【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】 作:鳩胸な鴨
『ぐ、ゔぅっ…』
「オチる前になんか言うことあんだろ」
ズタボロになった獅童が膝をつく。
過ぎた傲慢が盾になったのだろう。あの絶対的な破壊力が削ったのは、膨れ上がった彼の自尊心のみ。
立ち上がることすらできない獅童にスカルが促すと、彼は申し訳なさそうに口を開いた。
『……認めよう。お前に罪を着せたのも…、明智の母を捨てたのも、私の保身のためだ』
「一年も経ったぞ。遅い謝罪だな」
「馬鹿野郎。墓に言っても意味ねぇだろうが。
お前のせいで縁切られてたから無縁仏なんだぞ」
『すまない…』
淡々と吐き捨てる2人に詰められ、更にしおらしくなる獅童。
先ほどまでの傲岸不遜極まる態度とは似ても似つかない。
何度となく行ってきた『改心』。
その力の真価を目の当たりにした怪盗団が驚く中、ソルジャーが獅童に問う。
「ストレガと幾月はどこだ?」
『私は知らない。予告を受けてからは姿も見せなかった』
「そうか」
最初から当てにしなかったのだろう。
ソルジャーは淡白に返すと、オタカラである取り舵を銃で弾き落とし、その手に掴む。
やけに軽い。『自分ならば上手く国家を操れる』と言う自信が透けて見えるようだ。
そんなことを思っていると、轟音と共にパレスが揺れ始める。
『ぬぐっ…!?』
「…仮死剤を飲んだか。バカなことをしたな」
「僕たちをどうやっても始末したいみたいだね」
「か、仮死剤…?」
「かいつまんで言うが、獅童が一時的にくたばった。パレスが爆発する」
「ヤバくねぇか、それ!?」
「ああ。ここでくたばるわけにもいかん。
とっとと逃げるぞ。乗れ』
獅童が破裂するのをよそに、ソルジャーが竜へと変貌し、皆を背に乗せる。
誰1人残っていないことを確認すると、ソルジャーは破壊された跡に向けて飛び立つ。
爆炎に包まれ、沈みゆく船。
数年にわたる因縁の終結を前になんとも言えない感傷に浸る面々。
或いは冤罪。或いは血縁。そのどれもが運命だったと言えよう。
『…このまま帰還すれば、空飛ぶ竜として騒ぎになるだろうな』
「初めてじゃ無いし、大丈夫だろ」
「何年か前にテレビで特集やってたよね」
「ソルジャーはマシだけど、ケロン人は往々にして『致命的なところでドジ踏む』っていう呪いがあるからな」
「その呪いが発動しないことを祈るわ…」
『なるべく不安要素は消したが…、ストレガたちがどう出るかわからん。なにせ、私に何度も敗れているのだからな』
「迫る危機は、今は考えずにいよう。一つの節目だ。まずは健闘を讃えるべきではないか?」
『……節目、か』
「………?」
ソルジャーの言葉に違和感を覚え、怪訝そうに眉を顰めるジョーカー。
と、その時だった。
「もう手遅れさ、怪盗団諸君」
そんな声が響いたのは。
皆が警戒を込めてそちらを向くと、機械の少女に抱かれ、ほくそ笑む中年の男と目が合う。
幾月修司。『滅び』に魅入られた挙句、今ある文明を踏み潰し、新たな世界の王となろうと画策する異常者。
獅童よりも遥かに因縁深い相手を前に、ソルジャーが告げる。
『わかっている。この程度で大衆は変わらん』
「いいや、変わるよ。ただ、すがる先がちょっと変わるだけ」
「ああ?何言ってんだ、おっさん?」
眉を顰め、問いかけるスカル。
一方で彼の事情を知るソルジャー、ジョーカーは何かに気付いたのだろう。
彼らは一様に目を見開いた後、幾月を詰めた。
『………まさか、お前…!』
「再び終末思想をばら撒く気か!?」
もし予想通りなら、目も当てられない大惨事になる。
メメントスと現実の境目が曖昧になった今、人々が死を求めればエレボスはすぐさま形を取ることだろう。
そして、生みの親たる人々にその牙を剥く。
週一のガス抜きなど、もはや意味を成すまい。
この男ならばそれをやる。そして、出来る立場に居た。
パレスを丸ごと消し飛ばすべきだった、と2人が後悔するのも遅く。
幾月はくっくっと喉を鳴らし、勝ち誇った笑みを向けた。
「君らにしては気づくのが遅かったね。
すでに仕込みは終わってる。後は終末の時が来るのを待つだけさ」
「今日来たのは勝利宣言ってわけか…」
忌々しげにジョーカーが吐き捨てる。
が、しかし。幾月はそれに首を横に振った。
「いや、少し違うね。
ここで何人か消えてもらおうかと思って」
幾月が告げると共に、機械の少女が何かも判別できない異形を繰り出す。
