【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】 作:鳩胸な鴨
「……かっ、た…」
どさ、と、ベルベットルームの中心に倒れ込む。
気力も体力も残っていない。
どうやって勝ったのかすらわからない。
それでも勝ったと言う事実を噛み締め、蓮はゆっくりと立ち上がる。
「素晴らしい」
ぱち、ぱち、と拍手が蓮を讃える。
いつの間にそこにいたのだろうか。
見慣れた仮面の男が倒れたラヴェンツァのそばに佇む。
「『力を司る者』がこうまでも追い詰められるとは…。
人の可能性が世界のくびきを超えた証…か」
「世界のくびき…?」
「宇宙の者が言う、『転生』にも関わってくる話だ」
ぴくり、と蓮の眉が揺れる。
なぜそれを知っている。そう問い詰めるより先、男は淡々と言葉を連ねた。
「私には腐れ縁の友人が居てね。
互いに時を忘れ、人の可能性について討論を交わしてきた。
それは奴が倒れ、休止状態となった今も変わらない」
「……長くなるなら後で聞く。
早く帰してくれ」
「そう急く必要はない。私の話など、外ではほんの数秒で終わる」
その数秒が惜しいのだ。
そう叫ぼうとするも、すでに体力の尽きた蓮の喉から漏れるのは空気だけ。
仮面の男は蓮の焦りなど気にせず、そのまま続けた。
「先にも言ったが、奴は既に倒れている。
時間をかければかつての力を取り戻せるだろうが…、今は受けた傷を癒すべく、その活動を休止している。
そんな折、奴はある光景を目の当たりにしたと私に捲し立ててきた」
─────人の魂が世界を越えた瞬間を。
転生。バルルの言葉が脳裏をよぎった。
「死した魂が、次元を隔てた世界へと散らばっている。
無論、全ての魂がそうではないが…。
これは私たちにとって、非常に興味深い現象だった。
次元を隔てた先の世界では、また違った常識、文化がある。世界の数だけ、人の可能性は広がっている。
故にだ。私たちの議論は、この世界だけで完結させるべきではないと悟った。
私たちはその魂に、ほんの少し細工することにした」
─────『世界を繋いで言葉を交わす力』を与えたのだ。
目の前の男がなにを言ってるのか、理解できなかった。
ただ、バルルにとっては重大なことを言っているような気がした。
「結果、我々が住まう普遍的無意識は世界のくびきを越えた。
より世界が混沌と化し、それに伴うように人の可能性が輝きを強めたのだ。
これは私にとっても、奴にとっても僥倖だった」
「………なにをするつもりだ?」
「そう警戒するな。私たちはなにもしない。
君たちの未来には、数々の試練が待っているというだけのことだ」
せいぜい足掻いてくれ、と告げた直後。
仮面の男は思い出したように声を上げた。
「ああ。君は気づいているかな。
先刻、本来は使えないはずのペルソナを使えたことに」
「………………」
言われて、気づいた。
真・ルシファー。本来、蓮のペルソナストックにはなく、更に言えば生み出すことすら叶わなかったペルソナ。
それを何の制限もなく、不自由に使えていたという不自然。
蓮がその疑問を自身で解消するより先、仮面の男が告げた。
「実を言うと、君とラヴェンツァの絆は戦いの中で満たされていたのだ。
故に君は、原初の反逆者を顕現することに成功した。それも、無意識のうちにだ」
「……あの『声』が、聞こえなかったが…?」
「君が聞いていなかっただけだ。
求めるならば、もう一度告げよう」
♦︎♦︎♦︎♦︎
我は汝…汝は我…
汝ここに、契りを血盟の絆へと転生せしめたり
絆は反逆の翼となりて
魂のくびきを打ち破らん
今こそ汝、「剛毅」の究極なる秘奥に目覚めたり
無尽の力を汝に与えん
「剛毅」:コープMAX
力を司る者「ラヴェンツァ」
合体解禁「アフーム=ザー」
♦︎♦︎♦︎♦︎
「……とは言っても、君は2度の合体を経て、解禁されたペルソナを失っているわけだがね」
まさか目の前であのポエムを読み上げられるとは思わなかった。
何とも言えない顔を見せる蓮に、仮面の男は臆せず続ける。
「さて。これで君は目的を達し、私も満足の行く結果を見ることができた。これはその餞別と思ってくれたまえ」
言って、仮面の男は一枚の透明な仮面を取り出し、蓮に投げ渡す。
「これは前借りではないよ。
こことよく似た世界で君が掴んだ、一つの到達点。それを体験させるだけのものだ。
外に出たら使いたまえ。悪い結果にはならないだろう」
蓮の視界が揺らぐ。
これはなんだ、と問うより先、仮面の男の唇が揺れた。
「次は私だ。その時を楽しみにしている」
♦︎♦︎♦︎♦︎
「……かはっ…!?」
『起きたか、蓮!!』
起きて早々、何かが蓮の顔にぶちまけられる。
このなんとも言えない香り。覚えがある。
神酒の名を持つ最上の回復薬、ソーマ。
蓮は傷が癒える感覚に溺れそうになるも、すんでのところで踏みとどまる。
「ば、るる…。状況は…?」
『ほとんど詰みだ…!指示を飛ばせど、皆がそれに応えている余裕がない…!』
「わかった…。任せろ…!」
言って、蓮は2枚の仮面を顕現する。
一枚は先刻、ラヴェンツァを下した真・ルシファーのもの。
もう一枚は、仮面の男より授けられた、透明のもの。
青い炎へと変換されていくそれらを横目に、蓮は聳える理不尽を見上げる。
顕現するは、二柱の悪魔。
システムへと成り下がりながらも変革を願った、原初の反逆者『真・ルシファー』。
そして、神を崇拝するだけの人々に自由意志をもたらした悪魔の王『■■ナ■■』。
それぞれが得物の先に光をかき集め、精錬していく。
「『この星は、我々が頂戴する』」
放つは、反逆という概念そのもの。
存在の否定に他ならないその一撃を名付けるとするならば。
──────『リベリオン』!!!
瞬間。反逆の弾丸が、地球竜を飲み込んだ。
アフーム=ザー…■■■■■より生み出された炎の精。主を封じた旧神を討つべく、旧支配者を目覚めさせる役割を持つ。その炎は極限の冷気とされている。固有スキルは耐性無視の氷結属性超特大ダメージを与える『凍てる炎』。
『■■ナ■■』…「別世界の雨宮蓮」が到達した反逆者の極致。専用スキルは『■■の■■■』。
『リベリオン』…「反逆」という概念を弾丸に宿し放つ、最強のミックスレイド。