共鳴りとは──魂の振動(大嘘)   作:美味しいラムネ

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アニメと、映画を見ていました。これが新しいインスピレーション...!







起首雷同②

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──夜に、下から、それと峡谷の下に川があるのかも。川や境界を跨ぐ彼岸へ渡る行為は、呪術的に大きな意味を持つっス

 

 補助監督の言っていた話を思い出す。

 実際に、小さな川があった。

 

 さらさらと流れる小川を見つめる。この向こう側は、異世界なのか。

 

 「よし、じゃあ行きますか!」

 

 せーの、の掛け声で川を飛び越えると、世界が一変する。

 少年院の特級呪霊の時のように、この世ならざる呪霊の世界へ引き摺り込まれる。

 地面を覆い尽くすように、グロテスクなフジツボが生え、それらを柱の様に形成された呪いがつなぐ。

 その穴からは、ケタケタと笑う小型の呪霊が複数体顔を覗かせていた。

 

 「弱い呪いこそよく群れる...速攻で祓ってやんよ」

 

 「行くぞ、釘崎、虎杖!」

 

 「おうっ!」

 

 釘を構え、いざ呪霊を叩こうとした瞬間、背後から乱入者が現れる。

 目の前の呪霊よりもよっぽど大きな気配。

 酷い猫背の、背中から頭部が一体化した、二つの首を持ち、眼孔からは血を垂れ流す異形。

 

 「なんだぁ?先客かぁ?」

 

 人ではない。人ではないが...何かしらね。

 人と呪霊が混ざり合った様な...改造人間とも違う、二つの魂が混ざり合った様な...?

 

 「伏黒。コイツ別件だろ。お前らはそっち集中しろ。俺がコイツを祓う」

 

 「花御、蛇神。あんたら悠仁のサポート」

 

 2体の式神を取り出して、展開させる。

 生贄により変質した一級呪霊に、先日私たち相手に大立ち回りを見せた、特級呪霊。過剰戦力かもしれないけど、アイツからは不可解な気配を感じる。保険はかけといて損はないわよね。

 

 『了解しました。マスター』

 

 「やっぱなれねえな、言ってる言語はわからないのに、意味だけが直接脳内にくるの。一回『ファミチキください』って言って見てくんね?」

 

 式神のサポートを受けた悠仁が、乱入者と共に離脱する。

 花御、敵だった時はあの耐久力は厄介だったけど、味方になると頼もしいものね。頭以外は全部取り込めてるから、あれの8割の耐久力はあるし。

 

 「...特級呪霊で作った式神従えてるとか、釘崎なんでお前特級じゃ無いんだ?」

 

 「いや、あれだけじゃ流石に国家転覆は無理でしょ」

 

 不用意に顔を覗かせた呪霊の体を、恵が影のまま出した大蛇に噛み付かせ、動きを封じる。

 そこ目掛けて突進し、藁人形を巻き込む様にして釘を叩き込む。

 

 「『共鳴り』!」

 

 久々に一般的な使い方の共鳴り使った気がするわね!

 瞬間、半分以上のフジツボの中から呪力が溢れ、中の呪霊が祓われたことを知覚する。

 

 「よ、よっわぁ...息巻いてたけど、マジで瞬殺じゃん」

 

 恐らく、一連の刺殺事件の元凶であろうフジツボ呪霊。性質が性質なだけに2、3回共鳴りするだけで終わってしまいそうだ。

 術式範囲、被害者数、結界。その全てが本体にとって引き算として作用したのだろう。攻撃性も無い、ただちょこまかと逃げ回るだけ。

 

 「何か切り札がないとも限らん!最後の一匹が超強化されるとか、そう言う奴かもしれない!」

 

 「確かに!」

 

 もう一度、先ほどのように恵が縛りつけた呪霊に釘を叩きつける。

 すると、呪霊の入っていたフジツボが全て粉砕される。

 

 「全部消えたんですけど」

 

 式神にする暇もなかった。いや、あれを捕まえてどうするのか、と言う問題はあるのだが。

 

 「...!気をつけろ、まだ結界は消えていない!」

 

 フジツボの中から、ぬるりと新たな呪霊が這い出る。

 それと同時に、結界の外から私の腕を掴む存在が、1体。

 成る程。コイツが本当の元凶か、...じゃあ、外の、この...呪霊とも人間ともいえない気配は何?

