意味深ムーブTS転生者   作:げへかす

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評価を想像以上に頂けたのと感想で圧をかけられたので続きました。

初めに言っておきます。

「意味深ムーブTS転生者」は、TS転生者こと「日隠メア」のキャラクタープロフィールを妄想しているとき気付いていたら生まれていたものです。つまり、プロットもストーリーも結末も何もありません。考えていません。

「意味深ムーブする日隠メアのキャラクタープロフィール」しかマジで存在しません。

メアの奮闘内容や、バタフライエフェクトとか、私も全く予想がつきません。

続編ですが、だいぶ無理のある展開かも知れません。許してください。


2

 机に突っ伏す。

 疲れた。頭からはぷすぷすと煤けた音がする。

 

「……あそこまで少ない時間と人員で会談を掌握する程度の腕はあるようですね」

「人員を寄こしてくれなかったのはアコだよね」

 

 おいアコ目を逸らすな。

 

 情報部に突っ込まれ山のような資料を読まされたと思ったら、すぐに数人の人員をつけられ「ピックアップされた非合法企業をゲヘナから撤退させろ」と言われた時には泣こうかと思った。

 あの書類の壁をどうにかした直後にだぞ。

 場合によっては潰してしまっても構わない、とまで言われると、「ゲヘナ学園」の異端組織と揶揄されることもある風紀委員もしっかりゲヘナの血が流れていると分かってしまって大変宜しくない。

 

 ただ、風紀委員の中であろうと喧嘩っ早い奴や俺のやり方をまどろこしいと判断して従わない奴がいない訳でもない。アコの采配はそういうのを事前に排除したが故だと判断したい。

 だが、流石に各方面に物理的に赴く関係上、もっと人員を割いても良いのではないだろうか。流石に部下四人では事務手続きも手が回らなくなる。

 

 外交役なんていうよくわからない地位に着いたが、やることと言ったら謝罪行脚みたいな火消しと今回のような火種潰しとかいうパッとしない仕事ばかり。

 地位とは、一体。

 

 風紀委員所属になったと言えど、そうなるとやることは対策委員会所属の時と変わらず地道な布石打ち。先手先手に動いていくのみ。

 アビドスにいる時は矢面に立つ役を全部「委員長」であるホシノに任せていたが、今度は外交官モドキの役も俺自身がやる羽目になっているか。

 明らかに仕事が増えた。おまけに第一印象を良くするために身嗜みを整えなくてはならなくなった。解せぬ。

 おまけにゲヘナ自治区は治安が大変悪く、ゲヘナ生が迷惑をかける企業もとんでもなく多い。謝りに行ったり、根回しをして問題が起こった時の早期解決したり、俺が出張る必要が大量にある。

 ……ゲヘナに戻ってきたのは、致命的なミスな気がしてきた。

 

 こういう時に限って「揺らぎの結果」が見えないんだから、良く分からない。俺の神秘なんだったら俺のいう事を聞いてほしい。

 

「そういえば、外交役なんて肩書貰ったけど名前負けしてない?」

「自治区内に限りますが、「風紀委員会の外向け用の顔」があると何かと引っ張りだこなヒナ委員長の落ち着く時間が用意できると思ったもので」

「そういう面子が立つのはヒナだからこそ、という面もありそうだけど」

 

 謝罪要員として、ヒナの心労を減らすのが目的だとしたら文句は言えないか。

 未来ではそれが原因とまでは断定が出来ないが、ヒナが死ぬ可能性も存在している。隙を見て休んでくれとは言ってみてはいるものの、ヒナの仕事を奪って減らしてしまう方向に進めるのが良いのかも知れない。

 

 ただ実力(物理)主義なところのあるゲヘナでは、ヒナだからこそ良いという面もあるような気がする。このゲヘナの体質をどうにかできれば間違いなくヒナの心労は軽くできそうではある。

 そう簡単なことではないような気もするが。

 

「……業腹ですが、貴方の硬さは一部ヒナ委員長に匹敵するものがありますから」

「なるほどなぁ」

 

 チンピラに対しては言葉を弄するより、一発撃たれてやる方が従順になる気がしていたのは間違いではなかったのか。

 

