【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】   作:鳩胸な鴨

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ちょっとした後日談です


アフターストーリー編
?スレ目 退職の行方


「丸喜副主任、コーヒーどうぞ」

「ああうん、ありがとう」

 

西澤家の敷地内にある研究所にて。

普遍的無意識やシャドウに関するデータをまとめ終えた丸喜に、蓮がコーヒーを差し出す。

丸喜はそれを一口啜ると、彼に向けて苦笑を漏らした。

 

「なんだか不思議な感覚だね。

あれからまだ数ヶ月しか経ってないのに、君とこうして同じ職場で働いてるなんて」

「自分はバイトだが」

「だとしてもだよ。

…その、気まずくなったりしてないかい?

君からしたら、義母とも同じ職場になるし…」

「あんまり。昔はしょっちゅう会ってたから」

 

西澤心理的異世界研究室。

辞めたバルルに代わり、その主任を務めるようになった一色若葉を思い浮かべ、蓮は淡白に返した。

丸喜はそれに軽く返事すると、「そうだ、シフトについてだけど」と話を切り替えた。

 

「夏休みは丸々シフト空けておいたよ。

山場は超えたし、久々に皆とゆっくりするといい」

「それはありがたいんだが…、大丈夫か?」

「若葉さんの手綱は握っておくよ。…振り回される可能性大だけど」

「惣治郎にしか引けないぞ、あれ」

 

丸喜のように腰の低い男は、引き摺り回されて死にかねない。

心配を向けられていると悟ったのだろう。

丸喜はそれに「僕もそう思う」と返した後、ふと思い出したように声を上げた。

 

「あっ。そういえば、バルルさんは帰ってくるの?」

「さあな。音信不通な上、帰ってくる間隔もまちまちだ。

出かけて3時間で帰ってくることもあれば、一ヶ月空けることもある」

「そっか。…もし帰ってきたら、よろしく言っといてよ」

「わかった」

 

伝えるのは先になるやもしれないが。

そんなことを思っていると、携帯が震える。

画面に並ぶ文字は、有里 湊。

現在はシャドウワーカーの副主任として働く先輩の名に、蓮は怪訝そうに眉を顰める。

 

「湊さん?珍しいな」

「出ていいよ。今日は視察もないしね」

「じゃ、失礼して…。もしもし?」

『久しぶり、蓮。ちょっといいかな?』

「ああ」

 

積もる話もあるだろう。

丸喜が気を利かせ、作業に戻ろうとした、その時だった。

 

「なんて?????」

 

かつて聞いたことがないほどに狼狽えた蓮の声が響いたのは。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「「退職できてなかったぁ!?!?」」

 

日向家のリビングに驚愕が響く。

湊より伝えられた真実。

それは「バルルの退職が受理されていなかった」という衝撃が伴うものであった。

姉弟が叫び、ケロロが怪訝そうな顔で問いかける。

 

「で、でも大佐殿は退職したって…」

「上層部が変な気を利かせて、バルルの退職を保留してたらしい…。

ひと段落ついたみたいだから、いつ復職するんだって話がテルルに来たみたいで…」

「前々からおかしいと思ったんだ…。

大佐がそう簡単に辞められるはずがないと…」

 

ギロロが声を絞り出し、周囲の面々がうんうんと深く頷く。

一瞬、「コイツならすぐ受理されんだろーな」という目をケロロに向けた後、タママがおずおずと声を漏らした。

 

「えっと、それまずくないですかぁ…?」

「めちゃくちゃなァ。下手すりゃ脱走兵扱い。

大佐ほどの人材が裏切ったと判断されれば、ペコポンごと始末する…なんてことすらあり得るぜェ」

「どっしぇぇええーーーーーッ!?!?」

 

本人がいない間に大変なことになってる。

冗談にもならない物騒な一言に、夏美がクルルに向けて悲鳴じみた声をぶつけた。

 

「どうにかなんないの、それ!?」

「…要は、退職を認めさせればいいんだろ?

