ソノンエルフィーと都留岐涼花のやりとりです

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第1話

 日本語には特有の「オノマトペ」という文化で、ザザア……ザザア……という潮騒を聞けばそこが海だとわかる。

 

 トレセン学園から電車で約2時間、その地はかつて貿易の港としてひっそりと栄えた所であるが、現在は中心都市の再開発の影響をうけて、未発展の住宅街の一つになっている。

「おお!涼花さん!海ですよ!海!」

 ソノンエルフィーは目を輝かせる。

「……そうね」

 涼花はソノンエルフィーにバレない程度に物憂げな表情をして、反応をする。彼女には思っていることを顔に出す予定は一切ない上に、しっかりと明るい対応をしたつもりだったが、それでも隠しきれない思いがあるようだ。

 

「取り敢えずどうしますか?水族館?それともショッピングモールも見ちゃったりしますか?」

 一応、今回の小旅行の目的は「第二回のU.A.F.の候補地としてふさわしいか判断する」というのが、あるがソノンエルフィー本人は少し忘れているようだ。涼花はそれを咎める気など一切ないし、むしろ「エルフィーらいしい」とまで思っている。

 

「そうね……エルフィーはどっちが良いと思う?」

 涼花はなんとなくであるが、ソノンエルフィーに判断を委ねることにした。涼花自身は「エルフィーといっしょなら何処でも楽しめそう」という思いもあるようであるが、それよりも判断する気にはなれないのであろう。

「私ですか?……うーん、迷いますけど今日は水族館に行ってみたいですね」

「わかったわ」

 涼花は駅でもらったパンフレットを取り出す。いわゆる観光マップというものから水族館までの道を調べる。

「……どうやら近くにシャトルバスが走っているみたいね。それに乗りましょうか」

「はい!」

 

 

 ─────

 

 

「本日は〇〇市にお越しくださりありがとうございます」

 シャトルバスの中ではガイドさんこの街のが観光名所の案内をしている。しかし、涼花とソノンエルフィーはそれを聞かずに、窓から見える海の景色に釘付けになっている。

 

「涼花さん、後でここも見ましょう!」

「そうね」

 

  ちなみに、二人の今の体勢というのは、涼花が窓側の席にすわり、通路側の席のソノンエルフィーが涼花に覆い被さるようにして窓を覗き込んでいる。ソノンエルフィー、彼女がいつもつけている制汗剤の柔らかい匂いがする。「エルフィーに席を譲って置けばよかったな」と思う涼花であった。

 

 

 

「おお!ホワイトスポッテッドガーデンイール?という名前の魚らしいですよこれ!」

「……チンアナゴ?というものかしら?」

 なぜソノンエルフィーがその魚を真っ先に見ようとしたのかわからないが、チンアナゴの水槽に両手をつけてじっくりとみている。

 

 水族館は思っていたよりも空いていて、展示を見るのに苦労することはないくらいである。

 

 ここで涼花は少し考える。そういえば、いつもエルフィーにばかり付き合わせてばかりかもしれない、と。特にU.A.F.の運営では、彼女の考える理想とはどうしても上手くいかない部分もあった。それを了承してもらったり、彼女の提案を取り下げることもあった。

 あの大会は、彼女の望むものになっていただろうか。そう疑問に思っててしまう。

 

 

「ねえ、エルフィー」

「はい?どうしたんです、涼花さん?」

「その……あまりこういうことを、訊くべきではないのかもしれないのだけれど」

「大丈夫ですよ!どーんと訊いてください!」

「……その、私は……あのU.A.F.で、しっかりち運営総責任者として役目を果たせられたのかしら?」

 それを聞くと、ソノンエルフィーは一度目を見開いたが、しかしすぐに柔らかい笑みを浮かべる。

「もちろんですよ、涼花さんは十二分にやってくれました!」

 しかし、それでも自分には至らないところがあったのではないのかと、思ってしまう涼花は少し間を開けてから質問する。

「……貴方は」

「はい?」

「貴方は、満足しているの?」

 言ってしまった、と涼花は思った。仮に満足していない、と言われてもどうすることもできないのに訊いてしまった。涼花の声は少しか細くなっていた。

「それは、もう、100パー私は満足しています!だって涼花さんが頑張って、私たちの夢を叶えてくれたんですから!」

 ソノンエルフィーは涼花の手を取る。

 

 涼花は、その言葉を聞いて安心するとともに、嬉しいという感情も込み上げてきた。なにか言わないとと思うが、今の心情を説明することができない。だから、ただ

 「……ありがとう」

 ということしかできなかった。

 

 

 一通り水族館を見終えたので、先程話していた浜辺に行く。

 

 今の季節では海からの風は少し寒いものかと思っていたが、実際は三寒四温の暖かさもあって心地よい。

 

「お!鐘がありますよ、鐘!」

 砂浜にぽつんとおかれたモニュメントまで走るソノンエルフィー。その走る姿は無邪気な少女というものをそのまま表しているようだ。

 

「【幸せの鐘】ですって!涼花さん一緒に鳴らしましょう!」

「ええ、もちろん」

 

  エルフィーの鐘の紐につかんでいる手を、包むように握る。

「せーの」

 

 カーン、カーンと鐘は綺麗な音色を立てる。余談ではあるが、この【幸せの鐘】はカップルに人気のデートスポットであり、二人の将来がうまくいくようにという思いが込められている。……それを彼女らは知る由もなかったが。

 

「涼花さん!」

「何?」

「これからもよろしくお願いしますね!」

「もちろん、これからもよろしくね」

「第二回も第三回も……ずっとずっとU.A.F.を盛り上げましょうね!」

「もちろんよ、一緒に頑張りましょう」

 

 ……このやりとりを【二人で未来を誓い合った】という変換にするとすごくえっちな感じになる気がする。

 


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