随分遅れてしまいました。申し訳ない...
時間殺人時間ですが、一つ言いたい事があるとするなら...
次章はドンキホーテだぞ?なんでここにきてロージャが曇り始めてんですかプロムンさん?
ほんとに...ありがとうございます。栄養にさせていただきます
代理団長を初めに見た時、実力はあれど、ガイアに匹敵する程の力や覇気は有していないという印象だった。
机の上に膨大な書類もあった事から、戦闘の類よりも事務作業や情報処理の方面に長けている人物なのだという雰囲気すらあった。
...だが、今私の目前にいる彼女はまるで別人だ。
隙のない構え、逃がしなどしないという執念の目、少しもブレる事のない剣先。
ガイアにも負けず劣らずの強さが、そこに現れていた。
そして、其処には明らかに動揺している私もいた。
完全に想定外だ...!
仮に遭遇するのであれば、ガイアかあの赤髪の男だと踏んでいたが...
まさか彼女が出てくるとは...
気絶で留めたとはいえ、流石にやりすぎた様だ。
落ち着け...呼吸を繰り返せ...思考しろ...
ガイアと遭遇する事を想定し、笠は外してある。
その上、服装も月影に隠れている故、まだ此方の正体は割れていないはずだ。
ならば、この状況でも私のする事に変わりはない。
彼女から逃げ切り、エンジェルズシェアに向かう。
ただそれだけだ。
だが、彼女もそう簡単に逃がしてくれない事は明白だ。
だからと言って、彼女の無力化が可能かと言われればそれもまた厳しい。
...しかし、それはあくまで武力による無力化だ。
其処にいるもう1人の騎士を人質に取り、脅迫すれば実質的な無力化も可能だろう。
この距離であれば、彼女が私に追い着くよりも先に人質を取れる。
状況が状況だ、手段を選ぶ暇はない。
ダッ!
地面を蹴り、標的の騎士に向かい駆け出す。
そして...
!!
何だ...何か来る!
突然、代理団長のいる方向から凄まじい速度で迫る何かを感じた。
足を止め、今度は後退のためにもう一度地面を蹴った。
ゴオォ!!
何かは私が先程までいた空間を貫き、私の目前で突風の様な風を生じさせた。
その風圧に逆らう事なく更に後退し、面を上げた所で漸くその何かを確認できた。
それは、代理団長の剣...否、厳密に言うならば、彼女の突きだった。
あの距離を一瞬で...!
通常の突きならば、あの速度や風圧を出せるとは思えん。
つまりは神の目を...それも恐らく風元素のものを所持しているのだろう。
「そこの君!」
「え...ジ、ジン団長!?」
「大聖堂前にいる倒れた騎士団員達の手当てをしてくれ!」
流石に此方の思惑に気付かれたか。
分かってはいたが...やはり此処でも剣を交える事は避けられない様だ。
「し、しかし...」
呼吸と体勢を整え、"抜剣"の構えを取る。
向こうもそれに気付き、剣を構えた。
「西風騎士たるもの
ダッ!
一撃に力を乗せろ...
迅速に行動せよ!」
ガギィィィン!!!
「...了解しました!」
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「っ...!」
重い!
まともに食らえば体が真っ二つにされてもおかしくない威力だ!
こんな化け物、なぜこのタイミングで...?
まさか...風魔龍となにか関係が !
ギィン!
くっ...!
この男を探るのは後だ、今はこの男を捕らえることに集中しなくては!
...だと言うのに。
右薙ぎ...斬り返し...刺突...
流れるような攻撃にこちらは防戦を強いられ、まともに攻撃も出来ない状況だ。
このままでは、捕らえるどころか足止めできるかすらも怪しい...
だが攻めている以上、隙は必ず生まれる。
そこを突くことができれば...勝機は十分にある。
そして、その瞬間は思いのほか早く訪れた。
ザッ...
男は大股になり、剣を鞘にしまった。
一呼吸分の間が過ぎると、こちらの防御ごと叩き斬る勢いで腕を振るった。
私はなるべく最小限の動きでそれを回避し、間髪入れずに構える。
そして、風元素の力で吸い寄せ、"風圧剣"で男を貫く !
はずだった。
ゴッ
な...
貫く直前、顎に衝撃を受けたことで脳が揺れ、全身から力が抜ける。
気絶しないよう意識しながらも、私は脳裏に疑問を浮かべた。
なぜだ!?まだ向こうは体勢を立て直せてないはずだ!
感触からして拳ではない...一体何で殴られた!?
正体を暴こうと必死に視線を前に向けると...男はもう片方の手で鞘を握っていた。
その時に気づいた。あの明らかな大技はこちらを誘っていたのだ。
大技の予兆を見せ、その隙を突こうとしたところを鞘で仕留める。
私はまんまとそれに釣られたのか。
いや、違う!今考えるのはそんなことではない!
今は...今やるべきことは、死んでもこの男を止めることだ!
カチン...
恐らくトドメを刺すつもりなのだろう。
男はもう一度、剣を鞘にしまった。
せめて、相打ちまで...
バサッ...!
!?
