【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】 作:鳩胸な鴨
「故に、私は貴様への復讐を誓ったのだ…。
さァ、ケロンスターを渡してもらおう!ケ〜ロロ軍曹ォ!!」
「大佐が予想してた通りの経緯だったな…」
「元凶、軍曹さんでしたね…」
タカヤが金的を喰らい、悶絶している頃。
ケロロを前に憎悪を暴走させるシュララを横目に、ケロロ小隊どころか日向家の面々までもが元凶に白い目を向ける。
彼にとってはほんの些細ないたずら心だったのだろう。
遡ること、幼年訓練生時代。当時のシュララ…シララはひょんなことから初恋の相手、プルルから絆創膏を貼ってもらえたという至福に歓喜していた。
が。その全てを台無しにしたのが、何を隠そうボケガエルであったのだ。
彼はシララの腕に貼られた絆創膏をひっぺがし、特に傷も見当たらない自分の腕に貼り替えるという、なんともピンポイントな地雷を踏み抜いていたのである。
これにより、失意の底に陥ったシララは、運命に導かれるようにケロメットと邂逅。シュララとして生まれ変わった彼は、ケロメットの力でケロロに復讐することを強く誓った。
そのために、必殺お仕事人を組織し、ケロロ小隊抹殺に動き出した…というのが、シュララの口から語られた経緯であった。
これで謝罪の一つでもすれば結果は違ったのだろうが、彼はここでもやらかした。
「そんな昔のことをいつまでも根に持ってるなんて、人生の無駄遣いだっつーの。ここいらで心を入れ替えて、真っ当な生活をですな…」
最悪である。
全てを聴き終えたケロロが放った言葉は、火にガソリンをぶちまけるも同然だった。
上司から「相手を刺激しろ」と命じられてはいたが、それはあくまで影時間を乗り切るか、蓮たちと合流した後の話。
こんな早い段階で刺激してどうする。
ギロロがそう怒鳴ろうとした矢先、怒りのボルテージが振り切れたシュララが恨み節を吐く。
「おのれ、ケロロ軍曹ォ…!
またしても、またしても人を小馬鹿にしおってぇ…!!」
「なんか、デッサン狂ってません…?」
「な…!?なんだ、これは…!?
う、うわァァアア!?!?」
シュララの頭部が明らかに肥大化している。
その光景を前に、呆れ半分にラビリスが口を開いた。
「食事段階入ってもぉたな、これ」
「ケロロ、貴様!!大佐たちが来るまで刺激するなと言われただろうが!!」
「そんな悠長に喧嘩してる場合じゃねーぜ、パイセン。
予定よりちっと早いが、決戦エリアへの移動を始めるぜェ。あそれポチッと」
MP3プレーヤーに酷似した端末のボタンを押すと共に、通路…果ては日向家が四つに割れる。
唐突に外に放り出された影響だろうか。
ケロメットが浮遊を開始すると同時に、地面深くから影が迫り出す。
ケロロたちはその影へと飛び移り、ハンドルを握った。
「ケロロ小隊、これより作戦を第二段階に移行する!早急に指定ポイントへとケロメットを移送されたし!!」
「「「「了解!!」」」」
影が暴れ出したケロメットを抱え、凄まじい速さで移動していく。
残された面々もまた、各々飛行用の装備を展開し、その後を追った。
♦︎♦︎♦︎♦︎
少しして、ストレガを放った蓮が空を見上げ、バルルに不安げな表情を向ける。
事前に立てた作戦では、合流してから食事形態へと移行させる予定だったはずだ。
先ほど双葉が言ったように、ケロロが余計な一言を突きつけたせいで予定が詰まってしまったのか。
蓮は同じく空を見上げるバルルに目を向け、恐る恐る問いかける。
「あの、バルル…?ケロロたち、もう行っちゃったぞ…?」
「心配ない。予定通りだ」
「え?」
怒るでもなく淡々と告げ、日向家の屋根へと向かうバルル。
蓮がその後を追うと、バルルは振り返ることなく語り始めた。
「あいつが我慢できずにやらかすのは目に見えていたからな。彼らには悪いと思ったが、本来の予定を伝えていなかった」
「本来の…って?」
「ああ。プラネットイーターについてだが、アレの破壊は基本的には不可能だ」
「……大半は処理したって聞いたが…」
蓮が訝しげに問うと、バルルは首を横に振った。
「封印措置だ。破壊じゃない。
食事形態の発動直後に暫く力を失うだけで、インターバルが終われば復活する。
私はそのインターバルを利用して、大した旨みもない『死の星』に移送し、保管していただけだ。
このことは私の小隊に属した者を除き、大本部しか把握していない」
「今回もそうするのか?」
「いや。今回は…」
蓮が確認を取るや、バルルは耳飾りを捻り、どこかへと連絡をかける。
双葉ではない。恐らくはケロン軍の中の誰かなのだろう。
暫くの沈黙の後、バルルは神妙な面持ちで口を開いた。
「少佐、私だ。…安心しろ、今回は詰めるための連絡ではない。
例の件、作戦が最終段階に入った。合図と同時、指定したポイントに投下を頼む。
……何?バリリ准尉が来るのか?アイツ、ここ最近は振わんと聞くが…、大丈夫なのか?
