遊戯王CHRONICLE-転醒せし決闘者達-   作:葉月/リーフ

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巫羽がセフィロト・デュエルアカデミアに通い始めた話となっております(遅れがあって申し訳ありません。ゲームなどの色々な趣味が面白くて遅れてしまいました)。

ストラクチャーデッキ 青き眼の光臨は絶賛発売中!


青き復讐の始まり

それはとある街のことだった。

 

小学生の青髪の少年が、必死に彼と同じ髪色の重い傷を負った女性である姉のもとに駆け寄った。

 

「巫羽…?無事なのね…?」

 

「姉さん!姉さん!」

 

巫羽の姉の女性は息も絶え絶えに安否を尋ねた。

 

「無事だよ!だから君を放っておけない!何があったの?」

 

「誰かに襲われて…その人、モンスターに変身して私に襲いかかって…私の命ももう無いと思うから…」

 

「大丈夫だよ!姉さんならいつも無事だったじゃないか!とにかく休んで!」

 

巫羽は姉の傷口に持っていた手拭いを巻き、病院に連絡した。

 

「姉さん…絶対無事だよね…」

 

巫羽は姉の手を握り、心配していた。

 

「大丈夫だよ…休んだら良くなるから…だから良くなってよ…」

 

巫羽は姉が戻ってくるように願い、ずっと彼女の手を握っていた。

 

「巫羽。私が死ぬ前に、言いたいことがあるの。君のわがままにいつでも付き合ってくれたけど、私のわがままに付き合ってもらってもいいかな?」

 

「うん…もちろんだよ…」

 

「まずは私の持ってるデッキも君に託すわ。このデッキ、君はすごく使いこなせるって、私信じてる。だから私だと思って、大事にしてね」

 

「うん…わかった。大事にするよ」

 

姉は巫羽にデッキケースを授けると、巫羽はデッキケースを受け取った。

 

「もう一つ、最後に伝えることがあるの。巫羽?あなたは絶対どんなことにも負けない強い男の子になれるから。私、信じてるよ…」

 

姉は最期にそう言い残すと、巫羽の手を握ったままそっと息を引き取り、巫羽がその場で泣き崩れる中で体が光るキューブとなって分解されて消滅した。

[newpage]

それから数年後、それは姉を亡くした少年・[[rb: 蒼馬 巫羽>そうま ふう ]]が、小学校を卒業した後の春休みの出来事だった。

 

巫羽は家のベッドで無気力そうに寝転がっていた。

 

小学校に通っている間から姉を思い出すように長い髪をポニーテールに束ねており、その姿は中性的な外見も相まって少女に見える様子だった。

 

彼は幼い頃母親を病で亡くし、その後は親として育ててきた姉を殺害された上、会社の社長である父親は行方不明になっており、やがては中学に入る頃の段階から姉から教え込まれた知識によって1人で生活できるようになった。

 

すると、「ピンポーン」と呼び鈴が鳴った。

 

巫羽は一階に来て、届いた手紙を受け取った。

 

巫羽は玄関でそれを手に入れてから開封し、中を確かめた。

 

「これは…セフィロト・デュエルアカデミアへの招待状!?」

 

巫羽は手紙を開けて読み、驚きを隠せなかった。

 

それは、ソピアー・コーポレーション社長の父親が直直に巫羽宛の招待状を送っているのだった。

 

セフィロト・デュエルアカデミア。

 

それは大手会社「ソピアー・コーポレーション」の設立したデュエリストを養成する学園であり、精霊の力を悪用した犯罪にも立ち向かう平和維持組織でもある。

 

巫羽は付属のパンフレットを読み進めると、カードショップも兼任しているレストランや遊園地など様々な施設が描かれていたが、一つ心当たりのある表示を見つけた。

 

『対エヴォイドモンスター特殊部隊』。デュエルモンスターの力を悪用する犯罪者と戦い、治安を維持する部隊だ。

 

「対エヴォイドモンスター特殊部隊…?」

 

巫羽はここに興味を示した。

 

それは、自分の肉親である姉の命を奪い、日常を大きく狂わせた元凶に復讐できる時が来たのだった。

 

巫羽は低血圧だが、復讐ができるならどんな訓練も怖くない。

 

彼は届いた制服に袖を通し、荷物を持って手紙に記された住所に向かった。

 

