共鳴りとは──魂の振動(大嘘)   作:美味しいラムネ

16 / 44


更新が遅れてしまい申し訳ないです。







2
渋谷事変①


 

 

 

 

 

 ある秋の日のこと。

 虎杖悠仁、釘崎野薔薇、伏黒恵の3名は、呪詛師の捕獲依頼に臨んでいた。

 相手は土煙を置き去りにする程の速さの呪詛師。

 

 相手は高齢の婆さんだというのに、元気すぎやしないかしらね!

 

 「あぁ糞、速い!速さ極振り馬鹿かよ!悠仁そっち行った!」

 

 「おうっ!...まじか!捉えきれなかった!」

 

 「はぁ!?悠仁が捕まえられないとか、どんだけ速いのこの呪詛師!?...でも攻撃が全然痛くねえ!」

 

 相当な速度が乗っているはずなのに、まるで打撃が痛くない。

 そういう縛り、か?移動性能以外の全てを削ぎ落とすことでこの速度を実現した、みたいな。

 

 「もうこの婆さん怪異の類だろ、ターボばばあだろ」

 

 「何故儂の名前がわかった!」

 

 「嘘でしょう!」

 

 不知井底の舌さえ躱しながら、影さえも置き去りにする婆さんを捕まえようと必死に追いかける。

 

 「はぁ!?このタイミングで五条悟(ゴジョセン)から電話ぁ!?私たち依頼中って言ったよね!」

 

 帳を閉じる前に範囲外に出ているせいで、帳も貼れない。マジで何なんだこの婆さん。

 

 『あ、もしもし釘崎ぃ?推薦人見つかったから。じゃ、そういうことでー』

 

 「『貫牛』!やっぱりだ、こいつ直線でしか動けない!」

 

 「お、やりぃ!逮捕!」

 

 「...え、今?」

 

 遠くで悠仁たちの歓声が聞こえる。どうやら呪詛師を捕獲したようだ。

 

 

 ♦︎

 

 

 「じゃ、依頼頑張ってねー」

 

 画面をスワイプして電源を切る。

 椅子に深く腰掛け、天井を眺める。

 

 禪院真希、パンダ、虎杖悠仁、伏黒恵、釘崎野薔薇の一級術師への推薦がようやく成った。

 

 特に悠仁達三人を巻き込むのが大変だった。

 虎杖悠仁は言わずもがな、両面宿儺の器。体制側の術師はまず推薦を出さない。伏黒恵はあれでも禪院家の相伝術式を受け継いでいる。その癖家との関わりはない。御三家に関連した術師はまず推薦を出さない。釘崎野薔薇は、一応は実家が東北地方の呪術師だ。高専勢力ではない。東北の勢力と折り合いが悪い術師は推薦を出さない。

 それに、恵以外の二人は、『高専として』働いた歴が浅い。

 

 一人は金の力で確保できていたが、東堂を推薦人として引き込めたのは幸運だった。

 

 君たちはこれからの呪術界を変えていく人材になれる。

 七海は反対していたが、僕はそうは思わない。

 

 ──彼らは、実力は一級でも上の方だ。しかし、力とは関係のない、胸糞の悪い依頼の経験が足りない。彼らは、術師ではあるがまだ子供だ。

 

 ──それに、この多感な高校生の時期に、単独依頼を増やすべきではない。

 

  俺は最強になった。任務も一人でこなすようになった。

 

  『ただの夏バテさ、大丈夫』『君は最強だから五条悟なのか、五条悟だから最強なのか』

 

 ズキン、と頭が痛んだ気がした。

 

 「大丈夫さ」

 

 重ねちゃいない。あの思い出は、穢れちゃいない。此処にある。この魂が、全て覚えている。

 

 

 

 

 そう、だから。

 

 

 

 記録── 2018年 10月31日 19:00

      東急百貨店 東急東横店を中心に

      半径およそ400mの帳が降ろされる

 

 一般人だけが閉じ込められる帳。その内側へ囚われた非術師達は、口々に「五条悟を呼べ」と訴える。

 

 そして、20:31 五条悟 現着

 

 

 

 20:39 東京メトロ渋谷駅 B5F 副都心線ホームにて

 

 

 五条悟は、目の前の特級呪霊達を睥睨する。

 

 若人の未来(青春)を奪うなんて許されないからね。

 

 「逃げるなよ、五条悟」

 

 入り口の吹き抜けは黒曜石に覆われた。

 

 「んなことしなくても逃げないよ」

 

 

