共鳴りとは──魂の振動(大嘘)   作:美味しいラムネ

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来栖「(脳が破壊された後の顔)」


死滅回游⑤─勘違いの天使─

 

 

 

 

 私は天使だ。

 故あって今は来栖華という女性の体に同居している。

 

 ──ほう、あの二人。いや、この場にはいないもう一人も入れれば3人か。

 

 「魂レベルで結合しているな。あそこまで強いものは久方ぶりに見たが...縁結びの呪いの応用か?」

 

 「魂...うぅ、もうそこまで繋がって...こいつらウコチャヌプコロしたんだ!!うわあああああ!!

 

 いや、そういう訳ではないと思うが。

 私が何度そう言っても聞く耳を持たない。いっそのことここで消し去って仕舞えばなんて物騒なことまで言い出すしまいだ。

 

 

 

 

 「もういいんだ。どうせ私は先を越された負け組ですよーだ...」

 

 天使の翼をはためかせ、結界の外へ向かう。

 脳内でシミュレートされる二人の甘い生活。セルフ脳破壊。あっあっあっ。

 

 「もの凄い寒気がしたぞ!?」

 「奇遇ね、私もよ」

 

 でも、私の想い人が元気そうでよかった。私も堕天倒すの頑張るから、恵、あなたも頑張って...うぅ...

 

 「まて、待ってくれ天使!!」

 

 速っ!?何あの乗り物!?戦闘機!?

 

 ──あの女の術式だろうな

 

 「待ってくれ、俺にはお前が必要なんだ!!!」

 

 「ちょっと待って恵!!それ更なる勘違いを生むわよ!!」

 

 うふ、うふふふふ。

 そういう意味じゃないのはわかってる。でも、嬉しい。向こうから私を求めてくれた。

 本当にもう。

 

 「しょうがないなぁ...!」

 

 そう言って振り返り、女の腰にしがみつくようにして式神に乗っている恵の姿を直視する。距離が近い...!

 

 「あばばばばばば」

 

 「拙い、天使が堕ちる、天使が堕ちるわよ!?『陀艮』、なんかいい感じの魚出して!」

 

 「受け止めろ!『鵺』!」

 

 もうダメかもしれない。

 

 

 

 ♦︎

 

 東京第一結界 11月12日 20:37

 

 「腹減ってるだろ!!色々かっぱらってきたぞ!」

 

 「ふふ...チョコミント...チョコミントアイスは私の心を癒してくれる」

 

 髙羽が持ってきたチョコミントアイスをひたすらにかき込む天使。本当にあれが五条悟の封印を解除する鍵なんだろうか。

 

 「お、髙羽さんきゅ!」

 

 ホテルの部屋に備え付けられた電気ケトルでお湯を沸かし、某赤いアレに悠仁がお湯を注ぐ。

 

 「お、ハーゲンダッツ。それもサンドのやつ!」

 

 恵は別に腹は減ってないのか、ジンジャーエールを飲んでいる。

 

 「それにしても虎杖。ワイングラス片手にバスローブ姿でカップ麺を食べるとはなかなか絵面が面白いな!」

 

 「いや、常時センターマンもなかなかだぞ」

 

 恵の必死の説得により逃げていた天使を捕まえ、そこで置いてきぼりにしていた髙羽と合流した悠仁が追いつき、とりあえず今日の寝床を確保しようと適当なホテルに入ったという訳だ。

 

 「冷凍食品、結構残ってるんだな。真っ先にダメになりそうなもんだが」

 

 「まー、電気は生きてるみたいだしな。なんで停電してないんだ?」

 

 「呪霊は、ハグハグ建物をモグモグ襲わないからね。後羂索が何かしたんでしょ」

 

 「食べるか喋るかどっちかにしろ!釘崎!」

 

 

 窓の外の、夜の東京を眺める。

 今は呪霊の時間だ。術師達も休息を取るためか、動いている様子がない。

 日車やレジィが落とされた以上、潜んでいた奴らが動き出してもおかしくないと思ったのだけど。

 

 「なぁ、来栖は”天使“、ということでいいんだよな?だとしたら何故東京第一にいる?」

 

 「天使は私だよ。そう、天使は私なの...ふふふ...」

 

 ──恋のキューピットは自分の恋を実現できないみたいね...

