【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】 作:鳩胸な鴨
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渋谷駅にて。
仕事を終わらせたバルルがアジトへと向かおうと足を速めていると。
新メンバー…、コードネーム「クイーン」こと新島 真と竜司が睦まじそうに言葉を交わしていたところに出会した。
SHOWTIMEの相談だろうか。そんなことを思っていると、こちらに気付いた竜司が大きく手を振った。
「お、春夏!アジト行くとこか?」
「ちょっと、竜司…」
「いや、いい。先生と呼ばれるのはまだ慣れんからな。
…しかし、2人一緒とは珍しいな。
ソリが合わない相手かと思ったが」
「偶然そこで会ったの。
それで、例の…SHOWTIMEを思いついたって聞いたから、話を聞いてたの」
「ほら、前に俺と真って反逆のイメージが似てるって話してたろ?その繋がりでさ」
「ああ、なるほど」
あの世紀末西部劇みたいな攻撃のことか。
あれも訳がわからないSHOWTIMEだったな、と思いつつ、バルルはしみじみと言葉を漏らす。
「…今の君たちを見ていると、人には余計な壁が多いように思えてならないな」
バルルの独り言に怪訝そうに眉を顰める2人。
彼はそれに「これは持論なのだが」と前置きし、続けた。
「人はわかりやすいレッテルに目を向けがちだ。
真が鴨志田と揉めていた蓮たちを疑ったように、竜司も生徒会長という肩書を持った真を邪険にしていただろう?」
「そう言われると耳が痛いわね…」
「いや、そうするしかなかったってーか、そう考えるしかなかったってーか…」
「わかっている。それが悪いとは言わない」
どうしても相手側の考えを想像できないケースもある。
身近なケースである緑のバカを思い浮かべ、バルルはその嫌気を隠すように言葉を連ねた。
「肩書きや立場といったレッテルは社会を回すのに必要な指標だが、あくまでそれだけだ。
人間そのものを指しているわけじゃない。
少し考えれば、誰だってわかることだろう?」
立場が違えど、同じようにレッテルで苦労してきた2人は顔を見合わせ、深く頷く。
バルルはそれに「しかしだ」と否を唱えた。
「今の人間は『考えることにはエネルギーを使う』という当たり前のことすら忘れている。
考えることは疲れる。だから、わかりやすいものを鵜呑みにして、深く信じ込む。初めて見たものを親と思い込む雛鳥のように」
覚えがあったのだろう。
渋い顔を晒す2人に、バルルは苦笑を浮かべるも、即座に神妙な面持ちへと戻った。
「真。君の姉が何を言ったのかはわからない。それが君をどれだけ傷つけたのかも、私には知る由もない。
ただ、これだけは言わせてくれ。
彼女は『君の肩書き』しか見えないほどに疲れているのかもしれない。
若い身空で検事などしていれば尚更だ」
「…………」
検事とは、事実という情報を見る仕事だ。
人となりを見るのではないからこそ、彼女の姉は心無い言葉を妹にぶつけるまでに変貌してしまった。
そのことを悔やむように顔を歪める真に、バルルは続ける。
「仲直りしろだとか、そういったことは言わない。それは君の選択を否定することになってしまうからな」
「えっ…?」
「変えていこう。姉を変えた世の在り方を。今の社会を。
そのための怪盗団だろう?な、竜司」
「おうよ。まずは目の前のことを片付けてこうぜ」
「…………うん」
2人の激励に、真は心からの笑みを返した。
♦︎♦︎♦︎♦︎
『くくく…っ、たかるだけ、たからせていただきますよぉーッ!!』
時は少し進み。
暴食の銀行、その最奥を守るようにそびえた大金庫の前で、白のスーツで着飾った男…シャドウ金城が変貌していく。
ばりっ、とスーツを破き飛び出た羽。
手を絶え間なく擦り合わせ、首を忙しなく動かすその様。
そして、散らばる金を見逃すまいと光る複眼。
どれをとっても生理的嫌悪を催す異形…カネシロ・バエル・ジュンヤが彼らの前に立ちはだかった。
「汚い金に群がるハエ…、気持ち悪いのよ!」
「毎度毎度思うんだが、シャドウのこの変貌はなんなんだ…?
