「えっ?あたしがいつから
昼下がりの執務室。昼食を終えて副団長のガンライコウとのんびりしていた際に、ずっと気になっていることを尋ねてみた。
出会った時には既に片手に
騎士団内でも同じように喫煙を嗜む
「『いつから』と問われればあたしの祖父、おじいちゃんが亡くなった時からね」
当の
「これはね、おじいちゃんの形見なの」
イラスト:ぬゐめ 様
あたしは発明一家の娘として生まれた。
そしておじいちゃんもケンザンの血筋に名を連ねるに恥じない発明家だった。
小さな頃から発明品に囲まれて育ったのだけど、小さなあたしはおじいちゃんが咥えていた
だってあんな細い棒から煙が出てるのよ?きっとなにかすごい絡繰に違いないってね。
興味津々で
「ちび助が
そう言うとあたしには飴玉をくれたわ。きっと口寂しいと思ったんでしょうね。
イラスト:ぬゐめ 様
それからあたしは おじいちゃんの
でもそれも長くは続かなかった。
わりと早くにおじいちゃんは亡くなってしまったの。
後から知ったけれど、かなりの愛煙家だったらしくて肺をやられていたそうよ。
でも発明に集中できるからと一切煙草をやめようとはしなかったらしいわ。
長生きするより発明家として生きることを選んだのね。
家族としては褒められたものじゃないけれど、あたしはおじいちゃんのその生き方に尊敬した。
だから亡くなった時に形見としてこの
おじいちゃんの発明家としての魂が残っている気がして。
けれどあたしはケンザンとして跡継ぎを産まなければならないことは解っていたから、煙が出るだけの葉しか吸ったことはないのよ。
・・・・・他の
少しずつ、少しずつ。言葉を紡いでいくようにガンライコウは執務室の窓辺から煙と共に思い出話を吐き出してくれた。
その眼は遠くにある懐かしいものを見るような優しい眼をしていた。
「今でもあたしがたまに吸っているのはね」
「こうしてあたしが
話はこれで終わりよ と言わんばかりにガンライコウは窓枠で
その澄んだ音はきっと天国にまで届いていただろう。
※このお話は ぬゐめ 様のファンアートから着想を得て作品にしたものです。
該当のファンアートの掲載許可を得て、挿絵として掲載させていただきました。