※作者は投稿時の時点でガンライコウ[太陽の七賢人]を未所持のため、キャラクタークエスト等と合致しない場合があります。
正直、嬉しさよりも驚きの方が大きかった。
あの賢人スイバチに「出来が良すぎる」「自慢の後継」とまで言われるだなんて。
──────────
あの日。ダイゾーのメンテナンスを終え、そのダイゾーに賢人スイバチの魂が宿った日。
きっと死ぬまで忘れられない日になるのだろう。
ケンザンの血の宿命を理解し、現代の賢人スイバチの再来としてあたしは目覚めることを求められた。
しかし両親の早逝でケンザンを不十分にしか継承できなかったあたしには重すぎる責務だった。
きっと誰もがそう思うはず。代々受け継がれてきた知識・技術を継げなかった出来損ないが、代々目指してきた頂点であるスイバチに並ばねばならない。普通に考えれば実現不可能だもの。
でも違った。むしろ逆だったのよ。
あたしはスイバチもケンザンも憧れる対象だった。つまり千年の歴史の中で一番スイバチやケンザンから遠い存在だった。それ故に歴代ケンザンというスイバチの再現設計図の一部に組み込まれながらも『それ』を客観的に見れたのだ。
千年間に積み重ねられた知識・技術・実績。それらは確かに貴重な、そして発明家としては財産とも呼べるシロモノだった。
でもそれは用意された道を歩くようなもの。そこからはみ出すことが難しくなっていたり、別の視点から見るということを阻害しかねなかった。
皮肉なものだ。ケンザンであることを定められることがスイバチに並ぶことを遠ざけていたのだ。
その点あたしは受け継げなかったからこそ、自分の発想に頼るしかなかった。そこに独自性が生まれた。
確かに発明品の出来としてはケンザンの足元にも及ばない猿の積み木だったかも知れない。
でもそれが形になるのが楽しかった。自らの手で今までにない何かが生まれる。それがこんなに楽しいことだなんて。発明という名のロマンがそこにあった。
きっと歴代ケンザンもそうだったのだろう。例えそれがスイバチの血だったとしても自分の意思で発明を続けたに違いない。
そして自分の
自分が成し得なかったロマンを。自分の子孫へ。
ムラサキシキブ先生の授業を経てあたしは発明への、ケンザンへの、この世界への向き合い方が変わった。
不出来で足りない自分を嘆くのではなく、その自分をありのままに受け止めて愛せるように。
善も悪も。光も闇も。喜びも悲しみも。晴れの日も雨の日も。成功も失敗も。全部受け止めて。それでも前に進む。それが発明家という生き様。
それに気付くまでこんなにも時間がかかってしまったわ。スイバチや歴代ケンザンと同じようにあたしの時間だって無限じゃないのに。
でもそれも否定せず受け止めて。
気付くとあたしにとっては呪いとも呼べるケンザンの肩書きが、いつしか背負っていないかのようだった。いや…常に意識していたつもりだったけれど実際にはとっくに背負うのをやめていたのかも知れない。
団長さんたちに出会って、ケンザンではなくガンライコウとして生きることにした、あの時から。
そんなあたしのすべきことは─────
「それにしてもガンライコウさん、すごくキレイになったよねー」
「ありがとう。少し髪を整えてもらったわ。これからも賢人として然るべき場所で意見することになることも増えるだろうから」
「小ざっぱりしちまいやがって。女が顔のキズを髪で隠すことぐれぇは各国のお偉方も許してくれんじゃねぇのか?」
「このキズもあたしの一部だから。騎士団には幼い子も居るし、ビックリさせちゃうかもだから全部は見せれないけれど」
「お前さんは優しすぎじゃねぇか?先が思いやられるぜ」
「ガンライコウさんはそこがイイんだよ!」
そんなスイバチが消える直前、ハッキリとは言わなかったけれど
……
託された
たくさんの 悔いを 想いを 願いを 夢を ロマンを
だから
あたしは
こんなところで止まっているわけにはいかない
進むべき道はまだ続いているのだから
「行くわよダイゾー!ザンセツ!各部展開!」
ダイゾーが。ザンセツが。形を変えていく。
あたしが目指したのは人と絡繰機構がひとつになる『人機一体』。
以前からザンセツを飛行ユニットとして背負うことは可能だった。
とは言えダイゾーぐらいの大きさの絡繰と一体化するのは難易度が高すぎた。
でも今のあたしなら。
「絡繰変転!大雪斬モード!」
障害は 未来は あたしたちの
あたしが あたしであるために
「太陽の七賢人ガンライコウ─────出る!!!」