【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】   作:鳩胸な鴨

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要望があったので会話回を書きました。短編集になります


番外編その3 サブストーリー「各転生者の一幕」

ケース1.Q内転生者の語らい

 

「わかってはいたが、こうも疎外感があると寂しいものだな…」

 

異世界に生み出されたヤソガミコウコウにて。

終わりの見えない文化祭が続く中、フードコートにてバルルがため息をつく。

と。その向かい側に座った2人がふと、浮かんだ疑問をぶつけた。

 

「スレ内とは口調違うんだな」

「どっちが素なんです?」

 

1人は、転生者「SEESスネーク」こと「如月シンタロー」。

もう1人は、転生者「特捜隊レインコード」こと「九頭 ユーマ」。

彼らの問いに対し、バルルはフードコートで購入した茶を啜り、答えた。

 

「こちらだな。スレ内ではあちらの方が親しみやすいかと思って砕いているんだ。

この口調でスレに参加すると、近寄りがたいと思われるだろう?」

「ああ…」

「いや、えと、うん」

 

その気遣いはあまり効力を発揮していないのではなかろうか。

そんな呆れが飛び出すより先、近場を通りがかったリーダー…鳴上 悠が訝しげな声で問いかけた。

 

「ユーマ。前にも聞いたが、その『スレ』っていうのはなんだ?」

「あ、えっと、それはその…。

し、シンタローさん、説明お願いできます?」

「俺に頼らないでくれよ…。

根は引きこもりコミュ障だぞこちとら…」

 

上手く言語化できるか自信のないユーマに投げられ、呆れを浮かべるシンタロー。

2人してどう説明したものかと言葉をこねくり回していると、バルルが口を開いた。

 

「君が『ベルベットルーム』のアクセス権を持つように、私たちにも特別な力が備わっている。それが『スレッド』だ。

文字によるコミュニケーションにのみ特化した伝達ツールでな。少し意識すれば、いつでも次元を隔てた人たちとやり取りできる。

感覚としては、メールしか打てない携帯電話に近いか」

「へえ。いいな、それ。ここで別れても、また話ができるってことだろ?

俺でも使えたりするのか?」

「すまない。使える人間は限られていてな。

悠が使えるかはわからないんだ」

「そうか…。使えるか、マーガレットならわかるかな」

「彼女らにならわかるだろう。一度聞いてみるといい」

「そうしておく」

 

2人が説明を考えている間に会話が終わった。

ベルベットルームへと向かう悠の背を見届けるバルルに、2人は感心を込めた瞳を向ける。

 

「…やっぱ大佐ってコミュ力すごいですよね」

「さすが元空将補」

「ただのおっさんだぞ。あまりもてはやすな」

 

 

ケース2.怪盗ヴァンパイアちゃんとの語らい

 

「もちもちしててカァイイですね、大佐」

「や、やめ、やめろ…。

年頃の乙女がおっさんの頬を揉むな…」

 

退廃へと向かう映画館にて。

ソファに腰掛けた少女がバルルの頬を掴んでは伸ばし、掴んでは伸ばしを繰り返す。

少女…転生者「怪盗ヴァンパイア」こと「渡我被身子」がそうして遊んでいると。

その前を通りがかった怪盗団女性陣が、怪訝そうな声を漏らした。

 

「え?バルルさんっておじさんなの?」

「あ、杏ちゃん。お疲れ様です。探索はもう終わりですか?」

「うん。今、蓮くんが換金してるところ」

 

杏が指したのは、バルルが知る雨宮蓮よりも成長した、伊達メガネの青年。

素材を換金し、ずらりと並ぶ商品を吟味する姿を見ていると。

その視界を遮るように真が顔を近づけた。

 

「んー…、あまり老けては見えないけど…。

バルルさんって今いくつなの?」

「10500」

「その歳はおじさんって言わないと思う…」

「おじいちゃんどころか仙人の域だろ…」

「地球人に換算すると42歳だ」

「おじさんだった!?」

「一気にリアリティあふれる数字になった…」

 

あまりの落差に愕然とする女性陣。

「宇宙人だしそんなもんだ」とバルルが宥めると、すぐさま納得したように頷いた。

 

「どちらにせよ、おっさんであることには変わりない。

それが可愛いなどと言われるのは…その、非常に気恥ずかしい」

「えー?カァイイですよ、大佐。まんまるで」

「私もちょっと触っていい?」

「構わんが…、四十路のおっさんだぞ?」

「四十路のおっさんにゃ見えないぞ。マスコット系宇宙人なんだし」

「そうそう!あ、ヒミコちゃん、揉むにあたってコツとかある?」

「ちょっとキツく揉むといい感触しますよ」

「キツくだね!じゃあ、失礼して…。

わ、わぁー…!すべすべもちもち…!」

「むぎゅっ。は、春。加減してくれ。痛い」

 

バルルを取り囲み、きゃいきゃいと騒ぐ女性陣。

そんな彼女らを遠巻きに見ていた花村陽介、如月シンタロー、巽完二の三人が無意識に口を開いた。

 

