お久しぶりです、そしてお待たせしました
リアルが忙しかったり、ゲームに勤しんでたり、サボったりしてたらこんなに時間が経ってましたごめんなさい
このss、2024年の2月29日に1話目が投稿されているから実は1年たってます、恐ろしいですね()
それはそうと、お気に入り登録が100人を超えてました...こんな超不定期更新なのに...皆様本当にありがとうございます
これ以上更新までの期間を伸ばさないように頑張ります
キムサッガッがファデュイの攻撃を避けた時、彼の目が一瞬光った気がした。
顔は見えなかったけど、笠の隙間から青い光が漏れ出たような...そんな感じだった。
その次の瞬間
ズバン!!
「...は?」
腕が宙に浮いて、私とディルックは反射的に足を止めた。
ブシュウ!!
「は、えッ、う、腕が!!お俺の腕が!!!」
ファデュイの男は武器を離し、血が噴き出す自分の腕を必死に掴んだ。
反対に、キムサッガッはごく自然な様子で刀に付着した血を払った。
「あ、あいつ...今腕を切ったのか...?!」
パイモンは口に手を当てて酷く驚いた様子だ。
多分、私も似たような表情をしてるんだろう。
「開けろ、然すれば命だけは助けてやる」
笠から殺意の籠った声が聞こえる。
言ってないはずなのに「余計な事をすれば殺す」と聞こえた気がして、つばを飲む。
腕を失った男も呼吸する事だけに徹底していた。
そうして、震える手が服の中へ潜ると...
ガラララ...!
重々しい音が鳴って、天空のライアーを囲む檻が上がった。
「...回収しろ、旅人」
「僕は
「...旅人...行こうぜ」
...何も言わずに頷いて、パイモンと天空のライアーに近づいた。
そして、慎重に手に取る。
「よし...今度こそ天空のライアーを手に入れられたな」
そういえば、大聖堂で見た時には気付かなかったけど、天空のライアーからは風元素の力がほとんど感じられなかった。
ウェンティはこのライアーでどうやってトワリンを救うつもりなんだろうか。
そんな事を考えながらライアーをしまうと...
「失せろ」
背後からキムサッガッの声が聞こえた。
振り返ると、ファデュイの男がいた位置には血だまりはしかなく、キムサッガッは既に刀を鞘に収めていた。
ディルックは顔をしかめてその光景を...いや、正確にはキムサッガッを見ていた。
少し後になって、ディルックも大剣をしまうと...キムサッガッの胸ぐらを掴んだ。
「お前...どういうつもりだ?」
ディルックは疑問に思う声というよりは、怒りをぶつけるような声でキムサッガッに聞いた。
「...檻を解除するのに、あの者を殺すのは悪手だ」
対して、キムサッガッの声は感情が全くないと感じる程に冷たいものだった。
それはさっきの息の詰まるような声色じゃなかったけど、それでも十分に異質なものに感じた。
「奴を殺してしまえば情報は失われ、檻を開けるのがより困難となっていただろう」
「とはいえ、今回はあの者が檻を開ける手段を持っていた故、殺してしまっても問題は...」
「そういう事を聞いているんじゃない!!」
「何故腕を斬ったのかを聞いているんだ!情報の確保が目的なら、気絶させてから拘束して吐かせる方法でも良かったはずだ!」
「否、それでは不十分だ」
「なんだと?」
「五体満足の拘束では、相手が素直に情報を吐くとは到底思えん」
「無論、身体を傷つける事なく吐かせる方法もいくつかあるが...時間がない今の状況ではそれをする余裕はない」
「だから腕を斬って、命を脅かすような事をしたのか?」
「先程も言ったが、命までも奪おうとした訳ではない」
「それに元を辿るのであれば風魔龍を操り、モンドの者達の命を脅かそうとしていたのはファデュイのはずだ」
「先に危害を加えたのは向こうだから、こちらからは何をしてもいいと?」
「少なくとも、私に対し敵意と武器を向けた者をどうしようと私の勝手だ」
「...」
ディルックは説得を諦めたのか...それ以上踏み込もうとせず。
キムサッガッも黙ったままでお互いに睨みあっていた。
パイモンはなんとか場を和ませようと口を開いたが...その口はすぐに閉じられた。
...そして、ただ沈黙が流れるこの空間で私が出来たのは彼らの仲を取り持つ事でも、パイモンのように場を和ませるようとする事でもなく
「...とりあえず、天空のライアーは取り戻せたし、戻ってウェンティたちと次の作戦を立てない?」
目の前で起きた事から意識を逸らす事だった。
蛍が提案した後、パイモンが彼女の意見に同調した事で我々はすぐにエンジェルズシェアに戻った。
待っていたウェンティとジンは雰囲気が悪いのを気にして声をかけたが、ディルックが「気にする必要はない」と言い、直ぐに本題に入った。