そこは近未来的な建物があり、巫羽はその玄関を通った。

 

すると、端正な顔立ちと焦茶色の髪を持つ高身長の男性が、巫羽を出迎えた。

 

巫羽はこの男性に見覚えがあった。

 

「ようこそ、待っていたぞ」

 

「君は…父さん!?」

 

「そうだ。父親の[[rb: 千理>せんり ]]だ。長く姿を現せずにすまない」

 

巫羽の父親である千理は社長だけでなくセフィロト・デュエルアカデミアの理事長も兼任している。

 

最近は精霊世界の技術の研究もしており、それと社長の仕事なども相まって巫羽とは長らく暮らしていなかった。

 

「どうして姿を現してなかったんだ」

 

「それは…母を生き返らせるために、精霊世界で研究をしつつ、社長として仕事をしていた。だが、君の姉が死んだことで戻ってきた。本当にすまない」

 

「姉さんが死んだってこともわかるのか?」

 

「ああ、君の持っている[[rb: 青眼の白龍>ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン]]の記憶は同質の存在である青眼の白龍の石版にアクセスされる」

 

「それは?」

 

「精霊のカード及びそれの原型である石板は別世界の記憶を宿している。その記憶から生み出されたのが、我々のよく知るカードゲーム『デュエルモンスターズ』だ。それにより、この青眼の白龍の石板と、それから分離されたカードの記憶は共鳴している」

 

千理はエントランスに飾ってある青眼の白龍の描かれた石板を見せた。

 

「これらの石板やカードに宿る記憶は思いや意思を共鳴させることで、所有者もそこにアクセスすることができる」

 

「なるほど…それで、試練はどうするんですか」

 

「試験を受けなければならないが、私の息子であることに免じてここに入学させてやろう。さて、入りたいところはあるか」

 

「それは…対エヴォイドモンスター特殊部隊です」

 

「ダメだ」

 

巫羽の提案を、千理は一瞬にして断った。

 

「えっ…」

 

「これは、敵と戦う役目を持っている仕事だ。なので、巧みなデュエルタクティクスと強靭な身体能力が必要となる。低血圧の巫羽にとっては難しいだろう」

 

「そんな……」

 

巫羽はそのまま項垂れ、心が悔しさで溢れた。

 

「だが悔しがるのはまだ早い。その前に、対エヴォイドモンスター特殊部隊の試験を行う。今日の午後8時、エントランスにて待っている」

 

「わ…わかった」

 

巫羽は悔しさが和らぎ、落ち着いた気持ちへと戻った。

 

「それと、これがデュエルドライバーとその強化ユニットのデュエルブレードだ。大切にしろ」

 

「ありがとう」

 

巫羽は最先端のデュエルディスク『デュエルドライバー』と最新鋭のユニット『デュエルブレード』を受け取った。

 

「じゃあ、デュエルフィールドに案内する。その前にすることがある」

 

千理は巫羽を連れて複数ある筐体の前に立った。

 

その筐体は球状の本体とその中にある椅子を持ち、隣には半透明のチューブがあった。

 

「これは?」

 

「これはリアルソリッドビジョンの義体を展開する装置だ。デュエル時は危険なこともあるので、これで義体になってから行くことになる」

 

「わかった」

 

「まずはこの内部に座り、ヘルメット型の装置を被ることで義体を映し取ることができる」

 

巫羽は千理に言われた通り、球状の本体の中にある椅子に座り、デュエルドライバーを装填して筐体を起動させ、付属されているヘルメット型の装置を頭に装着した。

 

筐体を起動すると、装置の中のモニターに義体の作成画面が写り、巫羽は自分の容姿をベースにして義体を生成し、意識を義体に移動させた。

 

「こ…これが…」

 

巫羽は目を開けると、自らの意識が義体に転送されていることと、本来の体が筐体の椅子に座っていること、そして腕に装着されているデュエルドライバーに気づいた。

 

義体になった際、デュエルドライバーもコピーされて義体に装着され、デュエルドライバーのコピー本とは遠隔で同じ操作や効果を発揮することができる。

 

また、元の体に戻るときの操作はデュエルドライバーから行うことができる。

 

巫羽は画面の説明文を読み、そう理解した。

 

「お前の様子、準備ができたようだな」

 

