個性『氷結人間』   作:龍角散ガム

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第7話

 

後に雄英体育祭史上最も盛り上がったと言われる緑谷達の体育祭は幕を閉じた。

一癖も二癖もある生徒達の中で優勝したのは爆豪勝己だった。

選手宣誓通り見事1位となった爆豪の評価は開会式とは一変し急上昇。職場体験のオファー数も4000を超える超人気ヒーロー(の卵)となっていた。

 

そんな中A組生徒は各々のヒーロー名を決める。

緑谷も今まで好きではなかったが、意味を変えられたことにより『デク』をヒーロー名とした。

 

クラスメイトがどこの事務所で職場体験をするかを悩む中、緑谷はオールマイトに呼び出されていた。

 

「君に指名が来ている」

 

「えっ!?本当ですか!?」

 

「その方の名はグラントリノ。かつて雄英で1年間だけ教師をしていた・・・私の担任だった方だ」

 

 

***

 

 

いつものように仮眠室で緑谷はオールマイトにグラントリノについて話を聞いていた。

 

「グラントリノはワンフォーオールの件もご存じだ。むしろその事で君に声をかけたのだろう」

 

「そんな凄い方が・・・!!っていうか個性の件知っている人がまだいたんですね」

 

「グラントリノは先代の盟友・・・とうの昔に隠居なさっていたのでカウントし忘れていたよ・・・」

 

ワンフォーオールを知り、オールマイトの師匠でもある人物が指名してくださったことに感激する緑谷だった。だが、オールマイトがガタガタと震え出す姿に驚きを隠せないのだった。

 

「私の指導不足を見かねての指名か・・・あえてかつての名を出して指名して来たということは・・・怖ぇ怖ぇよ・・・!!」カタカタカタカタ

 

(オールマイトがガチ震いしてる!!)

 

「しかもあのお方の名前まで・・・ああっ・・・嫌だぁ・・・!!ま、まぁ・・・とにかくせっかくのご指名だ・・・存分にしごかれてくくるくるがいがかががいぁぃぃ・・・」ガタガタガタガタガタガタ

 

(どんだけ恐ろしい人なんだー!?!?)

 

「拳だけはぁ・・・拳だけは勘弁をぉ・・・」と震えるオールマイトだったが、「そうだ」とあることを思い出す。

 

「コスチューム!修繕されたのが戻って来てるぞ」

 

「本当ですか!?」

 

「ああ、職場体験に間に合って良かったね」

 

「はいっ!!」

 

「それと緑谷少年。ワンフォーオール・フルカウルだったかい?素晴らしいね!!ワンフォーオールを全身に纏うことでバランスよく身体能力を向上させるとは!!」

 

「ありがとうございます!!」

 

「一体いつ考え付いたのだね?」

 

「あ、それは・・・」

 

緑谷はクザンからヒントを貰ったことをオールマイトに話した。

スイッチの切り替えによるラグを無くすための方法。それを解決するためなら編み出したのがワンフォーオール・フルカウルである。

 

「クザンくんか・・・USJの事件以降、彼は雄英にて働いてもらっているらしいが中々会う機会が無いんだよな」

 

「そうなんですか?あ、でも確かにクザンさんを雄英内で見ることって滅多にないや・・・」

 

USJ事件後、クザンは雄英の臨時講師として働いている。だが、特にクラスや授業を受け持っている訳でもなく、かといって事務作業をしているわけでもない。

 

じゃあ、何をしてるの?

と疑問に思うかもしれないが何もしていないのである。

学食で飯を食い、雄英の敷地内の何処かで寝ている。目撃情報が多いのは中庭のベンチや森の中である。

森の中では木にハンモックを吊るしよく寝ているところを生徒達が目撃している。

 

稀にプレゼントマイクや相澤にちょっかいをかけては追いかけ回されている。

昔から彼らをしる者はその光景を微笑ましそうに見ているのだとか。

 

「一度体育祭で話すことがあったのだけどね。彼、すぐに何処かへ行っちゃって全然会話ができなかったよ・・・」

 