 

 何か言ったかしら?

 

 「いや、大丈夫か?来栖」

 

 「大丈夫よ」

 

 来栖が少しむすっとした声で言うと、その顔から口が生える。

 あ、乗っ取り型じゃなくて同居型!悠仁と同じタイプね!

 

 「私を探していたと言うことは、私の術式は知っているね?術式の消滅。封印を含む結界術も例外ではないから、私たちは結界を自由に出入りできる」

 

 東京第二は海のせいか泳者よりも呪霊が多くてね、と厄介そうにその口は続ける。

 

 「私の目的は、受肉した泳者の一掃。アレらは受肉の過程で器の自我を殺し沈めている。それは神の理に反する」

 

 「神の理、ねぇ...」

 

 輪廻転生、果たしてそれは正しいのかしら?宗派は違うけどね。ま、そんなことどうでもいいけど。

 

 「天使の術式で受肉した泳者を受肉前の状態に戻せるか?」

 

 「9割9分死ぬだろうね。受肉とは呪物と肉体の融合。都合よく片方だけ引き剥がすのは無理だ」

 

 「っ!...そうか。では、呪物の封印は解けるか?獄門疆っていう特級呪物なんだが」

 

 「あぁ、それならば可能だ。融合に関しては...すまない。力になれそうにもない」

 

 そう。やっぱり、宿儺に関しては自分でやるしかないのね。

 でも、これなら。

 

 「五条先生が復活する!」

 

 悠仁と拳をコツンとぶつける。

 最低限の目的は果たした。ったく、五条悟め。私に負ける前にわけわからん呪物に封印されて...

 

 「交換条件だ。呪物の封印を解く前にこちらに協力して欲しい。『堕天』。この泳者を殺せれば協力は惜しまない」

 

 「堕天...?堕天使っぽい呪霊なら何体か倒してきたが」

 

 「いや、そんな甘い相手ではない」

 

 悠仁の様子が変ね?

 ちょっとお邪魔して...焦点をブラし、魂を透かして見る。

 

 ──...奴が紛れているようだが、まぁいい。馬鹿が口を滑らせる前に教えてやろう。

 

 ──堕天は俺だ。ククッ、まぁ、口を滑らせたとて、今一度天使の翼を捥ぐのも僥倖か

 

 

 とんでもない爆弾抱えてやがったよ...えぇ?マジ?百害あって一理なしじゃないあの寄生虫。

 悠仁と顔を見合わせる。

 

 「あと、私の質問にも答えて欲しいです。その...釘崎さんと、め...めっ...伏黒さんはそういう仲なんですか?」

 

 ぶふぉ、と悠仁が口からジュースを吹き出す。

 恵は何を言われているのかわかっていない様子だ。

 

 「そういう仲、とは?」

 

 「男女の仲というか、青い春というか...」

 

 「「ない、それだけは絶対にない」」

 

 ないないない。恋愛対象としては絶対に見れないわよ。向こうも向こうで恵は重度のシスコンだし。やっぱとんでもない勘違いされてやがった。悠仁は爆笑している。

 ん?こんな質問するってことは、もしかして。...来栖、あなた恵に惚れてるわね?

 

 「ちょっと、悠仁。こっちきなさいこっち」

 

 「あぁ、アレ、多分そういうことだよな?」

 

 「えぇ、『そういうこと』ね」

 

 「ふふ、ふふふ!チャンスは、チャンスはまだある...!」

 

 恵は不思議そうな顔をした後、机の上のカルパスを齧る。

 

 「まぁいい、とりあえず、堕天云々よりも先にやらなきゃいけないことがある」

 

 「あぁ、津美紀の姉ちゃんの離脱だな!」

 

 今使えるポイントは、秤の100点、乙骨の190点。

 東堂、加茂合わせての87点。伏黒の40点。合わせて417点。

 4回分、ルール追加権がある。

 

 「まず初めにやるのは、やっぱ離脱の要件の追加か?」

 

 「いや、連絡手段の確保をしたい。今、来栖以外に結界を自由に出入りできる泳者はいない。あらかじめ決めていたから先輩たちから点は俺に渡されてはいるが、状況がわからないと何処かで致命的なイベントが始まっていて詰みかねない」

 