「……そもそも、そもそも! ゲヘナ学園から留学中の生徒が、留学先で「政敵を直接手を下さず潰す最悪な陰謀家」として恐れられていると言うからわざわざ万魔殿牽制のためにも呼び戻したというのに……!! その腕はどこに置いてきたんですか!! 何なら万魔殿のスパイしようとしてませんでした!?」

 

 スパイというか、何度かマコトとは個人的にやり取りをしていただけだ。ゲヘナの情報を買うにはマコトとコネを持っていた方が良い。

 とはいえ、俺が風紀委員会に所属してからマコトと連絡が取れなくなったので、あまりよろしくない。ヒナに敵対心を向けているだけだと思ったが風紀委員会そのものを嫌っていたのだろうか。

 

「……何度も言ってるけどさ、その辺私もよく覚えてないんだって。陰謀ってことは隠れた何かってことでしょ、私だって勝手に潰れたと思ってたから何でそんな風に言われてる理由が分からないんだけど……」

「敵が悉く自滅したとしか言いようがない潰れ方をしているから陰謀家って言われてるんです!!」

 

 ばさっと落とされた資料を見た限り、敵だった会社の末路は解雇された社員が会社に火を放ったとか、内輪もめのようなものばかりだな。

 いや、俺が何をすればこれを起こせるんだよ。

 とか言っても、納得してくれないんだろうな。

 心当たりがゼロというわけでもないが、俺の作った「揺らぎ」が良い感じに作用したってくらいしか考えられない。かと言って俺の未来視では「行動した結果が時々分かる」だけなので、まず行動を起こさないと未来が分からないのだ。

 俺はそんな行動をした記憶も何もないし。

 

「私が幸運とかそれで良くない? 陰謀とか言っても何かするにあたって根回しするのは当然だし、それ以外してるつもりないからね……」

「……まぁ、良いでしょう」

 

 あの万魔殿でさえ普通にやってることだ。根回しは大事。転ばぬ先の杖みたいなものだ。

 それに万魔殿は根回しや情報網等が普通に優秀なので、俺一人囲い入れたとして牽制になる気がしない。使えないと分かるや否やこう言った役職を与えるんだから、そこまで期待はしていなかったのではなかろうか。

 

 ともあれ、そんな感じで風紀委員での仕事をこなしていく毎日。

 指名手配チラシの作成中にあの「便利屋68」の四人の顔が印刷されているのを見つけて吹き出しそうになったり、ブラックマーケットに突如出現した「覆面水着団」なる強盗グループについての報告書を見つけたり、二大テロリストの出現予測地域を割り出しその周辺の企業に告知しに行ったり、テロリストに爆破された企業へのお詫び行脚しに行ったり、とやることが本当に多い。

 

 治安が本当に終わっているので、二日ほどで新しく風紀委員会の末席に加わった俺の存在がほぼ周知された状態になったのは、喜ぶべきか否か。

 かろうじて自他共に認める硬さはあるので、戦闘能力は低いとは言え舐められまくるということはなかったのが救いだろうか。誰だって集中砲火浴びせて煙の中から微動だにせずニコニコしてるやつが現れたら怖いだろう。

 俺だって怖い。

 ただ違法車両の砲撃を生身で受けることになったのは流石に恨んでいる。

 

 そしてこのタイミングにゲヘナに戻ったのは偶然ではあるのだが、風紀委員という地位に就いた以上表立って本編時空の事象にも関わらざるを得なくなった。

 俺が直接的に出来ることと言えば次先生にあった時守護の神秘を込めたお守りを渡し、ヒナのメンタルを可能な限り消耗させないことだろうか。

 アビドスの子達が他陣営と縁を結ぶ上である程度布石を打ってはいるが、関わりすぎると大きく変わってしまうかもしれない。

 

 ひとまず業務に関しては自分の目が無くても問題なさそうだ、とヒナの秘書活動に集中できること喜ぶアコ。

 外交役の役目とかを抜きにして、外回りの仕事を押し付けてヒナにつきっきりになるのが目的だったのだろうか。アコはヒナ命だった気がするし、あながち間違いではないのかもしれない。

 

 そのとき、ふと「揺らぎ」が見えた。

 ああ、そうなってしまうのか。

 自身の業務に戻ろうとするアコを呼び止めたが、今後のことを考えるとため息をつかずにはいられない。

 

