天才打者の忘れ形見   作:通りすがりの猫好き

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プロ野球は現在佳境ですが、こちらは大分遅れてやってきました新シーズン!

タイトルを見た方はお気づきかもしれませんが、OPENING DAYとVSシリーズは分かれています。
サブタイトルが長いので分かりにくいとは思うので、軽く説明しますね

まず、『OPENING DAY』は③まで作ります。
これは、開幕戦の3試合を形式を分けつつ、全て描写するからです。
その中のVSシリーズは1試合につき2話。
なので、3×2の合計6試合です。

読んでいる方が飽きる事の無いように頑張ります


5章 新旧無差別野球決戦 前半戦
OPENING DAY① 千葉ドルフィンズVS福岡マッハトレインズ①


 ―――最強は、俺たちだ。

 オーシャンズリーグの放映権を持つ局のCMでは、それぞれのチームを代表した6人がそう宣言するシーンがある。

 

 ドルフィンズは不動のスター選手・鳥居(とりい)帝人(みかど)

 スパークスは若き一番星・綱井(つない)・キハダ・真紅郎(しんくろう)

 フィッシャーズはリーグ最高峰の主砲・金師(かなし)有世(あらせ)

 パイレーツは前人未到の三刀流・奥戸場(おくとば)(そら)

 マッハトレインズは球界一の曲者・越智(おち)子龍(しりゅう)

 ビクトリーズは大エース・深瀬(ふかせ)和仁(かずひと)

 

 それぞれのチームの主力が境界を超えて結集し、強く高らかに宣言するそのCMは局のみに留まらずSNSでも広く拡散された。

 

 千葉ドルフィンズVS福岡マッハトレインズ。

 仙台スパークスVS埼玉フィッシャーズ。

 北海道パイレーツVS大阪ビクトリーズ。

 

 それぞれの場所、同じ時間。

 球界への待望感が極限まで膨らんだ今日、ついにリーグは新たな筋書きのない145試合をスタートさせる。

 

 さぁ、開幕だ。

 覚悟はできているか。

 

 

 

 

 『福岡エクスプレスドームの観客は超満員。

 詰めかけたファンは、球春がスタートする時を今か今かと待ちわびています。

 本日実況を務めさせていただきますのは、神林(かんばやし)(つとむ)

 そして解説にはレジェンドである、亀津(かめつ)嘉彦(よしひこ)さんと黒峰(くろみね)十三(じゅうぞう)さんをお招きしております!

 亀津さん、黒峰さん、本日はよろしくお願いいたします』

 

 『よろしくお願いいたします』

 

 実況の声に呼応するように解説の二人も返事と挨拶を返す。

 

 『さて、お二方は各チームのOBということで。

 元チームメイトたちの今年の展望について、どう見られますか?』

 

 最初に神林はアウェーであるドルフィンズのOB・亀津に質問する。

 

『去年まで同じチームにいたんでね。去年で(うみ)を出し切って、今年こそは首位を獲ってくれると思いますよ。やはりそれだけの地力は付けて来たので』

 

『ありがとうございます。では、黒峰さんはいかがでしょうか』

 

『まぁー、そうですね。マッハトレインズは安定した強さはあるんですけど、最近はいつもあと一歩のところで及ばず首位には届いておりませんから。それこそこっちも今年こそは、ですよね。新しい戦力も着々とアピールをしていますから、彼らの爆発に期待したいですね』

 

『お二方、ありがとうございます! どちらもこれからが楽しみ、という事で。それではスタメンが既に発表されておりますので、まずはそちらを紹介いたします!』

 

 スターティングラインナップ

 

 千葉ドルフィンズ 

 1番 ライト    入夏水帆

 2番 指名打者   槍塚(やりづか)(だん)

 3番 セカンド   鳥居(とりい)帝人(みかど)

 4番 レフト    阿晒(あざらし)兵太(ひょうた)

 5番 ファースト  クレイヴ・ポンズ

 6番 ショート   万田(よろずだ)英治(えいじ)

 7番 キャッチャー 早々江(さざえ)(しん)

 8番 サード    安里(あさと)悠吾(ゆうご)

 9番 センター   (たち)正宗(まさむね)

 先発投手 西部(にしべ)銀丈(ぎんじょう)

 

 福岡マッハトレインズ

 1番 セカンド   田吹(たぶき)弘正(ひろまさ)