自分がこんな姿になるのが理想とか思ってるのか、それとも無意識に自分が歪んでいることを自覚し、大罪が指し示す姿へと変わっているのか…」
「ソルジャー、その考察は後にしろ。来るぞ」
ジョーカーが諌めるや否や、金城の背後に聳える金庫が開き始める。
そこに鎮座していたのは、豚の貯金箱をそのまま大きくしたような銀の兵器。
ぶぶぶ、と耳障りな羽音を響かせ、開いた鼻部分へと吸い込まれていく金城。
それを前に、スカルが小さく呟いた。
「貯金箱か?ブタの」
「昔懐かしのフォルムだ。
…が、こうも無骨では郷愁もわかんな」
『ブタじゃねぇ!!
豚型機動兵器ブタトロンだ!!』
「ブタって言っちゃってるじゃん」
『ブタトロンだ!!!!』
ナビの冷徹なツッコミに叫ぶ金城。
同時にブタトロンの目玉部分から数多のミサイルが飛び出し、金が降り注ぐ金庫内を駆け回る。
チャフなどという高尚なものがこの場に存在するはずもなく、皆がそれぞれペルソナを顕現し、その爆風から身を守る。
「いったぁ…!」
「あのブタ、攻撃手段は銃火器とかミサイルとか、シンプルな兵器ものしかないけど、めちゃくちゃタフだ。
叩き割るのに時間かかるぞー、これ…」
「モナ、内部に入って配線切れるか?」
「巻き込まれて死ぬわ!!」
フォックスの提案に叫ぶモナ。
バードストライクなど、動物がらみで起きる大事故を学ばせたおかげだろうか。
そんなことを思いつつ、ジョーカーはやたらめったらと目部分からガトリングを放つブタトロンへと目を向ける。
「金城が自分から出てきたらいいんだが…」
「札束でも落とすか?
100万ならあるぞ」
「なんで持ってんだよ」
ゲンナマをちらつかせたソルジャーにスカルのツッコミが飛ぶ。
確かに金の亡者である金城なら食いつくだろうが、どうしてここまでの額を持ち歩いているのか。
皆が怪訝な視線を向ける中、ソルジャーは淡々と答えた。
「仕事用のパソコンを買い替えようとそこらの電気屋回ってたからな。
結局、店頭だと満足いくものがなくてネットで購入したから、引き下ろし損になったが」
「せめて預けたら…?ここで使うには勿体なさすぎる額じゃない…?」
「いたいけな子供に1日1割とかいう暴利どころの騒ぎじゃない違法取引仕掛けてくる大莫迦への手切金にしては安い方だろう」
クイーンの言葉に軽く返し、束を放り投げるソルジャー。
と。その100万を前に理性を蹴り飛ばしたのか、ブタトロンの蓋が開き、転がった金を吸い込み始めた。
『うっひょー!!金金金金ーーー!!』
やはり現金に反応する気質が強く反映されているらしい。
「これでコンパニオンでも呼んじゃおうか」と浮き足立つ金城の声が響く。
操る金城が金に夢中になっているためか、ブタトロンの動きが目に見えて鈍くなっている。
自動迎撃システムなどといった面倒な機能もなさそうだ。
そう判断したクイーンがバイク型のペルソナ…ヨハンナを顕現し、皆へと発破をかける。
「チャンスよ!叩き潰しましょう!!」
「パレスの主ってバカしかいねーの?」
「欲望に目が眩んで理性的な思考ができてないだけじゃないか?」
フォックスとスカルが呆れを交わすと同時、皆がそこらを駆け回り、ブタトロンにダメージを与えていく。
が。それで終わるはずもなく、衝撃に気付いた金城が慌ててブタトロンの防衛に入った。
『な、テメェら!何やってんだYO!!』
ミサイルと銃弾に邪魔され、たじろぐ怪盗団。
距離を取ったことを好機と見たのか、それとも攻撃されたことで激昂したのか。
ブタトロンの鼻部分が開き、そこから飛び出た金城がその頂点に降り立つ。
『もう許さねぇ…!変形!超V.I.P.フォーム!』
なんとも男が好みそうな雄叫びをあげると、それに呼応してブタトロンが足、鼻、耳を引っ込め、球体と化す。
何をするつもりだろうか。
皆が怪訝な表情を向ける中、金城はその場でコサックダンスを始め、ブタトロンを回転させる。
『ギャハハハハッ!!潰れちまいなYO!!』
「バカかお前」
ジョーカーが冷ややかに指摘し、金城に向けて手首に仕込んでいたワイヤーを鞭のように放つ。
と。金城はワイヤーに足を弾かれ、そのまま転がっていくブタトロンに巻き込まれた。
『ぎゃーーーーーッ!?!?』
「まあ、うん。そうなるわな…」
「自滅リスクが目に見えてる攻撃なんかする方が悪い」
「だ、大丈夫なの、あれ…?
