守れなかった剣は風元素で舞う   作:大鳥のランプ

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一週間ぶりの更新です

いや〜6章ティザー公開されましたね(約一週間前)
キャシーの手紙が思ったより辛辣で笑っちゃった


龍の涙

神殿の出口で振り返り、死んだヒルチャール達に対して一礼する。

 

 

神殿の外へ出ると、曇っていた空は雲1つない快晴になっており、暖かい風が吹いていた。

この様子を見るに蛍の方も無事成功したのだろう。

 

風に暖かさを感じながら歩き始める。

同時にこれからすべきことを考え始めた。

 

モンドの暴風の件が解決したとはいえ、風魔龍の件は解決していない。そして仲間の捜索を騎士団に仰ぐには風魔龍の件を解決しなければ難しいだろう。

ならば風魔龍を殺すことに...

 

 

待て、騎士団は風魔龍を殺すつもりなのか?

思えば、風魔龍を殺せばモンドの暴風も解決したはずだ。

 

...神殿の力で強化されていた風魔龍との戦闘を避けた?

否、それならば力の破壊と同時に奇襲を仕掛ければ良い。

となると、風魔龍本体の戦闘能力が高いもしくは...

 

()()()()()()()()()()()

 

四風守護...4つの神殿...その内の3つ...

もしや...風魔龍は四風守護の1つなのか?

 

...あくまで憶測だが、そう考えれば騎士団が風魔龍を殺す選択を取ろうとしない事にも合点がいく。

しかし...騎士団に殺すつもりがないならば、この問題をどう解決するつもりなんだ?

 

...報告のついでに代理団長に聞いてみるとしよう。

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日が沈み始めた夕方頃、騎士団本部に到着し、団長室の扉をノックする。

 

コンコン

 

「誰だ?」

 

「キムサッガッだ、ガイア殿に報告の代理を頼まれて来た」

 

.........

 

返事がない。

耳を澄ますと、中から数人の話し声が聞こえてくる。

もしや会議等の何かをしていたか?

 

「すまん取り込み中だったか?」

 

「いや問題ない、入ってくれ」

「君にも見てもらいたいものがある」

 

見てもらいたいもの?

よく分からんが、断る理由もないため部屋に入った。

 

「失礼する」

部屋に入ると代理団長とリサ、そして蛍とパイモンが真剣な顔つきをして何かを見ていた。

 

其処には雫の形をした結晶があり、強い紅色を放っていた。

 

都市産の物や剣契の所有物を少し期待していたが...残念ながらそう上手くはいかないようだ。

 

「これに見覚えはないか?」

 

「ないな、これは一体?」

 

「不純物が混ざった結晶...としか今は言えなくてね」

「そこの可愛い子ちゃんが持ってきてくれたのだけれど、正直よく分からないのよ」

 

可愛い子ちゃん...

 

「あなたが何か知っているかと思ったけど、その様子じゃ知らなそうだし...やっぱり古代の文献を見てみるしかなさそうね」

 

「ではこの結晶はリサ殿が持つことに?」

 

「それがこの結晶、神の目との相互排除を起こすようで私やジンが触ると痛みが走るのよね」

「だからこれは可愛い子ちゃんに持ってもらうわ」

 

「わかった」

 

「不思議な現象だ...」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とは...これに何か心当たりがあったりは?」

 

蛍が首を横に振る。

 

「そうだろうな...」

「では、勝手な願いではあるが、蛍には栄誉騎士の爵位を受け取ってもらいたい」

 

「西風騎士団の栄誉騎士!?」

 

「それから、キムサッガッとパイモンにも代理団長として感謝をさせてくれ」

「そして、この謎の答えを見つけるためにもう一度皆の力を貸してくれないか?」

 

「もちろんだぞ!」

私含め、その場にいる全員が頷いた。

 

 

 

蛍とパイモンが部屋から出ていった後、私は代理団長に話しかけた。

「すまんが、協力する上でいくつか質問がしたい」

 

「わかった、答えられる質問なら何でも答えよう」

 

「では其の一、風魔龍は四風守護のうちの1体なのか?」

 

「その通りだ、正確に言えば四風守護だった...だな」

 

過去とはいえ四風守護ではあったようだ、それならば...

「其の二、風魔龍の対処はどうするのだ?四風守護であった以上、殺すという選択を取るとは思えん」

 

「...これは私の勘だが、蛍が持ってきてくれたあの結晶が解決する鍵になると思っている」

 

「あの結晶か...」

 

「すまないな、こんな曖昧な回答をしてしまい」

 

「...否、今思えばあの竜巻に唯一飲まれたのも、風魔龍を撤退させたのも、確かに蛍殿だ」

「結晶に関しては分からんが...少なくとも彼女が鍵となるという考えには私も同感だ」

 

蛍と言えば...

「そういえば、彼女が神の目を持たずに元素の力を扱えるのというのは本当か?」

 

「あぁ、それはだな...」

 

「私から説明するわ」

 

リサが手を挙げ、説明を始めた。

 

「あの子に神の目がないのは知ってるわね?」

「あの赤い結晶と相互排除を起こさないことからもそのことは分かると思うわ」

「不思議なのはここからで、彼女にはなぜか元素が流れていて、その上に元素の力を扱えるの」

 

「それができるのは神の目を持っている者だけでは?」

 

「えぇ、その認識で間違いないわ」

「ただ可愛い子ちゃんはちょっと特殊でね...モンドだけじゃなくテイワット中で見てもあんな子はいないわ」

 

テイワット...文脈から察するにこの世界自体の名称だろう。

 

「なるほど、完全な例外という訳か」

やはり彼女が鍵になる可能性は十二分にあるな。

 

「他に何か質問はあるか?」

 

「十分だ、感謝する」

「何か進展があれば冒険者協会に伝えてくれ」

 

「分かった、そうしよう」

 

「では失礼する」

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騎士団本部を出たところで空を見上げる。

日は完全に沈んでおり、暗い空には星が輝いていた。

 

「美しいな...」

都市で...ましてや裏路地でこのような美しい風景を見れる機会は殆どなかった。

黒い雲との戦闘や裏路地の夜を生き残らなければならなかった我々には、足を止め空を眺める事など決して許されなかった。

その風景がここでは当たり前かのように眺められる。

 

...正直、私は今でもこの世界が天国かと錯覚してしまう。

 

それが間違いなのは私が最も理解しているというのに...