「懐かしいなぁ、風が流れるような模様と薔薇の木の木材、そして星鉄の弦」
「うん、本物の天空のライアーのようだね」
ウェンティは蛍から天空のライアーを受け取ると、懐かしむように弦や模様をさすった。
「どうだ?それでトワリンを呼べそうか?」
「残念だけど、今はまだ無理だね」
「天空のライアーは千年もの時を経て"風"の力が枯れてしまった」
「こんな状態じゃ、トワリンはもちろん人々を集めるのも難しいんじゃないかな」
「おい!そんなことのために天空のライアーを使うんじゃないだろ!」
「えへっ」
「『えへっ』ってなんだよ!」
「とにかく、トワリンと話すにはこれだとまだまだ足りない」
「そこで...君の出番だ!異邦人」
「私?楽器の修理はした事ないよ」
「安心して、君が修理するわけじゃないから」
「トワリンの涙の結晶はまだ持ってるよね?」
「もちろん」
「それを天空のライアーに落としてくれ」
ウェンティに言った様に、蛍は結晶を取り出し天空のライアーに涙を落とした。
次の瞬間、ライアーは一瞬だけ光に包まれ、次に見えた時には見た目が変わっていた。
「よし、想像通りだ」
「何だか...どんどん若々しくなっていくな...」
「ジン団長も一緒にか?」
「...天空のライアーの話だ」
ジンの言う様に天空のライアーの木材は白い石材のような材質になり、銀の装飾は金の装飾に変化していた。
恐らく、これが本来の姿なのだろう。
「君が結晶を浄化してくれたおかげで、ライアーの"風"の力がこれ以上枯れることはなくなった」
「ただトワリンと話すにはもっとたくさんの涙が必要だ」
「どうやって涙の結晶を集めるの?」
「トワリンは、今でもひとけのない所で一人泣いている」
「苦しみを抱えてね...」
「つまり...魔物がいる事で人が近寄らない場所、あるいは単純に人が来れない様な場所にある可能性が高いと言う事か」
「...これは栄誉騎士だけが抱える問題じゃないな、私達もすぐに行動に移そう」
「もし涙の結晶を手に入れたら、また旅人に浄化を依頼させてもらおう」
「任せて」
話しが纏まり、次に為すべき事が明白になった所でディルックを一瞥した。
彼は私を警戒してる様で、睨む様な鋭い視線を此方に向けていた。
暫くすると、ディルックは此方の視線に気付いたのか、視線を蛍達の方に移した。
「...お前のことを吟遊野郎って呼んでやる!」
パイモンの一際大きな声が耳に入り、私も視線を戻す。
何か問題が起こり揉めているのかと思ったが...そう言う訳ではなく。
「アハハ、中々いいネーミングセンスだね」
「ボクの新しい詩に出したいくらいだよ」
ただウェンティがパイモンを揶揄い、パイモンがそれに対し怒りを表しているだけだった。
「う~...フンだ!早く行こうぜ、旅人!」
「あっという間に結晶を集めてこいつを驚かせてやる!」
そう言い、パイモンが旅人と共に外へ出ようとすると...
「悪いが、僕も今回はパスしようと思う」
ディルックがその足を止めた。
「ディルックの旦那もか!?」
「少しやらないといけない事が出来てしまったんだ」
「それが終わったら僕もすぐ合流する」
「...まさかジン団長やき、キムサッガッも残るなんて言わないよな?」
先程まで意気揚々と話していたパイモンが私を見たその途端に勢いを失った。
やはり、あの出来事でかなり距離が開いてしまった様だ...
「あぁ、これはモンドとトワリンの命運が懸かっている重要な任務だ」
「君たちと同行させてもらおう」
「私も行こう」
「とはいえこの辺りの土地勘はない故、あまり貢献は出来ないかもしれん」
「そこは私に任せてくれ」
「騎士として捜索には自信がある」
「おぉ!頼もしいな!」
「もしかして、もう目星が付いてるとか...?」
「いくつか候補となる場所がある」
「まずはそこを捜索してみるとしよう」
ジンがそう言い、我々は涙の結晶を探しに扉を開けた。
...扉が閉じるまでの間、ディルックが私から視線を逸らす事はなかった。
ちなみに遅れた理由の8割は今回みたいなギスギスした雰囲気を書けなかったからです
あとから見て解釈違いに気付くとマジで死にたくなるから、何度も書き直しました
とはいえ、後悔はしていない
個人的に一番マシな展開になったと思う
それから、都市紹介のコーナーも前回ので終わりにします
このssで必要そうな知識は全部出したからもういいかなぁと
「あれもあった方がいい」という方は感想に書いてくれるとありがたいです
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