共鳴りとは──魂の振動(大嘘)   作:美味しいラムネ

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投稿が遅くなってしまい申し訳ございません。
毎日投稿は流石に厳しいと感じ始めた今日この頃です。


Q.真衣へのヘイトが低いのは?

A.悠仁関連の発言がなかったから。真希関連の発言もなかったから。





京都姉妹校交流会③

 

 

 

 二条のレーザーが、花御の肩に命中する。

 

  『ぐっ!』

 

 墜落した呪霊を横目に、恵達に話しかける。

 

 「あのね、お取り込み中のところ申し訳ないんだけど...特級呪霊、きちゃった!」

 

 「来ちゃったじゃねえよ、いや来ちゃったじゃねえよ釘崎。詳しい内容は?」

 

 「五条悟(ゴジョセン)の言ってた徒党組んでる特級!帳も降りてるから連絡もできない!五条悟が来るまで耐久戦!」

 

 「撤退は?」

 

 「あの攻撃範囲で?」

 

 伏黒恵は、巨人が駆け回ったかのような破壊痕を見て察する。

 撤退はほぼ不可能だ、と。

 よく生き残ったな、釘崎。そう思いながら、掌印を組む。

 

 「加茂さん、この調子じゃ交流会は中止です。兎に角、今は協力してアレの対処を」

 

 「そうだな。...特級。何処から紛れ込んだのか。高専の結界を掻い潜るとは...」

 

 「まぁ、精霊っぽいから騙されたのかな?天元様ってお爺ちゃんなんでしょ?」

 

 目につく範囲の矢を式神に拾わせ、加茂に渡す。

 

 「回復できる私以外じゃ、まともに食らったら終わりだ!私が前衛、サポートは任せた!あと、種子型の弾丸は絶対に呪力で防ぐな、呪力吸い取られて死ぬぞ!」

 

 「「了解!」」

 

 木製の球体から放たれた木の根を血の刃が逸らし、不知井底の舌が何重にも巻き付く。

 かと思えば脱兎の群れが花御の体を覆い尽くし、塞がれた視界の向こう側から飛来した五寸釘から放たれた斬撃が、全身を切り刻む。

 

 「『満象』+『蝦蟇』+『玉犬』『噛砕獣・大河馬(がんさいじゅう・おおかば)』」

 

 満象の足の如く太い歯を持った、頭部だけが異様に肥大化した大河馬が、頭部を飲み込むようにして花御の首に噛みつき、地面の影から飛び出した灰怒羅が、下半身から腹にかけてを飲み込む。

 

 「『苅祓』!」

 

 加茂の放った、4枚の刃を伴ったチャクラムが花御の腹の表面でギャリギャリと音を立てながら回転する。

 

 「『簪・平打ち』!」

 

 背後に回って投擲した釘が、花御の腹を切り裂く。

 花御が力を込めると、それだけで血液の刃は弾かれ、合成獣は元の影に還される。

 

 「碌なダメージはなし、か。だが」

 

 「そうよ、表面は硬ぇけど、内部から破壊すれば砕ける!」

 

 飛び込んだ恵の拳から電撃が流れ、加茂の放った矢が、斬撃により露出した体内へ突き刺さる。

 

 『数が増えたか...』

 

 事前に相手の攻撃を知っているかというのは大きい。

 大規模な大樹による攻撃を避けながら、時折挟まれる弾丸は、障害物を盾にするか、不知井底を盾にするなどして防ぐ。

 

 

 あの女のダメージを与えてくる速度が上がった、と花御は感じる。

 時に他の二人を庇うようにして前に出ることもあり、受けるダメージは上がっているはずなのに。

 

 ──あの男、影使いの男の所為か!

 

 時々、一瞬だけ展開された何かから正のエネルギーが、女めがけて注がれているのを知覚する。

 自身が回復に割いていたリソースを、攻撃に転用したか。

 

 あの血使いの男も、威力は少ないが確実に攻撃の出を抑えてくる。厄介だが...一番厄介なのは影使いの男だ。

 一番与えてくるダメージが大きいのは女だが、あの男の面倒臭さはそういう問題ではない。

 何度壊しても現れる式神。回復手段に、高圧の水による狙撃。電撃や拘束など攻撃パターンも豊富。

 

 女の使う式神は、壊されれば終わりなようだが、こいつのは違う。

 強さは低いが、その代わり何度壊しても復活する。無限の影の軍隊が、常に私の邪魔をする!

 

 『ならば...影使い、お前から始末する!』

 

 あえて束ねず、十数本の木の根を、それぞれ別々の軌道で振るう。

 あるものは蛇のように、あるものは鈍重に、あるものは鞭のようにしなり、速度と軌道の異なる木の根が、確実に逃げ場を塞ぎながら暴れる。

 

 女に3、影使いに7。血液使いは、優先順位は低い!