死んでないわよね…?」
「自分の毒で死ぬフグがいるか?」
「な、なら大丈夫なのね…?
なんか、ぶちっ、ぶちって聞こえるけど…」
ごろごろと転がり、壁へと激突するブタトロン。
と。シャドウ故か、ぺたんこに潰された金城がブタトロンから剥がれ、ひらひらとその場に落ちた。
『う、ぐ、ぐ…、て、テメェら…、よくも…』
「8割自滅だろ」
『うるせぇ!!こうなったら…、来やがれテメェら!!仕事の時間だZE!!』
金城が叫ぶと、警備員らしきシャドウが二体、姿を見せる。
片や、両腕に盾を構えた者。
片や、警棒を忙しなく鳴らす者。
どう考えても自分で倒すつもりがない。
あまりにも情けない行動の数々にもはや憐れむ気持ちすら失せてきた。
「スカルと私で金城の余裕を削ぐわ。
フォックス以外で盾と警棒を相手してもらえる?」
「ああ。ジョーカーと私は盾をやる。
モナとパンサーは警棒を頼む」
「俺は何をすれば良い?」
「フォックスは………」
クイーンが短く耳打ちする。
フォックスはそれを聞き、小さく頷いた。
「任された」
『何をするつもりか知らねぇが、好きにはさせねぇYO!このクソガキどもがYO!』
「ラップの才能もないのね、あなた」
『うるせ…、待てお前!!
他に何がないって言いたいんだYO!?』
駆け出したクイーンへと問い詰める金城。
フォックスに絶え間なく視線を向けてはいるものの、あまり集中できていないらしい。
ちら、ちら、と視線を向けられたクイーンはバイク型のペルソナ…ヨハンナのエンジンをふかし、答える。
「人徳、頭、容姿」
『……………テメェ、絶対に許さねぇ!!ぶっ殺してやる!!』
叫ぶと共に、金城が己の尻へと手を伸ばす。
瞬間。天より降り注いだ金の雨が場に散らばった怪盗団を襲った。
クイーンはもちろん、こっそりと近づいて金城に一撃を浴びせようとしていたスカル、盾と切迫していたジョーカーとソルジャー、今し方警棒を片付けたパンサーとモナが金の濁流に押し流され、壁に叩きつけられた。
「だっ!?」
「ぐっ…、こんな手があるなんて…」
『ギャハハハハ!見たか、金の力!!
これさえあればテメェらなんざ…』
「それが見たかったのよ」
金城の声を遮り、クイーンが呟く。
瞬間。金城の背後を一陣の風が通り抜けた。
『…………ん?あ、あれっ?あれあれ?』
「探し物は、これか?」
間抜けにも声を漏らす金城の前に、唯一無傷だったフォックスが立つ。
その手には、金城のものであろう革物の財布が握られていた。
『んなっ!?返せ、コソ泥!!
なにやってるテメェら!早く取り戻…』
「パンサー」
「はーいっ!!」
『あ゛ーーーーーーッ!?!?
俺の金ーーーーーッ!?!?』
フォックスが財布を放り投げると共に、カルメンが放った火炎がそれを焦がす。
あまりにも悲惨な光景を前に、絶叫をかます金城。
その叫びは、まるで身を切られたかのよう。
涙目で叫ぶ金城を横目に、金を失ったと悟ったボディガードたちは去っていった。
「金の切れ目が縁の切れ目ってか?
似合いの末路だぜ」
『ちょっ、どこ行くんだお前ら!?
手持ちが燃やされちゃっただけで…、ちょ、タンマ!タンマだって、タンマ!!』
「そう言われて取り立てをやめた時が一度でもあった?」
クイーンの指摘に冷や汗で返す金城。
元からだが、同情の余地もない。
ジョーカーはそれに向け、冷ややかに吐き捨てた。
「他者の金を貪り食う暴食の悪魔、金城潤矢。その歪んだ欲望、我々が頂戴する」
宣告が皮切りとなり、怪盗団がその場を駆け巡り、金城に一撃を浴びせていく。
金による自信を喪失した金城がそれに耐え切れるはずもなく。
彼がその場に崩れ落ちたのに呼応するかのように、停止していたブタトロンが爆炎に飲まれた。
暴食の銀行が崩落したのは、それから間もないことであった。
バルル大佐…投げた100万はオタカラと一緒に放り出されたのを確認し、回収した。余談だが、皆が花火大会で雨に降られてる中、届いたパソコンが発送中に起きたコンテナの雨漏りによってあぼんしていたという悲劇に見舞われた。賠償金はちゃんと貰った。
次回からアンケートを反映したストーリーになります。
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