「一度しっかりとUSJでのお礼をしたいんだけどね・・・」と苦笑いをするオールマイトを見て、緑谷もクザンとの交流がそこまでないことを自覚する。

 

(僕ももう一度しっかりと話さないと。フルカウルのヒントを教えてくれたお礼も言ってないし・・・)

 

そうしてあっという間に数日が過ぎ、職場体験当日となった。

 

 

 

 

 

「コスチュームは持ったな。本来なら公共の場じゃ着用厳禁の身だ。落としたりするなよ」

 

「「「はい(はーい)!!」」」

 

「伸ばすな「はい」だ芦戸。くれぐれも失礼のないように!じゃあ行け!」

 

A組メンバーは各々の事務所へと向かいだす。

生徒を見送った相澤は数日前にクザンからの話を思い出す。

 

『『インゲニウム』襲撃の犯人でもある"ステイン"だが奴は危険だ。正直、職場体験を中止するのが好ましいがそうもいかない。俺の方で奴を調べているが、お前も気をつけろ』

 

(ヒーロー殺しの"ステイン"か・・・クザンの奴が調査してると言っていたがやはり不安だ・・・)

 

 

飯田が保須のヒーロー事務所を志望しているのを思い出し彼を心配する。

もし何かがあったときすぐ動けるように準備をしつつ、クザンからの連絡を待つのであった。

 

 

***

 

新幹線で移動すること45分。

緑谷はオールマイトの師匠でもあるグラントリノの事務所へと足を運んでいた。

 

「オールマイトすら恐れるヒーロー・・・聞いたこともない名前だけど凄い人に違いない!凄い人に・・・違い・・・・・・ない」

 

事務所に着いた緑谷だったが、壁のあちこちにヒビがありツタなどが生えるオンボロ事務所に言葉を失い呆然と立ち尽くすのだった。

 

(頂いた住所はあっているぞ・・・)

 

恐る恐る入り口のドアを開け事務所に入る。

 

「雄英高校から来ましたー・・・緑谷出久とで・・・ってああああああああ!?!?!?」

 

目の前現れたのは赤く濡れた床の上で倒れ伏す矮小な老人だった。

 

「生きとる!!」

 

「生きてる!!」

 

思わずツッコミを入れてしまうも、改めて挨拶をする。

 

「雄英高校から来た緑谷出久です!!」

 

「誰!?」

 

「緑谷出久です!!」

 

「何て!?」

 

「だから緑谷出久!!」

 

「誰だ君は!?」

 

全く話が通じない老人に焦りを感じる。

 

(やべェ・・・!!オールマイトの先生だから相当なお歳だとは思っていたけどコレは・・・)

 

「飯が食いたい」ベチャ

 

「飯がッ!!」

 

ぺたんと溢したソーセージとケチャップの上に座るグラントリノ。もう見ていられないとオールマイトに彼の仕上がりっぷりを知らせようと事務所から出る緑谷だが・・・

 

「撃ってきなさいよワンフォーオール!!」

 

「えっ・・・!?」

 

「どの程度扱えるのか知っときたい!」

 

(何だこの人急に・・・)

「や・・・えと・・・そんなこと・・・」

 

「撃って来ないなら・・・」

 

「がっ・・・!!」

 

ダダダッとその場から飛び上がり、目にも留まらぬ速さで移動し緑谷の腹部に蹴りを入れる。

 

「こちらから行くぞ・・・受精卵小僧」

 

先ほどの雰囲気とは全く異なる圧を醸し出し緑谷に向かうのだった。

 

***

 

「・・・ぶっ!!」

 

グラントリノの高速移動に体が追いつかず苦戦する緑谷。

ワンフォーオールを発動しパンチを繰り出すも空を切るだけでグラントリノの攻撃を受け続けるのだった。

 

(速すぎる!どんな個性だ!?)

 

「9人目の継承者がこんな湿った男とは・・・オールマイトはとことんド素人だァな」

 

「・・・っ!!」

 

(流石はオールマイトの師匠ッ!!全く動きについていけない!!だったら・・・)

 

深呼吸をし体全体に力を込め始める。

 

(満遍なく伝わるように・・・ッ!!)

