【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】   作:鳩胸な鴨

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バカの下世話が火を吹くぜ


?スレ目 お見合い大作戦

「吾輩、考えました!大佐殿がモテない理由が何か!」

「星の数ほどあるッスよ」

「はいそこっ!!茶々入れない!!」

 

タママの呆れが日向家地下にあるケロロ小隊用会議室に響く。

音頭を取るケロロがそれを諌めると、その勢いのままホワイトボードに文字を書き殴っていく。

 

「それはズバリ、『出会い』!!

バルル大佐殿には冬樹殿と桃華殿ばりのロマンティックな出会いがないのであります!!」

「冬樹兄さんと桃華さんの出会いってロマンティックだったか?」

「モモッチからすればロマンティックだったみたいですぅ」

「だろうな」

 

協力者として呼び出され…もとい連行された蓮の呆れが会議室に響く。

下世話にも程がある。

バルルが知ったら怒りそうだな、と思いつつ、蓮は受験勉強の傍で話を聞き流す。

 

「そこで吾輩たちがそのロマンティックを演出してあげようと、こうして蓮殿を招いて緊急会議を開いたわけであります」

「下世話、ここに極まれりでござるな」

「そもそも侵略がちっっっっとも進んでない状態でやることか…!」

「い、いやぁ、バルル大佐殿が権力持ちのペコポン人と結婚したら、そこを起点に侵略進められないかなぁ…と」

 

そんなこったろうと思った。

あまりにセコい理由で勝手に縁談を推し進めようとしたケロロに対し、蓮は思わず意見を返す。

 

「そういう打算ありきの下世話はバルルを一番激怒させるぞ」

「え、そなの?」

「『権力者との縁談はごめん被る』って大本部会議でも公言してるしなァ。無理やり推し進めでもしたら、余計な地雷踏むぜェ」

「なーんだ。じゃ、この会議おーわり。解散解散散った散った」

「世界一無駄な時間だったな、オイ」

「てゆーか、空理空論?」

 

ギロロが半目で睨むのを無視し、「あーいそがしいそがし」とわざとらしくセットを片付けていくケロロ。

と。もしゃもしゃとスナック菓子を頬張っていたタママがふと思いついたように声を上げた。

 

「でもでも、大佐さんがペコポンで身を固めるつもりだったのは事実ですよね?

相手を紹介する程度なら適度に恩稼ぎできて、侵略に協力してくれたりするんじゃないッスか?」

「それ採用!!」

 

そんなに上手くいくものか。

冷ややかな視線がいくつか混じるものの、バルルが相手に飢えているのは事実。

相手の紹介くらいなら下世話には入らないだろう。

そんなことを思いつつ、蓮はモアとケロロを見比べた。

 

「アンゴル族とケロン人って友好関係なんだろ?そこ関係でバルルに惚れてるって子は?」

「いないですね。てゆーか、孤影悄然?」

「……………」

「蓮殿のあの顔…!間違いない…!

『釈然としない』と言っている…!!」

 

明らかに異性としてモアに好かれているケロロを見やり、目元を揉む蓮。

人に好かれる才能と人に尊敬される才能は別物らしい。

呆れる蓮に、ケロロは冷や汗を拭いながら問いを返す。

 

「んじゃ、聞くでありますが、蓮殿の方で大佐殿に好感度があってイケそうな女子は」

「いない」

「……………そ、そんなバッサリいかれる程度には恋愛方面ズタボロなんスか…」

「うん」

 

一番好感度の高いかすみでも、「尊敬が勝ちます。それに明智さんが息子になるのはちょっと…」と難色を示した。

モテる要素がカケラもない。

これはかぐや姫が出した難題と同レベルなんじゃなかろうか。

会議室に集まった面々が戦慄をあらわにする中、蓮がふと思い出したように声を漏らす。

 

「そういえば、転生者は総じてモテたことがないと聞いたな」

「そ、それは前世が世帯持ちとかで、浮気なんて考えられない的なのではなく?」

「そもそもモテない。

億を超える転生者全員が恋人いない歴イコール前世含めた年齢だそうだ」

「大佐殿、恋人すらいなかったんだ…」

「俺たちが言えた話か」

「そうでござる。拙者らもまた、親に結婚を迫られている身。

というか、ケロロくんもお父さんにこれでもかと見合い写真を積まれていたではござらんか」

「そ、それを言うならこンの初恋拗らせ赤ダルマだって!!」

「キサマ、言うに事欠いて俺を槍玉に上げるんじゃない!!」

 

こうも醜い論争がこの世にあるのか。

ぎゃあぎゃあと騒ぎ立て、直近のトラウマを掘り返す3人を横目に、タママがため息を吐く。

 

「もう解散でいいと思うですぅ…。

大佐に相手見繕うっつっても、大佐に見合うような女性なんてボクらの周りにいないじゃないッスか…」

「同感」

「いんや、そうでもねぇぜ」

「ん?誰かいたか?」

 

クルルが怪しげな笑みを浮かべ、たたた、とスマホを弄る。

そこに映るは、「新島法律相談所」なる弁護士事務所のホームページ。

蓮は露骨に顔を顰め、クルルの瓶底眼鏡へと視線を向け直した。

 

「新島冴。大佐に負けず劣らずの生真面目で責任感の塊だァ。

仕事人間同士、気が合うんじゃねーの?」

「………いや、もし成就したら気まずいだろ、明智も真も」

「それを気にしちゃあ、どの女でも気まずいだろうなァ」

「いや、でもさ…」

 

