魔女たち   作:lkjhg

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時間が経ちすぎて忘れてる設定だったり新しく生えてる設定があるかもしれない程度のガバガバ具合でお送りするオリジナル作品です。


第四話 人形の魔女の自分語り

「前にお話ししたことがある気がしますわ」

「まーまー気にしないで。作者がどこかのタイミングでデータ消したのが悪いんだけど」

「やっぱり。仕方ありませんわね。私の人形制作も一区切りついたので話しましょう。星眼様はいつも通りでしょうか?」

「そうだねぇ。異世界に行ったり魔法の研究したりだね」

「私も星眼様のことは言えませんが外に出るべきでは?」

「異世界に行ってる間はかなり活動的になってるみたいだから大丈夫でしょ」 

 

 私は人形の魔女。またの名をアメリア・ラピスラズリ。名前が変わっていたとしても気にしでくださいまし。時代が移り変わるにつれて多少変えていますので。

 

 というのも私は人の世、つまり現実世界においては稀代の人形師として生きております。名前を変えるのもあくまで代替わりを演出するためのもの。それにいつまでも気づかない人というのはなかなか滑稽ですわ。

 

 人形。つまり人の形。人の形をしていれば何でも動かすことができますの。ゆえに、疾うの昔に肉体は捨てております。今は魂のみで人形を転々としていまして、擬似的な転移や不老不死を実現しています。無論、私が憑依していない人形の複数操作や人形に関する以外の魔法も使えるのは当たり前ですので、一芸ではないことはご承知おきくださいな。

 

 さて、私の過去でしたわね。

 

 私は、特別不幸事や人を恨むようなことはありませんでした。

 

 当時の王国の王都に住める程度には裕福でしたが、一般の出です。もっとも、父は役所勤め、母は貴族を相手にした人形の商売をしていた。そこの一人娘ですわ。

 

 ええ、そうです。私は母親を継いだということになります。

 

 当時とあまり性格は変わっていないはずです。母親の作る人形が大好きで大好きで余っている布や綿、糸なんかをもらっては幼いながらに人形を作っていましたもの。それが不恰好だとしても両親は褒めてくれた。私は幸せだったのです。

 

 少し、風向きが変わり始めたのは母様が病気を患ってからです。確かに体は強くない方でしたが、それでも毎日を元気に過ごしていた。しかし、流行病にはなす術もありませんでした。今で言うところの黒死病。これが当時の流行病だと思います。治療法も何もなく、死ねば火葬される。病気を疑われれば隔離され最悪の場合死ぬまで、いえ、死んでも会えない。

 

 死ぬ間際まで人形を作り続けた母を今でも誇りに思っております。

 

 そんな流行病もいずれは収束します。父と私は奇跡的にかかりませんでした。私は母様を正式に継いで人形を作り始めました。貴族の方達は店にくるときに見舞金として多額のお金を渡してくださいましたが、流石にそれでは釣り合わない。なので、そのお金を使って最高の人形を作ることを目指しました。

 

 それまでは手で持てるようなサイズを作成しておりましたが、私が作成したのは現代で言うところのドール。つまり、等身大の人形です。

 

 情熱と、お金と、技術と、苦難と、血肉を注ぎ込みました。

 

 ええ。本物に近づけるため、文字通りの血肉を一部使用しました。

 

 そして完成したものを貴族に見せた時、国王に献上した方がいいと言われました。それほどまでに出来が良かったのですわ。それがとても嬉しかった。母様の夢は国王に自分が作った人形を献上すること。王女殿下はいらっしゃったのですが、国王に認知されていない。国で一番の人形師だと名乗るために貴族との商売をしていたとおっしゃっていました。

 

 その完成した第一号を見た国王に一つ頼まれごとをされました。

 

 娘を作って欲しい。

 

 あまりにもオフレコすぎるその話を聞いた時は気絶しそうになりましたわ。

 

 黒死病で死んでしまった、公にしていない娘を綺麗な姿にしてほしいという依頼でした。

 

 私は人形師であって、ミイラを作ったり死体の腐敗処理を施す職業ではないのに。あまりにも精緻に人形を作りすぎた。

 

 考える時間が欲しかったので一日返答を待ってもらいました。

 

 報酬は一生遊んで暮らせるお金と貴族階級。あまりにも良すぎましたがそれだけ娘を愛していたという証左。そして、そうして人形に死んだ者を投影した人がどうなるかは、今までで知っていました。もれなく全員病んで自殺しておりました。

 

 国王がそのことを理解していな筈がない。そもそも国王直々の勅命を断れるはずもない。

 

 そう結論づけた私は依頼を受けました。

 

 さて、ここで魔法が発現した経緯に話を逸らしましょう。

 

 私は、空さんと同じ先天的に力を有していた側の人間でした。この力を自覚したのは、母様の人形たちが自由に動けたらきっと楽しいだろうと考えたことだと思います。つまり、それなりに幼いときですわね。ただ、あまりにもおとぎ話や物語すぎるその力は隠しました。理由は至って単純で魔女は未だ災厄の象徴だったからです。

 

 密かに、虫や死者の魂を利用し実験をしていました。そのおかげで私は星眼様に出会えました。他の方達とは違い、私は助けられておりません。単純に私がやっていることに対しての興味で私に接触してきました。

 

 人形も、私の力も褒めていただきました。そして、絶対に表に出していなかった性癖も認めて下さった。ひとえに、魔女は自由であるから性癖は気にしない、と。

 

 さあ、話をまとめていきましょう。

 

 制作には5年かかりました。もっとも、人形自体は3年で完成しておりましたが、残りの2年は細部の調整や魂の捜索及び定着などをしておりました。

 

 そして完成したものを国王に献上しました。約束通り報酬は支払われ、国王は失った娘の悲しみを埋めることができ、私は一生に一度の仕事を終えたことで休養のため隠居をすると周知し国外へ。

 

 ふふふ。面白くなるのはここからですわ。

 

 人形には亡くなってしまった娘の魂を結びつけておいたのです。

 

 ちょうど国王の娘が死んでから6年。ただの人形であるはずのそれは動き出したのです。私が作成したのはほぼ人間の人形。言い方を変えれば血の通っていない人間。骨、肉、皮膚、内臓、髪、全てを再現した人のような人形。人体模型よりも精緻な模型。

 

 動き出した人形は尋ねます。あなたは誰かと。

 

 一体、誰に尋ねたと思いますか?