 「しかも、外にいる津美紀さんと連絡する手段がない、って言うのもあるわね」

 

 今、私たちが追加したいルールは三つ。

 ①結界の出入り

 ②結果内外での通信

 ③死滅回游からの離脱

 

 「一番欲しいのは③だが、一番どうなるのかわからないのも③だな」

 

 「②も、工夫しないと多分失敗するわよね。そもそも結界の要件に入れられるのは呪力に関わるものだけ。電波はそれに入ってないわ」

 

 「と、なると①だな」

 

 このルールを追加した時点で、先輩たちも気づいて結界の外に出て連絡を待ち始めるだろう。

 物資の補給という面でも強い。過去の術師が野に解き放たれる危険性があるがそうも言ってられない。

 

 「極論、③が無理ならばいざとなれば津美紀を死滅回游に参加させてあとは仲間内でポイントを回せばいい。これなら総則2に抵触しないはずだ」

 

 ──それでも、死滅回游に真の意味で参加してないとみなされる可能性もあるが。そうなったら適当な、呪霊の泳者をボコして瀕死になったところを津美紀に狩らせればいい。

 

 「じゃ、ルール追加。結界を自由に出入りできるように」

 

 「承認されました!!〈総則〉11『泳者は自由に結界を出入りすることができる』」

 

 「よし、確認しに行くぞ!」

 

 

 

 

 

 同日 23:57

 

 

 「出入りは出来たわね。これで餓死は回避よ」

 

 呪霊の邪魔もあって、少し時間がかかってしまったが、無事確認できた。

 

 「あとは③、その上で点が余れば②だな」

 

 元の部屋に戻ってきて、情報を整理する。ついでに外のコンビニで物資は補給してきた。なんで結界近くのコンビニがやってるのかしらね?

 

 「コガネ、ルール追加だ。泳者の死滅回游からの離脱を可能にしてくれ」

 

 「却下されました。総則7に抵触します」

 

 「泳者は身代わりとして外から新規泳者を招くことで離脱できる、これでどうだ」

 

 「却下されました」

 

 これはちょっと想定外。なら逆にどうすればいいのかしら...?

 

 「死滅回游から追加総則の提案です。泳者は身代わりとして新規泳者を結果外から招き、100点を消費することで離脱できる。であれば可能です」

 

 死滅回游、その目的を考えれば頷ける。

 何がなんでも死人を出したい、永続を謳っておきながら自己矛盾を起こしている。

 恵もそこをついたが、コガネは譲歩するつもりはないようだ。

 

 「じゃあ、それでいい。『泳者は身代わりとして新規泳者を結果外から招き、100点を消費することで離脱できる。』」

 

 「承認されました!!〈総則12〉『泳者は身代わりとして新規泳者を結果外から招き、100点を消費することで離脱できる』」

 

 余った点は、不測の事態に備えて使わずに所有しておく。 

 電波の問題は、出入りが可能になった時点でほぼ解消された。

 

 「もう夜も遅い。半日休息に当てて、明後日、津美紀を迎えに行く」

 

 「そういえばもう夜だった。最近ハードワークすぎるわよね、私たち。高専一年生のする仕事量じゃないわよね?」

 

 「こんな時間まで起きてる伊地知さんもだけどな。身代わりにもなってくれるし、本当に感謝してもしきれないぐらいだ。明日は丸一日休息に当てる。津美紀の移動にも時間は必要だしな」

 

 「寝る前に取っておいたピノ食わなきゃ!」

 

 「一個ちょうだい!私のあずきバー一口あげるから!」

 

 「...アレを一口ってどうするつもりなんだ?」

 

 「歯、折れそうですよね」 

 

 

 

 

 ♦︎

 

 

 

 11月13日 19:06

 

 「いやぁ、大量大量。結構な数の呪霊が狩れたわね。でも、羂索が放った数と比べると少ないのよね。気配はあるけど隠れてるみたいだし」

 

 「シンプルに釘崎にびびってるんじゃないか?『簡易領域』!うーん、違うんだよなぁ」

 

 髙羽は持ち込んだビデオを鑑賞し、来栖はもふもふの玉犬に顔を埋めている。

 

 「なぁ、お前ら。『休息』って、言ったよな?」

 