 2番 ショート   布施(ふせ)(こん)

 3番 レフト    加藤(かとう)(たけし)

 4番 ファースト  安藤(あんどう)(やすし)

 5番 指名打者   別府(べっぷ)望会(のあ)

 6番 キャッチャー 越智(おち)子龍(しりゅう)

 7番 ライト    高足(たかあし)泰平(たいへい)

 8番 センター   二星(ふたほし)翔馬(しょうま)

 9番 サード    熊本(くまもと)(もとい)

 先発投手 星見(ほしみ)昇太(しょうた)

 

『いやー、流石は開幕戦のラインナップ! 両チームとも気合が入っております! ではドルフィンズの注目選手に移りましょう! まずは1・2・3番。ここはオープン戦から一貫して固定しております! そして、8番にはルーキーの安里がいきなりスタメン! これについて、亀津さんはどう思われますか?』

 

『そうですね……ドルフィンズのサードはかなりの激戦区で、それこそかなりの選手がポジションを競っているんですけどねぇ。まぁ今回はオープン戦の結果と、対左投手への相性込みで組んだものと思われます。ただ、それ以上に気になるのは……バッテリーですね』

 

『バッテリーと言いますと、西部選手と早々江選手で今回は組まれていますが』

 

『そこなんですよ。去年は西部相手には志々海(しじみ)と一貫して組ませていたんですけどね。オープン戦でも一回も組まなかったし、かといってどちらかが怪我をしているわけでもない。……これはなんというか、理由があるようにも思えますね』

 

『なるほど、ご見解ありがとうございます。それではマッハトレインズのオーダーに関してもご意見をいただきたいと思います。黒峰さん、今年の開幕オーダーを見て、どう思われましたか?』

 

『大きくは去年とそこまで変わっていませんが、挑戦の意図を感じるオーダーですね。雪上(ゆきがみ)監督はそれこそ、今は亡き名誉監督・宮使(みやつか)さんの遺志を継ぐような保守的なオーダーを組みがちなので。特に印象的なのは、5番に別府を置いたことでしょう』

 

『別府選手ですね! オープン戦では12球団トップの本塁打を放っており、既に今年のマッハトレインズの目玉選手として注目を浴びています。彼の起用に関しては、かなり思い切った所があると』

 

『そうですね。どう転ぶかは分かりませんが、それでも思い切ったオーダーである事には違いないと思います』

 

『ありがとうございます! それではいよいよ、プレーボールの時間がやって参りました! ドルフィンズのリードオフマン、入夏選手が打席へと入って……審判がプレーボールを告げました!』

 

 球場のファンの視線が、投手の星見の一挙手一投足に釘付けになる。

 星見がのびやかに体を伸ばし、利き手を隠すようなフォームで左腕を振り抜く。

 スピンのかかったストレートは入夏の振り抜いたバットに当たり、一塁線へのファールボールとなる。

 球速は133km/hを記録する。

 プロの中ではかなり遅い部類だが、それでも星見はストレートのキレや体感速度と鋭い変化球で第一線を生き抜いてきた猛者である。

 故に、ある程度プロ野球を知っていれば球速程度で星見を計ろうとする者はいないだろう。

 

『初球からいきました! 両者、いきなり真っ向勝負で幕を開けましたね!』

 

『いや……今のはどっちかというと』

 

『どちらもお互いの顔色をほどほどに窺うようなプレーでしたね。もちろん手を抜いているわけではありませんが、それでもシーズン最初の試合となれば気持ちが入りすぎてしまうもの。そこはお互い試しながらといったところでしょう』

 

『なるほど、しかし初球から熱いぶつかり合いを見せてくれますね!』

 

(熱量で言えばアンタもどっこいどっこいなんだけど。しかも言いたい事は黒峰さんに言われたし。この人もこの人で手慣れてるからちょっとプレッシャーなんだよな……はぁ、これが実況と解説って席かぁ。慣れるのには時間がかかりそうだな)

 

 亀津がそんな事を心の中でぼやく内にも試合は進んでいく。

 星見が緩いカーブであっさりと追い込むも、入夏も負けじと食らいつく。

 ストライクゾーンの直球をファールで受け流し、再び投じられたカーブを見送り1ボール2ストライク。

 