 

 女は確実に根を破壊しながら、時には直撃しながらも、無理やり回復して耐え抜く。

 だが、影使いの方はそうもいくまいて!

 

 いや、まて。笑顔。余裕。何故──

 

 

 

 

 『止 ま れ』

 

 根の動きと、花御の動きが同時に止まる。

 それと同時に、花御の背後に刀を振り上げた人影──禪院真希が現れる。

 

 『ぐ、しかし、そんな鈍では...!』

 

 呪霊の外殻に敗れ、刀が折れる。

 

 「ち、硬え!おい、恵!」

 

 「最高です、狗巻先輩!『玉犬・渾』!真希さん!!」

 

 先程までの合成獣とは違う、能力の高い一回限りの式神の牙が、呪霊の肩を削る。

 そして、伏黒恵が投げ渡したナニカを禪院真希が振り抜くと、呪霊の腕が削り取れる。

 

 「これを使うのは...胸糞悪りぃけどな。」

 

 特級呪具『游雲』。特級の名を冠する、単純な威力においては最大級の近接武器。三節棍という扱いの難しい武器でありながら、達人級に使いこなす真希の連撃が、呪霊の甲殻を砕き、ダメージを蓄積させる。

 

 狗巻先輩に、真希パイセン!もうっ...最高!愛してる!

 

 「私を...私を舐めるのは、止めてもらおうか!」

 

 加茂が、怒気と共に輸血パックから取り出した血液で穿血を放つ。

 それが呪霊の体へ命中すると共に、血液は形状を変えると、棘状に変化して体内から突き破るようにして四方八方へ血液の槍が広がる。

 

 こいつ、私の術式を参考にしたか...!やるじゃん。

 

 『離れな...さい!』

 

 腕を開き、自身を中心に根を広げようとした呪霊の頭部が何かに撃ち抜かれる。

 鼓膜を揺らす発砲音。

 隠れていて見えないが、おそらくは大口径の狙撃銃。まさか対物ライフルか?呪力を込めた実弾。呪具化した弾丸か!

 

 「なかなか渋いもん使ってるじゃん!」

 

 リボルバー女か!はは、少し見直したよ、真依!

 

 「『満象』」

 

 頭上遥かな高さから落下した巨象が、呪霊の体を沈ませる。

 両腕でなんとか巨体を受け止め、潰れることだけは防ぐが、胴体が無防備になる。

 

 「私も頑張らないとねえ!!」

 

 多種多様な式神の攻撃が、全身に隈なく打ち込んだ釘から放たれた呪力が、斬撃が呪霊の体を滅茶苦茶にする。

 無防備な胴体へ金槌を叩き込み、苦し紛れに放たれた根を食らいながら殴り続ける。

 

 『これは少々...』

 

 恵が手に持った呪具の刀が雷を纏い、呪霊の体を浅く切り裂く。

 踊るようにして振るう真希パイセンの三節棍が呪霊の体を抉り、飛来する加茂の矢が呪霊の放つ木球を落とす。

 真依の狙撃が、狗巻先輩の呪言が反撃の隙さえ与えない。

 

 『不味いですね!』

 

 新たな呪力の反応。二人...やっときたか!

 加茂が一気に踏み込み、呪霊の懐へ潜り込んだ瞬間。

 

 パァン、と拍手のなる音がする。

 

 加茂と入れ替わるようにして現れたのは...東堂葵。

 その拳が、呪霊の顔面へヒットする。

 

 『馬鹿な...どうやって!術式か!』

 

 大したことがない威力の拳だと、捨ておこうとした相手。それが、自身へ十分なダメージを与える相手へと入れ替わる。予期せぬ衝撃。

 

 「釘崎、伏黒ぉおおおおおお!!」

 

 一歩遅れて踏み込んできたのは、悠仁。

 振り抜かれた拳は、狙い澄ましたかのように空間を黒く歪ませる。

 

 

 「悠仁!!」

 

 「虎杖!」

 

 やっときたのね、悠仁!1発目が黒閃とか、いきなり調子いいじゃない!

 京都校の二人と、先輩達は下手な援護は邪魔にしかならないと悟り、後方へ下がる。

 

 「さっすが悠仁」

 

 連続で放たれる黒閃。

 東堂と入れ替わりながら放たれる黒閃。

 

 「4連続か...七海さんの記録に並んだな」

 

 東堂との連携。東堂に合わせるのは無理だ。まさに魂レベルでの連携。

 

 「ちょっと、妬けちゃうわね...でもさ、恵。東堂には合わせられなくても」

 

 「あぁ、虎杖には合わせられる!」

 

 そう。私たちは悠仁に合わせればいい。悠仁との連携なら、私たちが誰かに負けるわけないじゃない!