そして、風の翼を広げた。
なぜだ...まさか!?
「ま、待て!」
タンッ...
精一杯声を荒げた所で意味はなく、男が少し飛ぶとどこからともなく現れた上昇気流によって空へ舞い...そのままモンド城の城外へと消えていった。
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風の輪に導かれながら滑空していると、モンド城の裏門が見え始めた。
落ち着いて着地し、笠を被る。
西風騎士団を警戒しながら門をくぐると...
「おーい、こっちこっち」
左側、それもやや上から声が聞こえた。
視線を向けると石柵に腰を掛けたウェンティが此方に手を振っていた。
「ウェンティ殿か」
「どうやら、ちゃんと逃げれたみたいだね」
「あぁ、世話になってしまったな」
「『上昇気流を出すから彼女を遠ざけろ』と突然聞こえた時には少し驚愕した」
「あの声と上昇気流も神故の力か?」
近場にあった階段を上がりながら、問い掛ける。
「そう思うかい?」
返って来たのは実に彼らしい返答だった。
「それはそうと君、あそこまでやる必要はなかったんじゃないか?」
「十分な距離さえ取ってくれればボクとしては良かったんだけど」
...見ていたのか。
「...承知した、次からは心掛けよう」
「所で蛍殿達とは合流したのか?」
「うん、すぐそこの建物がエンジェルズシェアだよ」
ウェンティが指差した建物の外には机と椅子がいくつか置いてあり、まさしく酒場といった雰囲気だった。
「それじゃあ早速、次の作戦会議をしよっか」
ウェンティはそう言うと、意気揚々と入店した。
私もそれに続き入店すると...
「そいつがさっき君が言っていた最後の協力者か?」
あの時見た赤髪の男が私を凝視してきた。
何故ここにこの男が?
ウェンティが協力を仰いだのか?
「うん、そうだよ」
「キムサッガッだ、まだ新米だが冒険者をやらせて貰っている」
「ほぅ、礼儀はなってるみたいだな、君と違って」
ウェンティが「えへ」とだけ言うと、男は呆れた様子で此方へ向き直った。
「ディルックだ、アカツキワイナリーのオーナーをやっている」
「よろしく頼む」
私とディルックが短い自己紹介を終えると...
「キムサッガッ!やっと来たな!」
「お前が来るの遅いからオイラ達心配していたんだぞ」
「怪我はない?」
蛍とパイモンが席から立ち上がり、此方に歩いてきた...否、パイモンの場合は飛んできたと言うべきか。
「問題ない、気遣い感謝する」
それにしても、私が心配されるとは...
かなり久しい感覚だ。
その様な事を考えていると、ディルックが口を開いた。
「それにしても...まさか天空のライアーを盗もうとした人間がこんなにいるとはな」
ん?
「待て、彼は我々がライアーを盗み出そうとした事を知っているのか?」
「彼女らが店に来た直後に衛兵が来て『天空のライアーを盗もうとした泥棒を見なかったか?』と聞いてきたんだ」
「それで気付いたのか?」
「その前に、そこにいる吟遊詩人が
「...成程」
とはいえ、ウェンティがこの店を選んだと言う事はそれだけこの男を信頼しているのだろう。
それなら寧ろ、心強い味方が1人増えたと考えるべきだな。
「そういえば、天空のライアーはどうなった?」
「それなんだけど、実はだな...」
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「そうか、その様な事が...」
パイモン曰く、天空のライアーの目前までは到達できたが、手に取ろうとした直前で他の者に横取りされてしまった様だ。
その上、守衛にも発見されてしまい急いで大聖堂から脱出して来たと言う。
「横取りした者に心当たりは?」
私が問い掛けると、ディルックが即答した。
「"ファデュイ"だろうな」
「ファデュイ?」
またしても聞きなれない単語が耳に入り、聞き返す。
「七国の内の1つ"スネージナヤ"からの使者だ」
「奴らは任務の達成のためならば、どんな手段でも用いる」
「今回の件に絡んでても、なんらおかしいことじゃない」
「モンドで活動しているファデュイは僕の方で調べておこう」
「じゃあ、オイラ達は...」
パイモンがしばらく考える素振りをすると、再びディルックが口を開く。
「特にやることがないなら、体を休ませることを勧める」
「もし本当にファデュイの仕業なら、奴らとひと悶着するだろうからな」
「じゃあボクはお酒でもいただこうかな?」
「...では今日の夜、酒場の営業が終わった後、ここで合流しよう」
そう言われ窓を見ると、外は明るくなっており、新たな一日が既に始まっていた。
戦闘描写難しい~...
かろうじてクリティカル要素を入れてみたけど、分かりづらいかもしれません
都市紹介のコーナー
今回は前回ちょっと話した「12協会」について
都市には協会という12つの組織が存在する。
それぞれの教会は各分野に特化しており、その分野に合った依頼や事件を対応している。
一部の例を挙げると、ツヴァイ協会は治安を、シ協会は暗殺を、リウ協会は全面戦争を得意としている。
また、前回名前が出たハナ協会は最も位の高い協会であり、事件の危険度やフィクサーの階級等を決めている。
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