「はぁ……。アコ、私を呼び戻したのは「先生」関連も理由だったりする?」

「……よくお気づきで。確かに、決め手はソレでしたね」

 

 この時点でのアコはシャーレと先生についてかなりの警戒をしている。

 そうすると俺は、風紀委員会の諸々の補強のために連れてこられた、ということだろうか。

 

 先ほど見えた未来によると、便利屋とアビドスの子達、風紀委員会の邂逅は近い未来に起こってしまうらしい。「アコの暴走」に関しては「収束」に当たるようだ。

 そうなると「揺らぎ」によりところどころ変わってはいるようだがアビドス関係のその辺のごたごたも起こり始めてしまう。

 カイザー関係は潰せなかったから、仕方なかったのかもしれない。

 アビドスは先生がいるから問題ないとして、便利屋の方がどうなっているか気になるところだ。以前依頼を出した時は問題なさそうだったが、本編時空の様な感じになってしまっているのだろうか。

 

「私だけ休むってことに出来ない?」

「あら、私はまだ何も言ってませんよ」

 

 ああ、口元がピリピリしてくる。

 爆発の予兆のそれが起こるということは、ストレスが溜まってきていることの証明だ。

 近いうちにストレス発散しておきたい。

 ハルナに激辛料理の店紹介してもらうかな。

 

「爆発しそう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アコの暴走自体は「正史」に限りなく同じような展開で進んだ。

 違うとすれば、ヒナがだいぶ早く到着したこと、俺という存在がいること、ホシノが最初からいたこと、自治区の認識の違い、くらいだろうか。

 

 ヒナが早く来たのは、俺という人員の増加による業務量の変化と、俺自身がアコの暴走についてこっそり報告していたからだろうか。これらのことを踏まえて始末書は勘弁してほしかったが、こうしてこの場にいる以上回避は不可能だった。しっかり名指しで言われてしまったので俺の意図もバレバレだったのかもしれない。

 俺の居る意味に関してはセリカに「寝返った!」とか言われて爆発したり、謎にやる気を出したシロコにひたすら狙われまくり爆発したり、何一つ事態の好転には寄与できなかったからいてもいなくても一緒だろう。

 突然四十の部隊の指揮権を渡されたところで俺は何一つ指揮をしたことが無いのだから指揮できるはずもなく。

 

 本来ホシノが今回の事件に遅れていないことは喜ぶべきなのだろうが、調査によると「黒服」は定期的にホシノと接触している。今回は単にタイミングが揃わなかっただけだと判断すべきだ。

 おまけに俺の今世におけるスタンスはゲマトリアと大きく反発している。生憎俺の方に接触してきた機会は一度しかないが、やりすぎると排除対象になるのかもしれない。

 ここまで来て我が身可愛さで手を緩めるつもりはないが、ブラフ以外に対抗手段が欲しいところだ。

 

 そうなると。

 足を止め、撤退している風紀委員とは反対方向の、先生に情報を渡すヒナの傍へと駆け寄る。

 

「……先生、ひとつ話しておきたいことがあるんだ」

「メア?」

 

 本来ならここではヒナからカイザーコーポレーションに関わる話を教えられて、終わりだ。

 

 だが土地所有権の問題とカイザーコーポレーションの企みに関しては、事前に俺がアビドスに残している。前者は知っていたからと言ってアコの詭弁を突く材料程度にしか役に立たないが、後者と合わせて早めに知っておけば諸悪の根源が明確になる筈だ。

 そのせいで色んな事象が起こらず、各陣営と縁が結ばれない可能性もゼロではなかったが、「覆面水着団」の報告書、今回の騒動でそれは問題ないだろう。

 あとは、ホシノだ。

 

「カイザーコーポレーションの裏で暗躍してる奴がいる。ホシノのこと、気にかけてあげて」

「“……わかった”」

 

 ホシノには人を頼ることや信じることの重要性を個人的に説いてきた。俺の情報網だって根回しだって人に頼ってこそだ。

 ただ、そうなると「黒服」の穴だらけの約束事にも思わず乗っかってしまう可能性がある。対策委員会と学校への思いがあるからそう簡単に乗っかることはないとは思うが、あの黒服のことだから油断はできない。

 そうなる前に、先生には動いてもらいたい。

 