 

「ワンフォーオール・フルカウル『6%』!!」

 

「ほう・・・」

(体育祭の時より1%出力が上がっておる・・・!!)

 

「・・・いきます!!」

 

先ほどまでとは異なり、多少はグラントリノの速度に追いつくことができていた。

だが、それでもグラントリノを捉えることができず攻撃は空を切るばかり。

 

(やはりまだ追いつけない・・・!!だったら・・・!!)

 

事務所内のソファの下に潜り込んで時間を稼ごうとする。しかし、それを許すグラントリノではない。すぐに追い打ちをかけに迫る。

 

「それじゃあ時間は稼げんぞ!!・・・ッ!?」

 

グラントリノがソファの真上に来た瞬間、緑谷は下からソファを吹き飛ばしグラントリノの姿勢を崩させる。

 

「こりゃやられた」

 

その隙に飛び上がり、腕をグラントリノへと振りかざす。

 

(・・・これも避けるの!?)

 

しかし、グラントリノに当てることができず反撃をくらいフルカウルが解けてしまう。

 

「ぐっ・・・くっ・・・そぉ・・・!!」

 

「なかなか筋がいいな小僧・・・」

(久々に本気で避けたっつうに・・・)

 

グラントリノは頬に掠った傷を指で拭き取りニヤリと笑みを浮かべる。

 

(コイツは化けるかもな)

 

「よし後は慣れろ!!ガンガン行くぞ!!」

 

「は・・・はい!!」

 

こうして緑谷の職場体験が始まったのだった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

職場体験3日目。

 

この2日間で緑谷はグラントリノにボコボコにされていた。

現在事務所には緑谷1人。グラントリノは用事があると外出をしているため、緑谷は1人で筋トレを行っていた。

 

『ヒーロー殺しのステインは未だ捕まっておらず、保須市の市民は怯える毎日を送らざるを得ません』

 

テレビのニュースにステインの報道が流れる。

インゲニウム襲撃の犯人でもあるステインのニュースを見た緑谷はクラスメイトの飯田を思い浮かべる。

 

(飯田くん気になるな・・・後で連絡してみよう)

 

「戻ったぞ」ガチャリ

 

「あっ、おかえりなさいグラントリノ」

 

「これ以上同じ戦法()と戦うと変な癖がつくからな・・・だから臨時講師を連れてきた」

 

「臨時講師・・・?」

(他にも事務所に所属しているヒーローがいるのか・・・?)

 

考え込む緑谷にグラントリノは構えろと指示をする。

 

「おい、防御を取れ。じゃないと痛い目に遭うぞ?」

 

「えっ・・・分かりました・・・ふッ!!」

 

全身に力を込めフルカウル6%を発動し、一体これから何が起こるのかと警戒をする。

そして、事務所の入口方向からビュンという風を切る音が聞こえたと思った次の瞬間

 

「がっ・・・ごほっ・・・ッ!!」

 

緑谷は腹に強烈な衝撃を受け事務所の奥へと吹き飛ばされていく。

家具を巻き込みながら壁へと叩きつけられ、その衝撃で肺から息が漏れる。

 

(かは・・・ッ!!何だ今の衝撃は!?グラントリノの攻撃とは比べ物にならないほどの威力ッ!!)

 

揺れる視界の中、緑谷は攻撃を受けた方向である事務所の入口を見た。

 

そこにはオールマイトに勝るとも劣らない筋肉質の老人がいた。

左目の横には縫い傷。

片手にはおかき。

青いシャツと水色のネクタイ、白いスーツを着こなすその老人はガハハと笑いながらこちらを品定めするように見つめていた。

 

「俊典の奴が後継者を見つけたと言っとったからどんな奴かと期待したんじゃが、こりゃぁ期待ハズレかのう」

 

「お前・・・さっき話したばっかだろう?筋はいいがまだまだひよっこだと。ちゃんと聞いてたのか?」

 

 

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英雄ガープによる基礎身体能力向上RTA

はぁじまぁるよ〜

タイマーは腹パン食らった瞬間から計測開始です

はい、よーいスタート

過剰な覇気に個性は・・・

  • 通じねェ!!
  • いや通じるでしょ・・・
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