すると、千理が現れて準備ができた巫羽に話しかけた。

 

「ああ、できている」

 

「なら行こう」

 

千理と巫羽はリアルソリッドビジョンの義体をデータ化させて上に続く道を通り、屋上にある新型のデュエルフィールドに移動した。

 

屋上のデュエルフィールドは見晴らしが良く、臨場感のあるデュエルを楽しめそうだ。

 

風が強くても防風壁を展開し、カードが吹き飛ぶことなく安定してデュエルすることができる。

 

「ここがデュエルフィールドだ」

 

「おぉ……」

 

巫羽はデュエルフィールドに絶句していた。

 

周りの夜景に飾られる、近未来的な光る戦場。

 

夜景に見守られて行うデュエルは、臨場感のあるものになるだろう。

 

「これより、準備を始める。いいな?」

 

「わかった」

 

巫羽と千理は、お互いの位置についた。

 

「その前に、行くぞ」

 

千理は石板をデュエルドライバーに装着し、それに輪のついた十字架であるアンク型の鍵を刺し、鍵を回した。

 

すると千理は長いコートを纏い、錫杖を備えた神官の姿に変化してデュエルの準備を完了させた。

 

「変身した……?」

 

「ああ、デッキに宿った記憶と波長がぴったりと合うことで変身し、モンスターと共に戦う存在として目覚めた姿がこの転醒決闘者だ。対エヴォイドモンスター特殊部隊も、転醒決闘者への覚醒が必要になる」

 

「絶対、倒してみせる…!」

 

巫羽は闘志の宿った眼で千理を睨んだ。

 

「それでは、デュエルスタートだ。ライフポイントは8000で行かせてもらう」

 

「「デュエル!!」」

 

千理 LP8000

【封印されし記憶】

 

巫羽 LP8000

【青き眼の魂】

 

[newpage]

 

「私のターン!」

 

千理 手札5

LP8000

 

「私はホルスの栄光-イムセティの効果発動!イムセティとホルスの先導-ハーピを墓地に送り、デッキから王の棺を手札に加える!さらに私は永続魔法、王の棺を発動!」

 

「私は王家の棺の効果で、手札からホルスの祝福-ドゥアムテフを墓地に送り、デッキからホルスの加護-ケベンセヌフを墓地に送る」

 

「私は墓地のイムセティ、ハーピ、ドゥアムテフ、ケベンセヌフの効果発動!王家の棺がある時、墓地から特殊召喚する!ホルスの僕よ、今こそ蘇れ!」

 

☆8 闇 魔法使い族 攻3000

 

☆8 風 獣戦士族 守1600

 

☆8 水 獣族 攻0→4800

 

☆8 地 鳥獣族 守2000

 

現れた棺が開かれると、中から人、ヒヒ、山犬、ハヤブサの仮面を身につけた人型のモンスターが千理の陣営に現れた。

 

「ドゥアムテフの攻撃力は、私のフィールドのホルスの僕の数だけ1200アップする。私はこれでターンエンド」

 

千理 フィールド

デ⑤④③②①X

墓⑤④③②①フ

ーーEーXーー

フ①②③④⑤墓

X①②③④⑤デ

モンスター

①:ハーピ②:ドゥアムテフ③:イムセティ④:ケベンセヌフ⑤:

E:

X:

フィールド:

魔法罠

①:②:③:王の棺④:⑤:

手札:2

LP:8000

TURN CHANGE

[newpage]

「僕のターン!」

 

巫羽 手札6

LP8000

 

「僕は魔法カード、ドラゴン・目覚めの旋律を発動!手札からカードを捨てて、デッキから[[rb: 青眼の白龍>ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン]]と[[rb: 青眼の亜白龍>ブルーアイズ・オルタナティブ・ホワイト・ドラゴン]]を手札に加える!さらに僕は手札から青眼の白龍を見せて、青眼の亜白龍を特殊召喚!」

 

☆8 光 ドラゴン族 攻3000

 

光り輝く白龍が巫羽のフィールドに現れて雄叫びをあげ、彼の横へと降り立った。

 

「僕はデッキから青眼の白龍を墓地に送り、ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの独裁者を特殊召喚!」

 

☆4 闇 魔法使い族 守1100

 