 門外不出のはずの簡易領域を見よう見まねで再現しようとする悠仁と、コンビニ感覚で呪霊を狩ってきた私を恵は若干呆れた目で見る。

 

 「渋谷では一回できたんだけどな、似たような奴なら」

 

 「低級呪霊狩るのってラジオ体操みたいなもんだし...」

 

 「そんな物騒な体操があってたまるか」

 

 恵は坐禅を解くと、ソファに座り込みながら水を飲んだ。

 

 「そういう恵も瞑想してるじゃない。呪力操作の訓練?」

 

 「まぁ、領域と向き合おうと思ってな」

 

 来栖が、じーっと恵のことを見つめ続けている。

 やっぱりそういうことよね。玉犬をもふもふしている。もふもふもふもふ。

 

 「妙だ」

 

 もふついていた手の甲から口が生える。

 

 「凄い数の人間が結界に侵入している」

 

 「分かるのか?」

 

 「私じゃない。コガネ!!10分前から増加した泳者の数を出してくれ」

 

 

 その値は、800を超えてなおも増え続けていた。

 世界最強の軍隊。『アメリカ軍』羂索との取引により出撃。

 

 

 「ちょろいな。エスパーだかなんだか知らんが、中将殿は何をそんなにビビっているんだ?」

 

 次々と術師を捕獲してゆく。

 戦いを生業とする我々が、素人相手に負けるはずなどないというプライドがあった。

 

 呪術師の保護──否、拉致の為、弾丸と筋肉を掲げ、突入。日本国の中枢が機能を停止し、呪術界の上層部も死んだ今だからこそ。

 中国、ロシア。エネルギー利権を守ろうとした中東諸国。新たなエネルギー源を求めるドイツに軍事力の高いインド、フランス、韓国、トルコ。

 全ての国が、弱りきったウサギに見える日本を虎視眈々と狙っていた。

 ある国は、対個人には明らかに過剰な、戦争でも仕掛けるのかという勢いで軍隊を結集させていた。これをきっかけに第三の世界大戦が起こってもおかしくないレベルで緊張度は高まっていた。

 

 そして、その国の殆どが、想像もしていなかった。

 科学では対抗できない想像の埒外の化け物の存在を。

 

 

 

 

 「『再契象』...まぁ、正当防衛だし。セーフセーフ。異人でしょ?こっちじゃ手に入らないレシートとかないかな?」

 

 「おーい、千釣。あんま突出しすぎんなよ!」

 

 ボディーアーマーを突き破り、包丁が心臓を穿つ。

 爆発に巻き込まれた兵士が吹き飛ぶ。

 

 

 

 「あー?現代の兵士ってこんなもんなのか?」

 

 雷鳴が轟き、一瞬にして一個小隊が壊滅する。

 

 

 

 術師も玉石混合。非術師では到底敵わない存在もいる。

 

 そして、今の日本には、目覚める直前の呪いの王が胎動していた。

 呪いの王は笑う。

 奴を喰らう前に、現代の武士(もののふ)どもを喰らってやってもいいな、と。

 

  

 ──おそらく、羂索の狙いは、呪霊による非術師の一方的な大量虐殺だ

 

 天使は、そう言った。

 非術師は、どう足掻いても呪霊には敵わない。

 それこそ、術師なら核の1発でも撃てば蒸発──特級連中は耐えそうだが──するだろうが、呪霊は蠅頭でさえ死なない。

 

 「死滅回游の泳者の呪力によって、結界が満ちなかった場合の保険だな」

 

 「くっ...俺の人気のせいか...俺の人気が人々を狂わせる...!」

 

 壁の向こうに兵士が二人。その奥にはもっと。

 投げ込まれたのはスタングレネード。それを悠仁が蹴り飛ばす。

 爆音と閃光。大したことはない。

 

 「あぁもう、非術師相手は脆くってやりにくい!」

 

 明らかに自衛隊ではない。

 容赦なく撃ってきた、保護ではないわね。

 

 「Is she a monster!?」

 

 もっとこう、対地ミサイルとかバルカンとか、戦車の一台や二台出てくると思ってたのに。

 

 「んな豆鉄砲が効くかよ!!」

 

 銃弾よりも速く走り、頭部を蹴り飛ばし昏倒させる。簪なんて使ったら死ぬわよ。

 

 「ふっ...安心しろ、峰打ちだ」

 

 真依みたいに呪力込めるとかさ、改造するとかさ。色々あるじゃん...そういえばこいつら非術師だった。

 

 「待て待て待て釘崎!泡吹いてる泡吹いてる!」

 

 「...反転術式だ、食え」

 

 「あ、安定した」

 

 影が絡みつき、そのまま落とされる者もいれば、地面から這い出た木の根に絡み取られる者もいる。

 

 「God, give me the power to kill these monsters!」

 

 グレネード。馬鹿か、ただの自爆じゃねえか!