 

 「おい、恵、アレ」

 

 「あぁ...どっちも、特級相当だ」

 

 ...分断狙いか?にしては妙だな。前のアレと、私の腕を掴むコイツの関連性が見えてこない。

 この腕を振り払うのは容易だが、特級相当を一体フリーにするのは流石に怖い。

 

 漏瑚や花御、真人級ではないな...やれるな

 それよりも、這い出ようとする相手の方が怖いな。

 

 「虫ケラ、恵の援護頼む。恵ぃ!こっちは私に任せろ!」

 

 任せといてくださいよ姉御、と言わんばかりに奇声を上げながら、這い出る途中の呪霊に虫ケラは容赦なく腕を叩きつける。

 それを見たのを最後に、視界は結界の外へ切り替わった。

 

 

 

 

 

 

 ♦︎

 

 

 

 ぷくぅ、と目の前の怪物の口が広がると、水鉄砲のように血液が放たれる。

 それを木の根が受け止めると、触れた側から根は腐り落ちる。

 

 『虎杖殿。どうやらアレは毒の様です。お気をつけて』

 

 「大丈夫だ、俺に呪術の毒は効かねえらしいからな。コイツ祓う時に知った」

 

コイツ、と指さされた蛇神が、『毒使いに毒が効くと思うなよ!』と言わんばかりに突進し、毒液を盾の様な首で防ぎつつ、槍の様な首で怪物を薙ぎ払う。

 そして、蛇神は僅かな痛みを感じて、後ろへ飛び退く。その首は僅かに腐食していた。

 

 『なるほど、どうりで木への通りがいいわけです。毒ではなく、分解。結果として毒となる』

 

 吐きかけられた毒を木で防ぎながら、花御は怪物を蹴り飛ばす。

 怪物の飛んでいった方向で待ち構えていた悠仁が拳を振うと、打撃に遅れて呪力がぶつかる『逕庭拳』の一撃が怪物を吹き飛ばす。

 ゴム毬のように何度もバウンドし、漸く地面へ着地した怪物は、顔を歪めながら叫ぶ。

 

 「お前ら強すぎるなぁ!つまらない、つまらないぞ!」

 

 四方八方へ雨のように血を降らせた怪物は、釘崎が2本の腕に掴まれたのを見るや否や、そちらの方へ駆け出す。

 

 「兄者っ!」

 

 「あ、待て逃げるな!」

 

 

 

 ♦︎

 

 フジツボから徐々に現れた呪霊。

 その体から迸る呪力は、つい最近戦った呪霊ほどではないが、特級クラス。

 白い体表に、黒ずんだ指。同色の鋭い爪を持ち、四つの眼を持った人型の呪霊。歯を剥き出しにし、ケタケタと笑うその姿を伏黒恵は知っていた。

 

 少年院の特級呪霊。目の前にいる、鎧型の呪霊を着た式神のコイツと同じ見た目の呪霊。しかし...その強さは、今現れたコイツの方が上。

 

 ──呪霊の行動パターンに合理性を求めすぎてはいけない。それでも頭の片隅で引っかかってはいた。何故今になってマーキングした人間の呪殺を始めたのか

 

 一人目の呪殺は六月だった。そして、虎杖悠仁に両面宿儺が受肉したのも──六月。

 そうか...これは“共振”だ。取り込まれた呪霊の中で力を抑えていた宿儺の指が、宿儺の受肉をきっかけに呪力を解放した。

 

 ケタケタと笑いながら、5本の指を真っ直ぐにそろえて、刃のようにして呪霊は駆ける。

 ぎぃん、と甲高い金属音にも似た衝突音が結界内に響き渡る。呪霊の手刀と、式神の拳がぶつかり合う。暴風が結界内を吹き荒れ、残っていたフジツボが岩壁から引き剥がされ、宙を舞う。

 

 「『不知井底』『嚥下獣・灰怒羅』!」

 

 不知井底の舌が呪霊の腕を縛り付け、嚥下獣が呪霊の体を飲みこみ電撃を浴びせる。

 俺の式神によって威力を減衰させていなければ、間違いなく虫ケラの拳は砕けていた。同じ特級でも、ここまでの差があるか!