 悪魔のような風貌の呪霊。

 悪意が渦巻く、影のようなヒトガタの呪霊。

 千を超える、瘴気を纏った鼠の群体の呪霊。

 

 その奥には、火山頭と、正体不明の男が一人。

 

 「準備バッチリってわけね。これで負けたら言い訳できないよ?」

 

 想像以上に、集団の規模は大きいようだ。これで現時点で真人、花御、漏瑚に加え、三体の特級呪霊。目の前の男のような呪詛師もいる、そんな集団であることがわかった。

 

 「此処で貴様を殺す。五条悟」

 

 「無理でしょ、だって君たち弱いもん」

 

 さて、祓うか。

 天井へ向けて、思いっきり伸びをした。

 

 

 

 

 

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 漏瑚は、戦いに参加することはなく見守っていた。

 下手な連携は足を引っ張りかねない、という判断だ。これが花御や真人なら話は別だったのだろうが。

 

 夏油の連れてきた、3人の特級呪霊と五条悟の舞を見つめる。脹相も様子見に徹しているようだが、文句は言えん。

 

 「ま、呪詛師と組んでるならそういう手もあるか」

 

 『領域展延』。対五条として彼らも身につけてはいるが...ダメだな。

 

 展延を纏った鼠の群れが祓われ、悪神の腕が中程から切り落とされ、悪魔の王の翼はズタズタに引き裂かれる。

 

 特級仮想怨霊『Ahriman(アーリマン)

       『شيطان(シャイターン)

 特定疾病呪霊『黒死鼠死』

 

 確かに、此奴らは強い。

 不可思議な力を使い、無下限を無視して攻撃を当てようとする悪神。

 あれは儂にもできない芸当だ。仮にこの中で五条悟の命に王手をかけられる存在がいるとすればコイツだっただろう。

 

 しかし、無下限無しでも五条悟は五条悟。悪という概念そのものの光を切り裂きながら迫る五条悟は、正に鬼神の如し。

 

 人の群れに紛れながらのヒットアンドアウェイを繰り返す鼠の群体。

 1匹が祓われても、無制限に繁殖をその場で繰り返し増える鼠は、強者と呼ばれるもの達でさえ対処に苦労するだろう。

 

 しかし、相手は五条悟だった。強者という物差しですら測れない人外。

 人を致死へ至らせる病でさえ、世界を拒絶する壁に阻まれた奴には届かないというのか。

 一般人という足枷がありながらも鼠は、増えるよりも速いペースで削られていく。展延を使っている間は術式を使えないデメリットのこともあり、展延特攻用の個体と繁殖用の個体で分かれる必要があるのも響いている。

 

 悪魔の王は、人々の心を扇動し、一般人を操って五条悟を襲わせ、一部の『可能性のある人々』の魂に干渉。ポテンシャルを無理やり引き出し、展延擬きを命と引き換えに使わせることで五条悟を追い詰めたかに見えた。

 見えただけだった。

 己を絶対者と定義できるだけの力を持つ男に、何故絶対者でない悪魔の囁きが通じるだろうか。

 只人の攻撃が、ポテンシャルを引き出されたところで通じるはずもない。

 

 

 

 「無下限さえ対策すればなんとかなると思ったか?あせーんだよ考えが!」

 

 領域がなくても、術式反転が使えなくても。順転の威力が絞られていても。

 それでも尚、最強は地に堕ちず。

 

 ──術式反転の最低出力は、順転のそれの2倍。

   蒼を使った高速移動も難しいはずだ。

 

 夏油傑。残念だが、最強は、お前が思っている以上に最強だったぞ。

 全て見ていた。この戦いの全てを。

 

 出力の高い反転を放った後に、そのエネルギーをすぐさま順転で引き寄せ、相殺。夏油傑曰く、この方法はおそらく「虚式」のトリガーになるため使えないだろうとのことだが、読みが外れたな。

 

 これにより一般人への影響なく、呪霊の体内でのみエネルギーを解放する。

 

 無下限を突破し、その剛腕を奮った悪魔の王がその腕を捻りあげられ、砲丸投げの要領で駅の柱に叩きつけられる。

 悪神の首を蹴り折り、鼠の群れを潰す。

 

 その上、体術さえも一級品。

 お前は何を持ちえないというのだ。五条悟。

 

 翼を捥がれ、四肢を切り落とされ、頭蓋を潰され。群れは1匹残らず駆逐された。

 

 五条悟。その力に未だ翳り無し。

 

 「おいおい、漸くお出ましかぁ?現場監督気取りさんよぉ!」

 

 最後の一人が絶命し、五条悟が儂の元へと近づいてくる。

 

 『死』

 