話し合って退職させて貰えば…」

「そういうわけにもいかない。

既に退職届を出して10年経ってる。

その間にも、大佐に押し付けるつもりだった仕事が溜まってるだろうな…」

「どうなってんだケロン軍」

「嫌な業務はとことんやってくれる奴に回してるんだろうぜ。上が考えそうなこった」

「AIにでも任せろよな…。リストラシステムも自己判断するAIだったろ」

 

蓮のツッコミに返す言葉もないと言わんばかりに押し黙るケロン軍の面々。

と、そんな中。リビングの扉を開き、黒い人影が姿を現した。

 

「帰ったぞ…、って、どうした、お前たち?」

 

渦中のバルルを前に、皆がギロリと鋭い視線を向ける。

なんかやらかしたっけ、とバルルが疑問に思うより先、怒号の大合唱が響いた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

123.元ケロン軍人

【悲報】ワイ、退職できてなかった

 

124.名無しの転生者

知ってた

 

125.名無しの転生者

テメェのスペックでできるわけねぇだろうがよ

 

126.名無しの転生者

誰もやらん仕事ぜーんぶ引き受けてきた人材が辞めるってなったらそりゃ渋るわ

 

127.名無しの転生者

労基とかに訴え…れないですね。軍部が最高機関ですもんね

 

128.元ケロン軍人

宇宙警察

 

129.名無しの転生者

あっ

 

130.名無しの転生者

侵略行為もアバウトながら制約あるくらいやしなぁ…

 

131.名無しの転生者

著作権違反で侵略できへんかった回あったなぁ

 

132.名無しの転生者

労基も兼ねてるん?

 

133.元ケロン軍人

兼ねてるが、適当な仕事しかしとらんぞ。法律関係とか詳しく洗ったけど、宇宙人全体が適当気質だからふわっふわした法が8割。たまーにちゃんと考えてるのが混じってて混乱する

 

134.名無しの転生者

 

135.名無しの転生者

んで、どうなん?辞めれるん?

 

136.元ケロン軍人

「辞めたい時は辞めさせる」って法律はバッチリあるんよ。ただなぁ、見た感じ許される例外パターンが結構多いっていうか

 

137.名無しの転生者

具体的には?

 

138.元ケロン軍人

有能ムーブで辞めたフリした奴がほんとに退職扱いにされてて、あとあと星一つが崩壊する大規模テロに繋がったって事例があってな。そう判断されて退職できなかった場合は喧嘩両成敗って形でワイもペナルティ喰らう

 

139.名無しの転生者

あっ(察し)

 

140.名無しの転生者

その判例と同じだと思われたわけね…

 

141.名無しの転生者

何から何まで裏目に出てて草

 

142.名無しの転生者

次の旅は辞めれるまで延期け?

 

143.元ケロン軍人

そうやな…。少佐もいるし、4日あればワイだけがやってた仕事をシステム、マニュアル化して一般業務に組み込めるやろ。溜まってた仕事も同時並行で片付けるから、すぐに旅に戻れるで

 

144.名無しの転生者

えぇ…?

 

145.名無しの転生者

異次元の文章喋ってる???

 

146.名無しの転生者

そんなだから辞めれねぇんだろ…

 

147.名無しの転生者

有能がここまで足引っ張ることあるんだ…

 

148.元ケロン軍人

カスどもに押し付けられてた苦難に比べたら億倍マシ

 

149.名無しの転生者

割とどっこいでは?

 

150.名無しの転生者

大佐の自己評価、世界一当てにならんよな




ケロン軍本部…「ワイらはわかってるで」的な後方腕組みしてたらガチな退職でびっくり。「後釜育ててから辞めてくれ!!」と恥も外聞もなく駄々を捏ねまくって新しいマニュアルとシステムを作ってもらって、快く退職を見送った。宇宙警察と揉めるのが嫌だった、ともいう。

バルル大佐…辞めれてなくてびっくり。しかも下手すりゃ地球滅亡の危機まで引き連れていたことに気づき、慌てて少佐引きずって後処理に向かった。

宇宙警察…ポヨが語尾につく婦警さんが働いてる。まともな運営してる組織はまずこいつらと関わらない。そのくらい厄介
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