【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】 作:鳩胸な鴨
「双葉、接敵まであとどのくらいだ?」
『あと1分もない。ウォリアースタイルになるなら今のうちだぞ』
「いや、半裸には使わない方向で行く。
後に大仕事が控えているからな」
たたた、と、怪しげな色合いと化した基地の中を駆けて行く蓮とバルル。
思えば、この夏休みだけで見違えるほどに強くなったものだ。
それこそ、ストレガと比べても格段に。
やはり、死闘を乗り越えた影響だろうか。
あのバカ緑もこのくらい聞き分けがよかったら苦労しなかったのだが、と思いつつ、バルルと蓮は角に身を潜める。
「にしても、相変わらずけったいな家庭やなぁ。相当なもん隠しとるのは確実や。
どや、チドリ。なんか反応はあるか?」
「……ない。不自然なほどに。私と似たような能力のペルソナ使いがいるのかも」
「警戒するに越したことはありません。いつでも戦えるよう、身構えておきましょう」
索敵をゴスロリの少女…チドリに任せきりにしているらしい。
行動を共にしているのは、実力に自信があるからか、それともナビゲーションの範囲が限られているのか。
後に覚醒するであろう山岸風花の規格外っぷりを感じながらも、蓮がチドリめがけ、飛び出す。
「なっ…」
「まずは1人」
ぬるり、と、流れるような動きでチドリの顎に手を添え、思いっきり地面に叩きつける。
意識を刈り取るには十分な一撃だったのだろう。
動かなくなったチドリから目を逸らし、向けられた銃を切り裂く。
「なっ…、子供やと…!?」
「なるほど…。私たちとは毛色の違うペルソナ使いというわけですか」
動揺するメガネの青年…ジンを宥め、半裸の青年…タカヤがペルソナを顕現する。
ヒュプノス。ニュクスの息子であり、タナトスの弟とされる神の名を冠するそれが、呪殺の光を放つ。
が。ここにいる二人は超呪怨特化のペルソナを装備している。
その一撃は不発に終わり、蓮がヒュプノスの腹部に数発の蹴りを入れた。
「ぐっ…!?」
「このガキっ!!」
ジンが怒鳴り、ダイヤルとコマが合わさったようなペルソナ…モロスを顕現する。
が。時すでに遅く、蓮の足がその脳天を捉えていた。
「2人」
「がっ!?!?」
育成したペルソナのステータスが反映された状態だからだろうか。
子供の体躯から放たれる軽い蹴りも、鉄パイプに勝るとも劣らない一撃と化していた。
倒れ伏すジンを前に、タカヤは戸惑うことなく万能属性の光…メギドを放つ。
「っ…」
「これは喰らうみたいですね。では、これはどうでしょう?」
タカヤが告げるや否や、メギドラが蓮の体に突き刺さる。
やはりと言うべきか、子供相手にも情け容赦がない。
転がり、受け身を取る蓮に、タカヤは淡々と続けた。
「惜しい…。それほどまでの力を持ちながら、何故自分を押さえつけるのです?
ペルソナとは己を象徴する存在。
それを顕現しないとは、己のアイデンティティをかなぐり捨てていることに他ならない」
問答をする気はない。
蓮がそう答える暇もなく、万能属性の弾幕が蓮を襲う。
いくら微々たるダメージといえど、重なれば無視できない痛手となる。
蓮がそれを避け回る間、タカヤは絡みつくように言葉を紡いだ。
「過去に数度現れた異形を打ち倒した光芒…。
あれはあなたの仕業ですね?
言わずともわかります。あなたから感じるその覇気…。力を振るうことに生きがいを感じているその目…。
間違いない!あなたは私の同胞だ!!」
「ペルソナ使いとしては同胞だろうが、在り方は違うな。
この力は、生き甲斐を守るためにある」
「いいえ、いくら繕えどあなたは…」
否定されて尚、続けようとするタカヤに、蓮は心底めんどくさそうに返した。
「ああ、忠告を忘れていたな。
力にばかり目を向けていると、痛い目見るぞ」
言って、力のあり方を説いた恩師…バルルへと目を向ける。
バルルは目にも留まらぬ動きでタカヤの足元へと潜り込むと、サマーソルトキックを真上に放った。
「ゴールデンボール・クラッシュ!!」
「ぉふぐぅおはぁっっっ!?!?!?」
要するに、金的であった。
意識外からやってきたあまりの痛みに怯み、ペルソナが消える。
蓮は相方が取った外道戦法に動じることなく、蹲るタカヤの意識を蹴りで刈り取る。
「よくやった、蓮。こいつらを外に放って、ケロロ軍曹たちに加勢するぞ」
『………秘策って金的かよ』
「戦いには卑怯もクソもないと私は思うが」
双葉が呆れを放ち、バルルがやましいことは何もないと言わんばかりに返す。
これまで大人っぷりを見せてきたバルルが、小学生が思いつきそうな外道戦法を使ったことがよほどショックだったのだろう。
双葉は絞り出すようにバルルに問いかける。
『いや、べつにいいんだけどさ…。なんか、なんか、こう、モヤっとする』
「私の姿を見られるのが一番まずいからな。
だから、事前に私が目撃されないような作戦を立てていた」
『あ、たしかに。バルル、宇宙人だもんな』
本当は『安価で決まってしまった作戦を嫌々採用した』だけなのだが。
そんなことを思いつつ、バルルは通路に備え付けられたコンベアに3人の体を乗せ、スイッチを押す。
ほんの数秒で遥か彼方に飛ばされた3人を尻目に、バルルは今しがた流れたストレガとは別のコンベアに乗った。
「雑談はここまでにしておこう。
ケロロ軍曹の方はどうなっている?」
『いらんこと言ってキレられてるなー…。
私でもどうかと思う、アレ』
「どうせ自分が元凶のくせして『そんなつまらんことに人生使うな』とか、『真っ当な生き方しろ』とか言って開き直ったんだろ?」
『うん』
この調子だと巨大化も目前か。
あのバカ緑の言動には悪い意味で驚かされるな、と思いつつ、バルルは蓮に宝玉を渡した。
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712.元ケロン軍人
エセキリスト野郎金的作戦完遂。まだ足に変な感触ある
713.名無しの転生者
倒し方の安価取ったのどんだけ前やっけ…?
714.名無しの転生者
覚えとらんわそんな昔のこと
タカヤ…半裸ジーパン両腕タトゥーのエセキリスト。意識外からの金的に沈み、暫く歩き方が変になった。
バルル…実は結構前にスレ民に安価を投げて倒し方を募集していた。まさかネタ作戦になるとは思わなかった。