【悲報】宇宙人ワイ、小学生屋根ゴミに拾われた模様【助けて】   作:鳩胸な鴨

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24スレ目 繋いだ絆

『ケロロファイヤーッ!!』

 

業炎がエレボスと機械の乙女が織りなす大軍を包み込む。

メメントスと現実が融合して少し。

フランスより呼んだシオン、及びテララによってウォリアースタイルと化したケロロは頭に乗せた冬樹に目を向け、ため息を吐く。

 

『ふぅ、吾輩もまだまだ現役でありますな』

「軍曹、現役軍人でしょ」

『いやあ、最近は大佐殿の指示でペコポン侵略作戦が全面的に禁止されてたもんで。ボーナスも流れてやる気も出なかったし』

「だからここ一年大人しかったんだ…」

 

比較的だが。

そんなことを思っていると、再び湧き出たエレボスの巨影がケロロに迫る。

と、その瞬間。エレボスに凄まじい数のミサイルが突き刺さった。

 

『駄弁っている暇があるのか、ケロロ!まだ出るぞ!』

「あーもう、しつこいっ!!」

 

助太刀に入ったのは、ウォリアースタイルと化したギロロと武装した夏美。

倒せど現れる機械乙女を引き裂く中、視界の一角が氷で包まれる。

 

「アルテミシア!!」

「ハラエドノオオカミ!!」

 

そこに居たのは、桐条が保有する組織…シャドウワーカーの長たる美鶴と、現役警官である里中千枝。

彼女らは冬樹たちに駆け寄り、何匹目かもわからないエレボスを砕く。

 

「冬樹くん、夏美ちゃん!…っと!」

『倒しても倒しても湧いてくるな…!』

「やっぱり元叩かないとダメなんじゃない?

鳴上くんの『幾万の真言』でも押し切れるかどうか…」

 

一角でそれらしき光は見えるが、絶えず連発されているあたり、押し切れてはいないのだろう。

有里湊の操るペルソナらしい影は見当たらないが、彼もどこかで戦っているはず。

過去に起きた事件とは比べ物にならない惨事を前に皆が冷や汗を垂らしていると。

ケロロが愕然と声を震わせた。

 

『大佐殿より入電…!?』

『やはり生きていたか…!読み上げろ!!』

『「こちらで決着をつける。それまで耐えてくれ」!

…以上であります!!総員、作戦再開!!』

「「「『了解!!』」」」

 

決着は時間の問題。

今は、誰1人気にしないこの脅威を退けることのみに集中すべきだ。

皆が気合を入れ直す中、ケロロと冬樹は聳える塔へと目を向けた。

 

『大佐殿…、頼んだであります!』

「皆、頑張って…!」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「聖杯へと向かう一本道か…」

「迎え入れているのか、それとも誰かが繋いでくれたのか…」

「後者だろう。ベルベットルームを抑えたくらいだ。勝ちの状況をわざわざ潰すようなバカはしない」

 

その頃、怪盗団はと言うと。

補給と回復を済ませ、聖杯へと続く骨の道を突き進んでいた。

過去とは違う、更なる力をつけたペルソナを駆使し、道を阻もうとなだれ込むペルソナもどきたちを退けていく。

どれだけの数を保有していたのだろうか。

もしかすると、パレスの中で量産していたのかもしれない。

推察を広げていると、機械乙女が見当たらない、開けた場所に出る。

 

「おや、来ましたか」

「待っとったで、裏切りモンが…!」

 

立つのは、ストレガ。

やはりと言うべきか、ここにいる以上は悪神の駒なのだろう。

その瞳は人の姿を取ったソルジャー、そしてクロウへと向けられている。

 

「ハナから味方じゃないよ。

アンタらの仕事を手伝った記憶はないからね」

「本来の寿命よりも長く生きてるんだ。

少しは緩和したと思っていたが…、どうやらそういうわけでもないらしい」

 

薄々わかっていた。彼らの根がそう簡単には変わらないことを。

桐条の被害者とはいえ、その一言で片付けられる段階はとうに過ぎた。

立ちはだかる者として怪盗団が警戒する最中、ストレガの1人…タカヤが高らかに叫ぶ。

 

「見なさい、この光景を!人が望んだ、退廃の世界を!