「………いいよな、ああいうマスコット系って」

「ああ。羨ましい」

「俺も頼めば揉ませてもらえるっすかね?」

「対象が違えば罪に問われるような発言だぞ」

「やめとけ。お前が行くと勘違いされて大惨事になるのが目に見えてる」

「あん?なんでっすか?」

 

 

ケース3.戦姫絶唱ハローワールドとOTONA

 

「これ返す」

「ああ。参考になったか?」

 

数々の並行世界をつなげる「ギャラルホルン」をはじめとした聖遺物が混沌を呼び込む世界にて。

一昔前のカンフー映画のブルーレイディスクを差し出した少女…転生者の1人たる「新倉(にいくら) 寧桜(ねお)」に向け、彼女の上官たる男が問いかける。

寧桜はそれに渋面を作り、首を横に振った。

 

「フィクションとリアルは違う。

これ見て強くなれるのはバカか人智を超えた化け物だけ。司令は後者」

「お、おおう…。いつにも増して切れ味の鋭い毒舌だな…」

 

こうもハッキリ「あなたはバケモノです」と言われたのは初めてだ。

映画を見て強くなれない人類など存在しないと思っていたが、もしかするとそうではないのかもしれない。

部下からの手厳しい評価に、長年持ち続けていた価値観に疑問を覚えていると。

寧桜が少しばかり頬を染め、照れくさそうに口を開いた。

 

「…参考にはならなかったけど、面白かった。

続編あるって聞いたから、そっちも見たい」

「そ、そうか!それなら…」

 

安堵を見せ、用意していたブルーレイディスクを手渡す男性。

と。それに陽だまりのような髪色の少女と、雪のような髪色の少女が揶揄うような笑みを見せた。

 

「よかったですね。寧桜ちゃんのデレなんて、なかなか見れませんよ?」

「こりゃ宝くじ当たりだな。当選番号見よ」

「マハンマオン」

「「ごめんなさい」」

「訓練中ならいいが、ここで撃つなよ?」

「即死攻撃よ。訓練中でも止めなさい」

 

 

ケース4.パワードスーツ生徒とセミナー会計

 

「ちょっと、クオン!

なによこの予算申請!?」

 

陰謀渦巻く学園都市の一角にて。

1人の少女が、ばぁん、と机に一枚の資料を叩きつけ、工業用油に塗れた少女…転生者「調月クオン」に詰め寄る。

 

「なにって、頼まれてたシャーレの先生専用強化型外骨格の開発費っすけど。

どっかしら不備でもありました?」

「不備はないわよ!額よ額!!

いくら功績が認められてるからって、こんだけの予算を個人の活動に回せるわけないじゃないの!!」

「ユウカっち。そう言われても、二ヶ月っつー超短納期で作れって言われたらこんだけはかかりますよ?」

 

ゼロがずらりと並んだ資料を振り翳しながら叫ぶ少女に、クオンは呆れ気味に返す。

が。納得は得られなかったようで、少女はクオンの背後に控えたスーツを指差した。

 

「あなたのパワードスーツはめちゃくちゃ低予算で作れてたじゃない!!」

「エンジニア部が捨てたヤバヤバジャンク品とか死に物狂いで回収したDivi:Sionとかデカグラマトンとかの激ヤバ存在の装甲剥いで自費で改造してたんだからそうでしょうよ。

請求したのなんてせいぜい組み立てに際して機械を稼働させた分の電気代くらいっすよ?」

「ゔ…。じゃあその素材をまた集めて…」

「無理に決まってんでしょうが」

 

現実という鈍器に殴られ、項垂れる少女。

彼女は机に突っ伏すると、さめざめと弱音を吐き始めた。

 

「う、うぅ…。先生の身を守るのにこんな大敵が居たなんて…」

「…もし作れたとしても、うまく起動しない可能性もありますからね」

「えっ?」

「私みたいな神秘関連の器官に障害があるヘイローなし機能不全欠陥キヴォトス人と、キヴォトス外じゃフツーのヒューマンである先生とじゃ規格が違うんすよ。そこんとこの検査費用もそんなかに入ってるっす」

 

さらなる現実がトドメとなり、撃沈する少女。

それを前に、クオンは同情を向けた。

 

「まあ、使えるものをプレゼントしたい気持ちはわかりますけども…。

現実との兼ね合いを考慮してくだせーっす」

「……はい」

 

 

ケース5.「いつもお世話してもらってるので労いたい」と義甥に言われて一緒に出かけたら事件に遭遇して解決まで突っ走っちゃった花園家執事ここにあらすじ書くな

 

「ご協力、ありがとうございました!」

「感謝の念を送る前に防犯に努めてください。切に。誰を殺してでも犯罪を止めてください」

「は、はいっ!!!」

 

顔じゅうに青筋を浮かべ、小太りの警官に圧を放つ執事服の青年…転生者「花園 志都児(しつじ)」。

周囲にいた人間の誰もがその迫力に押され、本末転倒かつ支離滅裂なその発言を指摘することなく、沈黙を通す。

そんな中、張り詰めた空気を破るかのように、志都児が背後へと視線を向けた。

 

