【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】   作:鳩胸な鴨

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お待たせ


12スレ目 覚醒

「バルルは抑える!

皆はケロロたちを連れて早く逃げろ!!」

 

バルルが襲来した時点で、全員での脱出は不可能になった。

そう判断した蓮の指示に対し、秋が叫ぶ。

 

「無茶よ!!蓮くんも早く…」

「いいから行ってくれ!

巻き込みたくない!!」

 

これからの闘争は訓練ではない。

周囲の被害を意識してられる余裕など微塵もなくなる。

並々ならぬ蓮の様子に、秋も何かを悟ったのだろう。

彼女は「無理はしないで!」とだけ言い、アクセルを踏み込んだ。

 

「逃しはしないのです!」

 

シオンは竜の書から光の玉を浮かべ、ぼそぼそと何らかの呪文を唱える。

と。ついさっき聞いたばかりの咆哮が響き、車の行く手を阻むのが見えた。

 

「タママまで…」

「武器を納めてください!

さもなくば、ウォリアーたちに…」

「剥がせ、ダオロス」

 

戦いにおいて優先すべきことは、相手の上を取って動きを封じること。

後手に回った時点で敗色濃厚だと思え。

バルルの教え通りに動きを封じるべく、スキルを封じる力を持つダオロスを顕現させる。

放つ光は、圧縮された情報の塊。

世界の真理を暴き、人には受け止めきれない知識をもたらすダオロスの光があたりに満ちる。

 

「きゃっ…!?」

「………」

「まあ、庇わせるよな」

 

それが命取り。

シオンは知らない。

完璧にも思えるバルルの致命的な欠点。

シオンは蓮に目を向け、バルルに指示を飛ばす。

 

「ウォリアー!彼を倒しなさい!!」

 

がぱっ、と口を開き、呪怨属性のエネルギーが充填される。

蓮はそれに臆することなく、これまでの情報をパズルのように並べていく。

地球竜。

竜の尾。

バルルのメッセージ。

ドラゴンウォリアーズ共通の特徴。

古代ケロン人が生体兵器としてドラゴンを扱っていた記録。

それらが導き出した答えに従い、蓮は真っ直ぐに駆け出した。

 

「お前は知らないだろうが、バルルはとんでもなく運がないんだよ」

 

ぼしゅっ、と音を立て、エネルギーが霧散する。

封じられたスキルは、火力の要となる呪怨属性攻撃「怨嗟の声」。

ダオロスが封じるスキルはランダムだが、今回はバルルの運のなさが活きた。

蓮はそのままバルルの体を伝い、ツノに触れようとする。

 

「やってくれたな、ペコポン人」

 

それを阻んだのは、黒い影。

腕輪を携えたその手が蓮に向けられた途端、衝撃が蓮の体をさらう。

蓮が受け身を取ってそちらを見ると、土汚れに塗れた黒いケロン人が佇んでいた。

 

「邪魔をするな…!」

「それはこちらのセリフだ。

障害になり得るバルル大佐から理性が消えているという状況はそうそうない。

ここで排除させてもらう」

「なっ…!?」

 

黒いケロン人…ブラックスターの言葉に戦慄く暇もなく、バルルの顎が打ち上がる。

ブラックスターが衝撃を放っているのだろう。

鱗の破片が飛び散る中、蓮は咄嗟にバルルとブラックスターの間に割って入る。

が。ブラックスターは構わず衝撃を放ち、蓮ごとバルルを攻撃した。

 

「ぐぅっ!?」

「司令塔になって初めて真価を発揮する兵をウォリアーにするとは…。

よほどのバカなんだな、そこの女は」

 

シオンを一瞥し、攻撃を続けるブラックスター。

怪盗服でなければ骨がひしゃげ、内臓が潰れていたことだろう。

蓮は激痛に耐えながら仮面を剥がそうと手を伸ばす。

が。見抜かれていたのか、それともただの偶然なのか、衝撃が蓮の体をバルルに叩きつけた。

 

「ぐぁあっ!?」

「そらそらそらそら!

