【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】   作:鳩胸な鴨

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8スレ目 全ての母となる者

デパートの屋上にて。

クルルとバルルが一晩で拵えた装備の数々を前に、深海へと訪れたメンバー全員が並ぶ。

バルルはそれを確認すると、一人一人にベルトのようなものを差し出した。

 

「まず、全員に装着してもらうのがこの対水圧フィールドを展開する装置だ。

体が一定以上の水圧に包まれた瞬間、起動するよう設定してある。

最大稼働時間は5時間。どれくらい保つかは心配しなくていい。

ただ、不測の事態でこれが外れないよう、細心の注意を払ってくれ」

「はぇー…。相変わらずすごい技術やなぁ。

…ウチ、必要かどうかわからへんけど」

「一定の浮力を発生させる機能もある。

ラビリス。君にも渡したのは、そう言う理由だ」

「ああ…。ウチ、深海やと沈むもんな…」

 

納得を浮かべるラビリスから視線を逸らし、バルルは鎮座するロボへと目を向けた。

 

「こちらは陽動用のケロロロボだ。

これのメインコントロールは…、桃華。君に任せる。

そのサポートとしてモア、クルル曹長にも腕部の操縦席に搭乗してもらう。

クルル曹長は操縦席の破壊後、マロン人の宇宙船の修理に。

モアは操縦席が破壊され次第、遊撃として派手に暴れてくれ」

「わ、わかりました…!」

「了解です!」

「了解」

 

バルルの視線が、指示を飲み込んだ桃華たちからタママたちに移る。

 

「タママ二等兵、ドロロ兵長、小雪、ラビリス。君たちには遊撃隊として、相手を適度に刺激してもらいたい」

「は、はいです!」

「心得た」

「わ、わかりました!」

「それはええけど…、そっち、ペルソナ使いは蓮だけで大丈夫なん?」

「ああ。ここにいるシャドウは蓮一人でなんとかなる相手ばかり。

戦力を分散させてもなんら問題はない」

 

それだけ言うと、バルルは残った3人…冬樹、ケロロ、蓮へと向き直った。

 

「そして、大本命の我々、救助隊だが…、まずはギロロ伍長の奪還を目的とする。

彼と夏美はメアボールの機能によって洗脳され、敵の言いなりになっている可能性がある」

「なんですと!?」

「もし仮にそうだったとして…、何か手はあるの?」

 

驚くケロロを横に、冬樹が冷静に問う。

どちらが軍人がわからんな、と呆れながら、バルルは懐から宝石のようなものを取り出した。

 

「その場合は、影時間内に集めたこの宝石…『パトラジェム』を使う」

「そ、それ大丈夫なの…?」

「賭けではあるが、これしかないんでな。

大物が控えてる以上、あまり蓮を消耗させたくない」

 

パトラジェム。

精神的な状態異常を癒す魔法…「パトラ」の効果を宿す宝石である。

果たしてメアボールの機能に打ち勝てるかはわからないが、回復に大きな気力を使ってしまう今、これに賭けるほかない。

せめて回復スキルのコストを軽減できればよかったのだが、そう都合のいいペルソナはあいにくと持ち合わせていなかった。

と。蓮が遠い目をしてバルルに問いかける。

 

「……バルル。俺の自転車、もう少しいいのなかった?」

「……その背丈で1番運転しやすそうなのがあれしかなかったんだ。許せ」

「…………冬樹みたいなのがよかった」

「ま、まあ、まだ7歳だしね…」

 

冬樹らがデパートの屋上から下を見下ろし、苦笑を浮かべる。

そこには、完膚なきまでに児童用の自転車が鎮座していた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

143.元ケロン軍人

始まったわ。めっちゃシャドウに邪魔される。警戒度ヤバいことなってそう

 

144.名無しの転生者

即撤退モンやんけ

 

145.名無しの転生者

でも通常攻撃で消し飛ぶやつばっかなんやろ?