 あれは死神だ。儂ら呪霊にとっての絶望だ。

 道の向こうから魔王が歩いてくる。

 

 此奴らが稼いだのは...せいぜいが8分。

 

 「よくやった、お主ら。あとは儂に任せて休め」

 

 同じ呪霊として、お前達の意思は儂が継ぐ。

 見ていろ、花御。

 

 勝率など、ほとんどゼロに等しい。だが、儂らの勝利条件は五条悟の“殺害”ではない。

 

 「さぁ征くぞ五条悟!」

 

 「...へぇ、この前とは違いそうだ。なるほどね。」

 

 ──ほんの少しだけど...厄介そうだ

 

 言うが早いか、五条悟の姿が消える。

 

 ば、と漏瑚が五条へ腕を向ける。

 その時には、五条悟が後数歩という距離まで迫っていた。

 

 「速いっ...!だが!」

 

 やはり一般人が邪魔になり、そこまでの速度は出ていない。

 普段の貴様なら、一瞬で距離を詰めて儂の喉を掻っ切ることなど容易だっただろう。

 

 視界を覆い尽くすほどの火山灰が五条の全身を覆い尽くす。

 瞬間、五条の視界が真っ白に染まる。

 火山雷。火山噴火の時に併発する落雷現象。それを再現した雷が五条の視界を覆い尽くし、同時に嘗ての何倍もの音量を出すようになった『火礫蟲』の爆音が炸裂する。

 殺傷能力を極限まで下げることで、光量と音量を上げたその攻撃は、大自然のスタングレネード。

 

 あまりの音量に、周囲の一部の一般人が耳から血を吹き出して気絶し、最も近かったものは脳が破壊され死亡する。

 

 こうして意識を混濁させたところを

 

 「刈り取る!」

 

 自身の肘から生やした火山から勢いよく炎を噴射。ジェットエンジンのように拳を加速させ、五条悟に触れる寸前で術式を解除。

 そのまま、最高速の拳に展延を纏わせ、殴り飛ばす!

 

 「音や光ならいけると思ったか?残念、対応できちゃうんだなぁ、これが!」

 

 渾身の拳を受け止められ、寧ろ反撃の順転を腹に喰らってしまう。

 口から高熱の血を吐き出す。

 

 「ぐ...この程度で貴様が死ぬとは思っておらんわ!」

 

 瞬間、五条悟は、狂おしいほどの飢えと渇き、寒さを覚える。

 

 確かに、あの瞬間。漏瑚のパンチは無下限を超えて五条悟の肌に触れてはいた。一切のダメージはなく、むしろ殴った側の腕がひしゃげたが。

 

 瞬時に呪力を全身に回すことで、その感覚を抑え込む。

 

 「花御が教えてくれたのだ...精神に作用する術式は、無下限さえ突破してしまえば貴様にも通用すると!火山噴火、その恐ろしさは噴火そのものだけではない!天を覆う火山灰による冷害、そして飢饉!この術を喰らったものは、最後には餓鬼のようになって死に果てる!」

 

 「なるほどね」

 

 恐らく、拳に触れたのがトリガー。

 あの瞬間、全身に呪力を回していなければ、全身に貯蔵された脂肪が全て燃焼され、忽ち死に至っていただろう。

 

 だが、流石は五条悟と言ったところか!

 僅かな飢えと渇きまでは打ち消せてはおらんだろうが、肝心の燃焼は完全に無効化されている。

 

 五条悟の蹴りを寸でのところで回避するが、余波だけで腕の表面がごっそりと削られる。

 

 「ひゃあはぁ!」

 

 地面に腕を突き刺し、地面から五条悟を囲うようにして溶岩を呼び出す。

 そのまま溶岩の熱をドームの内側に移すことで溶岩を急速に凝固させ、さらに表面を火山灰から生成したコンクリートで覆う。

 

 真人が見ている、映画などという人間の偽りの美意識。そこで聞いた知識だが、嘗ては石灰や火山灰からコンクリートを作っていたという。

 

 「さらにダメ押しだ!」

 

 表面を、圧縮した炭素、つまりダイアモンドで覆い尽くす。

 

 現在、あの内部は移された溶岩の熱で灼熱地獄。さらに急速に内部で酸素が燃焼され、あのままなら五条悟も酸欠で死ぬ!

 

 「酸欠狙いねぇ...あとは熱で茹で上がるのも狙ったのかな?檻の強度が弱えんだよ」

 

 内側から檻は破壊され、内部から全く堪えた様子のない五条悟が現れる。

 

 「くっ、ならばこれはどうだ五条悟!」

 

 地面に手を当て、五条悟の降り立った駅のホームの地面を割る。だいぶ多くの人間が落ちたが、問題はない。人間はまだまだいる!