「申し訳ございません。

せっかくお誘いいただいたのに…」

「い、いえ、そんな!頭を下げるのはこっちです。労いに来たのに助けられちゃって…」

 

先ほどまで警察から疑いを向けられていた太眉の青年がぺこぺこと頭を下げる。

それを止めるように、志都児の手が彼の肩に置かれた。

 

「遠くない未来、わたくしはあなたに仕えることになります。

仕事をこなすたびにいちいち恐縮されては、こちらも萎縮してしまいます…と、花園家執事長としては申し上げるべきでしょう。

しかし、それはあなたの美点を否定してしまう発言ゆえ、撤回させていただきます。

どうか変わらず、羽香里お嬢様の…いえ。皆様の彼氏として邁進してくださいませ」

「は…、はいっ!」

 

志都児の笑みに、決意に満ち足りた表情を返す青年。

一方、そのやりとりを見ていた2人…、帽子を被った焦げた肌が眩しい青年と、蝶ネクタイに大きな縁のメガネをかけた小学生が呆れを向けた。

 

「見んうちにまーた増えとらんか、あれ?」

「どんだけ彼女作る気だよ…」

「既に21人おります」

「おわっ!?急に出てくんなや、志都児のあんちゃん!」

「え?さっきまであそこに…」

「縮地を修めております故」

 

いくら縮地を使ったとはいえ、この速度は出ないだろ。

そんなツッコミが喉を突いて出そうになるも、2人は口をつぐむ。

片や、自家用飛行機の上で剣戟を繰り広げた男。片や、爆発により倒壊する建物から幾度となく生還した小学生。

人のことなど言えない経歴を把握されてしまっている以上、確実にそこを突かれ、ボコボコに反論されるに決まっている。

2人が戦慄に身を震わせていると。

志都児は彼らに向け、深々と頭を下げた。

 

「改めて。2人の推理対決に水を差してしまい、誠に申し訳ございません」

「…まあ、しゃーないわ。アンタにとっちゃ一刻も早く事件解決せなあかんかったやろうし」

「そうそう。気持ちはわかるし、別に気にしてないよ」

「そう言っていただけると幸いです」

 

志都児の気持ちはよくわかる。

自分たちも幼馴染をはじめとした友人が窮地に陥っていたならば、対抗意識など関係なく推理を進めたことだろう。

共感に2人が頷いていると。頭を下げたままの志都児が、ずいっ、と小学生に顔を近づけた。

 

「話題は逸れるのですが、江戸川様」

「ん?」

「楠莉様からくすねた『打ち消しの薬』をお返し願えますか?」

 

ぼたぼたと小学生から汗が垂れ落ちる。

彼の反応を見て察したのだろう。

日焼けの青年がため息混じりに問いかけた。

 

「……おい、工藤」

「い、いや、申し訳ないとは思ったけど、その、早く戻りてーし…。

かと言って直接頼んだら、予想もつかないルートで組織に漏れたりしそうだし…」

「諸々掴んでおりますよ」

「………ごめんなさい」

 

てめぇ、わかってんな?

微笑みから滲み出る迫力に、そんな副音声が付いてるような気がしてならない。

結果。迫力に負けた小学生は項垂れながら、薄い水色の液体が入った試験管を差し出した。




バルル大佐/元ケロン軍人…頼れる大人ムーブと可愛らしい外見で、Q、Q2中は不動の人気を博した。女性陣に囲まれる回数が多く、少し恥ずかしかった模様。

九頭 ユーマ/特捜隊レインコード…自分に自信がないため、説明等を求められると一気に弱腰になる。一年生で小柄、さらには控えめな性格のため、仲間たちから可愛がられてる。頭脳戦ではもっぱらサポートに回るが、どちらかというとメインで頭を使う方に適性がある。

如月 シンタロー/SEESスネーク…自分に自信がないというよりは、等身大の自分が小さいことを自覚してるタイプ。妙な図太さがあり、伊織や花村のような軽いタイプと意気投合している姿が見られる。

渡我 被身子/怪盗ヴァンパイア…同じく図太いタイプ。可愛いものに目がなく、中身がおじさんと知っていても膝に乗せてべたべた触りにいくだけの胆力を見せた。

新倉 寧桜/戦姫絶唱ハローワールド…思ったことをズバズバ言うが、致命的な地雷だけは踏まないコミュ強。S.O.N.G.内では「なかなかデレない仏頂面」扱いされている。尚、表情筋が動かないだけで明るい性格ではある。

調月 クオン/神秘ゼロパワードスーツ…やってることがモンハンと仮面ライダーの悪魔合体な人。自衛も兼ねて趣味に走ってたらいつのまにかミレニアム内で単独勢力としてカウントされていた経歴を持つ。工業系コギャル。

花園 志都児/花園家執事長…モンスター彼氏並みとはいかないが、それなりに人間辞めてる。コナンたちとは仲がいいものの、一線を越えると容赦なく詰めていく冷酷さを見せる。

本作の本編で見たいボス戦は?

  • vs花園家執事長
  • vs戦姫絶唱ハローワールド
  • vs神秘ゼロパワードスーツ
  • vs時を喰らうYouTuber
  • vsQ、Q2参加転生者
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