「ドラゴンの独裁者の効果で手札から対峙する宿命を墓地に送り、墓地の青眼の白龍を特殊召喚!」

 

☆8 光 ドラゴン族 攻3000

 

青眼龍を模った笛を持つ竜使いの男性が巫羽のフィールドに現れた後、その笛を奏でて青眼の白龍を呼び覚ました。

 

「来い、青き心宿せしサーキット!僕はドラゴンの独裁者をリンクマーカーにセット!リンク召喚!来い!青き眼の精霊!」

 

LINK1↓ 光 ドラゴン族・リンク 攻300

 

「青き眼の精霊の効果で、デッキからフィールド魔法、光の霊堂を手札に加えてそのまま発動!」

 

ドラゴンの独裁者は矢印に吸い込まれると、小さな青眼龍が生まれ、周囲には一瞬霊堂が展開された。

 

「さらに、青き眼の精霊をリリースして手札から青眼の白龍を特殊召喚する!」

 

☆8 光 ドラゴン族 攻3000

 

青眼龍は成長することで2体目の青眼の白龍へと姿を変え、雄叫びをあげた。

 

「僕は亜白龍の効果でケベンセヌフを破壊!滅びのバーンズ・ディバイド!」

 

「他のホルスの僕が破壊されたことで、ドゥアムテフの効果でデッキから3枚ドローし、イムセティの効果で青眼の亜白龍を破壊!」

 

亜白龍の口から放つ光線が隼の仮面を被ったホルスの僕を破壊したことに反応し、人の仮面を被ったホルスの僕は杖から放つ光線で白龍を貫こうとする。

 

「速攻魔法、[[rb:究極融合>アルティメット・フュージョン]]を発動!亜白龍と青眼の白龍をデッキに戻し、融合モンスターを融合召喚し、王の棺とセットカードを破壊する!融合召喚!いでよ!レベル8、ブルーアイズ・タイラント・ドラゴン!」

 

☆8 光 ドラゴン族・融合 攻3400

 

亜白龍と青眼の白龍は渦と共に一体化し、光り輝く翼を持つ白龍がフィールドに現れて、ホルスの僕の放った光線を避けた。

 

「霊堂の効果でデッキから青眼の白龍を墓地に送り、そのレベル×100だけタイラントの攻撃力を上げる!」

 

タイラント 攻3400+800=4200

 

「バトル!僕はタイラントでドゥアムテフに攻撃!タイラントは相手のモンスター全てに一回ずつ攻撃できる!」

 

ブルーアイズ・タイラント・ドラゴン 攻4200

 

ドゥアムテフ 攻3300

 

千理 LP8000−900=7100

 

「タイラントの効果で、墓地から対峙する宿命をセットする」

 

「ハーピの効果発動!お互いの墓地、除外ゾーンのカードを2枚を手札に加えるか、デッキに戻す!私は王の棺とケベンセヌフを手札に戻す。巫羽、君はどうするか」

 

「僕はドラゴン・目覚めの旋律と究極融合を手札に戻す。さらに、タイラントの効果で墓地から続いてタイラントでハーピに攻撃!」

 

ブルーアイズ・タイラント・ドラゴン 攻4200

 

ハーピ 守1600

 

「続いてタイラントでイムセティに攻撃!」

 

ブルーアイズ・タイラント・ドラゴン 攻4200

 

イムセティ 攻3000

 

千理 LP7100−1200=5900

 

力を得たタイラントは、口と光る翼からから光線を放ち、ホルスの僕を次々と消し去っていく。

 

「僕は青眼の白龍でダイレクトアタック!」

 

青眼の白龍 攻3000

 

「なかなかだな…」

 

千理 LP5900−3000=2900

 

白龍の光線が千理に命中するが、千理は吹き飛ばずに立ったままダメージを受け、ライフポイントが削られた。

 

「僕は再び魔法カード、ドラゴン・目覚めの旋律を発動!手札から伝説の白石を捨てて、デッキから再び青眼の白龍と青眼の亜白龍を手札に加える!さらに伝説の白石の効果でデッキから青眼の白龍を手札に加える!」

 

「僕はカードを2枚セットしてターンエンド。この時、墓地に送った太古の白石の効果でデッキから青眼の白龍を特殊召喚する!」

 

☆8 光 ドラゴン族 攻3400

 