これこそ私たちが生きる本来の世界!誰しもが己を偽らない、理想の世界です!」

「馬鹿も休み休み言え」

「動物以下の理論ね」

 

フォックス、クイーンが切り捨てる。

タカヤはその言い分を心底理解できないと言った顔を見せ、首を傾げた。

 

「何故、頑なに認めようとしないのです?

誰しもが抑圧されることに慣れ、考えることをやめている。

そうするだけで救われる理想の世界が、今まさに生誕したのです。

他でもない、数多の人に求められたことで。

それは素晴らしいことではありませんか?」

「なに勝手こいてやがんだ!?」

「こんな世界、認めるわけないでしょ!!」

「気に食わないからと頭ごなしに否定する…。

この理想世界を望む人間となんら変わりないではありませんか」

 

怪盗団にとっては、これ以上ない侮辱。

それに2人が憤慨しようとすると、クロウが手で諌めた。

 

「彼らは僕らの中でもとりわけ頭が残念だからね。自分の意見を言語化するのに時間がかかるから、とりあえず結論を言ってるだけさ」

「「おい」」

「代わって言うが…、お前の言う理想世界。

そこに住む人間に、『考える自由』はあるのか?」

「………どういうことです?」

 

ジョーカーの問いに、疑問を呈するタカヤ。

彼は少し咳払いすると、仰々しく語りかけた。

 

「人は人の数だけ『思想』がある。

多少似通っていたりはするが、全く同じものなどない。

お前たちがやっているのは、それを一緒くたにカテゴライズして、新しいものを排除する『弾圧』だ。

かつて対立していた桐条…、影時間を、滅びを否定したSEESに感じていたものを、お前たちが許せないだけじゃないのか?」

「だから、私たちを弾圧し返した。そういうことだろう?」

 

タカヤの表情は消え、ジンの表情が歪む。

あまりの怒りに耐えきれなかったのだろう。ジンは召喚器を手にし、地の底から這うような声を漏らす。

 

「コイツ、言わせておけば…っ!!」

「…………否定はしません」

「タカヤ!?」

「ですが、それがなんだというのです?

その意見も、もはや消える。私たちは分かり合えない運命にあるのです」

 

どれだけ喚いても手遅れ。

そう告げるタカヤに、ジョーカーたちは深く頷いた。

 

「そうだな。問答は無駄だ」

「だから、任せることにする」

 

言って、怪盗団が一歩下がる。

それにストレガが疑問を浮かべるより先。

 

「『『ペルソナッ!!』』」

 

ずごぉっ、と広場が大きく捲れ上がった。

ストレガが咄嗟に身を翻し、広がる光芒を避けると。

遥か天より四つの影が降り立った。

そこにいたのは、かつての宿敵たる有里湊と、ウォリアースタイルへと変貌したバルルの元部下、テルル。

その背後には、テルルのペルソナであるオーガスト、そして死神アルカナの最奥たるタナトスが剣を手に佇む。

特に目を引くのは、タナトスが握る剣。

この世界のストレガは知らぬことだが、その剣はかつて降臨した『ニュクス・アバター』が握っていた剣と同じもの。

身の何倍もあるそれを軽々と振るい、タナトスはストレガらを睨め付ける。

 

『湊、綾時、やれるか?』

『この姿は久々だからどうかな…?』

「手綱は握るよ。好きにやって」

 

かつての宿敵の迫力を無視できず、怪盗団がその隙を縫って飛び上がっていく。

ストレガは忌々しげに2人を睨み返し、得物を手に取った。

 

「「「『『ペルソナァッ!!!』』」」」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「ふむ…。どうやら失敗したらしい。

言いつけを守らず殺しておくべきだったかな」

 

駆けていく怪盗団を睥睨し、1人呟く幾月。

彼は背後に控えた機械乙女の大軍を見やり、あっけらかんとした態度を崩さない。

 

「まあ、いいや。ここで止めれば問題ないし」

『幾月修司よ』

 

一度の成功で舞い上がっているのだろう。

次も上手くいく、と思い込んだ彼に、荘厳な声が投げかけられた。

 

「これはこれは、聖杯様…。

如何されたので?」

『邪魔者の排除は失敗に終わったようだな』

「ええ。ですが、ご心配なく。

すでに一度倒した相手です。次も問題なく…」

『そうか…。だが、万が一ということもある。

私が力を授けてやろう。お前が望む、滅びを叶える力だ』

「っ!ありがたき幸せ…!!」

 

