【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】   作:鳩胸な鴨

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大佐が気絶してるからスレないよ


10スレ目 荒垣真次郎との邂逅

「ふんっ。あの子供ほどの力もないペコポン人が、吾に届くとでも思ったか?」

「なっ…、がぁっ!?」

 

カストールの剛腕が、コロシアムを破壊しながら出現したロボ…ダークケロロロボにより防がれ、カウンターを喰らう。

そこらのシャドウが放つよりもはるかに重い一撃。

肺の中の空気が空になる感覚と共に、荒垣の体は大きく吹き飛んだ。

 

「アルセーヌ!」

 

蓮がペルソナを切り替え、飛ばされた荒垣とそのペルソナを受け止める。

かなり体力が削られたのだろう。カストールが粒子へと変わり霧散する。

残った荒垣は苦悶にうめきながらも、拳銃型の召喚機をこめかみに当てた。

 

「な、なにを…!?」

「ペルソナ!!」

「待て!!アンタのペルソナじゃ…」

 

衝撃に頭が揺れると共に、脳漿のように飛び出た粒子がカストールへと変貌する。

蓮とはまた違った意味での異質さ。

死を乗り越えた証とでも言いたげに顕現したソレは、蓮の制止も聞かずに再びダークケロロロボへと向かった。

 

「ふんっ。吾が出るまでもない」

「アルティメットデケェだけのザコがしゃしゃってんなシヴァヴァスペシャル!!」

「迎撃」

「ぐぉおおっ!?」

 

技を放つのを待たず、シヴァヴァの光線とドルルの爆撃がカストールを襲う。

荒垣が叫び、カストールが解除されるのを前にして、蓮は声を張り上げる。

 

「今は勝てない!早く逃げよう!!」

「ま、待て…!まだ、俺は…」

「次で勝つために逃げるんだ!!」

「逃すと思うか?」

 

蓮は言うと、荒垣をアルセーヌで抱え上げ、辺りを見渡す。

こちらの逃げ道を塞ぐべく、周囲を旋回するシヴァヴァとドルル。

そして、シャッターの前に聳えるようにして立つダークケロロロボ。

バルルが起きていたならばなんとかなったかもしれないが、この状況で相手に隙を作るような材料はない。

蓮が思考を巡らせていると、冬樹が叫んだ。

 

「待て!!もしお前に少しでも軍曹と同じ心があるのなら、このガンプラを放っては置けないはずだ!!」

 

取り出したるは、本日発売のガンプラ。

ケロロのために冬樹が買ったソレを、彼はできるだけ遠くへと投げる。

「今のうちに!」と指示を飛ばす冬樹に、タママは飛んでいくガンプラを追いかけるケロロを呆れ顔で指差した。

 

「うぉおおおおおおおっ!!!」

「あー…、でも軍曹さんが…」

「ダメだよ軍曹が反応しちゃ!!!」

「あれもう本能だよな…」

「どう考えても今そんな場合ちゃうしな…」

 

死に物狂いでガンプラを追うケロロに向かい、光線と弾丸が雨霰と飛ぶ。

牽制のつもりで放っているのか、思ったよりケロロが狙いにくい機動力を有しているのかはわからないが、それらは爆煙を巻き上げるのみでケロロに当たることはなかった。

 

「し、しまった!うっかり条件反射で…!

今はさらばであります、RX-78!!」

 

普段は欲に負けに負けているケロロも、流石に今ばかりは回収している場合ではないと悟ったのだろう。

彼はガンプラを前にしてブレーキをかけ、皆の方へと引き返す。

と。ドルルの放った一発がケロロの背後に着弾し、コロシアムの地面を穿った。

 

「……!?」

 

瞬間。コロシアムを埋め尽くしていた人々の姿がぶれ、歓声にノイズが走る。

どうやらホログラム映像だったらしい。

穿たれた部分をよく見ると、ぽっかり空いた穴の奥にて、破壊された機械が火花を散らしているのが見えた。

 

「あのドルルとか言うの、コロシアムの仕組み知らへんかったんやろなぁ…」

「本当にチームワークのカケラもないなー、あっち…」

「呆れてないで、今は逃げるよ!!」

「あ、うん!双葉ちゃん、しっかり掴まってるんやで!」

「むぎゅ」

 

