共鳴りとは──魂の振動(大嘘)   作:美味しいラムネ

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宿儺vs五条戦中、ひたすら残り一本の指をたどって呪力とかとにかく邪魔になりそうな要素を送り続けて邪魔をするだけのお仕事っていうクソみたいな展開にはならないと思う。










京都校─顔合わせ

 

 

 

 

 「なぁ、釘崎。反転術式ってどうやるんだ?」

 

 ある初夏の昼下がり。神社の階段に腰掛けた恵が、私に問いかける。

 反転術式かぁ...

 

 「こう、服の表と裏をひっくり返すみたいな...うん。気づいたら感覚掴んでたからわかんね。あと、宿儺のあれ想像してるなら悪いけど別に私、他人は碌に癒せないからね?」

 

 「いやそもそも反転術式のアウトプットが出来る時点ですげえだろ。碌にできないって言っても、多少は他人も治療できるんだろ?」

 

 そう、そうなのだ。「あいつ絶対ぶっ殺す」と考えながら反転術式に目覚めたのが悪いのか、他人は碌に癒せないのよね。ちょっとした外傷ならいけるんだけど、内臓が吹き飛んだとか、四肢が欠損したとかは治せない。

 

 自分の体なら多分心臓ぐらいは作れるようにはなったと思うけど。

 

 「その代わり攻撃性能高いけどな」

 

 「馬鹿でかい呪霊が一発で祓われたの見たときはビビったな。ほい、頼まれてた飲み物」

 

 自販機に寄っていた悠仁が戻ってきて、抱えていた飲み物を投げ渡す。

 

 「さんきゅ。これこれ、バナナしるこ。なんでこんなものが生まれたのか分からないけどクセになるのよね」

 

 恵は無難にペットボトルのお茶だ。

 恵は、あの時の私のハイテンションを思い出したのか、眉間に皺を寄せている。頼むから忘れてくれ。

 

 「それ気になってるけど飲んだことないんだよな、見るからに地雷だし。あの時の釘崎は凄かったよなぁ。高らかに笑いながら藁人形に釘打ちまくって。」

 

 「遠隔で正のエネルギー送り込めるのは、割と無法だと思う。」

 

 「あんたの式神も言うて無法よ。なんで式神が反転術式使えんのよ」

 

 五条悟(ゴジョセン)が実家からパク...持ってきた書物に書かれていた、十種影法術で調伏できる式神の能力。

 五条家は禪院家と仲悪いし、その分研究も進んでるんでしょうね。次は魔虚羅ぶっ殺す、みたいな勢いで。それが今代の十種影法術の使い手への教育に使われてるってんだから皮肉なものね。

 

 「まだ調伏できる目処は立ってないけどな。満象調伏できたらいける気がする。」

 

 「術式中和しようが重さで潰されたら終わりだしなぁ。あー、俺も術式欲しいな!サンダーとかファイアーとかパワーボムとか使えるようになりたいぜ!」

 

 「パワーボムはこの前呪霊相手に決めてただろ。」

 

 「あんたにはゴリラフィジカルがあるでしょ。あの厄介な打撃も。極めた体術は呪術みたいなもんだし。範馬勇次郎目指しなさい範馬勇次郎。最近は先輩にも扱いてもらってるでしょ?」

 

 なんてことない学生の日常。会話の中身は多少物騒だが、誰か一人でも欠けていたら無かったであろう昼の一幕。

 

 「フィジカルでいうなら、釘崎も大概だろ。パンダ先輩が打ち上げられて驚いてたぞ」

 

 「最近は真希パイセンに長物の使い方教わってます!いや私のは呪力でゴリ押してるだけだぞ、悠仁の素のアレとは違うわ。」

 

 ゆくゆくは武芸百般に長けるスタイルで行きたいわね。金槌じゃなくても釘は打てるし。

 最近はネイルガンとかも購入した。ちゃんと海外製の押し付けなくても飛ぶやつ。式神に持たせてファンネルみたいにしてもいいかもね。

 

 「目指すは特級呪霊越え!」

 

 「特級といや、この前五条先生に特級の前に連れて行かれた時は死ぬかと思ったな。」

 

