【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】   作:鳩胸な鴨

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修行(裏ボス)編、完


21スレ目 vsフィレモン&ニャルラトホテプ

『なんで裏ボスが中盤ダンジョンで来るんだよ…』

「ナビ。愚痴は後だ」

『らじゃ』

 

光が収まりゆく中、短く言葉を交わすジョーカーとナビ。

薄らと二つの影が視認できる程度に視界が広がっていくと、ジョーカーは隣に立つ兄弟子に問いかけた。

 

「執事長さん、どっちメインで殴りたい?」

「どちらかというとニャルラトホテプですね。ジョーカー様は?」

「フィレモン」

「かしこまりました」

 

アザトホースが叩きつけた触腕により、ずばぁん、と大地に亀裂が走る。

分断されるフィレモンとニャルラトホテプ。

ジョーカーはフィレモンの側に着地すると、仮面を切り替えた。

 

「そういえば、何年か前の夏に言っていたな。『次は私だ』と」

「懐かしいな。思えば、大きくなったものだ」

 

激突するアルセーヌとフィレモンの化身。

いくら育成しているとはいえ、力不足だったのだろう。ジョーカーはその衝撃波に吹き飛ばされ、大きく離れていく。

と。その体を寧桜のペルソナ…ガイアが受け止めた。

 

「ありがとう」

「ん。大佐、離れちゃったけど。いいの?」

「大丈夫。新倉さん、装備は使えるか?」

「ごめん、壊れる心配がないなら使えるんだけど、アレ相手だと無理」

「わかった。スキルは?」

「祝福ブースタが3種、魔導の極意、マハンマオン、耐性貫通効果持ちの全体祝福攻撃、コンセ、メディアラハン。スキルじゃないけど、根性で食いしばれる」

「バルルと似た感じか…。渡我さんもか?」

 

ジョーカーの問いに、ヒミコが「ゔっ」と呻き声を漏らす。

 

「あ、あの、勝手なお願いなんですけど、あんまり呼ばないでください…!

新感覚な萌えが爆発します…ッ!」

「………怪盗団なんだろ?そっちの俺とどんな関係なんだ?」

「私が勝手に初恋拗らせて影から見つめてるだけの関係です…!」

「…今は別人と割り切ってくれ。スキル構成は?」

 

すごく覚えのある反応だ。

彼女も二重人格かと疑念が過ぎるジョーカー。

ヒミコもまたそんな場合ではないと切り替えたのか、淡々と口を開いた。

 

「斬撃ブースタ3種、アドバイス、耐性貫通効果持ちの単体斬撃攻撃、チャージ、ヒートライザ、レボリューションの物理特化です」

「……つくづく思うが、スキル構成が似てるのはなんなんだ?」

「突き詰めるとこんな感じでしょうよ」

 

ブースタが強いのが悪い。

ヒミコの言い分に頷き、怪盗団メンバーを守るナビへと目を向ける。

 

「ナビ、聞いたな」

『ん。ヒミコはバフメイン、青プリは回復メインで立ち回ってくれ。

アタッカーはジョーカーな。そっちのが余裕あるだろ』

「わか…、青プリ?」

「なんか変身がプリっぽかった」

「………………」

 

確かにぽいけども。

そんなことを思いつつ、降り注ぐ呪怨の光を祝福で打ち消した。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「そういえば、空将補と戦場に立つのは初めてでしたね」

「向こうは比較的平和だったからな。

…指揮を頼めるか、花園二佐」

「かしこまりました」

「二佐…ってことは、二等空佐…」

「しかも大佐より年下でしょ…?」

「無駄口叩くな。相手はレスバついでに世界を滅ぼしたクソ野郎だぞ」

 

分断され、蠢くニャルラトホテプを前に喝を入れるバルル。

と。それを聞いてか、ニャルラトホテプがさらに激しくうねり、衝撃波を飛ばした。

 

「失礼な物言いだな!

滅びを望んだのは貴様ら人だろうに!!」

「そういう願望を持つ人間がいるのは確かだが、こうしてメメントスの亜種を作るくらいには生存意欲で溢れている人間もいる。

それを否定するならしてみろ。このパレスという確固たる物証がある限り無理だろうがな」

 

バルルの言葉に、迫る衝撃波が弱まる。

と。エンマとピュートーンの放つ魔法が、それを打ち払った。

 

「ふはははっ!受け入れながらも否定するか!

なんとも人間らしい矛盾だ!!」

「矛盾がスタンダードでしょうに。

人を一極化した視点でしか見ずに嘲笑うなど、やってることはスポーツ観戦で『なんだお前使えねーな』とやじを飛ばす中年男性とそう変わりません」

 

志都児がそう返すも、精神の負から生まれたる化身は嗤い声を止めない。

嘲りに呼応するように、放たれる触手、光弾が苛烈さを増す。

 

「随分と人間を高尚なものだと語るじゃないか!滅びを望み!真実を覆い隠し!ありもしない支配に項垂れる罪深き存在だろうに!」

「は?話聞いてなかったのか?

ただの一度でも、私たちが人間讃歌を謳っていたか?

人間は人間だ。それ以上でもそれ以下でもない。遺伝子なり、性別なり、思想なり、言葉なり、重なる部分は星の数ほどあれど、そのどれもが確かに人間という個であるのだ。

それを人の一部に過ぎないお前が一緒くたにまとめて語ろうなど、身の程を知れ」

 

触手と光弾に押されながらも、淡々と理論への否定を返すバルル。

それをどこかで認めてしまっているのだろう。

「受け入れられることに弱い」という己の性質に舌打ちし、ニャルラトホテプは叫ぶ。

 

「なんたる傲慢だ!!