ペルソナの出来損ないとでも言うべきか。
グロテスクに蠢くそれが吠えると、矢の嵐が竜を襲う。
恐らくはそれに強化が乗っているのだろう。
翼を折りたたんで受けるも、ソルジャーはその激しい攻撃に苦悶の声を漏らす。
『ぬ、ゔゔゔ…っ!!』
「…そうだったそうだった。忘れてたよ。
翼を畳めるんだったね」
幾月が笑い、指を鳴らす。
瞬間。パレスの海の中に隠れていたのであろう。
数多の機械乙女が飛び出し、グロテスクなペルソナもどきの軍団が姿を見せた。
「なに、この数…!?」
「予告状を受けた時から仕込んでたんだよ。確実に潰せるようにね。
もっとも、獅童に夢中で誰も気づかなかったようだけど」
「おいおい、嘘だろ…!?」
まさに絶体絶命。
聳える壁のようにして、ペルソナもどきたちの猛攻が迫る。
最上級のミックスレイドによって消耗し切ったジョーカーらがそれに応戦しようとした、その時。
『…………これしかあるまいな』
ソルジャーが翼を使い、彼らを弾幕の穴へと放り投げた。
「なっ、ソルジャー!?」
「何考えてんだお前!?!?」
風が支配する最中、皆が驚愕を口にする。
遠くなっていく黒の竜。
彼は横目で遠くなっていく彼らを見送ると、迫る猛攻を前に仮面を燃やした。
『同志よ。健闘を祈る』
「バカ言ってんじゃ…」
クロウが怒鳴りつけるより先。
パレスの崩壊が彼らを飲み込んだ。
「バルルーーーーーーッ!!!」
「ふざけんじゃねぇぞッ…!
クソ親父ィーーーーーーーッ!!!」
その日。バルルは帰って来なかった。
♦︎♦︎♦︎♦︎
「………お祝い…ってムードじゃねぇな」
12月18日。重苦しい空気が支配するルブランにて。
獅童が悪事を告白する映像を横目に、惣治郎が沈んだ娘たちへと視線を向ける。
バルルはついぞ戻って来なかった。
獅童の改心を目の当たりにして、その事実を更に重く受け止めたのだろう。
皆が沈黙する中で、若葉と蓮に背をさすられていた双葉がぽつぽつとこぼす。
「………最初はまだ、思えたんだ。あいつのことだから、またモアイにでもなって復活してくるんじゃ無いかって…。
枕元にバルルの魂だかなんだかが落っこちてきてさ。それ持って出掛けて、世界が滅ぶような妙な事件に巻き込まれて…、それで復活して…さ…。でも、でも……っ」
「……双葉…」
「………バルルさん…」
「…………先生…」
どれだけ待っても帰って来なかった。
その一言がどうしても言えない。
言葉にすれば本当になってしまいそうで、怖くてたまらない。
涙として恐怖を吐き出す双葉を前に、他の女性陣も同じように泣き始める。
「…くそッ、あの野郎……っ!!」
「…………」
竜司はその拳を机に叩きつけ、祐介は努めて静かに己が無力を嘆く。
彼が弾幕の隙を縫って投げ飛ばさなければ、全滅していた。
頭ではわかっているのだ。だが、それでも己の無力を許せない。
嗚咽と怒りが混じる阿鼻叫喚を前に、モルガナが静かな表情の蓮と吾郎に問いかける。
「…なあ。お前らは泣かなくていいのか?」
「……全部終わった後にしとくよ」
「どやされるしな」
まだ、大きな仕事が残っている。
仕事人間が極まったバルルのことだ。
それまでに足を止めれば、即座に拳を飛ばすことだろう。
幼き頃の思い出に蓋をして、蓮は決意を告げた。
「メメントスが現実を侵食する12月23日。
我々は世界を奪い取る」
♦︎♦︎♦︎♦︎
「くっそ、どうやっても出れん…!閉じ込めた仕返しのつもりか、あんの闇の皇子(笑)めが…!」
「そう荒れてもどうにもなりますまい。
どれ、菓子でもいかがですかな?特にこの配分で作ったティラミスがわたくしめの『マイブーム』でして」
「……もらう」
その頃、歪みに飲まれたベルベットルーム内にて。
バルルは怪盗団の再起を知ることなく、鼻の長い老人と茶をしばいていた。
バルル大佐/ソルジャー…使い捨ての失敗作にボコボコにされ、コップが確保してるベルベットルームに封印された。イゴールと茶をしばいてる
怪盗団…完全に覚悟ガンギマリモード。ペルソナも揃って三学期覚醒してる。
ストレガ・幾月…一番厄介なの片付けてご満悦。仕込みも終わったし、あとはもう楽勝やろとタカを括ってる。
ペルソナ使いたち…事情を聞いて覚悟ガンギマリモード。エレボスくらいならばったばった薙ぎ倒せる。東京に集まりつつある。
ケロロチーム…事情を聞いて覚悟ガンギマリモード。大佐の故郷の塩を摂取したことによりシャドウへの干渉ができるように。東京に集まりつつある。