掴む必要がないくらいしっかりと抱きしめるラビリスに、思わず声を漏らす双葉。

そんな和やかな声を掻き消すように、ダークケロロロボの腕が彼らへと伸びた。

 

「逃がさん!!」

 

地面に突き刺さった腕に、向かっていたドルルが顔面から激突する。

「痛撃…」と地面に落ちるドルルをよそに、シヴァヴァが逃げる彼らへと迫った。

 

「オラっちが逃がしゃしね…うぉおっ!?」

 

と。シヴァヴァの操るフライングボードが、一瞬だけ顕現したカストールにより、遠くへと投げ捨てられる。

蓮は「ありがとう」と軽く頭を下げ、アルセーヌで荒垣を抱えたまま皆に続いた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「ふぃー…。危機一髪でありますなぁ…」

「逃げられたのはいいけど…、大佐が…」

 

空中都市の内部にて。

落とし穴により用水路へと落ちた彼らは、今だに昏睡するバルルを前に表情を曇らせる。

と。ずぶ濡れになった服を絞り切った荒垣が、その前に立った。

 

「…なあ。そこの奴らといい、こいつといい、一体なんなんだ?

カエルの妖精…なんて存在じゃねぇのはわかるが」

「ええっと…、その…」

「そ、ソレをいうならそっちだって!

なんだって蓮とラビリス以外のペルソナ使いがこんなところに居んのよ!」

 

言い淀む冬樹に代わり、洗脳が解けた夏美が荒垣に食ってかかる。

彼らにとってペルソナ使いは未知の存在。

一応は味方してくれたものの、状況が落ち着いた今はどっちに転ぶかわからない。

そんな剣呑な雰囲気が漂う中、バルルの耳あたりから声が響いた。

 

『そいつは桐条グループが管理してるペルソナ使いだ。名前は荒垣真次郎。

大佐が「迷惑かけた礼」として、ペルソナを安定して召喚できるようにしてやった男だな』

「クルル、ソレ本当?」

「バルル大佐が迷惑かけたって、なにやったんですかね?」

「……そう言えばバルルが地球に来た時、影時間でフライングボードが動かなくなって、落ちた先にペルソナ使いが居たとか…」

 

蓮がそう呟いたその時。

ラビリスから切り替わったシャドウラビリスが、露骨に嫌そうな顔を晒して舌打ちした。

 

「チッ、桐条の腰巾着め。

クソの役にも立たないのにしゃしゃり出てんじゃねぇよ」

「んだと…?」

 

荒垣の低い沸点を突破するには十分すぎる煽りであった。

食ってかかろうとする荒垣と、それに応じようと顎を突き出すシャドウラビリス。

と。蓮がその間に割って入り、二人の接触を防いだ。

 

「シャドウ、今はそんな場合じゃない。

ラビリスに戻ってくれ」

「………わかってるわよ、そんなの…」

「ごめんなさい、ラビリスはその…、桐条グループが大嫌いで…」

「…いや、こっちもすまん。

嫌われる覚えしかねぇからな、桐条は…」

 

一部でも桐条グループの闇を知っている身からすれば、無理もない反応である。

そうでなくても、頻繁に西澤家に不法侵入していた前科もあるのだ。

敵視されて当然のことか、と荒垣が一人納得していると、冬樹が彼に歩み寄った。

 

「荒垣さん、はじめまして。

僕は日向冬樹。で、こっちがぐんそ…、ケロロ軍曹」

「軍曹だの大佐だのって、軍人かなんかか?」

「まあ、一応は地球侵略に来た宇宙人なんだけど…」

「ポンコツ過ぎて地球人と友だちになっちゃったなんちゃって侵略者」

「…ふ、双葉殿…。もう少しオブラートに包んでもらえると…」

「……否定できん…」

「たばっち、これで悪気なく言ってるからタチ悪いんスよねぇ…」

 

双葉の口撃に何とも言えない顔を晒す侵略者3人。

ドロロが「拙者は違うでござる」と否定するのを横に、荒垣は困惑した表情を見せた。

 

「……待てよ?西澤家が必死こいて隠してたのって、もしかして…」

「影時間云々やなくてこっちやね」

「そっちの研究は最近始めたばっか」

「…俺らの苦労って、一体………」

 

