【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】   作:鳩胸な鴨

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前回のスレで起きたことを描写するだけの回


11スレ目 落とし所

「以上が、我々西澤が持つ情報だ。

桐条の中の誰が虫なのかは知らんが、怪しい動きが見えるのは事実。

我々が手を貸す以前の問題だ。

…詰めの甘さは昔から変わらんな、桐条」

「……申し訳ございません」

 

遡ること少し前。

西澤梅雄から放たれる圧に押されるように、顔を伏せる桐条武治。

彼から聞かされた情報は、寝耳に水という言葉がこれ以上なく当てはまる衝撃的なものばかりだった。

これまでに起きた惨状の引き金となった宇宙人関連もそうなのだが、何より驚くべきは影時間とシャドウへの理解。

 

シャドウとペルソナが同一の存在という研究成果。

影時間内でも機械を稼働させるための汎用部品の量産。

寿命を削るなどといったリスクなく、影時間への適性を目覚めさせる方法の確立。

 

一日の長がある桐条に引けを取らないほどの成果をこれでもかと見せつけた。

正直、これだけでもお腹いっぱいなのだが、極めつけの「桐条の中に裏切り者がいる」という聞き捨てならない情報まで突きつけられた。

返す言葉が見つからないとはこのことか。

そんなことを思っていると、梅雄は不敵な笑みを浮かべながら続けた。

 

「謝るな。お前に余裕がないことは知っている。

我々西澤グループも、影時間を疎ましく思っているのは同じ。

だからこそ、協力体制を敷けるような状況になってから話を切り出せと言ったのだ」

「失礼。そちらはまだ研究を始めたばかりだとお聞きしておりますが…」

 

食ってかかったのは、同席していた幾月。

梅雄は幾月の意見を跳ね除けるように、語気を強めた。

 

「問題ない。このバルルといい、そこに座る一色双葉の母…一色若葉といい、優秀な科学者は揃っている。

影時間についても、お前たちの知らん情報の方が多かっただろう?」

「……なんでおかあさんの名前でたんだ?」

「若葉が頑張ってるって話だ」

 

バルルがそう答えると、双葉は照れくさそうに「えへへ」と笑い声を漏らす。

と。そこへ桐条美鶴が声を上げた。

 

「失礼。そこの彼…バルル氏に質問してもよろしいでしょうか?」

「構わんよ。彼は単なるアルバイトだ。

そう畏ることはない」

「…アルバイトに研究主任を任せるのはどうなんですか、梅雄さん」

「仕方ないだろう。コイツより管理能力がある研究員が他にいなかったのだから」

 

蓮のツッコミにいけしゃあしゃあと答える梅雄。

能力があって成果も出せるならば、立場は問わないらしい。

バルルはため息をつきかけるも、咳払いすることで誤魔化し、美鶴を見やった。

 

「それで美鶴殿。質問とは?」

「荒垣を拉致して二分割した挙句、無理やりに彼らにシンクロナイズドスイミングをさせたカエルの妖精とはあなたか?」

「…………………」

 

あまりにひどい字面を前に全員が吹き出し、思わずバルルを見やる。

全くの事実である。

否定できる材料がこれっぽっちもない。

バルルは非常に苦い顔を浮かべながら、もごもごと口を動かした。

 

「………罪滅ぼしの一環だったんだ…。

墜落した先に彼が居て、気絶させてしまったから、お詫びにペルソナのコントロールを安定させてあげようと…」

「荒垣の世迷言ではなかったのか…」

「だから本当のことだっつっただろ」

「そんな馬鹿げた話を真に受けるか、普通」

 

一気に気が抜けた。

蓮がそんなことを思っていると、幾月がこれ見よがしに「おほん」と咳払いし、場を整えた。

 

「まあ、それはよしとして…。

どうして桐条が保有しているはずの対シャドウ特別制圧兵装が、そちらの席に座っているのかな?」

「テメェんとこから逃げ出したからに決まってんだろボケコラ頭カチ割るぞ」

 