 これだから非術師の猿は...!グレネードは私も好きだけど!

 

 素手で握りつぶし、爆発を掌握する。

 再生する拳を見た兵士が冷静にサイドアームの拳銃を取り出して発砲。

 脳天にあたった弾丸を見て、勝ったと考えるところだが、既に目の前の人間は人の皮を被った化け物だとわかっている。

 なればこそ、手は緩めない。落とした小銃を拾い、容赦なく発砲。

 

 「shit!」

 

 自分以外は全滅したか。

 弾丸を突き破った女が銃身を掴み、強引に捻じ曲げた。

 ホルダーからナイフを取り出し、銃を手放し切り付ける。

 

 次の瞬間、視界が反転していた。

 投げ飛ばされ、腕を決められた。

 

 「さ、尋問のお時間よ?所属はどこで、誰のどのような命令で来たか、キリキリ吐いてもらうわよ?」

 

 時を同じくして、ほぼ全ての結界での軍隊vs術師の戦いが終わる。

 しかし、その大半は術師によるモノではなく、人の負の感情より出でし存在。呪霊によるものだった。

 

 

 

 

 「なるほどね」

 

 現地ガイドをやっていた男を捕まえ、尋問した結果。次世代のエネルギー源として術師が狙われていたことがわかった。まぁ、少し考えればそこに辿り着くわよね。

 日本だと...シンプルに呪術界の力が強いから、あとは一部の術師には天地はひっくり返っても敵わないことを知っていたからそういう話が出なかった、とか?宮内庁辺りが関わってそうね。

 

 「レジィの言った通りになったわね...まぁ、武器を補給できたと思えば?」

 

 「...剥ぎ取り、いや、羅生門かよ?」

 

 私の後ろにファンネルのように飛ぶ、銃を取り付けられた式神を見て恵が言う。

 

 「そのまま着物盗んで走り去るかもよ?」

 

 「助けよう」

 

 虎杖ならそう言うと思っていた。

 

 「軍人達をか?でも俺達を拉致して弄ろうって連中だぜ?こう、エッチな改造されるかも」

 

 「だが放っておいたら、“慣らし”が済んでこの国の人間が天元様と団子になるかもしれない。それだといくら警護していても無意味だ」

 

 そこスルーするのね、恵。

 改造されてバッタ人間にされちゃうかも!

 

 「無意味だ」

 

 「すでに東京第一第二共に50人は戦い散った。もうここの結界は呪力で満たされている」

 

 「軍人達を呪霊から助けようが助けまいが結果は変わらない。意味のない争いに彼女を、来栖を巻き込まないでくれ」

 

 でしょうね。ここ東京と仙台は戦闘が激しい。だからもう終わっていてもおかしくないとは思っていた。

 

 「それでも俺は助ける。誰かを助けるのに意味は求めないことにしたんだ。伏黒、来栖の警護頼めるか?来栖、少し不便をかけるけど、いいか?」

 

 天使ではなく、来栖の目を見て悠仁が言う。

 

 「ふふ、やっぱり、彼の友達なんですね」

 

 嬉しそうに来栖が笑う。

 

 「私も、人を助けるのは好きなんですよ」

 

 アナタの隣に相応しい人間になるために。

 私は人を助ける。あの時、あなたに助けてもらったから。 

 来栖は頷き、手を取った。

 

 

 

 

 






感想、評価、誤字報告などありがとうございます!励みになります!

もうこんなところまで来ちゃったのかぁ...九十九由基vs羂索書くかどうしようか

レジィは、まぁ過去の術師とか現代の強い術師とコミュニティ築いていい感じに生活し始めるんじゃないですかね?ロール髪お嬢様とか仲間に入れて
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