負の面すらも肯定するか!!」

「原罪だろうが。現在進行形でキリストが償っているぞ」

 

世界規模の宗教だ。普遍的無意識にもなにかしら影響をもたらしていることだろう。

付け足すこともなくそう思っていると、ニャルラトホテプの放つ攻撃を避ける傍らでランダマイザを乱発していたシンタローが呆れを放つ。

 

「真面目にレスバすんなよ…。

厄介ごと、まだ残ってるだろ?」

「腹の立つようなガバ理論を正論のように振りかざすのが悪い。

それに、こいつらとの付き合いにも慣れた」

「ひたすらに主語の大きい一極化した主張を押し付けてくるだけなので、言い負かすのはそう難しくないですよ」

「言い負かしたところで迷惑かけてくるじゃないですか…」

 

「言い負かさないと倒せない」と付け足そうとして、やめる。

倒してもどうせ復活して余計なことをするのだ。

下手に目をつけられるような真似は避けた方がいいだろう。

兎にも角にも、これで条件は整えた。

あとは倒すだけだ、と意気込むや否や。

そのことを自覚していたのだろう、ニャルラトホテプがうねり、その熱だけで焼け焦げるほどの光芒を放った。

 

「空将補!!」

「乗れ!!』

 

志都児の指示と同時、バルルはウォリアースタイルへと変貌し、3人を背に乗せて飛び上がる。

光芒が多少羽先を焦がしたが、大したダメージではない。

その光が収まり始めると、間髪を容れず光弾と触手が飛んだ。

 

「くっそ、前よりも強くねーか…?」

「おかしい…。さっきの戦いだけでこれだけパワーアップするかな…?」

「憶測ですが、封印を解いたとスレで知らせたことで沸く悪感情をエネルギーにしているのかと。

一度叩けば霧散しますから、今回限りだと思いますよ」

「タチ悪っ…」

 

辟易に声を漏らし、ニャルラトホテプの能力を継続的に下げるシンタロー。

が、しかし。体に埋まる仮面が輝くと共に弱体化が剥がれ、反撃と言わんばかりに誘導性のある弾幕が襲った。

志都児が展開したザオウゴンゲンによって何発かが防がれるも、撃ち漏らした数発がバルルの体に着弾する。

 

『ぐっ…』

「言葉で我を言い負かそうと、こうして押されているのが貴様らの現状だ!!

なんとも無様だな!己が矮小さを吹聴して回っているのか!?」

『ああ。ネガティブマインドの化身たるお前にとっては小さいだろうな』

「認めるか!!ならば、そのことを悔いながら塵となれ!!」

 

ニャルラトホテプが叫び、再び光芒が迫る。

殲滅力よりも、速度と威力に重点を置いているのだろう。

一筋というにはあまりに大きい。

バルルはそれを避けようともせず、翼を折りたたみ、その内部に呪怨属性の光を灯す。

 

「裁け、エンマ!!」

「飲み込め、ピュートーン!!」

 

どっ、とバルルが急加速すると共に、エンマが展開した祝福属性のベールと、ピュートーンが展開した火炎属性のベールとが混じり、バルルの体を覆う。

ががが、と光芒とベールが競り合う音が響く。

腐っても世界を滅ぼした存在。ニャルラトホテプの力に対抗するには足りない。

バルルはその口から呪怨属性を放ち、欠けたベールを補う。

流石のニャルラトホテプも、光芒の維持は難しかったのだろう。

徐々に押され始め、その距離が縮んでいく。

光芒に薄ら影が見えるようになると、志都児が顔から青い炎を吹き出した。

 

『記憶喪失か?お前が言う小さな人間が、お前を何度も負かしたのだろうが』

「判じよ、サタン・神罰(メギド)ッ!!」

「ぐ、ゔ…っ!?」

 

審判者が放つ裁きが光芒を打ち払い、ニャルラトホテプの体を押し出す。

向かう先は、同じく蓮の真・ルシファーに吹き飛ばされたフィレモン。

2人は抗うこともできず、そのままぶつかり合った。

 

「がっ、くそ、邪魔だフィレモン!!」

「おっ…と、追い込まれたのはお互い様じゃないかね?」

 

散開し、降り立つ転生者たちが彼らを囲む。

総攻撃でトドメを刺すつもりか。

2人がそう身構えた瞬間、竜の影が包囲網を飛び越えた。

 

「『SHOWTIME!!』」

 

いつの間に合流していたのだろう。

バルルとその背に乗ったジョーカーが叫び、反応しきれない速度で2人の懐へと迫る。

彼らに賞賛、罵声を浴びせる暇もなく、2人の体は天へと打ち上げられていく。

 

「『失せろ!!!』」

 

2人の声が重なり、呪怨の彗星が2人を掻っ攫う。

瞬間。大地が大きく捲れ上がった。




転生者パレス…もうズタボロ。カスを封じ込めたので、またズタボロになる未来が見えている。生存意欲が形になったパレスという大前提がなかったら普通に崩壊してる。

カスども…大人しく死神にドナドナされた。餞別にレアドロップ率アップアクセサリーを人数分渡したものの、より高性能なアクセサリーが手元にあるので全員が「要らねェ!!」と怒鳴り散らした。

転生者たち…それぞれが自分の世界に帰って行った。ズタボロだったので皆に心配されたものの、「自己研鑽です」と誤魔化した。

次回からスレに戻ります
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