 その視線、その体の動き。魂の揺れに合わせて攻撃を挟みこむ。

 少しでも拳が決まりやすいように、呪霊の意識を誘導するように。

 

 「俺とブラザーの舞に横槍を入れるなど、無粋だと言いたいところだが...」

 

 東堂は直ぐに気づく。

 俺に合わせることができなくても、アイツらがブラザーに合わせてる限り、邪魔になることはない。いや、寧ろアイツらは、ブラザーの力を300%引き出す、まさに魂の友(ソウルメイト)

 

 「ふ...流石ブラザーの魂の友だな。伏黒恵も...つまらない奴だと思っていたが、少しはマシな面構えになったな」

 

 「は、東堂葵。ただの一級ゴリラグランドバーサーカーだと思ってたけど、流石悠仁のブラザーなだけはあるわね」

 

 瞬間、釘崎と東堂の脳内に溢れ出す存在しない記憶!中学時代、友人の友人という、滅茶苦茶微妙な関係性だった二人。なんとなくいい奴だとは分かってるけど。接点が殆どない相手!体育で、悠仁が休んだ日にペアを組むことはあったが、話題が悠仁関連しかなくて気まずかった思い出!!

 

 「「......」」

 

 一瞬、微妙な空気が流れた。

 

 「いや、釘崎。俺別に兄弟じゃねえよ」

 

 なんて言いながら、悠仁の振るった拳が、本日5度目の黒閃となる。

 入れ替わり、変幻自在に振るわれる拳が。思考を阻害するように絡みつく影が、釘が。

 

 抜け出せない。一瞬一瞬。次の1秒にはより深い沼へ沈んでゆく。

 殆どぶつかるかのような超至近距離。呪力を練る暇さえも無い。

 

 「『玉犬・渾』『大蛇』」

 

 恵は、あえて形を安定させず、影のまま式神を出現させた。それにより破壊を防ぐと共に、効果範囲を増大。自立行動の不能と、攻撃力の低下と引き換えだが、スペースを取らずに拘束するだけならばこれ以上に良い手段はない!

 

 影が絡みつき、一瞬防御が解除された花御の腕に、いつの間にか東堂の腕に握られていた、游雲の一撃が決まり、そこへ悠仁の手刀が決まる。

 

 「『玉犬・渾』!」

 

 「『簪・平打ち』!」

 

 今度ははっきりと実体化させた玉犬がさらに腕を抉り取り、そこへ叩き込まれた斬撃が、腕を切り飛ばす。

 

 そして、それを掴みとる。

 恵と、私の思考が一致した。

 

 「今なら、殺れる」

 

 今この瞬間、相手は印を組めない。...領域を展開できない!

 

 「恵!」

 

 「釘崎!」

 

 もうこの動作にも慣れたものだ。寸分違わず、互いの魂を同調させる。気分が高揚するのを感じる。

 印を、組む。

 

 『不味い...やらせはしません!』

 

 片腕を治すより、領域に飲み込まれるのが早い。そう判断した呪霊が、木の根を伸ばす。

 

 『動 く な』

 

 領域の範囲外から届いた呪言が、その動きを縛り、呪霊の頭部を矢と弾丸が撃ち抜く。

 そして、目の前の呪霊と同じ姿をした式神から放たれた、本物よりは細い根が、本物の体を縛り上げる。

 

 

 

「「領域展開」」

 

嵌合暗翳庭

 

 

 世界が、影に塗りつぶされる。

 必中も、必殺も無い領域。しかし、その代償に。既に完成された領域である嵌合暗翳庭は、十種影法術のポテンシャルを、200%引き出す。

 

 

 「「()達の領域へようこそ」」

 

 しかも、術式の解釈が広がったことにより、私達の領域の性能も増している。

 虎杖の拳が電気を纏い、その頭部から鹿の角に似たパーツが生える。

 

 「この領域の内部でなら、俺以外の相手にも、式神の能力を付与できる。」

 

 「悠仁。前に、『サンダーとか使いてぇー!』って言ってたでしょう!今、あなたの拳には電撃が付与されたわ。多少の反転術式も使えるから、そこそこ無茶が利くわよ?でも、東堂。あなたの場合、邪魔でしょう?」

 

 「お、スッゲェ!サンキューな、伏黒、釘崎...角はどこぞのせんとくん見てぇだけどな」

 

 「その判断は、正解だ」

 

 情報を共有しながらも、腕を治す暇を与えないように連撃をくわえる。

 領域の内部、私達の世界へ引き摺り込んだことで、更にその動きは大胆な物へと変わる。

 上から奇襲を仕掛けたいと思えば、頭上に影の足場が現れ、動きを止めたいと思ったタイミングで大蛇の群れが絡みつく。

 

