【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】 作:鳩胸な鴨
作者は怖くて映画見に行けてません
『お待たせしました!今年もやってきました、土井中海岸水着美女コンテスト!!
今回の参加者は、この15名だーっ!!』
胡散臭い見た目の司会者の声に合わせ、ずらり、と参加者が壇上に並ぶ。
一部を除き、雑誌やテレビで見たことのある顔ばかりが並んでいる。
やはり百万のガンプラの魅力は凄まじいものなのだろう。
脅威の美女偏差値を前に、双葉とケロロが戦慄きを見せる。
「うわぁ…。ガチのモデルばっかだぁ…」
「参加者が少ないような気がしてたでありますが…、このレベルが揃ってんなら気圧されて身を引くでありますな…」
宇宙人からしてもレベルの高さは伝わるらしい。
その中に溶け込めている夏美とバルルの美貌に蓮が内心舌を巻いていると。
ふと、その目が見覚えのある二人を捉えた。
「あ、大谷さんと柏木先生だ」
「え、誰?」
「鳴上先輩が通ってた高校の同級生と教師。ほら、あの二人」
「どれどれ…?」
大谷と柏木。蓮から出たその名前に聞き覚えがない皆が目を細め、そちらを見やる。
瞬間。その表情が一斉に強張った。
「す、す…すっ、げぇ…、自信満々って顔ぉ…、し、してん、なぁ…?」
竜司なりに気を遣ったのだろう。慎重に言葉を選んでいるのがひしひしと伝わってくる。
普段なら真の鉄拳制裁が飛んでいるが、今回ばかりは彼女も竜司を責められなかった。
片や、横に並ぶモデルが三人一塊になっても及ばないだろう体積を誇る巨体の女性。
片や、既に定年が見えてるだろう年頃にも関わらず、露骨にセクシー路線を狙いに行っているビキニを纏う厚化粧の婦女。
おそらく、この場の誰もが口を揃えて「世辞にも美女とは言い難い」と評価するだろう。
たとえそれが彼女らの名誉を傷つけるとしても、だ。
「これなら優勝は私か柏木先生のどちらかね」
「あら、優勝は渡さないわよ?」
「こちらのセリフですよ、柏木先生」
んなわけねーだろ、とツッコミが入ることはない。
心なしか、両隣のモデルも彼女らから距離をとっているような気がする。
そのやり取りが聞こえたのだろう、祐介が訝しげに眉を顰めた。
「自信持つのは自由だが、自分を客観視できるだけの視野の広さも持つべきじゃないか?」
「それ絶対本人の前で言っちゃダメよ…」
「ノンデリおイナリ」
残酷だが真理を捉えた祐介の発言に、呆れを見せる怪盗団の面々。
優勝は間違い無いと言わんばかりに勝ち誇って胸を張る二人から視線を逸らし、参加者たちを眺めていると。
ふと、背後から飄々とした声が響いた。
「いやぁ、レベル高いね今年」
振り返ると、そこにはニット帽を被った好青年…北城睦実ことサブローがいた。
それを前に、ケロロが闘志を燃やすかのように目をぎらつかせ、彼を睨める。
「やはり出張ってきたでありますな、サブロー殿…!」
「いや、違うよ。『彼女』が持ちかけてきたんだ。俺はただの仲介」
言って、サブローが壇上の一角へと目を向ける。
皆がそれに沿うように目をやると。
絶世の美女、などと言う言葉では片付けられないほどの美貌を誇る外国人の女性が、夏美と距離を詰めるのが見えた。
「HI!夏美サン、久しぶりデスねー!」
「ひ、久しぶり…」
ぐいぐいと詰め寄る彼女に、タジタジになって身を引く夏美。
それを前にして、ケロロと双葉の間に戦慄とも困惑とも言い難い雰囲気が漂った。
「やはり来たでありますか、メロディー・ハニー…!」
「メロディー・ハニーって…、アメリカの女優じゃねぇか!?なんでンな大物がこんなとこいんの!?」
「姉ちゃんにライバル意識を持ってるからかな。十年くらい」
「十年って、夏美さん当時中学生よね…?」
「そこは、その、ちょっと、複雑な事情がありまして…」
どうせお前が何かしたんだろ、と怪盗団の面々が白い目をしどろもどろになるケロロに向ける。
彼らは知らぬことだが、過去に行われた水着美女コンテストにて、夏美はケロロの策略…もとい大ポカの末、衆目の中で素肌どころか秘部まで晒してしまったことがある。
それが最後の決め手となり、そのコンテストでメロディー・ハニーはモデルとして敗北してしまった。
それがどうしても我慢ならなかったのだろう。以降、彼女は夏美のことをライバル視し、毎年のように土井中海岸での催しに乗り込んでは、彼女に挑み、返り討ちにあっていた。
今回もその雪辱を晴らしにきたのだろう。十年前よりもさらに洗練された美しさを振り撒く彼女を前に、真が惚けた声を出す。
「初めて生で見たけど、周囲のモデルと明らかにレベルが違うのがわかるわね…」
「つくづく浮くな、あの二人」
「祐介、触れてやんな」
祐介がある意味他の参加者とレベルが違う二人に目をやるのに対し、竜司がツッコミを入れる。
と、そんな中、春がふと何事かに気づいたように声を漏らした。
「あの二人よりも、モデルの中に溶け込めてる明智先生の方に驚くべきじゃないかな…?」
「奥村さん、それ大佐に言わないでね。小1時間凹むから」
「今もだいぶ凹んでますぅ」
「てゆーか、意気消沈?」
見るからにやる気が削がれている。
放たれる哀愁に皆が同情を向けていると。
区切りがついたと判断したのか、司会者が声を張り上げた。
『まずは番号順に一人ずつ、自己紹介とアピールをしていただきましょう!』
「お、誰からだ?」
「………大谷。その次柏木」
「かき氷買いに行ってくるわ」
「私も」
居残れるだけの根性を持ち合わせている人間は、この場にいなかった。
大谷・柏木…りせちー・ゆかりっちかと思っただろ?残念、こいつらだ。十年近く経ったせいか、見た目はあの頃より凄まじい。自尊心は据え置き。
メロディー・ハニー…ザ・間違ったアメリカ人のイメージな芸能人。十年経っても変わらないどころか、よりグラマラスになっている。サブローに「夏美サンと戦わせてくだサーイ!」と詰め寄り、彼に日程を伝えられると無理矢理にスケジュールに風穴開けて来日。