言って、肩を落とす荒垣。

まさか必死になって追っていたものが、このポンコツ宇宙人だったとは。

落ち込む荒垣に、蓮が口を開いた。

 

「バルルは侵略者じゃなくて、こっちに移住するため下見に来た宇宙人だぞ」

「蓮、今ソレいいから…」

「まずは現状の整理から始めよっか…。

えっと、荒垣さんはなんでここに?」

「なんでって、右見ても左見ても『ケロロ様、ケロロ様』ってうるせぇから、影時間外でもペルソナを使える俺が元凶っぽいここに来ただけだ。

桐条側でわかってることなんて、あちこちでバカでけぇ像が建ってることと、この謎の要塞が現れてから皆が変になったってこと以外にねぇぞ」

「やけにすんなり情報渡してきますね…」

 

小雪が牽制も込めて呟くと、荒垣はため息混じりに答えた。

 

「こうなった以上、いがみあっててもしゃーねぇって思っただけだ。

それに、俺はそいつに大きすぎる恩と、ソレを仇で返しちまった前科がある」

「バルルに?」

「今はいいだろ、ソレは。

んで、あのケロロ様ってのはなんなんだ?

そっちはいろいろとわかってんだろ?」

「あー…っと、その…、僕らの不注意が原因というかなんというか…」

「あん?どういうこった?」

 

荒垣の問いに、冬樹はできるだけ噛み砕いて事の経緯を説明する。

ケロロたちの計らいでマチュピチュを探索した事。

その奥で空中都市…、もといキルルの起動スイッチを誤って押してしまった事。

スイッチを押したケロロのコピーが生まれ、地球の支配者として到来した事。

ソレら全てを聞き終えた荒垣は、こめかみに青筋を浮かべ、ケロロを睨め付けた。

 

「つ、つまり…、コイツがやらかしたのが原因でこんなことになってると…?」

「ち、違う!」

 

荒垣の追求に否を唱えたのは、感情が追いついていないのか、泣きそうな顔の双葉。

荒垣の瞳を前に、双葉は辿々しく言葉を続ける。

 

「いや、違わないけど…、その…、スイッチ見つけた時、わたしが『あれ引っこ抜いて持って帰ろう』って言ったから…」

「ふ、双葉殿は何も悪くないであります!

我輩がスイッチを押しちゃったから…」

「それを言うなら、止めなかった俺も悪い」

「ぼ、僕も強く言えなかったし…」

 

双葉たちの責任の奪い合いを前に、荒垣は再び深くため息を吐いた。

 

「……はぁ。まあ、それはもういい。

起きちまったことをウダウダ言うのはさっきやめたばっかだ。

今は、これからどうするかを考えようぜ」

「それでありますが…、その…、我輩、お腹が減って…」

「それでいいのか、侵略者…」

 

宇宙から飛来した侵略者というイメージが瓦解していくのを前に、呆れを漏らす荒垣。

と。看病していたラビリスも、おずおずと手を挙げた。

 

「ウチもそろそろエネルギー補給せんと、もうペルソナ出せんし…」

「俺もだ。補給しないと、バルルの治療もできない」

「だったら宝玉とチューインソウルわけて……、あ、もうねぇ」

 

荒垣が空になったポーチをひっくり返し、どうしたものかとため息を吐く。

と。待ってました、と言わんばかりにモアがリュックサックの口を開き、中から弁当箱を取り出した。

 

「それなんですが…、長丁場になりそうだったので、お弁当作ってきました!

てゆーか、愛情弁当?」

 

モアの機転に、皆が喜びの声を漏らす。

と。荒垣がそれに背を向けようとしたその時だった。

 

「荒垣さんも、よろしければどうぞ!

てゆーか、簞食壺漿?」

 

モアが弁当箱を一つ、彼に差し出したのは。

荒垣は困惑しながらも、「すまん」と言って弁当を受け取った。




荒垣真次郎…恩人を前に少しデレ気味。帰ってケロロたちのことを言っても信じないだろうなぁ、と悟り、本日何度目かもわからないため息をついた。

ダークケロロ…冬樹と蓮に目をつけた。小隊メンバーに加える腹づもりでいる。

バルル大佐…気絶してるせいで一言も話せなかった人。次回ではきちんと起きてスレを開く

第三のキルル…少しずつ蝕まれてる
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