……プルル看護長が同行…、なるほど。それで張り切っているのか…。
わかった。隠居の思いつきに付き合わせてすまんな。埋め合わせは必ずする」
それだけ言って、バルルは通話を切る。
蓮が小首を傾げていると。
ペルソナで盗聴していたのだろう、双葉が素っ頓狂な声を上げた。
『ど、どういうことだバルル!?ケロメットを送るって…!?』
「は!?!?」
双葉から告げられた衝撃的な事実に、同じく声を上げる蓮。
バルルはウォリアースタイルへと変身すると、念話を蓮に送った。
『今回はプラネットイーターの完全破壊に加え、保管しているものの処理も目的に据えていた。
その一環として、保管していた全てのプラネットイーターを吸収させる』
『そ、それまずいんじゃ…?』
蓮がバルルの頭に飛び乗ると同時、双葉が問いかける。
『先ほど、基本的には破壊できないと言ったが、完全破壊できたケースが一つだけある。
容量超過によるオーバーヒート。今回はそれを狙う』
「……というと?」
『プラネットイーターは食った星の数だけエネルギーを溜め込むのだが…、実は定期的にエネルギーを放出するようプログラムされている。
シュララの力は、その放出作用によるものだ』
「………なるほど。短期決戦だな?」
『ああ。化け物がアレを依代に顕現する前に、エネルギー消化ができていないプラネットイーターをたらふく食わせて破壊する』
言って、バルルは呪怨の光芒を宙に溜め、それを覆うように翼を折りたたむ。
ペルソナが覚醒したおかげで、この移動にデメリットが消えたのはありがたい。
そんなことを思いつつ、バルルは一気に加速した。
「食わせるってどうするんだ?」
『シララ訓練兵救出後、内部にある炉に風穴を開け、そこにプラネットイーターを放り込む。
どんな理不尽が覆い被されど、素体である機械の限界を拡張することはできない。
それは今までのキルル事件でわかっているからな』
「穴を開ける役目は…、ケロロたちか」
『ああ。合体機巧兵器「ゴッドケロン」のビームサーベルならば、あの装甲を剥がすことができ…』
バルルが言い終わるより先。
その腹目掛け、機械の触腕が伸びた。
『謳えッ、ラヴクラフト!!』
ラヴクラフトの放つブレイブザッパーが、次々と触手を弾き飛ばす。
おかしい。ポイントまで距離はある。
いくら星を喰らうために地殻へと触手を伸ばすからと言って、ここまで早く伝播するなど前例がない。
と。そこまで思い至って、バルルは双葉に問うた。
『………双葉。出たんだな?』
『うん。出た。あのウネウネのせいでウチがぶっ壊れて、今は皆一緒にネクロノミコンで避難中』
『そうか、わかった』
日向家破壊は防げなかったらしい。
バルルは深いため息を吐くと同時に、速度を上げた。
第6の理不尽「ウロボロス」…人々の永劫に満たされない「不満感」から生まれた存在。満ちることを知らない。