 そのまま大量の火礫蟲で押し出し、地割れの中に五条悟を突き落とす。

 

 「閉じろっ!」

 

 割れた地面を戻し、地中奥深くに五条悟を封印する。

 幾ら五条悟でも、全く身動きを取れない状態であれば...っ!

 

 「が、は...っ!」

 

 瞬間、地中を突き破って帰還した五条に、腕を引きちぎられる。

 カウンターで放った拳も難なく避けられ、蹴りも、溶岩も通用しない。

 口を大きく開き、そこから火山ガスをはなつ。

 複数の毒物が混合した気体は、それを一瞬で選別したのか無下限に阻まれる。

 

 間欠泉から勢いよく水を吹き出させる。

 あの毒物への対処の速さで悟った。恐らく五条悟は、オートで無害なものと有害なものを選別している。仮に無下限が全てをシャットアウトするのならば、光や空気も得られないはず!

 

 「いや、濡れるのは嫌だし、普通液体は弾くでしょ」

 

 瞬間、水が一瞬で気化し、爆発的に広がる。

 不可視の水蒸気が五条悟を飲み込む。

 

 「だからさっきから、窒息狙いとかせこいことしてんじゃねえよ!」

 

 効果はない。飛び出した五条悟の手刀を柱を盾になんとか避ける。切り裂かれた空気が、儂の背中を浅く切り裂く。

 

 「しぃっ!らぁっ!」

 

 加速した拳を機関銃のように放つ。五条悟の立つ地面を溶岩のように変え、周囲の人間を毒ガスで気絶させ障害物のようにし、殴り続ける。

 

 何度殴っても届かない。

 だが、触れることはできた。

 

 「五条悟、貴様の無限が、超えることのできる偽りの無限であるというのなら!」

 

 儂はその向こう側へ駆け抜ければよい、儂がアキレスになれば良い。

 

 拳を透かし、蹴りをすり抜け。

 その身を溶岩のように、灰のように変化させる。

 

 次の瞬間には対応されるが、ならばそれ以上に速いスピードで、より最適な状態を目指せ。

 大地とは何か。儂ら呪いの本質とは何か。

 

 『もっと自由にやろうよ、漏瑚。空はこんなにも広いんだからさ!』

 

 五条悟を無力化するなど、無理だったのだ!

 一瞬、意識が飛びかける。

 

 まともに喰らったのは数発にも満たない。それでもこんなに体が痛むのか。

 

 

 『漏瑚。100年後の荒野で、待っていますよ』

 

 

 そうだ、儂は。儂は!

 

 「死んでいった仲間のためにも、まだ死ねんのだ!

 

 もう限界だ、本当に?

 まだだ、100%出し切ったのなら、120%、200%を引き出せ!

 

 一歩。大地が割れる。一歩。世界が鼓動する。

 五条悟、その心臓目掛けて拳を構える。

 

 

 

 

 打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した瞬間。

 空間は歪み、呪力は黒く光る。

 

 黒閃は、誰が為のものではない。平等に微笑む。

 生涯最高の一撃。

 

 

 

 決まった、そう思った。

 

 「成る程ねぇ」

 

 愕然とする他なかった。

 壁が、高すぎる。儂の最高の一撃。それでもなお、五条悟の体に傷一つ...!

 

 へぇ、と五条悟がつぶやいた。

 一瞬も掛からずに癒える程度のダメージ。薄皮一枚だが、僅かに傷がついていた。

 

 瞬間、儂の頭が掴まれる。

 あぁ、そうか。儂はここで死ぬのか。

 

 この場の、『一定数の生者』の犠牲をやむなしと冷酷に判定し、領域を使うつもりか。

 そう、定量の生者であれば。「()()()()()()()」を覚悟して儂らを確実に祓いに来るだろうとは思っていた。

 

 瞬間、駅のホームへ電車が侵入する。

 

 

 「お待たせ!漏瑚。待った?」

 

 その声は、

 

 「真人!」

 

 ホームへと、ナニカでいっぱいになった車両が侵入する。

 それを見た一般人は、我先にと車両へ近づき、気づく。

 

 中に蠢く魑魅魍魎。人のなれ果て。

 

 ──ヤケになったか、人間が減って困るのは、呪霊の方だろ

 

 「儂らの方だろ、などと思っているのだろうが...『人間のキショいところは、沢山いるところ』だったか、真人?」

 