 

146.元ケロン軍人

うちのジョーカーは兵長仕込みの零次元斬とか、伍長仕込みの白兵戦技術とか使うからな。ペルソナ無しでも上澄な方やと思う

 

147.名無しの転生者

マグマにも耐える装甲を豆腐みたいに叩き切ったアレか…

 

148.名無しの転生者

ギロロは兎に角、ドロロよく教えたな、そんな物騒な技

 

149.名無しの転生者

アイツ、子供相手やったら絶対に危険な真似させんってやる気にならんタイプやろ

 

150.元ケロン軍人

流石に厄ネタに巻き込まれすぎてるから教えたって言ってた

 

151.名無しの転生者

 

152.名無しの転生者

まあ、ケロロとペルソナ混ざったせいでハードモードすぎるからなぁ…

 

153.名無しの転生者

自衛できるに越したことはないよな

 

154.名無しの転生者

夏美救出には冬樹ケロロペアと屋根ゴミイッチペアで向かってんの?

 

155.元ケロン軍人

パトラジェム効かんかった時の保険としてな。伍長はとにかく、夏美はメールに取り込まれとるし

 

156.名無しの転生者

……やばない?メアボールの機能でめちゃくちゃ巨大化した際、感情の暴走で大爆発起きてなかった?

 

157.名無しの転生者

 

158.名無しの転生者

そこんとこどうなん?

 

159.元ケロン軍人

絶対にそれが原因でやべーの出てくるな。曹長がアンリ・マユに似た反応があるとか言ってたし

 

160.名無しの転生者

詰んでて草も生えん

 

161.名無しの転生者

ケロロの厄ネタ、いちいち普遍的無意識刺激しすぎてない…?

 

162.名無しの転生

今いるの、ナッチーのパレスやろ?なんでそないなややこしいことになっとるん?

 

163.元ケロン軍人

わからん。まあ、出てきた理不尽が聞いてもないのに語ってくれるやろ

 

164.名無しの転生者

あいつらなんでか自分語り好きだからな

 

165.名無しの転生者

人間の承認欲求が反映されとんのかね

 

166.名無しの転生者

そういや大佐は今、軍曹みたいに荷物カゴに入ってんの?

 

167.元ケロン軍人

うん。シャドウの顔面に銃弾ぶち込んでる。馬鹿正直に突っ込んでくるしか脳がないから、ケロン星の訓練より楽やわ

 

168.名無しの転生者

ボケガエルは?

 

169.元ケロン軍人

銃撃しとる。アイツ、実力を発揮する機会がないだけで腕は確かなんよな。ほんと、これでやらかし癖さえなかったら…

 

170.名無しの転生者

そういえばケロロってスペックだけ見れば上澄やったな…

 

171.名無しの転生者

屋根ゴミのペルソナだけじゃ捌ききれんの?

銃撃無効のシャドウとかもいるやろ

 

172.元ケロン軍人

いちいち薙ぎ倒してたらガス欠するからな。ちょっと隙ついて一気に駆け抜けてる

 

173.名無しの転生者

どんだけ来とるねん

 

174.元ケロン軍人

初代ドラクエみたいなシンボル無しのエンカウントやったら、一歩進むたびに飛び出してきてるレベル

 

175.名無しの転生者

うわ

 

176.名無しの転生者

よくスレできる余裕あるな、お前

 

177.元ケロン軍人

まだキルルん時よかヤバくないからな。これから出てくる理不尽のヤバさ度合いによってはスレに浮上できんけど

 

178.名無しの転生者

2戦目確定してるの嫌やなぁ…

 

179.名無しの転生者

二人しかペルソナ使いがおらんのも地味にキツいな

 

180.名無しの転生者

せめて冬樹とかが使えたら良かったんやけど

 

181.元ケロン軍人

一週間に一回はワイの故郷の塩使った料理食ってるのに「我は汝、汝は我」せんかったし、そもそもの適性ないんやろ

 

182.名無しの転生者

そんなもん頻繁に食わすな

 

183.名無しの転生者

そのうちキタローみたいなことになったりせんやろうな?

 

184.元ケロン軍人

特に問題ないみたいよ。月一で検査してるけど、異常はないみたい。ただ、フィレモンのクソ野郎に目ぇつけられてるくらいで

 

185.名無しの転生者

致命的で草

 

186.元ケロン軍人

は?