『さぁ5球目。当てました! しかしこれは完全に詰まらされた当たり! セカンドが大事に捕球して送球、まずは星見が落ち着いて1アウトを奪いました!』

 

『今のは完全に球威に負けた形ですね。星見もこれを皮切りにテンポよく投げられれば、かなり良い所までいけるんじゃないでしょうか』

 

『さぁ、打席には右打者の槍塚選手が入ります! 槍塚選手は昨シーズンから左足の位置を大きく変えるなど、フォーム改造に取り組んでいるとのことです! えー、またですね。今シーズンのオープン戦からはホームランパフォーマンスにも挑戦しているようで。このパフォーマンスは今日見れるのか! そこも楽しみに見ていきたいと思います!』

 

 槍塚の打撃フォームは昨年の開幕から見ても大きく変わっている。

 それを特に象徴するのは、左足の位置だ。

 以前までは左足がバッターボックスの外側に寄る形だったが、今は逆にバッターボックスの内側になるように構えている。

 フォームを変えたのは去年の秋にさしかかるころ。

 あの頃と比べ、結果もフォームもより洗練されているように亀津には映った。

 恐らく、海外でとにかく打席に立つことでフォームを固めてきたのだろう。

 あのじゃじゃ馬が、ここまで野球に真摯に向き合うとは。

 

 初球、星見は変化球を選択した。

 打者の打ちごろのゾーンから縦に大きく変化するフォークボール。

 見極めるのはなかなか難しいボールだったが、槍塚は我慢した。

 狙いのコースでなかったのか、それは本人にしか分からない。

 ただ、ある程度冷静でいられている事は伝わってくる。

 

『槍塚は今のボールをよく見送れたと思いますよ。昨シーズンと違って、ボールの見方に落ち着きがありますね』

 

『なるほど、ありがとうございます! さぁ星見が構え直して2球目、構えて……投げました!』

 

 バッテリーが選択したのは体より遠い外角。

 様子見と言えど、星見のストレートは一級品だ。

 

 瞬間、バットが顔を出した。

 シーズンで一度聞けるかどうかの気持ちよい快音が球場内に響く。

 プロ野球選手だった亀津でさえ錯覚しそうなほどのスイングスピードはボールを捉え、打球はライト方向へ高く上がっていた。

 

『打った! 打球はライト方向へ!! 伸びる、伸びるぞ!! ライトが下がって、どうだ、入るのか!? 入るのかぁ!? ……入りましたぁ―――!! いきなり波乱の幕開け! 今シーズン、開幕から一番目の祝砲を上げたのは、ドルフィンズの2番打者・槍塚弾でしたぁ―――!!』

 

 ベースを一周しながら槍塚は右手を突き上げる。

 亀津から見ても、元々の槍塚はこういう選手だ。

 目立つ場面で結果を残したがり、残したら子供のようにはしゃぐ。

 はしゃぎすぎて後で報復死球を貰うのだけはやめておけよ、と思わず亀津は苦笑した。

 

『素晴らしいスイング、素晴らしい角度でした!! まさかまさかの一発! これは星見選手も、誰も予想していなかったんじゃないでしょうか!?』

 

『……いや、少なくとも私は驚きませんよ。それだけの選手です。ずっと近くで見てきましたからね』

 

『さぁベースを一周して、カメラに向かって……出ました怪獣ポーズ!! いやー、早速見れましたね! これは子供もマネしやすい良いポーズなんでしょうか!!』

 

『これ、著作権とかはどこに……』

 

『いやいや、多分無いでしょ(笑)。このポーズがあまりも浸透しすぎて』

 

 解説席はちょっとの驚きと笑いに包まれていた。

 それでも亀津の胸は未だ躍って鳴りやまない。

 開幕戦。

 早速、『怪獣』が火を噴いた。

 

 




~ついでのおまけコーナー~
プロ野球のチームは毎年スローガンを掲げるので、挑戦してみました。

千葉ドルフィンズ
Showtime Is Now!

福岡マッハトレインズ
盾と矛

埼玉フィッシャーズ
球魂!!

仙台スパークス
かける

北海道パイレーツ
The Greatest Journy

大阪ビクトリーズ
We Were Kings

はい、こんな感じです。
本当にただのおまけです。

この開幕戦シリーズはめっちゃ頑張ります!
なので、応援いただけると嬉しいです!
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