巫羽 フィールド

デ⑤④③②①X

墓⑤④③②①フ

ーーEーXーー

フ①②③④⑤墓

X①②③④⑤デ

モンスター

①:②:③:青眼の白龍④:ドラゴンの独裁者⑤:

E:タイラント

X:

フィールド:

魔法罠

①:②:③:セットカード④:セットカード⑤:

手札:1

LP:8000

 

千理 フィールド

デ⑤④③②①X

墓⑤④③②①フ

ーーEーXーー

フ①②③④⑤墓

X①②③④⑤デ

モンスター

①:②:③:④:⑤:

E:

X:

フィールド:

魔法罠

①:②:セットカード③:④:⑤:

手札:4

LP:2900

TURN CHANGE

[newpage]

「私のターン!」

 

千理 手札5

LP:2900

 

「私は心宿りし[[rb: 青眼竜>ブルーアイズ]]を捨て、デッキから千年の十字を手札に加える」

 

千理の青眼竜が上空に飛び立って消えると、光と共にアンク型の錠が千理の手に握られた。

 

「さらに私は魔法カード、千年の十字を発動!デッキの封印されし者の右腕、左腕、右足、左足、封印されしエクゾディアを見せて、エクストラデッキから幻の召喚神エクゾディアを特殊召喚する!」

 

☆10 闇 魔法使い族 攻?

 

千理の場に現れたのは幻の召喚神。呪いの神、恐怖の神、破壊の神などの異名を持つ裁きの神・封印されしエクゾディアのさらなる力を解き放った姿。

 

「バトル!私は幻の召喚神エクゾディアで青眼の白龍に攻撃!」

 

「速攻魔法発動!究極融合!」

 

その瞬間、巫羽のデュエルドライバーが青白く光輝き、幻の召喚神エクゾディアの動きが止まった。

 

「これは…スキル?何故僕が…うわぁっ!?」

 

それと同時に、巫羽の意識は別世界に転送されたのだった。

[newpage]

「ここは…?」

 

巫羽の転送された別世界。それは周囲が白い霊堂の中であった。

 

「ようこそ、おいでなさいました」

 

霊堂の中に立っていた巫羽の前に、青い眼と白い髪を持った女性の姿があった。

 

「君は…」

 

「私はキサラ。青き眼の乙女、とも呼ばれています」

 

「キサラさん、どうしてここに?」

 

「あなたの身に、精霊の力を感じました。あなたの身に宿る精霊の力と、私たちの記憶を宿しているデッキが共鳴してここに来ました」

 

「精霊の力…?」

 

「そう、あなたに精霊の力が感じられました。それに、私たちに似た力が」

 

「君たちに似た力…不思議なこともあるんだな」

 

「試しに、この祭壇に触れてください」

 

「わかった」

 

巫羽は白く光るドラゴンの石像の置かれた祭壇に手を伸ばすと、巫羽の内に宿る力が光になって掌から石像に宿ると、石像が割れて青い眼を持つ白いドラゴンが孵化して雄叫びをあげた。

 

「これは…?」

 

白いドラゴンは巫羽に宿ると、巫羽の全身に力がみなぎり、石像の破片は青と白の盾のようなアイテムに変化し、巫羽のデュエルドライバーに装着された。

 

それと同時に巫羽の姿は変わり、青と白の衣服の上に銀色の鎧を身につけた騎士のような姿へと変わった。

 

「姿が変わった…」

 

すると、姉の形見であるデッキに宿った1枚の青眼の白龍が話しかけた。

 

「ようやく目覚めさせたようだね、巫羽」

 

「君は…?」

 

「俺は白龍…名前はまだ無いけど、君は確か巫羽だね?」

 

「何故、僕の名前を」

 

「俺は君が蘇らせた時、君の魂と一体化した。すなわち君の分身のようなものだ。名前も知っていて当然だろう」

 

「ああ、よろしく」

 

「俺のことはいつでも呼び出せる。ピンチに陥ったらいつでもやってくるぞ」

 

「うん、頼りにするよ。それと、君は僕の分身のようなものだから、名前をあげる」

 

「名前か…どんなのになるか」

 

「君の名前は『アズ』。[[rb:紺碧>アズール]]に輝く眼から、そう名付けた」

 

「アズ…か。気に入った。これからもよろしくな、巫羽」

 