まさしく僥倖。

怪盗団やペルソナ使いたちを倒しても、聖杯が倒せないのであれば、闇の帝王となる幾月の野望は叶わない。

力が聖杯由来というのは癪だが、そこは目を瞑っておこう。

幾月が浮き足立った、まさにその時だった。

彼の体に、想像を絶する激痛が走ったのは。

 

「が、は…!?!?」

 

力を与えたことによる作用だろうか。

そう判断した幾月が何気なしに地面に置いた手を見る。

そこにあったのは、大きく歪んだ手。

かつて降臨したニュクスとは程遠い、グロテスクな肉の塊がそこにあった。

 

「は…………???」

『お前の望む「滅びに近い姿と力」をやろう。ただし、元はただの人間。いくらか力は落ち、思考も鈍るだろうがな』

 

肉が、骨が、存在が、歪んでいく。

ふははは、と嘲笑が響く中、幾月は掠れていく目を聖杯がいる方へと向けた。

 

「き、さ、まっ………!!」

『心地よい滅びの中で、私が世界を統制する様を見ているがいい』

「あ、が、がぁぁあああああっ!?!?

だ、だれがっ、だれが、だずげ、あばば、ばがぎゃぁああああっ!?!?』

 

めぎぎぎぎっ、と音を立てて幾月の体が膨れ上がっていく。

聖杯はその光景を前に、冷ややかな声を漏らした。

 

『なんと愚かなことよ。……む、来たか』

 

聖杯は言うと、意識を機械乙女を巻き込んで変貌していく幾月から逸らす。

そこにいたのは、怪盗団。

その殆どが変貌に戦慄き、顔を驚愕に染めている。

パレスでの変貌とは明らかに違う。

あまりに凄絶な光景を前に、ナビがわなわなと声を漏らした。

 

「どういうことだ…!?

シャドウが幾月の体を食い破って融合してる…!?」

「なんと醜悪な…」

「確かに罰せられるべき人だったけど…」

「似合いの末路…と言う気も失せるな」

 

口々に同情、そして呆れを漏らす。

そうしているうちにも変貌が進み、やがてそこにある幾月のものらしい、歪に膨れ上がった眼球が彼らを見下ろした。

 

『ほ、ろろろろ、びびびび……』

「…おいっ、コップ野郎!!

どーせテメェの仕業だろ、コレっ!!」

『勘違いするな。それはこやつが望んだ姿。

私はただ、そこに至るだけの力をやったに過ぎん。

尤も、器として未熟だったコイツでは力を扱いきれず、こうなってしまったがな』

 

聖杯としてもこれを自分のせいと言われるのは心外だったらしい。

べた、べた、と何本もの足で近づくソレを前に、ナビが叫ぶ。

 

「来るぞ、みん…」

 

と。ソレを遮るように紺、水色、黄色の竜が、幾月だったものを弾き飛ばした。

 

「タママ、ドロロ、クルル…?」

『ここは我らが引き受けた!』

「てめーらはあのコップを片付けやがれ!」

「蓮くーん!バルルさーん!頑張ってー!」

 

ツノの部分にそれぞれのパートナーが乗っているのだろう。

それぞれが思い思いにエールを送る中、怪盗団の前に使い潰されたリュックサックが落ちる。

間違いない。過去に何度も受け取ったのと同じ、補給物資が入ったものだ。

ジョーカーがそれを拾うと、サブローたちの声が響く。

 

「補給物資だよ!存分に使って!」

『一万円』

『こんな時にまで金取るんスか…』

「……皆、ありがとう」

 

小さく礼を溢し、聖杯が待ち構えているであろう塔を見やる。

彼らは顔を見合わせると、その中へと飛び込んでいった。




タナトスin綾時…ニュクスが転生者パレスに閉じこもってるので、意識だけこの世界にやって来れた。湊が持つタナトスとの親和性が高かったためか、ニュクス・アバター時の力を一部使えるようになっている。

幾月だったもの…もらった力でニュクスをその身で再現しようとした結果、出来損ないになった。聖杯はただ力をあげただけなのでガチで何にもしてない。全部コイツが妄想した通りになっただけ。それが意図しない形だったとしても。見た目はメタファーに登場する強敵…ニンゲンに近い。

ストレガ…足止めするつもりが、完全に湊とテルルのコンビに意識を持ってかれた。
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