シャドウに切り替わったラビリスの口から、怒涛の悪口が飛び出す。

本体も相手にしたくないのか、出てくる気配がない。

こうなると思っていたバルルたちは苦々しい顔を浮かべ、深くため息をついた。

 

「彼女から聞いたが、桐条は随分とまあ非道極まりない実験を行なっていたらしいな。

おかげで彼女を丸め込むのに苦労した」

「そういうわけだ。桐条の方には何があっても戻らないからな」

「困ったな…。こちらとしては戦力を整えたいところなんだけど…」

 

幾月がわざとらしく困り果てたような演技をするのを前に、シャドウラビリスが大きく舌打ちをかます。

と。梅雄がそれを手で諌め、ポールに目を向けた。

 

「無論、ただとは言わない。一つ、こちらからも成果を渡そうと思う」

「……それは、彼女がいない穴を補填できるほどの物なので?」

「ああ。我々が使用している影時間対策のための回路、その原材料だ」

 

言うと、ポールが何処からかハンカチに包まれた筒状の何かを取り出し、机に置く。

そのベールを解くと、青く輝きを放つ粉末が中に入った瓶が露わになった。

 

「…戦力の補強にはなってないように思えるが」

「これは服用することもできてな。

一ヶ月に一度、数グラム摂取するだけで影時間への耐性が得られる。

もっとも、ペルソナの覚醒は素養によるらしいが…、影時間中も人材を自由に動かせると思えばいい。

求めるなら、定期的にそちらに流そう」

「な、なんと…」

 

戦力の確保は運否天賦に任せる形だが、破格の条件だ。

幾月らがそれを凝視していると、武治が訝しげな目を梅雄に向けた。

 

「条件が破格すぎる。

西澤さん、口止めも兼ねているんですか?」

「口止めではないよ。

これは手切れ金代わりだ。

何処に虫が潜んでいるかわからん組織とダラダラ繋がりを持つほど、私も間抜けではないからな」

「……耳の痛い話です」

 

その虫、隣にいますよ。

そう言いたい気持ちをなんとか抑え、バルルが口を開こうとしたその時だった。

バルルが携帯する通信機から、けたたましく通知音が響いたのは。

 

「失礼。地球に駐在するケロン軍小隊からの緊急連絡です。

……どうした、クルル曹長?」

『大佐、ヤベェぜ。ケロン軍が俺らに内緒で追加部隊を送り込むつもりだ』

「………超空間転送ゲートの起動状態は?」

『既に発射寸前だァ。

今ごろ本部に連絡入れても遅ェぜ』

「わかった。古巣に話を振って、後で折り返す。少し待ってろ」

 

嫌な予感がする。

バルルは顔を歪めつつ、帽子の耳部分を強くねじり、耳に押し当てる。

 

「…ああ、お疲れ様。バルルだ。

元気だとも。…ただ、今は雑談ではなく、少し確認がしたい。

ペコポンに向けて超空間転送ゲートの起動が確認されたというのに、先導部隊であるケロロ小隊が何も聞かされていないと聞いてな。

どういう了見か教えてもらうぞ、少佐。

…なに?追加戦力…。既に本部司令もこちらに向かっている…。

わかった、その新兵の面倒はケロロ小隊に加え、私も見ておく。

忙しい中、すまなかったな」

 

バルルは耳から手を離し、眉間に皺を寄せて深くため息を吐く。

皆が困惑を見せる中、バルルは梅雄へと視線を向けた。

 

「すみません、急用ができました。

まだ時間までありますが、外させてもらっても?」

「構わんよ。…ほら、3人も行くといい。

ここからは私の方で話をまとめておく」

「…ありがとうございます」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「改めまして、ケロロです!

よろしく、バルル大佐!」

「ああうん、よろしく…」

 

ややこしいことになった。

なんでよりにもよって厄介な劇場版が二つも控えた時にやってきてしまったのか。

遠い目をするバルルに構わず、新ケロロはその手を握った。




あとがきはないよ
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