個性『氷結人間』   作:龍角散ガム

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第2話

 

パキッ・・・パキッ・・・

 

凍りつく音がその場を支配する。

 

突如現れた男にA組生徒だけでなく、ヴィラン達も言葉を失い息を呑んでいた。

 

「ク・・・クザン・・・」

 

重傷を負った相澤の声によって、死柄木は我に返る。

 

「友達・・・?イレイザーヘッドのことか・・・?」

 

「・・・」

 

死柄木は現れた男、クザンに問いかけるが何も返さない。彼は、口から冷気を放つのみだった。

クザンの態度に苛立ちを覚えた死柄木は視線を脳無に移し合図をする。

合図を受けた脳無は攻撃対象を緑谷から相澤へと変更し、拳を振り下ろす。

 

「ッ・・・!!相澤先生!!」

 

緑谷が相澤に手を差し伸べた瞬間・・・

 

 

バキバキバキバキッ!!!!!

 

 

クザンを中心に一瞬にして地面が凍結する。

一番近くにいた脳無は一瞬にして氷のオブジェクトとなった。

 

「「「「「ええええええええぇぇぇぇ!?!?!?」」」」」

 

その場にいた全員の驚きの声が鳴り響く。

 

脳無の次に近かった死柄木は黒霧の個性によってギリギリのところで回避。

しかし、右足の先が少し氷に触れてしまい膝まで氷結してしまう。

 

「大丈夫ですか死柄木弔!?」

 

「くそッ!!!何だよこのチート個性はッ!?!?」

 

冷や汗を流しながら倒れ込む死柄木を横目にクザンは相澤の治療として折れた腕を氷結していく。

 

「ぐっ・・・クザン・・・なぜお前がここに・・・」

 

「たまたま近くに居合わせただけだ。安心しろ、雄英にはもう連絡してある」

 

治療を終えたクザンは氷のオブジェクトとなった脳無に近寄り拳を叩き込む。

バキンッ!!と脳無の体は砕け散り氷片が舞い上がった。

 

相澤を圧倒し、自身のスマッシュも効かなかった相手をものの数秒で再起不能にするクザンを間近で見た緑谷は、鼓動が大きくなり心臓がドクンドンクと音を立てているのを実感しつつ、目の前の現象を分析する。

 

(轟くんよりも強力!!そして、僕や相澤先生を避けて氷結させる精密さ!!なんて・・・なんて強力な個性なんだ・・・!!!)

 

「がァッ・・・足がッ!!俺の足がァ!!」

 

「嫌だっ!!助けてっ!!たすけ・・・」

 

「何だよこれ!!何なんだよこれは!?!?」

 

ヴィラン達の叫び声を聞き、緑谷は周囲を見渡す。

そこには、先ほど相澤が戦っていたヴィラン達が氷漬けにされていく姿があった。

 

氷結に苦しむ者。

徐々に凍っていく体に恐怖し泣き叫ぶ者。

自身に起こる現象を受け入れられない者。

中には凍った足を無理矢理砕き逃れようとした者もいた。

だが、倒れて地面に触れた部分から再び氷結していく。

 

付近にいたヴィラン達は瞬く間に氷結し、脳無と同じように氷のオブジェクトと化した。

 

(轟くんの個性も同じように一瞬で凍らせることができる・・・けど、凍らせるのはあくまで表面部分だけッ!!この人の個性は内部まで完全に凍らせているんだッ!!!)

 

脳無を砕き終えたクザンは周囲を確認する。

その背後に黒いモヤが現れ、そこから伸びた腕がクザンの首を掴む。

 

「ッ!!危ない!!」

 

緑谷が叫ぶも既に遅い。

黒霧のワープゲートで自身の腕だけをワープさせた死柄木は、5本の指でクザンの首を掴み『崩壊』の個性を発動しクザンを崩壊させていく。

 

完全に首を崩壊させ、クザンの頭と体は2つに分かれ、ドサッとその場に倒れ込む。

 

「そんな・・・ッ!!!」

 

目の前に現れたヒーローが一瞬にしてやられてしまい絶望する緑谷。

 

「がぁッ・・・クソがッ!!俺の腕が凍っていく・・・ッ!!!」

 

一方、死柄木も無事では無かった。

クザンは崩壊を受けながらも個性を発動し死柄木の腕を氷結させたのだ。

 

「ハァッ・・・ハァッ・・・確かにチート個性だったが・・・これで消え・・・「ぎゃあああああぁっ!!!」ッ!?!?」

 

突然USJの入り口から叫び声が響く。

声の方向を向くと、そこには崩壊させたはずのクザンが入り口付近のヴィラン達を一瞬にして氷結させていた。

 

「なぜだ!!なんで奴は死んでない!!俺は確実に奴を崩壊させたはずだ!!」

 

死柄木残った片手で首をガリガリと毟りながら癇癪を起こす。

先ほどの場所を確認すると、クザンの残骸は確かに倒れ込んでいた。

だが、その体は全身が凍っており、抜け殻のように倒れ込むクザンの形をした氷のオブジェクトだった。

 

そこに追い打ちをかけるように氷でできた槍が死柄木と黒霧を襲う。

 

「死柄木弔!!」

 

「なッ!!クソッ!!」

 

黒霧の助けもありギリギリで氷の槍を避けることに成功する。

飛んできた氷の槍は地面にぶつかり粉々に砕け散る。

そして、砕け散った氷がバキバキと音を立て人の形へと変化していく。

 

「お前ら2人は手配書に無い顔だな・・・初犯でこれだと陽を見るのは何年後になるか・・・」

 

入り口にいたはずのクザンは一瞬にして死柄木と黒霧の近くに移動し、淡々と告げる。

 

「氷漬けにして永遠に牢で過ごすのもいいが・・・」

 

まぁ・・・と頭をかきながら2人を睨みつけ・・・

 

「———やっぱお前ら・・・今死んどくか」

 

「「ッッッ!!!」」

 

クザンからの放たれる強烈な圧にゾクリと体を震わす。

 

「"アイスBALL"!!!」

 

クザンは胸の前で腕をクロスさせ、2人に目掛けて手から冷気を放つ。

冷気は2人のいる場所を包み込み氷漬けにしていく。

 

だが、冷気が晴れた先に2人はいなかった。

クザンが後ろを振り向くと、体の半分が氷結しながらもワープゲートを発動させる黒霧と、そこから顔を出しこちらを睨む死柄木がいた。

 

「お前、クザンとか言ったなァ・・・!!この借りは確実に返す!!覚悟しておけッ!!!!」

 

クザンは再び氷の槍をワープゲートに放つも、当たる前にワープゲートが閉じ氷の槍は空を切る。

 

そこへ

 

「もう大丈夫・・・私が来た・・・って、Holy Shit!!一体どうなっているんだい!?!?」

 

「遅くなったねみんな、すぐ動ける者をかき集めてきた」

 

「1-Aクラス委員長飯田天哉!!ただいま戻りました!!!!」

 

オールマイトを始め、雄英教師陣がUSJに駆けつける。

 

入り口からエントランスまで氷結しているのに驚きつつ、教師達は残ったヴィランを制圧していく。

 

「はぁ・・・」

 

制圧されるヴィランを横目に、クザンは気だるそうに頭をかきながら相澤の元へ向かうのだった。

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