 

 同じ姿をした呪霊と式神は、何度も何度も拳を繰り出す。

 呼び出した脱兎がクッションとなり、呪霊の拳を何度も受け止めて、逆に式神は呪霊の体に何度も拳を当てるが、大きなダメージを与えた様子はない。

 

 ──とはいえ、前衛がいて助かった。釘崎、ナイスアシスト。あとで感謝しないとな

 

 あの式神では有効打を与えられないが、それでも脱兎を駆使して攻撃を耐え続けることはできる。 

 呼び出した脱兎を半分に分け、一方を少年院の式神のサポート、もう一方をこちらに呼び寄せ、縦のリングを形成させる。

 

 形成された脱兎は、円形の影を内側に作る。その内部で、つい先日新たに調伏した式神を動かす。

 体内から、ごっそりと呪力を持って行かれたのを感じる。

 

 あとは、十分に回転するのを待つだけ。

 その間、これに興味を向けさせないためにも、畳み掛ける!

 

 「『噛砕獣・大河馬』『玉犬・渾』!」

 

 大河馬がその肥大化した口を開け、片腕へ噛みつこうと何度も顎を閉じては開いてを繰り返す。その側で、脱兎の影に隠れながら何度も玉犬が攻撃を仕掛ける。

 時には生じた影の中から、実体化していない鵺が電撃を流し込み、大蛇と不知井底が絡みつく。

 

 防御役の式神が攻撃を受け止め続けることで、他の式神が攻撃に専念することを可能にする。

 玉犬・渾の一撃は確かに相手の体に無数の切り傷を作ったし、鵺の電撃は体を痺れさせる。

 

 「『穿血』」

 

 加茂の、本家本元の穿血を見たからだろうか。威力の上がった水のレーザーが肩を貫く。

 

 一人を相手にしているはずなのに、まるで式神の軍隊でも相手にしているかのような、そんな感覚を呪霊は抱く。

 影の中。そこは群れであり、国であり、可能性の坩堝であった。

 

 次の瞬間、何が現れるのかすらもわからない。

 

 ようやく術師本人に攻撃を当てたかと思えば、何処かから現れた鹿がその傷を癒してしまう。

 故に、気づかない。己にとって致命的な一撃が、完成へ迫っていることに。

 

 

 あぁ、随分と多くの修羅場を潜ってきたもんだ。

 伏黒恵は、心の中で独り言つ。

 数ヶ月前まで、絶望の象徴だったあの呪霊。それがどうだ。

 

 実のところ、多くの式神を展開している都合上、残りの呪力量は結構ギリギリだったりする。それでも、だ。勝てない存在では無くなっている。

 逃げるしかない相手ではなくなっている。

 

 呪霊を正面に見据えると、ある式神の力と、鵺の電撃。そして玉犬の貫通力を拳に乗せ、地面を蹴った。

 

 一直線に飛んだ伏黒恵の体は、矢のように呪霊の左胸を大きく陥没させる。

 

 

 ──『変わったね、恵』

 

 五条先生の言葉が思い出される。

 

 ──『恵はさぁ、実力も潜在能力も、今まで出しきれていなかった。出し方を知らなかったんだ。でも、今は違う』

 

 ──『前よりも、勝利に貪欲になった。一歩先、二歩先の未来へ手を伸ばすようになった。諦念にも似た、奥の手に頼る感情が綺麗さっぱり無くなってる』

 

 『八握剣異戒神将魔虚羅』。奥の手であると同時に、使えば己の死が確定する式神。

 これがあるから大丈夫、そういう感覚があった。自分が死ねば問題ない、と。

 いつからだろうか、隣に立つ二人を巻き込むかもしれないこの札を切ることに躊躇いを持つようになった。

 また明日。そんな呪いが、心の中でストッパーになるようになった。

 

 

 ──『本当、誰の影響だろうね』

 飄々としていた五条先生の雰囲気が、少し翳った。ような気がした。

 

 アレは、切り札なんかじゃない。己が目指すべき極地。己がいつか調伏すべき相手だと認識するようになった。...その目処は立たないが。

 

 陥没し、一瞬制御を失った左半身へ玉犬が手刀を振るい、大河馬が噛み付く。不知井底と大河馬に押さえつけられた腕を釘崎の式神は掴むと引きちぎり、それを飲み干す。

 

 式神の気配が一段と増し、腕を再生させ大河馬を破壊した呪霊と激しい近接戦闘を繰り広げる。

 

 「...言葉は理解できるか?」

 

 式神が頷く。

 