 

187.名無しの転生者

どした?

 

188.名無しの転生者

お前だけはいきなり「は?」とか言うな

 

189.名無しの転生者

お前の「は?」がここ最近で1番心臓に悪い

 

190.名無しの転生者

散々な言われようで草

 

191.名無しの転生者

何が起きたん?

 

192.元ケロン軍人

なんかマールと伍長が飛んできた

 

193.名無しの転生者

は?

 

194.名無しの転生者

メールがもう巨大化したんか?

 

195.名無しの転生者

え?伍長洗脳されとる?

 

196.名無しの転生者

目、どうなん?黒いまんま?

 

197.元ケロン軍人

黒いまんまやから、普通に正気やな。でっかいたんこぶできてるけど…、うっわ

 

198.名無しの転生者

うっわ?何が起きたん?

 

199.元ケロン軍人

見たまんま言うわ。デッカい夏美似のバケモン出てきた

 

200.名無しの転生者

?????

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「ギロロ!?大丈夫でありますか!?」

「俺は問題ない」

「問題しかないたんこぶできてるけど…」

 

バルルがスレに最後の書き込みをする少し前。

吹き飛んできたギロロたちがものの見事にカゴに収まったのを前に、蓮が苦笑を浮かべ指摘する。

それに対し、ギロロはこめかみに青筋を浮かべ、吠えた。

 

「だから俺のことはいい!

問題は夏美のほうだ!!」

「王子…。夏美…。いったい、なにが…?」

「ゲロっ、そ、そうであります!

一体どうしてそこのマロン人と…」

 

ケロロがギロロに問い詰めたその時だった。

聳え立つ城が跡形もなく崩れ去ったのは。

 

「なっ…!?」

「嘘…。姉ちゃーーーーんっ!!」

「夏美殿ーーーーっ!!」

「夏美姉さーーーーーんっ!!」

 

あまりのことに、バルルを除く救助隊3人が叫び声をあげる。

が。1番この場で叫びそうなギロロは、その鋭い目つきを更に鋭利なものへと変え、皆に叫んだ。

 

「お前たち、いいから引き返せ!!

巻き込まれるぞ!!」

「でも、姉ちゃんが…」

「アレをやったのが夏美なんだ!!」

「…………え?」

 

ギロロの言葉に問いを返す暇もなく。

崩れ去った城の存在をかき消すかのように、白い光が駆け巡る。

まるで肌を刺してくる夏の太陽のような、嫌な光だ。

皆がその眩さに一瞬だけ目を瞑るも、即座に視線を城へと戻す。

そこに鎮座していたのは、あり得ないほどに巨大な人型の異形。

が、しかし。神々しい衣装から推察できるボディラインに、その輪郭、髪型に至るまで、ひどく見覚えがあった。

 

「………姉、ちゃん…?」

「夏美はメール諸共アレに取り込まれた!

アレは夏美を餌にして育った、ペコポンが生み出した怪物…!!」

 

その無機質な双眸が冬樹たちを見下ろす。

圧倒的な存在感。

敵わないと一瞬でも心を挫くほどの眼光。

アレは日向夏美であって、日向夏美ではない。

あまりの異質さを前に呆然とする冬樹たちに、やけにくぐもった夏美の声が響いた。

 

『我が名はイブ…。

あまねく全ての母となる者…。

さあ、あなたたちもこの母の中へと還るのです』

 

それは夏美だけではなく、人々が常日頃から感じる孤独、心細さが生み出した怪物。

普遍的無意識から生まれた理不尽が、彼らに優しい牙を剥いた。




イブ…人々の「寂しい」、「心細い」と言った心が求めた母性を満たす者として生まれた存在。手当たり次第に全てを飲み込み、「我が子」とする。「我が子」となった者は精神が著しく退化し、自由意志を無くす

ギロロ…夏美がイブに取り込まれた際に祭壇が崩落し、脳天に瓦礫が直撃したことで正気に戻った。取り込まれかけたマールを救い、ケロロたちの元に逃げてきた。

日向 夏美…ままにだっこされてる。ずっとここにいたい
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