共鳴りとは──魂の振動(大嘘)   作:美味しいラムネ

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 最強vs最強

 今話はかなり原作既読推奨です




人外魔境新宿決戦②

 

 

 

「「領域展開」」

 

 呪術戦の最奥。奥義たる領域展開。

 現代最強と、史上最強の二人の生得領域が、世界に具現化され──

 

 

 

 

 ──なかった。

 

 

 

 何が起きた、どういう事だ。戦いを見届ける全ての術師が一瞬フリーズした。

 

 「...理屈としては理解できた。しかし、これは!」

 

 五条悟に迫る才能の原石、日車寛見は叫ぶ。

 領域が展開されたように見えた直後、その両方は崩壊。その理由を探し、気づく。

 

 領域というものは、内部から壊すことは難しい。自身も領域を展開して抵抗するというのが一般的な解答だ。そう、内部からであれば。

 外部からの破壊であれば容易である。そして、両面宿儺が相手の領域の内部にいながら外部に攻撃する手段があることは、高専術師の間で共有されていた。

 

 『閉じない領域』。元来の閉じた領域の天敵であり、人外の領域にいる術師の中でもさらに一握りの存在のみが修める絶技。両面宿儺が、確実にこの技を使うと五条悟は読み、自らの領域の対外条件と対内条件を逆転。内部からの干渉に弱く、外部からの干渉に強い領域を構築。

 現在の不完全な両面宿儺相手であれば、間違いなく通常の押し合いでは自分が勝つ。そう考えた五条悟は、両面宿儺がそのことに気づいていないわけがないと踏んだのだ。

 

 しかし、両面宿儺は五条悟であれば「対外条件と対内条件の入れ替え」ぐらい造作も無いことだと確信。そのため、あえて閉じない領域ではなく閉じた領域を展開。内部から五条悟の領域を破壊しにかかる。

 

 この瞬間、展開された伏魔御廚子が無量空処を破壊し──その直後、御廚子も破壊される。

 

 「いやぁ、保険って大事だよね」

 

 「ケヒッ、裏をかいたつもりだろうが」

 

 両面宿儺が閉じた領域を展開した時に備えて、六眼から読み取れる情報で算出した、閉じた領域の外殻が展開されるであろう箇所に小型の茈を配置。それが発動し、両面宿儺の領域の外郭を破壊した。

 

 領域の使用後、術師は術式の使用が困難になる。

 

 

 ──「おいおい、ここにきて」

 

 「「ステゴロかよ!?」」

 

 

 五条悟が全身に呪力を回して、突撃する。術式無しでも、この重さ。術式だけではない。肉体強度さえも、互いに最強。ただの拳の一発一発が、対物ライフル以上の威力を持って体を穿つ。

 

 「げ、どっから見つけてきたんだよ」

 

 両面宿儺が投擲したタンクローリーが爆発、炎上。炎に包まれた五条悟が、その体を回復させながら飛び出す様は、さながら不死鳥か。

 

 「焼いても食えぬ、切っても食えぬ、ならば今度は叩いてミンチがお望みか?」

 

 ごう、と音を立てて振るわれた剛腕をしゃがんで避け、反撃にはなったフリッカージャブはいなされる。千日手を思わせる膠着。それを一条の光が破る。

 五条悟の片腕に、渦を巻いた呪力の塊が集う。それが両面宿儺の前で爆ぜた。それはどこかうずまきを思わせる一撃だった。

 

 

 ──「ここまでは想定通りの展開だ」

   「勝てる、勝てるぞ、五条先生...!」

 

 術式が焼き切れた後の戦い。同じ条件であれば、五条悟が優位。

 それは戦いの約1週間前のこと。

 

 

 ♦︎

 

 「『有罪』『没収』 死刑!」

 

 「え、僕死刑になるほどやばいことしたっけ?」

 

 「いや、冗談だ」

 

 「まー、魔の者説が出るぐらいには真っ黒だからねー」

 

 日車と五条が向かい合う。約30分程ではあるが、両者が暇になったタイミングがあった。その時に思いつきで行われた訓練。生まれながらにして最強であった彼が、生まれて初めて何かを対策するために行う訓練。『術式が使用不能になった状態での全力戦闘』。単純な呪力操作だけで両面宿儺を倒すための仮想戦闘。