 とまあ、そういう話は当然ヒナにも聞こえてしまう訳で。

 

「メア、それはどういう」

「……始末書なしってことになりません?」

「それとこれとは話が別。帰ったらしっかり聞かせてもらう」

「そんなぁ」

 

 用は済んだとばかりにずるずると俺を引きずっていくヒナ。俺よりはるかに小さいが、それでもキヴォトス最強格の一人だと言うのだからキヴォトスの世界は謎だらけだ。

 首根っこを掴まれ引きずられ、風紀委員内の若干一名にとってはご褒美かもしれないが流石に立ち上がろうと思っていると、ヒナの言葉が上から降ってきた。

 

「カイザーコーポレーションに関する情報を先生は驚かなかった、知っているとも言っていた。……それにあの企業の裏で暗躍する人物の情報、それは一体どこから仕入れたの?」

「……わ、私個人の持つ特殊な情報網で」

「はぁ……やっぱり、帰ったらじっくり聞かないとね」

 

 ヒナの前で未来視に関連した情報を明かすのは一瞬だけ悩んだが、流石に一瞬で違和感を持たれることまでは想定していなかった。

 そういえばヒナは情報部に所属していたのだったか。そういった点から俺の持つ情報の脈絡のなさのようなものに感づいたのかもしれない。俺自身情報屋の真似事は向いていなさそうだ。

 いくつかヒナに共有したかった情報もあるので、この状況は決して悪い状態ではない。

 

「……内密にお願いします」

 

 ただ、ヒナへの心労をさらに重ねてさせてしまうことだけが気がかりだ。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

「あ、先生。また来たんだ」

「“来たというか、気付いたら居たというか……”」

 

 髪の毛が燃えた匂いがする。毛先がチリチリと燃えたように赤くなっているが、これは悪夢を見ているが故なのだろうか。

 腰から生えた尻尾を避ければ先生は俺の横に座った。

 

 目の前で何度も先生が死んだ。生徒を庇ったり、生徒に襲われたりと原因は色々だ。横にいる先生には手を伸ばせば悪夢とは違う温かみを感じられるが、先生自身は自分の死ぬ悪夢を見せられて何とも思わないのだろうか。

 俺がゲマトリアの実験台にされて、死んでしまう悪夢も何度か見る。気持ちの良い物ではない筈だ。

 

「もし俺が、この世界……ああ、現実世界ね。現実世界をぶっ壊すラスボスになったらどうする?」

 

 俺の神秘じゃそんな事出来るはずもないが、万が一という可能性もある。バッドエンドを見すぎて頭がおかしくなってしまう、なんてこともあるかも知れない。

 

「“……生徒が悪いことをするなら説教する大人が要るよね”」

 

 何度か聞いたような気もするが、自分が言われる立場になるとこそばゆい。それで実際何度も生徒たちを救っているのだから、流石と言わざるを得ない。

 

 少し悪夢の喧騒が遠のいた。これは俺の精神が多少安定して必要以上に受信しなくなった、のかもしれない。

 

「“メアは、辛くない?”」

 

 ふと、先生にそんな言葉を投げかけられる。

 

 四六時中頭を回して、何をどうすれば好転するか悪化するか考えて、少しでも好転の種になればとひたすら布石を打って。俺の失敗した果ての結末をこうして毎日悪夢で見せられて、変えられない「収束」に直面して。

 辛くない訳はない。

 

「……でも、やりきるまで諦めたくないんだ」

「“そっか、ありがとう。私ももっと頑張らなきゃね”」

 

 

 

 

「あ、でも頑張りすぎてぶっ倒れてもバッドエンドになるかも」

「“ええ……”」




書いてるときはずっと

外交役って何するんだよ……(頭を抱える
陰謀家ってなんだよ…(頭を抱える
未来への布石ってなんだよ……(頭を抱える
今何が起こってるんだよ……(頭を抱える

みたいな感じです。
作者より頭のいいキャラは小説に登場しないんだ、助けてください。

メアによるバタフライエフェクトがもう何一つ思い浮かばないのでエタです。



原作でもあまりモチーフというか元ネタを言及しない傾向にあるので隠してるけど、メアのモチーフバレバレ説ある

シナリオ

  • 可能な限り本編通り
  • ほどほどに逸脱OK
  • 滅茶苦茶にするべき
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