 「今から指示する位置関係になるようにコイツを移動させろ。合図を出したら離れろ。理解ったか?」

 

 当然、と言わんばかりに式神が肩から呪霊に突進する。

 背後からは玉犬が、正面からは式神と俺の波状攻撃。

 電撃を纏った拳で痺れた隙に玉犬が背中を薄く切り裂き、式神が頭を揺らす。

 

 隙ができれば玉犬で貫けなくもなさそうだが、それこそ領域でも展開する必要があるだろう。警戒されている以上、呪力による防御を止めるほどの隙を作れるとは思えない。

 

 それに、この後二人の援護へ行くことを考えると、呪力の消費も激しく、術式まで焼け切れてしまう領域展開は避けたい。

 

 だが、仮に警戒されていても、呪力による防御さえ貫通して即死せしめる切り札が一枚だけある。

 

 痺れを切らしたのか、天目掛けて大声で呪霊が吠えると、両腕を前に突き出し、呪力を圧縮した砲撃を放つ。

 式神を影の中に潜らせ、自分は鵺を足場に飛んで回避する。砲撃の余りの威力に結界の一部が崩壊する。

 

 砲撃の直後、硬直している今がチャンス!

 影の中から飛び出た式神が呪霊の足を払い、体制を崩しかけた呪霊の首を掴んで放り投げる。そして落下している途中の顔面を掴み、握りしめる。

 しかし、呪霊は顔面を握り潰しているというのにケタケタ笑いをやめない。事実、式神の握力では碌なダメージになっていないのだ。

 

 でも、いい。

 

 それでいい。

 

 両腕を揃え、前へ突き出す。

 放たれた『穿血』は、呪霊のふくらはぎを貫き、その液体は導線となって電撃を内部へ送り込む。

 

 「今だ、離れろっ!」

 

 式神が飛び退くと同時に、影が何重にも呪霊の体を縛り付ける。

 この瞬間、脱兎の作った輪と、呪霊の位置が直線で結ばれた。

 

 

 「行け、『貫牛』!」

 

 

 瞬間、一陣の黒が吹き抜ける。

 

 直線上にしか動けない代わりに、相手との距離が増すほど、つまり助走距離が増すほど威力が増大する式神。

 影で作られた円状の道を、無限に続く一本道と見立てた。完全に実体化させる前の、影の状態の貫牛は影の上で加速を続け、やがて伏黒恵の現在の技量で制御できる最高速へ到達した。

 そして、輪の一部を破壊し、貫牛を実体化させることで、その破壊力は解放される。

 

 それは呪霊を、自らが貫かれたことさえも気づかせずに破壊する。

 頭部と四肢だけを残し、その体が消滅する。そのままの勢いで結界すらも貫通する。

 これが結界内部でなければ、峡谷が新たに増えてしまうのではないかというほどの威力。

 

 式神が、呪霊の四肢を飲み干しているのを尻目に、玉犬に頭を破壊させる。威力が高すぎるが故に、残りの部分へ衝撃が伝播する前に体だけを完膚なく破壊してしまった。それ故に頭が残ってしまった。

 

 「ふぅ。何とかなったか」

 

 呪霊のいた位置に残っていた宿儺の指を拾い、ポケットに入れる。

 

 「さて、アイツらを助けにいかないとな。...まぁ、もう終わってるかもしれないけどな」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 『いい』

 

 

 『それでいい』

 

 

 あぁ、楽しみだ。

 あの女──釘崎野薔薇が、あの時は弱かったから。

 小僧が深く考えなかったから。

 

 故に結ばせた、結べた縛り。

 

 ああ、芽吹く時が楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 









感想。評価、誤字報告などありがとうございます!励みになります!


映画とアニメ、見ました。クオリティが凄くて、もう、モチベーションはめちゃくちゃ上がりました。単行本勢なので4/4の新刊も楽しみだし、呪術熱が最高潮。


魔虚羅の適応、360÷45=8回が限界説って時々聞きますけど、実際どうなんでしょうかね。
まぁ仮に事実だとしても8種類も魔虚羅に通用する攻撃手段用意できる相手がそもそもいるか、って話なんですけどね

或いは8ガコン以内で適応できないものには適応できないとか
...多分そのレベルの規模の攻撃って惑星破壊とかになってくると思うんですけどね

無双回?とはいえこのストーリーが終わった後に待ち構えているのは...
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