「うん、わかったよアズ」

 

アズはカードに戻るとそのまま巫羽のデッキに宿った。

 

「巫羽さん、力は確認できましたか」

 

「うん。内側から力がみなぎってくるよ。これなら、目的を達成できる」

 

「その目的が、果たせるといいですね」

 

「ああ、どんなことがあっても、これがあれば怖くない」

 

巫羽はそう言うと、別世界から離れて元の場所に戻った。

[newpage]

巫羽はデュエルに戻ってくると、自分の内部に力が残っているのを感じ取った。

 

「何なんだこの経験は…それに力が残っている?」

 

巫羽は先程の経験及び、それによって宿った内部の力を不思議に思いつつ、デュエルドライバーの丸い液晶画面を見ると、そこにはこのような表記がされていた。

 

スキル:青き眼の輝き

このスキルの②、③の効果はいずれかデュエル中1度しか使用できない。

①自分フィールドに「ブルーアイズ」モンスターがいる限り、このターンに一度だけ「ブルーアイズ」モンスターを素材にしてモンスターを儀式、融合、シンクロ、エクシーズ、リンク召喚する時、相手はカードの効果を発動できない。

② レベルの合計が儀式モンスターの2倍になるようにフィールド、手札、デッキからブルーアイズを墓地に送り、儀式モンスターを儀式召喚する!この時、フィールドのモンスターを素材にした場合、相手カードをその数分破壊する。

③ 自分の手札・フィールド、デッキから、「青眼の白龍」を素材に指定する融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地に送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

千理はスキルを発動して潜在能力を解放した巫羽を見て呟いた。

 

「究極融合の効果で、場の青眼の白龍と、墓地の2体の青眼の白龍を素材にして、モンスターを融合召喚する!」

 

「幻の召喚神エクゾディアの効果発動!魔法・罠カードの効果が発動した時、その発動を無効にする!」

 

「スキル:青き眼の輝きの効果でブルーアイズを素材にモンスターを特殊召喚する際、相手は1度だけ効果を発動できない!」

 

邪悪を呪い、邪悪を恐怖させ、邪悪を破壊する絶対神でさえ、巫羽のスキルにより動きを封じた。

 

「…そうか、巫羽にこのことを伝えなければならないな」

 

千理は変身した巫羽がスキルを発動したことを理解し、小さく呟いた。

 

「青き眼の3つの魂よ!今、一つとなりて強靭にして無敵なる究極へと生まれ変われ!融合召喚!現れよ![[rb:青眼の究極竜 > ブルーアイズ・アルティメット・ドラゴン]]!」

 

☆12 光 ドラゴン族・融合 攻4500

 

「バトルフェイズのこの時、私は速攻魔法、[[rb:魔神火焔砲> エグゾード・ブレイズ]]を発動!幻の召喚神エクゾディアは、さらに新たな力を得る!」

 

「罠カード発動!対峙する宿命!青眼の白龍がいる場合、相手の全てのモンスターの効果を無効化する!」

 

「幻の召喚神の効果で対峙する宿命を無効にして破壊する!」

 

「私は幻の召喚神エクゾディアで青眼の究極竜に攻撃!この瞬間、幻の召喚神の攻撃力は私のライフポイントと同じ数値分アップする!エグゾード・ブレイズ!」

 

幻の召喚神エクゾディア 攻2900

 

「この時、魔神火焔砲によって得た幻の召喚神エクゾディアの効果で私のライフポイントを半分にし、お互いの魔法・罠ゾーンのカードを全て破壊する!さらに手札、デッキから封印されし者の右腕、左腕、右足、左足、封印されしエクゾディアを幻の召喚神に装備して攻撃力を1つにつき2000ポイントアップさせる!」

 

千理 LP2900÷2=1450

 

幻の召喚神エクゾディア 攻12900

 

青眼の究極竜 攻4500

 

「うわぁぁぁぁぁあっ!!」

 

巫羽 LP8000-8400=0

 

5枚揃うと無限の力により全てを消滅させる断片を吸収したエクゾディアの怒りの豪火はひとたまりもなく、それを受けた巫羽は大きく吹き飛び、倒れると同時に変身が解除された。

[newpage]

「お疲れ様、よく頑張ったな」

 

「僕は負けた…ということは…」

 