 

 「ま、多分術式の治療ぐらいできるけどさ、できるだけ宿儺には見せたくないんだよねー。パクられそうだし」

 

 教え子は、単純な呪力操作だけで解を再現した。だったら、僕ならより高度な術式の再現もできるはずだ。

 

 「うーん。こんな感じかな?」

 

 五条悟の腕に、呪力の渦が集まる。言うなれば、そう──

 

 

 

 ♦︎

 

 ──擬似再現『うずまき』」

 

 両面宿儺の体を呪力の光線が包み込み、地面ごと捲り上げる。

 空中へ打ち上げられ、全身から煙を立ち昇らせながら、愉快そうに笑う。

 

 「ケヒッ。思い出とはまだ別れられぬか。やはり貴様らは弱い。群れとしての己に何故こだわる。あぁ、友情というものか?それにしては酷く歪だがな」

 

 「ちっ、焼き切れてても使えんのかよ」

 

 領域展延の応用でその一撃を減衰させた両面宿儺の顔に膝蹴りを加え、そのまま顎を掠めるようにはたき、鼓膜を抉るようにして指を耳へ差し込む。脳まで届いた衝撃は、両面宿儺へ膝をつかせる。間髪入れず、二発目のうずまきが放たれる。

 

 「この師にして、あの弟子ありか。さて、()()()()()()

 

 瞬間、六眼が高速で迫る呪力の反応を感知する。

 三体、式神──不味い!

 

 轟音と衝撃。立っていられないほどの衝撃と共に、地面に巨大なクレーターが出現する。

 隕石でも落ちたかと思わせるほどの衝撃。その中心にいたのは、三体の式神。

 

 『嵌合獣・顎吐』

 

 『廻転獣・魔虚羅“菲狗”』

 

 『八握剣異戒神将魔虚羅』

 

 

 「富士の山の頂点にあらかじめ配置した三体。貫牛の力を付与し、戦闘直後から突撃させていたが──ふむ。流石に避けるか」

 

 

 あと数秒、回避行動が遅ければ即死だった。

 なるほど、十種影法術を使わなかったのはこの為か。既に出していたから。焼き切れる前にあらかじめ呼び出した式神は、たとえ術式が焼き切れようが消えることはない。

 この1ヶ月の猶予時間。十種と御廚子の同時使用に全てを注いだ。召喚後の式神を、自己から独立した存在であると仮定することで、強引に同時使用を実現。

 

 よりによって、術式が焼き切れたこのタイミングでの四対一。

 

 「makoooooooooo!!」

 

 魔虚羅菲狗が叫ぶと、その正剣から、解の如き斬撃が放たれる。同時に背後からは両腕を翼のように広げた顎吐が襲いかかる。 

 魔虚羅は宿儺を守るように脇に控えているようだ。

 

 (菲狗の能力は“学習”。真人との戦いで見せたらしいけど、主人の脳や、周囲の環境から自身の能力で再現可能な範囲に落とし込んで術理を再現するっぽいね。魔虚羅の適応の下位互換のように見せて、簡易領域や落下の情も再現できることを考えるとそこそこ厄介かな。魔虚羅本体の厄介さは言わずもがな。顎吐は...再生以外に厄介な点ないね。合成獣ではなくて、引き継ぎによる生成っぽいし....壊せば終わりかな?)

 

 攻撃をいなしつつ、六眼で式神を解析する。

 

 (恐らく顎吐が虎葬ベース、菲狗が玉犬ベース。あれ?もしかして脱兎と円鹿だけ残してるのかな?そこだけ薄いね。あと...破壊後も能力の付与はできるって便利すぎない?恵の術式)

 

 向こうも準備が終わったのか、宿儺と魔虚羅も参戦して、全方位から常に悪意が突き刺さる。

 四対一、しかもその全てが思考を共有しているかのような正確さで襲いかかってくる。

 

 領域の再展開までに、決め切るつもりか。

 ま、そんな簡単にやれると思われてるって...舐められてるね。

 

 「擬似再現『蒼』」

 

 限界まで圧縮された呪力は、引力を発する──多分。ま、僕にしかできないけどね。

 

 「焼き切れた術式の回復...では無いな!避けろ顎吐!」

 