さらなる反論を述べようとして、気づく。

じと、とこちらを見つめる視線に。

蓮はそれに暫し耐えるも、やはり無理だと判断したのだろう。

軽くため息を吐き、がじがじと頭をかいた。

 

「………ダメ元で持ちかけてみるぞ?」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

どうしてだ、どうしてこうなった。

机を挟んだ沈黙の中、困惑と気まずさに顔を歪める冴。

眼前には、同じように困惑する黒髪の麗人…アホトロンシステムで人の姿を取ったバルル大佐が佇んでいる。

妹に「恩師を紹介したい」と言われたはいいが、まさか見合い話だったとは。

詐欺罪は成立しないだろうな、と思っていると、バルルが深々と頭を下げた。

 

「すみません、事務所を興したばかりで大変でしょうに、こんなしょぼくれたおっさんと見合いなど…」

「い、いえ、おかまいなく…」

 

おっさんの見た目か、これが?

長いまつ毛。キューティクルがかかった髪。パッチリとした瞳。すらっとした鼻。薄い唇。細いながらも頼もしさを感じさせる体躯。

少し化粧すれば、自分より美人になる。確実に。

女としての敗北感を覚えながらも、冴は恐る恐る話題を探る。

 

「その、お噂は、かねがね…。

なんでも、元は宇宙の軍人だったとか…」

「どこにでもいる普通の中年です。そんなに畏まることはありません」

「あなたみたいなのがどこにでもいたら獅童が台頭することはなかったと思います」

「買い被りすぎでは?」

 

四十路手前で空将補に上り詰める化け物の評価としては妥当だろう。

今頃は地獄で鬼に罰せられているであろう、ハゲ上司の面が頭をよぎる。

 

(上司にするなら彼が良かっ…、ん?)

 

前職の愚痴を胸に抱いた直後、冴はふと我に帰る。

 

(あれ…?もしかして、これ、最後の機会なんじゃ…?)

 

そうだ。彼は弩級の不幸体質という大きな欠点にさえ目を瞑れば、理想的な男だと言える。

あの捻くれ者の明智吾郎が懐いてるくらいには、性格面も申し分ない。

子育てに関しても、雨宮蓮という英雄を育て上げた実績がある。

女性として凄まじい安心感である。

ここまで人が出来ていると、付き合っているうちに多少なり劣等感は抱くだろうが、人生経験豊富な彼のことだ。

嫉妬で苛烈になった自分の言動も上手く諌めてくれるだろう。

冴は気を引き締め、バルルに問うた。

 

「明智さんこそ迷惑ではありませんか?

こんな女らしくない女と見合いなど…」

「気を使うのは私の方です。

新島殿は素晴らしい女性です。引く手数多でしょうに、こんな親ほど歳の離れた相手との見合いなど醜聞にしかならんでしょう」

 

引く手は少ない方だと思う。

冴は自虐気味に心の中で返すと、続けてバルルを詰めた。

 

「その、明智さんとしてはどうなんです…?」

「…本音を言えば、旅の終わりが見えぬ故、今の自分が世帯を持つことは諦めております。

落ち着けばまた、相手を探そうかと」

「そ、そうで…」

 

そうですか、と言おうとして、やめる。

ここで会話を区切れば、気まずい沈黙が続くだけ。

検察時代の勢いを思い出せ。

ばくばくと鳴る心臓に一抹の不安を覚えながらも、冴はなんとか言葉を絞り出す。

 

「そうで、は、なく…」

 

碌に経験がないせいか切り出せない。

しかし、こればかりは踏み込まなければ。

勇気を振り絞り、冴は喉奥から声を漏らす。

 

「わ、わ、私と、その…」

「……………失礼」

 

冴の言葉を止め、その後ろを指差すバルル。

彼女がそちらを見ると、申し訳なさそうに佇む妹がそこに居た。

 

「…………………まこと?」

「え、えっと、ごめんなさい、お見合いだって知らなくて、それで…えっと…」

「緑のバカが仕込んだってのを聞きつけて殴りにきたんだろ」

「う、うん。というか、もう殴ってて…」

 

真が視線を向けた先に居たのは、山のようにたんこぶを作った緑のバカ。

うめき声を漏らすそれを前に、バルルは深いため息をついた。

 

「あご、あごご…っ」

「……これでは見合いどころではないな。

今日のところは、お開きにしておこう」

「そ、そう、ですね、はい…」

 

なんにも聞けなかった。

少しばかり肩を落とす冴に、緑のバカを掴んだバルルが声をかける。

 

「新島殿」

「はい?」

「あなたのことは、素晴らしい女性だと思っている」

 

それだけ言って、部屋の奥へと引っ込む2人。

残された冴は、言葉を飲み込むのに精一杯らしく、その場で固まっていた。

 

「…………」

「お姉ちゃんだったら、あの2人も認めてくれるんじゃない?」

「…………く、くだらないこと言わないの…」




新島冴…この後、自分の迷走っぷりを振り返り、自己嫌悪に陥った。

新島真…捕まえろ!!早く!!!

バルル大佐…いい子だし、こんな旅人おっさんじゃなくてもいい人見つかるでしょ。

5ワイルド2人…捕まえろ!!!早く!!!!
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