反撃もできないか、バルル!!」

「ウォリアー!!」

 

シオンが叫ぶとともに、タママインパクトがブラックスターに向けて放たれる。

が。ブラックスターはそれをあっさりと掻き消し、掌を向けた。

 

「ウォリアースタイル、解除」

 

ただ一言。

それだけでタママの姿が竜からケロン人へと戻り、その場に転がる。

ウォリアースタイルとして暴れ回った影響で疲弊しているのだろう。

その場にぐったりと倒れたタママに、裏桃華が駆け寄る。

 

「タマ公!!」

「……ん、あれ?もう朝です?」

「寝ぼけんな!蓮を助けてこい!!」

「ゔぇッ…、タマァーーーーっ!?」

 

むんず、とタママの頭を掴み、思いっきり投げ飛ばす裏桃華。

弾丸のように放たれたソレは、真っ直ぐにブラックスターへと向かう。

ブラックスターも予想外のことに反応しきれず、タママの額が顔面に突き刺さった。

 

「ぶっ…!?」

「バルル…」

 

ブラックスターが怯んだ隙に、蓮がツノへとよじ登ろうとしたその時。

執事の一人がその体を引き剥がし、押さえつけた。

 

「いい加減になされよ!」

「ぐっ…!は、なせぇ…!!」

「いいえ、離しません!地球竜誕生まで、あなたには大人しくしてもらうのです!」

「バルル!バルル!!」

「無駄なのです。彼は既に私のウォリアーなのですから」

 

蓮がもがき、バルルへと手を伸ばす。

その姿を見て、何を思ったのであろうか。

バルルの瞳が揺れ動き、その頭が揺らぐ。

 

────まだ運命に従っているつもりなのか?

 

蓮とバルルにだけ響く声。

瞬間。バルルはその場でのたうちまわり、激しく頭を壁に叩きつける。

 

────戦う覚悟はしているだろう?運命を変えた自覚はしているのだろう?

 

────なのに、今もまだ蚊帳の外にいる腹づもりなのは何故だ?

 

────お前に■■ ■■としての記憶があるからか?

 

バルルが激しく首を横に振る。

まるで、声を否定するかのように。

その光景に見覚えがあることに気づくと、蓮は小さく口を開いた。

 

「頑張れ…」

 

────もうわかっているだろう。

 

「頑張れ……!!」

 

────お前は既に、この世界の一人なのだ。

 

「頑張れ、バルル!!」

 

ぶわっ、とバルルの目元を覆い隠すよう、仮面が顕現する。

バルルはその仮面を鉤爪で握りつぶし、天へと吠えた。

 

────契約だ。我は汝、汝は我…。

 

────定まった運命を冒涜せし者よ!

 

────その罪禍を抱えて生きる覚悟があるならば、我が名を呼べ!!

 

『来い…、ラヴクラフトッ!!』

 

ばきぃんっ、と音を立て、仮面が砕ける。

顕現したのは漆黒の異形。

翼のように伸びたコートをはためかせ、目覚めたペルソナが執事とブラックスターを吹き飛ばした。

 

「そ、そんな…。何が起きて…?」

『すまない、蓮…。

私の見通しが甘かった…!』

「いや。ヒントを残してくれたのに、活かしきれなかった俺も悪い」

 

バルルが戻ってきた。

蓮は喜びと安堵をあらわにし、リュックからソーマを取り出す。

貴重な品だが、二人とも消耗が激しい。

出し惜しみはしてられないと、蓮は小瓶に入ったソレを自分たちの体にふりかける。

体力と気力が満ちる感覚とともに、蓮はバルルの鱗を撫でた。

 

「バルル。誰が誰を殴るかはわかるな?」

『ああ』

「な、なんで…、どうして…?」

「ぐっ…、なんだ、この、力は…?」

 

困惑するシオンに向けて蓮が、ブラックスターに向けてバルルが駆け出す。

対応が遅れた二人にソレを避ける術はなく。

二人の拳が、その顔面に突き刺さった。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

我は汝…汝は我…

汝ここに、契りを血盟の絆へと転生せしめたり

 

絆は反逆の翼となりて

魂のくびきを打ち破らん

 

今こそ汝、「審判」の究極なる秘奥に目覚めたり

無尽の力を汝に与えん

 

「審判」:コープMAX

元宇宙軍人「バルル」

 

合体解禁 審判「真・ルシファー」




真・ルシファー…真・女神転生Ⅴ最後の壁として立ちはだかったルシファー。システムとして組み込まれてしまった身でありながらも、神への反逆をなさんとした最初の反逆者。専用スキルは敵単体に耐性無視の全属性複合ダメージを与える「落星」

ラヴクラフト…ユダヤ神話を完全否定する「クトゥルフ神話」を作り出した男を模したペルソナ。スキル構成は変わらないものの、そのステータスが底上げされた。
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