次に骨を圧縮する魔法で粉砕し骨粉にします。それを海に流します。以上です。そんなに難しくはないんだよね。死体自体は自宅からほしめさまの家まで運んだけど、時間停止すれば誰にも気づかれないし、ほしめさまの家は人間には感知されない。だから完全犯罪成立。
自宅の片付けはぼちぼち進めてる。最悪バレても捕まることは絶対にありえないからそこまで気にしてなかったり。
「よし。これで完成!」
「それで、この前私が出した課題のレポートは?」
「い、いやそれはまだ…」
「まぁ、いい。私達魔女の時間は無限。いつでも待ってるぞ。」
「はーい…」
自分の部屋に逃げよう。
この場合遠回しに、はよ出せって言われてる。今やってるのは氷属性系魔法の活用方法と応用。授業内容のまとめと、一つ魔法を作るっていうのが課題。まとめの方は問題なく終わったんだけど魔法を作るほうがちょっと躓いてる。
理由としてはほしめさまって万能って言葉がピッタリ当てはまるくらいに魔法を多岐にわたって会得してる。全知全能とかそんな感じ。だから私が作る魔法もすでに作ってる可能性がある。どうせだから攻撃魔法作りたいし、アニメ見てて色々とインスピレーションはあるんだけどね…
あ。絶対零度。ほーん…魔女相手以外であれば最強だ
かもね?分子の運動が停止する温度。生きとし生けるもの全てが停止する氷の結界。うん。良さそう。発動にかかる時間は可能な限り短くするとして、最悪時間停止か加速で補えばいいし、必要な魔力は範囲次第だね…維持は一度下げた温度をそのままにするだけだからいいとして、うーんそれでも範囲の際のほうがちょっと大変かな?ゴリ押しすればいいや。銃弾って絶対零度の世界だとどうなるんだろう。そんな状況になることなんてそんなに無いと思うけど、普通に対物理障壁張っておこう。
この魔法の名前は『氷魔結界』。目的は、囲まれた際の範囲攻撃及び足止め。自身を中心に半径1メートルは効果外に設定。最大射程は100メートル。絶対零度にまで気温を低下させることで周囲の活動を阻害する。
こんな感じかな。ほしめさまと違って魔力は無限じゃないからね〜。あんまり広げすぎても無駄になる。それに無差別テロをしたいわけでもない。よし。山に行って試そう。
「『氷魔結界』」
おおー。範囲縮小版だけどイメージ通り。ここまで綺麗に冷やされたらコールドスリープとかになるんじゃないかな?鳥もそのままの姿で凍ってる。というか時間が止まったみたいだね。人間が絶対零度に触れたらどうなるかわからないから絶対に手は出さいないんだけど。
「解除っと。あれ?
解除して痛々しいまでに冷たい空気を感じたため空気を操作し直しながら空から落ちてくる人影に尋ねる。
空間の魔女こと空ちゃんです。
「貴女の魔力の反応を感じたのよ。貴女にしては珍しくきれいな魔法じゃない。」
「珍しくって酷いなぁ。パワー系って言ってほしいね。」
「山を半分焼いておいてよく文句を言えるわね。」
い、いやぁあれは事故だよ事故。ちょっと魔力操作が不慣れだった時代にえいって魔力を込めたら想像以上の火力になっちゃってね。だから今回はちゃんと範囲を縮小したんだよ。
「あ、そういえば妹さん元気?」
「もちろんよ。でも、貴女には関係ないでしょうに。」
「いいじゃんいいじゃん世間話くらい。」
「別にいいけれど…。じゃあ時雨、三者面談ってのはどうだったのかしら?正直、理解できないものではあるのだけど。」
空ちゃんは妹大好きで、ほしめさまの半分くらいの時間を生きてる魔女。めっちゃ強い。
「三者面談は、うーん、微妙?」
「何よそれ。」
私が母親を殺しちゃったせいで、ね?父親は音信不通だし。それで、ほしめさまに代打を頼んだわけなんだけど、私よりちっちゃいし身分証明書もないからなんだコイツって感じで先生に見られてたのは笑っちゃった。一応、スムーズに話は進んだんだけどね…
〜〜〜〜〜〜〜
ついに三者面談。ほしめさまは普段魔力で編んだ服をずっと来てるから、流石に今風の服を着てきてもらった。あとは質問が来たら答える程度にしてとお願いしている。
「えー、では、三者面談を始めたいと思います。栗瀬さんはかなり優秀な成績です。テストでは必ず10位以内に入っておりますし、部活の方でも、地区大会優勝。全国大会入賞という優秀さです。私もそれなりに教師生活を送ってきましたがここまで文武両道な生徒はなかなか見ません。」
うへへへ褒めてもらってる。気持ちいいですなぁ。
「それで、学校生活に関して保護者様から質問がありますか?」
「態度はどうだ?生意気なことはしてないか?」
「周囲の生徒に対して優しいですし優等生そのものでありますが…家にいるときはどのような?」
「そういうことならその優等生像を崩さないでやってくれ。こいつはこいつでうまくやっているらしい。」
「はぁ。」
よかったぁ。やんちゃしてるとか、生意気だとか言われなくて良かった。猫を頭に被りまくってるからね!