 ポリポリと頬を掻きながら何気なしに悠仁が言う。

 はぁ。

 

 「...ちょっとアイツ殴ってくる。今なら無下限超えて殴り飛ばせる気がする。」

 

 あの馬鹿目隠しが!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎

 

 おいおい、マジかよ

 

 「いきなり殴りかかるとか、イカれてんのかこいつ!」

 

 肉と肉がぶつかり合う、生々しい殴打の音が響き渡る。

 

 京都校の一級術師──東堂葵が、恵のことを殴り飛ばす。

 恵の体は最も容易く吹き飛び、そのまま地面に叩きつけられる。

 

 かは、と肺から空気が漏れる音がする。

 

 

 

 ソレは、先輩達にパシらされて、自販機へ向かった時のことだった。

 

 「このパイナップル酢豚ジュースとかどうよ?」

 

 「少なくとも先輩はこれを飲みたいとは微塵も思っていないのは確かだな」

 

 なんて、くだらない会話をしていたら。

 通路の向こうから、強者の気配が迫ってくるのを感じた。

 

 誰かしらね。結界あるし呪霊じゃないんでしょうけど。

 廊下の向こうから迫るのは、二個上とは思えない気迫を持った筋骨隆々とした大男。

 

 

 「伏黒、とか言ったか...

 

 

  お前、どんな女がタイプだ」

 

 

 それは、強者というか、狂者だった。

 初対面の相手にいきなりの性癖開示請求。性癖の開示による術式効果の底上げを狙うつもりね!?いや私は何を考えているんだ。

 相手が倫理と法律に引っ掛かるエグい性癖持ちだったらどうするつもりだったんだお前は。いや違う、問題はそうじゃない。

 

 京都高三年、東堂葵。特級呪霊をも祓った経験のある紛れもない強者。その経歴に憧れがなかったわけでもないが、ソレは一瞬で吹き飛んだ。

 

 「で、回答ミスったら即殴り、と!てめえは呪霊か何かかよ!」

 

 

 まずい、恵1人じゃ分が悪い。せめて3人揃った状態じゃなきゃ。しかもよりによって今日は前衛の悠仁が五条悟(ゴジョセン)に連れられて不在だよ!

 

 恵を援護しようと駆け出した私の肩に、東堂についてきていた女が手を掛けて止める。

 

 「あ゛?何貴女。急いでんだけど殺すぞ?」

 

 「あー、怖い怖い。行ったところで無駄よ?貴女も彼も、二級術師として入学した天才。でも、一級の東堂先輩相手じゃただの一年生。」

 

 首に回していた腕が、ぎゅ、と強く結ばれる。

 

 「ふーん。」

 

 「で、貴女は諦めた側?それとも初めから望みすらしなかった側?何にせよ、つまらないわね。真希さんの方が100倍可愛い。出直してきな、凡夫。」

 

 はっきり言って、興味のない相手に構っている暇はない。

 京都高二年、禪院真依。真希さんの姉妹っぽいけど、全然似てない。出会うのは初めてだけど、私はお前が嫌いだ。

 

 年下に馬鹿にされてイラついたのか、真依の瞳に殺気が宿り、

 

 「口の利き方──教えてあげる!」

 

 殺気が弾ける。

 

 「上等!」

 

 真依が持ち出したのは、装填数六発のリボルバー。

 

 「はは、この時代にリボルバーか!渋いもん使ってんなぁ!イイね!術師相手なら積極的に近代兵器も使っていくべきだと思うわよ!」

 

 一瞬にして6発の弾丸が私目掛けて放たれる。神速の早撃ち、流石、と言いたいところだけど。

 

 「でも私には効かねえんだなこれが!」

 

 弾丸が全て弾かれたと見るや否や、ちっと舌打ちをしつつグリップの部分で私に殴りかかる。

 それをいなし、銃を持った腕に手刀を振り下ろす。

 

 「少しそこで休んでろ!」

 

 腹部を死なない程度に全力で蹴り飛ばし、距離を空ける。

 恵は...向こうだ。

 

 ズンズンと恵に迫る姿は、まるでターミネーターね。

 頭部からの出血。あのイカれ野郎、マジで恵殺すつもりかよ。そうじゃないのはわかるが、大怪我させられてるんだ、腕ぐらい持ってかれかねねえぞ!