 

 もちろん分かりますわよね?国王でございます。いつも可能な限りそばにいて、手入れをし、綺麗に清潔に保とうとしていたのですから当たり前ですわ。

 

 しかしながらこればかりは私は悪くないのです。魂は全てを記憶しているわけではない。肉体を離れている時間に比例して漂白されていく。魔法等で保護していなければどんな存在だろうと漂白は進みます。当時の私は知らないことでしたが…

 

 それからというもの国王は人形を破棄。政務もまともにすることができなくなり、国王は息子に王位を譲りました。

 

 その時の様子は、ああ、今でもゾクゾクします♡

 

 私は自分で作った人形で幸せな人を見るのが好きです。それと同時に、絶望し失望し落ちぶれていくところを見るのもまた同じくらい好きです。

 

 国王の娘の人形におまけとしてつけた人形に、私が憑依できないはずがないでしょう?

 

 人形が動き出し、自分を知らないと言われた国王の表情を特等席で見ることができたのは未来永劫訪れない至上の瞬間でございました。

 

 息子に代が変わり私が父が籠絡した原因だとして捜索を命じたようですが見つかるはずもありません。私は肉体を捨てているのです。つまり、死人を探しているのと同義。滑稽でしたわ。

 

 あとはだんだんと国は衰退していきました。

 

 栄枯盛衰というのはなんとも言えない儚さがあると思います。それが美しい。そこに惹かれているのだと私は自分を分析しております。

 

「つまり、人形で国を滅ぼしたってことじゃん。こわ」

「時間はものすごくかかっておりますが。そもそも私は滅ぼすつもりなんてなかったのですよ」

「勝手に死んでいったと」

「言い方を取り繕わなければそうですわ」

 

 それからは人形を作ったり星眼様と魔法について教えあったりして楽しく暮らしております。たまに人の世で願いが叶う幸運の人形であったり、破滅に導く呪いの人形であったりなどを売ったりして遊んでおります。ああ、もちろん願いが叶ったとしても最終的には破滅するのですけれどね。

 

「いやぁ、怖いね。呪いでもかけてるの?」

「そんな事するわけないでしょう?本当に、本当の本当に購入された方たちが勝手に自滅していくのです。人形が原因だと壊そうとしても高い買い物だからそれを壊すのが惜しいという人もいれば切り刻んで燃やした方もいる。それらまで含めて作品ですのよ」

「うっわー。知ってたけど陰湿ぅ。そんなんだから人形の魔女のアトリエはかび臭いって言われるんだよ?」

「あ、あれからはちゃんと換気や掃除をしておりますわ!」

 

 人形が壊されるのは悲しいという気持ちはあります。ですが、そのために作ったものであり私のコレクションではない。壊されてはいけないものを売るわけないじゃないですか。それに、取引が成立した瞬間からその人形はお客様のもの。どう扱おうと私の感有りする範囲ではないのです。

 

「はぁ。こんなはずじゃありませんでしたのに」

「それはそう。前はもうちょっとこう軽い感じだったよね」

「ええ。私の話は他人の不幸を笑うもの。ほかの御三方のような自分の不幸が題材では有りません」

「それに関しては私もちょっと違うんだけどね」

 

 魔女とは自由なのです。共感しようがしまいが、できようができまいが自由なのです。ただ、魔女同士での殺し合いは禁止されている。仲良くする必要はないが最低限の関係は持たなければいけない。幸いなことに今は皆さんとの関係は良好です。

 

「おっ、紅白始まった!」

「紅白?なんですか?それは」

「紅組、白組で分かれて歌い合う紅白歌合戦っていう番組だよ。これが始まるといよいよ1年が終わるんだ」

「そうなんですね。では、よいお年を」

「よいお年を〜!」




人形の魔女
今回の主人公。やりたいことやって隠居したから人生勝ち組。母様が病気で死んでいなくても人形の魔女の人生の終着点は同じだった模様。人形に夢中になり魅せられ人形となった魔女。

時間の魔女
聞き手。という名の便利枠。末っ子というか一番新人なので誰とでも組める。作者的に一番助かってるキャラ。やっぱりMなこと以外まともだから助かるよ時雨。

星眼の魔女
おや…?魔法か…?ふむ、勧誘するか。という感じ。ほぼ地球全体を監視しているので異常があればすぐに飛んでいける。

空間の魔女
時間が経って書き直したせいで出番がなくなった人。正直いてもいなくても変わらないのでいいかなって…。そんなわけで妹ちゃんとコタツでぬくぬくしてる。

人形の魔女の父様
別に死んでない。役所勤めなのも変わらない。娘が人形師として国王に人形を納めたことも知らない。またしても何も知らない某枠。枠というか、出す場所がなかったというか。親子の絡みがあってもよかったような気がするけどまあいいか。

作者
ぼちぼち書いたり消したりで在庫は膨れてる。書き上げられないスランプ的な状態。社会人になって時間的な余裕が少なくなったともいう…かも?
冬も本格的に寒くなってくるので風邪などには気をつけましょう。お互いに。

では、よいお年を〜。
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