 ただでさえ威力の高かった悠仁の拳が、雷を纏うことで威力をさらに増大させる。しかも、インパクトの瞬間に満象の重量を拳に付与することでその破壊力は何倍にも膨れあがる。

 

 それが、東堂の術式により、変幻自在に振るわれるのだ。

 

 抜け出せない。

 

 反撃すらままならない。

 

 最早どこを殴られているかどうかすらも分からないほどに速く、立体的で、変幻自在。

 

 悠仁の振るった拳が黒く歪む。その電撃までもを黒く染めながら振るわれた拳は、もう片方の腕をも肩から破壊する。

 そして、東堂の蹴りが、呪霊の顔面に生えた枝、その片方を折り、再生を阻害するために、式神が分離された腕と枝を喰らう。

 

 『これが、戦い...これが、戦いというものですか...!』

 

 どこにそんな力が残っていたのか。

 無理やり両腕を再生させた呪霊は、しかし胸を拳に貫かれる。

 

 『領域...展』

 

 影の中に潜んでいた私が飛び出し、呪霊の首目掛けて釘を放つ。

 

 「『簪・平打ち』!あーもう、窒息するかと思った!!!」

 

 影の中に潜んで、この瞬間を待っていた。

 相手に致命的な隙ができる瞬間を。酸素も、浮力も、抗力も、何も無い世界で。恵が、最高のタイミングで引っ張り上げることを信じて、領域を保ちながら。

 

 奇襲の代償に、印を組むのを諦めた呪霊の腕が、頭部から切り離された体が最後の力で私の臓腑を貫き、ぐちゃぐちゃにかき混ぜる。

 

 やっぱ柔らかいわね私の体!痛み超えてもう何もわかねえわ!

 

 「釘崎!!」

 

 「気にするな!やれ!

 

 私が一瞬意識を飛ばしたせいで、領域が崩壊する。

 すまん、恵。でも...

 

 「うぉあああああああああ!」

 

 悠仁の拳が、首だけになった呪霊を叩き落とし、東堂の蹴りが更に吹き飛ばす。

 

 これでもまだ死なねえとか、どんだけタフなんだよ!

 残りのカスみたいな全呪力で内臓を無理やり修復し、更に術式が焼き切れる前の一瞬で恵が呼び出して置いた円鹿が、傷を癒す。損傷はもうなくなった。

 腹の底から叫ぶ。

 

 「虫ケラ、やれ!」

 

 最後のとっておき。少年院の特級呪霊が、投げ渡した游雲を拾ってその頭部を三分の一は削り取る。

 同時に、今まで使い続けたことで半ば呪具化した釘を、最後の力で投擲する。

 

 『そうか』

 

 わずかに残った枝の表面を釘が削る。

 

 『そうか...体などなくても、魂で、私たち呪霊は呪いを紡げるのですね』

 

 その状態で、その状態でまだ戦えるのか、頭だけの状態で!!!

 特級呪霊。其の全呪力。存在さえ危うくなってしまうほどの多量の呪力の放出。濁流のように、全方位へ木の根が広がる。

 

 そして、それが広がりきるよりも速く──

 

 

 『黒閃』

 

 ──虎杖悠仁。本日7度目の黒閃。それと同時に、東堂葵。渾身の黒閃が決まる。

 

 

 

 呪霊の、その頭部が完全に破壊される。

 

 「マジか」

 

 マジか。マジかよ。 

 東京校、京都校。合わせて何人だ。それだけの力を合わせた。

 勝ったのか。

 

 祓ったのか。

 

 暫く、呆然と立ち尽くす。

 そして、漸く現実を理解する。

 

 「よ、っしゃあああああ!」

 

 飛び跳ねながら、悠仁と恵を巻き込む様にして抱きつく。

 

 「やった、やったのよ私たち!!」

 

 「あぁ!そうだな...って釘崎!?」

 

 二人の体に縋るようにして、ずるずると体が落ちる。私の体が倒れる。

 とても気持ち悪い。痛いのかどうなのかもわからない。体に傷が残ってるのかさえわからない。

 

 「あー、もう傷は無いはずなんだよな、下半身と上半身が分かれて釘と崎に別れてねえよな?」

 

 全身が痛い。アドレナリンが切れたからだろうか。

 

 「おい、釘崎、釘崎!?おい、やべえ、すげえ熱だぞ」

 

 「おい、しっかりしろ!そうだ、帳は...

 

 

 

 

 

 

 

 

 








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五条悟「へぇ、生徒だけでも充分やれそうじゃん」

次回はまたエピローグ+短編になりそうです。日常学生生活系ってどれぐらい需要あるんだろう

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