「一つ気になる点があるとすれば他の人と一定の距離を保っているように見えることです。友達がいないわけではないようですが…」
「そういえば遊びに行ったりしてないな。」
「大丈夫です先生。全く遊びに行ってないわけじゃないですし、趣味に集中しているだけですから。」
魔法の練習してますだなんて言えないよ!
「そういうことなら気にしないことにします。それで、進路はどうしますか?栗瀬さん。現状で考えてることはありますか?」
高校2年生だもんなぁ。そういうこと聞かれる時期だよね。
「まだ考えてません。一応大学には進もうかなって考えてます。」
「わかりました。…では最後になるのですが、保護者様ということで来ていただいてるその方とのご関係は?」
あーやっぱり気になっちゃうよね。
「第2の母親兼師匠です。」
「師匠?なんの師匠なんですか?」
「まほ」
「しゅ、趣味です!ええ。えっとこれで終わりですよね?先生!?」
ほしめさまそんな睨むような目で見ないで〜。現代の人に魔法って言っても信じないから。
「そ、それじゃあこれでっ!」
我ながら爆速で切り上げてほしめさまを押し出して教室を出る。危なかったぁ。
「魔法って言おうとしたでしょ?ほしめさま。」
「そうだが?」
「今の人達にそう言っても信じてもらえないよ。」
「だったら証明すればいい。」
「それはダメだよ。だって、とっても面倒くさくなるからね。日本中の人ってわけじゃないけどさ、きっとたくさんの人が探して追いかけ回すことになるよ。私とほしめさまのこと。」
「たしかにそれは面倒だが、別に隠すほどのことでも無いと思うが…」
「私がまともに高校生活送れなくなっちゃうし。それに、オカルトっていうのは結構大きなコンテンツだからね。たぶん火を灯しただけでも人が集まっちゃう。…人に対する嫌な記憶があるでしょ?ほしめさま。」
一般人と私達魔女、お互いのためでもある。私達4人中2人が人間嫌いだ。ほしめさまと空ちゃん。ほしめさまはまだ危害を加えなければ何もしないんだけど、空ちゃんが極度の人間嫌いでさ。人さらって実験台にしてるレベル。
ん?あー、なんとなく言いたいことはわかるよ?それはそれとして倫理観どうなってんだってことでしょ?そこは、私達魔女ですので。好き勝手にやるのが魔女なんだよ。
「今回はお前に従うということだったしな。悪かった。」
「いいのいいの。結果的にはセーフだからね。じゃあ帰りに美味しい喫茶店よっていこうよ。」
「おい。…まあ、たまにはいいか。」
〜〜〜〜〜〜〜〜
「喫茶店行ったのね。」
「うん。」
「しかも美味しいところね。」
「うん。というかそこ?」
人に会いたくないくせにスイーツとかグルメとかそういうのは好きなんだからなぁ空ちゃん。半分は、妹さんに食べさせたいっていうのがあるんだろうけど。
私もさ、大概で狂ってると思うんだけど空ちゃんが一つ上を行くと言いますか。どっちもどっちなのかな?うーーん…
「何よ。私の顔になにかついてる?」
「いや別に。」
魔女ってのはどこか狂ってると思ってくれたらそれでいいかな。
時間の魔女こと栗瀬時雨
ちゃんと現代を生きるハイスペックJK。もちろん一般的な倫理観は一般人に最も近い。ヤバさの半分くらいは見せれたかな?
星眼の魔女
今回は先生役&付き添い。なおそんなに出番はない…こともない?今回の主人公は時雨だからね。仕方ないね。
空間の魔女こと空
妹大好き。流れ的に気づいていると思うけど次話は空の昔話
(案外オタクな)先生
まほ…まほ…まほう?彼女がオカルトにも手を出してるとかそんなわけないですよねー。
というわけで第二話でした。なんで三者面談?って聞かれたらなんででしょうね?って質問に質問で返す状況になってしまうので聞かないでください。
時雨「時間の魔女なのに死体処理にしか時間関係の魔法を使ってないって?現代で使うタイミングなんて忘れ物を過去に取りに行くときくらいだって。戦闘なんか起きないに決まってるでしょ?日本だよ?」