 

 格上。それを止めるのに拘束だのなんだのと考える余裕はない。

 

 「恵!殺す気でやれ!じゃないとこっちが死にかねねえぞ!」

 

 「釘崎!」

 

 不知井底の舌が一重二重にも東堂の体を縛り付け、片腕に大蛇が噛み付く。

 拘束から抜け出すまでにかかった一瞬で、恵と私は、顔面と後頭部を同時に殴りつける。

 

 硬っ...!

 式神の舌を引きちぎりながら振るわれた両腕を屈んで回避し、膝裏を全力で蹴り飛ばすが、微動だにしない。

 

 「鵺っ!」

 

 電撃を纏った体当たりが東堂へ衝突し、同時に恵のアッパーが決まる。

 そのまま頬を殴打し、眼を潰し、鼻を殴り飛ばし、鼓膜を破く勢いで耳を叩く。

 

 おぉ、恵がキレた。容赦ない。いやまぁ私が教えたんだけどあれは。

 ...でも、あの化け物には

 

 「軽いな。お前の拳には厚みがない。...始めよりは多少マシになったがな」

 

 唸りを上げて、恵の顔面に迫る拳を、飛ばした釘から呪力を注ぎ込み、なんとか逸らす。

 あの時の特級呪霊、それ以上の圧倒的強者。

 

 割と化け物ってその辺に転がってるもんなのね!

 

 「...横槍は、野暮ってもんだが?」

 

 「ダチ殺しかねねえ狂人相手にそうも言ってらんねえだろ」

 

 式神を呼び出す。先に仕掛けたのはそっちだ。卑怯とは言うまいね?

 

 「『かまいたち』『蛇神』」

 

 蛇神は、少し前に悠仁と恵との3人で対処した一級呪霊。三つの首を持つ大蛇で、それぞれの首が攻撃、防御、そして毒の動作を受け持つ厄介な呪霊だった。あと半ば民間信仰化しかけて生贄文化が根付き始めて強化されてたから強さも結構なものだったわね。

 

 そして、もう一つ。あの時の、少年院の特級呪霊の式神を呼び出す。

 

 「ほう。」

 

 「『大蛇』+『鵺』。『嚥下獣・灰怒羅(えんげじゅう・はいどら)』」

 

 恵が、不知井底のようにオリジナルの掌印を組み呼び出したのは、鵺と大蛇の要素の混ざった、その体躯に似合わない小さな羽を持った蒼身のうつぼ。

 

 なんで人間相手にこうまでしなきゃいけないのかしらね!本当になんでなんだろうね!

 

 ジリジリと暑い日差しが照りつける中、私たちと東堂が睨み合い、いざ呪い合おうとしたその時、目の前にパンダが飛び込んでくる。

 

 

 「ちょ、ストップストーープ!!!それ以上は洒落になんないって!」

 

 「おかか」

 

 「あ、パンダ先輩に狗巻先輩」

 

 戦いのボルテージが下がる。

 あー、よかったよかった。術師同士で殺す気で呪いあうとかいう不毛なことになる所だった。

 

 「なんで交流会まで我慢できないかね。帰った帰った。大きな声出すぞ、こう、いやーんってかんじの」

 

 気まずそうに東堂はポリポリと首を掻くと、「言われなくても帰る所だ」といい上着を拾って去ってゆく。ちょい、そこの同級生も連れて帰れ。

 

 「高田ちゃんの個握があるからな。ついてこい、真依」

 

 「2度と来るんじゃねえよ一級ゴリラ」

 

 心の中で中指を立てながら舌を出す。

 あぁ、くそ。一級でこれかよ。多分あれは上澄なんだろうけど。

 

 壁はたけえな。

 

 

 

 

 

 









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攻撃特化型アウトプット反転術式

せっかく大蛇が生き残ったんだし、活躍させたくてオリジナル合成式神を出してしまったが悔いはない。
初期案だとこの段階で円鹿まで調伏させてたけど流石に無理があると思って断念。

蛇神はファンパレのアレ
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