 

 

.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

........?

 

.....風?

 

いつの間にか閉じていた目を開く。

 

都市でもテイワットでも私は幾度となく風を感じてきた。

弱い風...冷たい風...鋭い風...心地の良い風...

だが今感じているこの風は今までの風と何処か違う。

 

異質...という訳ではない。

どちらかと言えば、この感じは...()()()()()

 

「...いいだろう」

 

頭より先に身体が動き出す。

根拠はないが、一先ず(ひとまず)この風に従う事にする。

 

 

 

 

風に導かれながら暫く歩くと巨大な女神像の前で風が止んだ。

 

数秒後、冷静になり思考が再開される。

 

...よく考えれば、風に導かれるなど甚だ滑稽な話だ。

落ち込んだ気分を紛らわせようと過度に感化してしまったのだろう。

...少し身体を動かすとしよう。

 

そう思い、冒険者協会へ向かおうとした時。

 

〜♪〜♪♪

 

何時現れたのか、緑色を基調とした服と帽子をした中性的な人物が小型のハープのような楽器を弾いていた。

 

 

 

〜♪♪〜♪♪

 

ボクが話すは 古の始まり

 

神々がまだ 大地を歩く時代の物語

 

天空の龍が 空から降り立ち

世界の万に 好奇を抱く

龍は自ら 答えを探し

雑然とした世に目を回す

 

風の歌い手が 琴をつま弾き

天空のライアーが それに答えた

 

龍は好奇に駆られし幼子で

過去の苦悩を忘却せしと 飛翔しただけ

それは詩に耳を傾け 歌を(そら)んずる

万物が己の心を 理解させるために

 

歌い手と龍は伝説となり

 

 

暗黒の時代が やがて始まる

 

獅子の牙は朽ち 鷹の旗は落ち

 

一頭の悪龍が モンドに迫る

 

大聖堂は 辛苦の影に包まれ

溜め息は 詩人によって再び詩となった

 

天空の龍が 召喚に応じ

暴風の中 悪龍と殺伐に舞う

 

天空の龍は 悪龍の毒血を飲み眠りに落ちる

 

 

蘇りし時 知る者は誰一人いない

 

「今の人々は なぜ我を嫌う?」

 

天空のライアーは 答えず

 

 

怒りと悲しみ 命と毒が

涙となって 龍の目じりから流るる粒となる

 

詩は沈黙し 腐敗は進み

 

天空のライアーは 話せなくなった

 

 

 

楽器を弾く手が止まり、物語の終わりを告げた。

 

都市の経験から音楽を警戒してしまったが...必要なかったな。

都市の音楽しか知らないため下手な事は言えないが...テイワットの音楽は少なくとも安心して聴いても良いのだろう。

また機会があれば、次は落ち着いて聴いてみたいものだ。

 

それはともかく...

今の物語に出てきた()()()()()...

恐らくだが、風魔龍とあの紅い結晶のことだろう。

 

風魔龍はいいが...紅い結晶の事をなぜ知っている?

風魔龍と違い、あれは一般人が容易に見れるものではない。

 

つまり...この少年は何かを知っている。

話を聞く必要があるな。

 

 

そう考えていると、突然少年が声を上げた。

 

「おや、君たちは...」

 

少年の視線の先を見ると、蛍とパイモンがいた。

彼女らが近くにいた事に驚きながらも、私は話を聞くために近づいた。

 

「ふーん...あっ!あの時、トワリンを驚かした人たちだ」

 

「「トワリン?」」

 

またしても初めて聞く単語が耳を通り、パイモンと声が重なった。

そして、小さい体が一瞬震えた。

 

「うわぁ!ってまたお前かよ、キムサッガッ!」

「お前って、気づいたらいつも近くにいるよな」

 

「すまん、次からは先に声をかけるようにしよう」

「それで、トワリンとは何を指しているのだ?」

 

「風魔龍の名前」

「パイモンはリサさんから聞いてたでしょ?」

 

なるほど、風魔龍とはあくまで通り名。

本名はトワリンという名前なのか。

 

「むむ...あっ!思い出したぞ!でも、普通の人は『風魔龍』って呼ばないか?」

「何で名前を...仲いいのか?」

 

「さぁね」

 

「おい、こいつなんか怪しいぞ...」

 

「間違いなく、何か知っているな」

 

「名前を聞いてもいい?」 

 

 

「こんにちは、風に導かれやってきた異邦人さんたち」

「ボクは吟遊詩人、ウェンティさ」




詩を入れて文字稼ぎ?うるせぇ!
その分少し多めに書いたから許してください...(情緒不安定)


それでは、そろそろ恒例になってきた
都市紹介のコーナー
今回紹介するのは「図書館」について

様々な本があり、それらを得ることが出来る場所

招待状にサインをすることで図書館へ訪れる事が出来る
その後、図書館の司書と接待が始まり、それに勝利することで本を得る事が出来る
しかし、接待というのは殺し合いのことであり、敗北した場合には自身が本となってしまう

また、招待状には命を失うことも書かれているため図書館を訪れる者は皆覚悟を持って訪れてくる。

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