 放った蒼が、顎吐の体を包み込み、米粒以下のサイズまで圧縮し、破壊する。最期に全存在を込めた雷を放ち、それが菲狗の剣に絡みつく。

 あとは任されたぞ、顎吐おおお!と言わんばかりに菲狗が吠え、縦一文字に剣を振り下ろす。巨大化した魔虚羅が、比例するように巨大化した剣を横凪に振るい、宿儺が心臓目掛けて蹴りを見舞おうとする。

 

 勝負を決めるつもりだろう、その気迫が伝わってくる一撃。五条悟にはもはや、自身の術式を修復する以外に手段は残っていなかった。

 

 「見せる気は無かったんだけどさぁ!」

 

 「ケヒッ...成る程な。そうやるのか」

 

 「ほらぁ!!だから嫌だったんだよ!『領域展開』」

 

 「『龍鱗』『反発』『番いの流星』」

 

 二度目の領域展開。五条悟は自分の耳を疑った。何故、領域を展開しなかった!?

 空間ごと切り裂く斬撃が、片足を落とす。同時に、両面宿儺の体が無量空処の中へ引き摺り込まれる。斬撃を喰らい、領域が崩壊するまでの1.2秒。その間に、確実に両面宿儺は脳にダメージを負ったはずだ。あの状態では、簡易領域も、彌虚葛籠も使えないはず。

 

 「成る程...式神にやらせたか!」

 

 菲狗が学習して、そして魔虚羅がその術理に適応し、モノにした『簡易領域』。門外不出はなんだったのか、二重に展開されたその簡易領域は、1.18秒程ではあるが、無量空処の影響を防いだ。

 こうなれば、術式が焼き切れた五条悟が不利。

 

 「んなわけねえだろ!そんなちゃっちいもんで防げるほど甘くねえんだよ!」

 

 0.02秒。殆ど0秒に近い時間ではあるが、両面宿儺は間違いなく無量空処を喰らった。読み違えたのだ。想像以上に、五条悟が強かった。

 脳が情報を処理するこの一瞬。この一瞬で術式を修復し、最低でも魔虚羅は潰す。まだ魔虚羅が出てから殆ど術式は使っていないが、適応を気にしながら戦うのは流石に面倒臭い。菲狗も厄介だけど、そっちはゴリ押せばなんとかなる!

 術式を再生して、魔虚羅の眼前へと移動する。無下限に何度も剣が打ち付けられる。2回。3回。適応まで後数回だろう。けど、

 

 「遅せえんだよ!『茈』!」

 

 祓詞は省略し、掌印は省略しない。約130%の茈が、魔虚羅の体を穿つ。薄れた意識の中で、両面宿儺はほくそ笑む。焦ったな、五条悟、と。

 魔虚羅の体からポコポコと湧き出した脱兎の盾が、茈の威力を僅かに低減させる。一撃での完全な破壊は成らず。こうなれば、こちらが圧倒的に有利。

 無量空処の影響から脱した宿儺が再度世界を断つ斬撃を放とうとした瞬間、五条悟を除くこの場の全員を包み込むようにして、呪力が炸裂する。

 

 天から降ってきた光の柱。ダメージはそこまででは無い。両面宿儺、菲狗共に無事。しかし、9割以上体を失っていた魔虚羅は、適応前にその体を消滅させられる。

 

 「まさか、始めに撃ったあの茈か!」

 

 開戦の狼煙として撃たれた茈。それはビル群を吹き飛ばし、両面宿儺へ命中したタイミングでエネルギーの8割を消失。しかし、残りの2割は天へ上がり、その後円を描くようにして地面へ落下。

 

 「まー、狙えるもんは狙うでしょ、そりゃ」

 

 呪力も勿体無いしねー、と軽く言いながら、世界を断つ斬撃を避ける。

 

 「ケヒッ。貴様は呪力の損失がほぼゼロだろう?『龍鱗』『反発』『番いの流星』」

 

 世界を断ち切る一撃。絶技の筈であるそれが、何の気なしに放たれる。呪いの王故に許される傲慢。その力故に許される強引さ。

 

 「阿呆か。祓詞がある時点で、見てから回避余裕なんだよ...ッ!?」

 

 瞬間、無下限ごと片腕が切り裂かれる。両断まではいかないものの、確かに術式ごと断ち切られた。

 菲狗の頭に、法陣が浮かんでいるのが見えた。

 

