【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】 作:鳩胸な鴨
「灯、アレ何?」
「さっき言ってたモン・サン・ミシェル…だとは思うんだけどさ…」
ウォリアースタイルとなったバルルの背中にて。
新ケロロが指差した方向に聳える物体と、ソレを取り囲むように浮かぶ浮島を前に、灯がなんともいえない表情を浮かべる。
モン・サン・ミシェルが割れている。
恐らくは報道されているであろう大惨事を前に、誰もが絶句した。
「割れてるね…」
「直すのにいくらかかるんだろーなー…。
国家予算は消し飛ぶかなー…」
「双葉ちゃん、国家予算なんて言葉よく知ってるわね…」
「……もしかしてその修繕費、ボクたちの給料で賄われるんじゃ…」
「ゲロっ!?冗談じゃないであります!!」
『もしそうだとしても、お前らの給金だけで足りるわけがないだろうが』
ケロロ小隊の懸念を一蹴し、煌めく卵の周囲を旋回するバルル。
孵化する段階には入っていないらしい。
肌を刺すような光を前に、皆は集う三つの影を見上げる。
「ねぇ、アレ!ギロロたちじゃない!?」
「大佐、なんとかできたりしない?」
『私の場合はペルソナの覚醒によって記憶を取り戻したが、ギロロ伍長たちがペルソナ使いの素質があるとは限らん。
むしろ無い確率の方が高い』
「じゃあ、やっぱりツノを触るしか…」
夏美がそう言いかけた時。
バルルの翼を電撃が掠めた。
『うぉっ…、流れ弾でこの威力か…。
これは無視して特攻…というわけにもいかんな』
「アンタ、鱗焦げてるわよ!?」
「バルルさん、大丈夫なんですか!?」
『問題ない。ちょっと揚げ物の油が跳ねて火傷した程度のダメージだ』
「嘘をつくな。数字で言ってみろ」
『……最大値が100なら16くらいだ』
「痛いなら痛いって言えや!!」
実際には最大値はもっと多いし、ダメージもそこそこ食らってる。
そんなことを思いつつ、バルルはギロロたちが放つ攻撃を避け、思考を巡らせる。
いくらペルソナが目覚めたからといって、単騎でどうこうできる相手ではない。
どうしたものか、とバルルが頭を悩ませていると、ケロロが声を上げた。
「シオン殿!我輩をドラゴンにして欲しいであります!!」
「軍曹!?」
冬樹が愕然と声を上げるのも厭わず、ケロロは言葉を続ける。
「大佐殿にばかり体を張らせるわけにはいかないであります!
我輩も隊長として、アイツらの暴走を止めなければ!!」
『…まさか責任感という文字から最も遠いお前からそんなセリフが出るとは』
「そ、それはその、蓮殿を見てたら、ちょっと思うところがありまして…」
流石はワイルドというべきか。
ダメ人間っぷりをこれでもかと露呈していたケロロの意識すら変えてしまうとは。
バルルの感心をよそに、ケロロは彼に問うた。
「大佐殿!ツノさえ触ってれば、正気のままドラゴンでいられるのでありますよね!?」
『ああ』
「なら、ツノに触られたままドラゴンになってしまえばこっちのもの!
シオン殿!遠慮なく我輩をドラゴンに!
ツノに触るのは…、冬樹殿!任せたであります!」
「軍曹…。うん、わかった!」
「よ、よろしいのですか…?」
とんとん拍子に進んでいく話に、不安と困惑を見せるシオン。
ケロロはそれを払拭するよう強く頷き、その場に寝そべった。
「さあ、冬樹殿!我輩の頭に座るであります!」
「………わ、わかった」
「むぎゅっ!?ふ、冬樹殿、も、もうちょっと腰浮かして…、いや!ここで踏ん張らねば軍人の恥!座して待つであります!!」
「だ、大丈夫…?」
「大丈夫であります!!」
とてもそうは見えない。
が。いつもの適当なケロロからは感じられない覚悟が、そこにはあった。
シオンもそれを前に覚悟を決めたのか、竜の書を開く。
「では、参ります!」
紡ぐのは古代ケロンの呪文。
浮かぶ光の玉を前にぶつぶつと言葉を並べるシオンに呼応してか、ケロロから唸り声が漏れる。
竜化の前兆なのだろうか。
皆が固唾を飲んで見守る中、ケロロが叫んだ。
「ちょっと!寒いんだから早くしてよ!!」
寒いだけかい。
そうツッコむ気力すら削がれたのか、シオンとバルルを除く全員がその場でずっこける。
ケロロがそんな文句を吐くも束の間、シオンの詠唱が終わる。
と。ケロロは雄叫びをあげ、メキメキとその姿を変えていった。
「わ、わわっ…!?」
「冬樹、離しちゃダメ!!」
「うん!!」
急に隆起したケロロの体に戦慄くも、冬樹は形成されたツノに掴まり、なんとか堪える。
やがて完成したのは、一際威圧感を放つ竜。
それがケロロ軍曹であると言われなければわからないほどに凛々しい出立ちのそれは、己の姿を確認するように手のひらを見た。
『お、おおっ…!成功であります!!』
「やった…!やったよ、軍曹!!」
『喜んでいるところすまないが、今の自分の重さを考えてくれ』
『あっ、サーセンっす…』
バルルの指摘に、ケロロは萎縮しながら宙へと飛び立つ。
タママはその光景を前に、意を決したようにバルルの背中に伏せた。
「シオッチ!お疲れだと思うけど、お願いするです!ボクをもう一度ドラゴンに!!」
「タマちゃん!?」
「ここで戦わねば軍人の名折れですぅ!!」
タママの叫びに、桃華が疲れを見せるシオンへと目を向ける。
が。シオンもまた覚悟を決めたのか、無理矢理に立ち上がった。
「わかりました…!」
「シオン、あまり無茶は…」
「いいのです、桃華…。
私の自分勝手を汲んでくれた上で頑張ってくれる彼らに報いるためなら、この程度の疲れ…!!」
「シオン…」
明らかに変わった。
以前までのシオンからは見られない顔つきを前に、桃華は蓮へと目を向ける。
「蓮くん…、バルルさん…」
瞬間。蓮の脳裏に声が響いた。
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我は汝…汝は我…
汝ここに、契りを血盟の絆へと転生せしめたり
絆は反逆の翼となりて
魂のくびきを打ち破らん
今こそ汝、「女帝/星」の究極なる秘奥に目覚めたり
無尽の力を汝に与えん
「女帝/星」:コープMAX
二重人格令嬢「西澤 桃華」
腹黒宇宙軍人「タママ二等兵」
合体解禁 女帝「イー・ト・ラー」
合体解禁 星「グロース」
イー・ト・ラー…地球上全ての命の母とされる神性。少女の形をとり、その正体を隠しながら信者を集めて力を得ている。専用スキルは相手に万能属性大ダメージを与え、確率で敵の攻撃を強制的にミス扱いにする「覆い隠すもの」。
グロース…星に眠る旧支配者、外なる神を目覚めさせる役割を持つ神性。専用スキルは味方全体にチャージ+コンセントレイト効果を付与し、全ステータスを向上させる「目覚めの歌声」