 「せいっかい!『多重魂・幾魂異性体 』」

 

 漏瑚が指を鳴らすと、黒曜石で塞がれていた吹き抜けが消える。

 そこから次々に人間が落下し、ホームが再度生者で埋め尽くされる。

 

 さらに、車両から飛び出した改造人間が魂を燃やしながら五条悟へ襲いかかり、遂に脹相が動き、五条悟の頭部を狙撃する。

 一瞬の隙をついて、頭の3分の1近くを抉られながらも脱出した漏瑚は、黒閃で上がったボルテージはそのままに、再度全力の拳を心臓目掛けて放つ。

 

 生者が追加され続け、死者も増え続けるこの状況。

 最早貴様の天秤も機能はしまい!

 

 貴様の想定している犠牲は、“儂らに殺される人間で”“貴様の殺す人間ではない”!

 さぁ、迷え、集中しろ!

 

 そして、迷い、儂らを無視し。

 此方を見ないようでは、儂らを祓うことなど出来ん!

 

 いや、まさか!

 

 「マジか?」

 

 

 

 

 

 「領域展開──

 

 

 

 

 五条悟、その領域展開の瞬間。

 真人と漏瑚は行動へ移していた。

 

 「真人おおおおおお!」

 

 「『無為転変』」

 

 漏瑚の体から現れた、大量の火を纏った野獣が真人の体に殺到する。

 漏瑚の使う火礫蟲。しかし、山に住まう驚異的な生物は、何も虫だけではない。

 狼や猪。熊や魚など。多くの生き物が山では脅威になる。

 毒虫や肉食動物達が無為転変により、変質する。

 

 

 

 

  

無量空処

 

 

 

 無限の虚空が、空間へ広がった。

 一般人に後遺症の残らないギリギリ。一か八か、0.2秒の領域展開。

 

 今この瞬間にも目覚めるかもしれない特級呪霊。そのカウンターを考慮して、標的は改造人間へ絞り、その殲滅を開始しようとした瞬間。

 

 この空間内で動く存在を確認する。

 頬スレスレを、火を纏った蜂の群れが通過した。

 無機質に、意思なく空間を、その進路上のすべてのものを破壊しながら暴れ回る獣の群れ。

 

 『生きる』こと、それを一切していない獣の群れ。

 あらゆる事を知覚しない、情報を送り込むべき余地が存在しない。

 本能さえもなく、ただ動き回る、言ってしまえば銃弾と同じ。

 

 「ちっ!面倒な!」

 

 ただ壁にぶつかる度に跳ね返り続けるだけ。しかし、その数が尋常ではなかった。

 壊した瞬間破裂し、中から毒液が飛散する個体や、溶岩が溢れる個体もいた。

 

 それらを破壊しながら、無下限が焼き切れているがゆえに、毒を持つ生物への対処へ気を遣いながらも、五条悟は鏖殺を続ける。

 

 そして

 

 五条悟、領域解除後。

 

 360秒で、改造人間1000体を鏖殺。

 

 

 

 

 

 

 「獄門疆 開門」

 

 あぁ、その声は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







感想、評価、誤字報告などありがとうございます!励みになります!

真人と仲良くサメ映画を見る陀艮概念



Q.どうして釘崎はいまだに二級なの?

A.システムが悪い。実力は足りてる。どうせもう直ぐ日本崩壊するからこのシステムも意味無くなるんだけどね...


本当にどうでもいい解説
 
ターボばばあ 本名は多亜穂 馬場亜。異常な速度の代わりに攻撃性能は皆無だし、老いも爆速で進行している。その縛りだからこそ許される速度。五条悟よりは遅い。2度と再登場しないので忘れていい。


・オリ呪霊三体

特級仮想怨霊『Ahriman(アーリマン)

 この世全ての悪ではない。無下限を貫通するなんかすごい強い術式があったけど、威力が足りなかったね。相手が五条悟だった。周囲の悪意に比例して能力が上がるからシャイターンとは相性がいい。外国産。

 『شيطان(シャイターン)

 言わずと知れた。人の悪意を煽って煽動し、意のままに操る術式がある。魂と引き換えに無理やり操った人間の能力を引き出す。めちゃくちゃ強い。でも相手が五条悟だった。外国産。


 特定疾病呪霊『黒死鼠死』

 黒死病。1匹でも残っていれば無限に増える。1匹の状態なら二級でも余裕で祓える。増えると誰にも手がつけられない。でも相手は五条悟だった。外国産。

 国内産だったらもう少し違ったかもしれないね、by偽夏油

 2度と再登場しないから忘れていい

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。