 「魔虚羅が破壊された時点で、適応は終わる。が、それまでのデータは残る。そこから学習し、俺の術を学べばこれぐらい造作も無いことだ」

 

 「maaako」

 

 菲狗の振るった剣の軌跡をなぞるようにして、斬撃が世界を断ち切ったのだ。ひょっとすると、魔虚羅以上に厄介なのはこいつかもしれない。しかも──

 

 「やっぱりやるよなぁ!ソレ!同じ立場なら俺だってやるよ!」

 

 「ケヒッ。口調が崩れているぞ?」

 

 菲狗が展開した簡易領域。それは日下部のモノと似ていた。学習の中でたまたま似通ったのだろう。五条悟の体を包み込むように拡大された簡易領域は、伏魔御廚子のように斬撃をオートで浴びせ続ける。その一発一発が、宿儺のモノの半分にも満たない威力ではあるが、世界を断つ斬撃。

 

 「『龍鱗』『反発』『番いの流星』」

 

 それに対応しながら、宿儺の放つ本命を避ける必要があるわけだ。

 宿儺の呪力は無尽蔵か?あれだけ撃ってまだまだ余裕っぽいな。

 

 「『穿血』」

 

 結局無下限を貫かれるなら、無下限を解いて攻撃に特化しようとも考えたけど、それを防ぐように宿儺が穿血を放ってくる。

 さらに、時折放たれる、影だけの円鹿が鬱陶しい。速度は遅いが、正の呪力で術式を中和しようとしてくる。薄皮一枚程ではあるが、無下限が削れた部位目掛けて菲狗の猛攻が加えられる。

 

 ならばどうするか。

 簡易領域は、言ってしまえば弱者の領域。本物の領域で、踏み潰して仕舞えばいい。

 

 (が、世界を断ち切る斬撃で領域に穴をあけられて脱出されたら拙いな...直接当てられなければ破壊できるだけの規模はないのは確認済みだ)

 

 地面にしゃがみこみ、菲狗の足を払うついでに地面に赫をめり込ませる。凡そ1分30秒後、これは炸裂する筈だ。

 

 「やろうか、両面宿儺」

 

 「魅せてみろ、五条悟」

 

 互いに掌印を組む。領域展開の言の葉と共に、世界が塗り替えられる。一見、拮抗しているように見える二つの領域。しかし、実のところ僅かに五条悟が優っていた。今から3分以内に、確実に無量空処が伏魔御廚子を撃ち破るだろう。

 

 菲狗の簡易領域が崩壊する。宿儺の領域に付与された術式は──十種影法術ではない。ならば、後は刈り取るのみ。

 無論、黙ってやらせるほど両面宿儺も愚かではない。外部から斬撃を加え続けることで領域に負荷を与えつつ、己も解による援護を行う。

 

 「一ついいことを教えてやろう。(かまど)の炎は、貴様を調理する為にあるとは限らない。何も、火とは焼くためだけのものでは無いだろう?煮る、炊く。貴様を調理する方法など無限にあるということだ」

 

 両面宿儺の体から、蒸気が立ち上ったように見えた。これは、裏梅と羂索以外には知りようもない術理。◾️を、内燃機関における熱エネルギーの発生源に見立て、業火のエネルギーで身体能力を強化。灼熱の拳が、五条悟の体を穿った。

 

 同時に、蒼の引力、赫の斥力を利用した五条悟の生物の限界を超えた神速の拳がクロスカウンターの形で命中する。

 最悪と、最高が同時に起こる。

 両面宿儺、五条悟。同時の黒閃が、互いの体を揺らした。領域は共に崩壊せず。未だ健在。

 

 「『茈』」

 

 上昇したボルテージのまま、一時的に上がった出力による、180%の茈。それが菲狗の半身を吹き飛ばし、両面宿儺の飛ばした解が、首筋を切り裂く。

 

 「まずはここで、お前を殺し切る」

 

 解を喰らいながらも、それにより生じた傷を高速で再生させ、無理矢理菲狗の体を削り切る。

 このままならば確実に勝てるであろう領域の維持よりも、菲狗の破壊を優先したことに、両面宿儺は僅かに驚愕すると同時に、だろうなと呟く。事実、このまま終わらせる気など毛ほどもなかった。

 

 「『龍鱗』『反発』『番いの流星』」

 

 互いの領域がぶつかり合い、我々の濃密な呪力により、六眼は僅かに曇った。故に、不意打ちは成立する。

 両面宿儺の影が、腕を構える。

 

 「...ちっ!」

 

 予想外の位置からの世界を断つ斬撃。本体では無く、影の腕から放つという暴挙。十種影法術の応用か。いつから潜ませていた。最初から?