「君はここには通えない…のは普通の話だったな。実は君が精霊世界人の血が覚醒したということを伝え忘れていた。本当に申し訳ない」

 

「僕が…精霊世界人の血を?それに覚醒って?」

 

「私は先ほど君の意思がデッキと共鳴し、精霊世界に行ったことを知っている。それにより青き眼の龍と魂を一つにした際に姿が変わったことで、君の内部の青き眼の一族の血が目覚めた」

 

「僕の中に、こんな力が…」

 

「ああ、君の母親は青眼龍と共鳴する青き眼の一族の子孫。つまり、君は青き眼の一族の後継者として、必然的にここに通うことになる。だから、ここの入学を認める」

 

「ありがとうございます…」

 

自分の血筋を理解した巫羽は嬉し涙を流した。

 

「さて、元の場所に戻るぞ。紹介したい人がいる」

 

千理と巫羽はデュエルドライバーを操作して『義体の操作の解除』を選択すると千理と巫羽の義体はデータ化して元々の体の眠る筐体に転送され、2人は元々の身体で目を覚まして筐体に外に出た。[newpage]

「巫羽、君に紹介したい人がいる。彼女だ」

 

千理はそう言うと、筐体の方に長い金髪をサイドアップにした、長身の女性が歩いてきたた。

 

「この人は銀河。対エヴォイドモンスター特殊部隊隊員の女性で、君と同じ転醒決闘者だ」

 

「巫羽のお目付役になった天川銀河よ、よろしく」

 

「ああ、よろしく。ところで転醒決闘者って?」

 

「私が説明するわ。転醒決闘者っていうのは、デッキに宿る記憶及びその精霊と波長がぴったりと合った人間が変身し、デッキの記憶を宿したアイテムを装填してモンスターと共に戦う存在として目覚めた姿よ」

 

「なるほど…」

 

「転醒決闘者になるには、精神がデッキに宿る精霊世界の記憶にアクセスされてからその精霊世界に行き、そこで認められることで変身できるようになるわ」

 

「僕はデュエル中、青き眼の一族の霊堂に来て白龍と一体化する不思議な夢を見た。それのことか?」

 

「その通りよ。私は中学2年生くらいの頃、精霊世界の記憶にアクセスしたことで[[rb:銀河眼の光子竜> ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン]]と心を通わせて、転醒決闘者になったわ」

 

「君も復讐のために戦うのか?」

 

「いや、私達の一族が封印していた『時空を統べる銀河の竜』が謎の一団によって奪われたため、それを追って人間界に来たわ。私はそれを奪い返すために戦っている」

 

「僕は肉親の姉さんが何者かに殺された。その復讐のためにここに来た。もう恐れることは無い」

 

「君にも目的はあるのね。だけど感情的になりすぎると思わぬ落とし穴にハマるから、そこは抑えてほしいわ」

 

「うん、わかった。よろしく」

 

「よろしく頼むわ。それと、これが君の部屋のアクセスよ。デュエルドライバーに読み込んで使うのよ」

 

「ありがとう」

 

巫羽は銀河からアクセスの書かれた紙を受け取ると、それをデュエルドライバーに読み込んだ。

 

寮は普段は鍵がかかっているが、開錠するアクセスが宿ったデュエルドライバーとの通信により開けることができる。

 

銀河は巫羽をプレハブ小屋に案内し、階段を登ってそのうち1つの部屋の鍵を開け、中に入った。

 

「巫羽、ここが貴方の部屋よ」

 

そこは2対の2段ベッドとテーブルのある素朴な部屋だったが、住めば快適になる雰囲気も感じられる。

 

「ここが、僕の部屋…」

 

巫羽は部屋に入ると靴を脱ぎ、2段ベッドの上に行くと寝転がってゆっくりと休んだ。

 

「待ってろよ。絶対に姉さんの仇を討つ」

 

巫羽は寝転がったままそう考え、気づいたら眠ってしまった。

 

「巫羽、どんなに悲しくても、絶対に自分を見失ってはいけないわ」

 

銀河は眠っている巫羽を見て優しく声をかけた。

 

セフィロト・デュエルアカデミアに加入し転醒決闘者へとなったことで、巫羽の復讐劇がはじまった。

 

この先、彼の運命に何が訪れるのか、そのことを彼はまだ知らない。

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