 

 「それも耐えるか、五条悟!」

 

 自分を巻き込むように放った蒼により、両断は避ける。脇腹を切り裂かれ、臓腑が溢れる前に反転術式で治療。しかし、この瞬間だけ。五条悟の領域の制御が僅かに緩む。領域の維持が不安定になる。

 そこを見逃す宿儺では無い。次の瞬間、展開時間を削った全力の伏魔廚子により、無量空処が破られる。

 

 「じゃあな最強。俺がいない時代に生まれただけの、凡夫」

 

 「ばーか。それはこっちのセリフだよ。包丁大好き平安おじさん?」

 

 次の瞬間に、地面から赫が突入し、先ほど五条の体を動かした蒼と合体。茈となって両面宿儺の体を吹き飛ばした。

 伏魔御廚子、崩壊。捌を喰らい、肩から血を吹き出しながらも、五条悟がふらついた両面宿儺の前まで突撃する。

 

 「ダメ押しだよ。『茈』」

 

 威力を下げることで、即時展開を可能にした40%の茈を、顔面へ叩き込む。たとえ元より威力が低くとも、元々能力が高い。故に、顔に与えれば致命の一撃となる。

 

 「『不知井底』」

 

 「確かに、まだ脱兎はいたもんなぁ!」

 

 追撃を加えようとした五条悟の体を、不知井底の舌が絡めとる。無下限に阻まれていいように、ドーム上に覆うようにして舌が絡みつく。縄というより、障害物の方が近いだろうか。

 

 「『龍鱗』『反発』『番いの流星』!」

 

 「そんなん盾にもならねえんだよ!『赫』!」

 

 幾ら至近距離とはいえ、詠唱がある以上六眼があれば回避は可能。その上、度重なる術式の修復により出力は低下していた。それは五条悟も同じことだが。

 

 世界を断つ斬撃を放った両面宿儺目掛けて、五条悟が再度黒閃を決める。瞬間、五条悟の術式の出力が戻る。両面宿儺は、もはやこの次の瞬間に放たれる茈を避ける手段は残されていなかった。陰に潜ったところで、影ごと破壊される。

 

 間違いない──「五条の勝ちだ」

 

 

 

 ♦︎

 

 

 

 

 ──「世界を断つ斬撃には詠唱が必要」。この考えを植え付けた。不意打ちの時でさえ、詠唱は唱えた。

 

 

 

 ──誰かの声がする。「君は、これで満足かい?」

 

      ──おいおい、死ぬ時は一人じゃなかったのかよ

 

 どれをとっても、通常の解と異なる要素はなかった。

 

 

 ──縛りによる、詠唱の短縮。五条悟。天晴れだ。お前のことは生涯忘れん。

 

 

 ──「新しい自分になりたいなら北へ、昔の自分に戻りたいなら南へ行きなさい。七海が聞いた話っすよ!まぁ、七海はまだ向こうですけどね」

 

       ──自分の姿を見る。懐かしい学生服。あぁ、このままでもいいかもしれない...

 

 ──本当に?

 

       ──あぁ、本当に申し訳ない

 

 ──それは、誰にだい?

 

       ──そんなの、決まってんだろ

 

 サングラスを取り、目隠しをつける。

 学生服を脱ぐと、その下に別の服が現れる。

 

 「ま、約束したからね。アイツらが僕を超えるまで、僕は北に進み続けるさ」

 

 何せ、僕は、GTG(グレートティーチャー五条)だからね。

 

 「じゃあ、いってくるわ。大丈夫、僕、最強だから。」

 

 「はは、知ってる」

 

 こつん、拳を交わした。

 

 

 

 

 五条悟の体が両断された。予備動作、呪力の起こりさえ見えない解。誰であれ、避けることは叶わなかった筈だ。

 間違いなく五条悟を殺した。五条悟は死んだ。一人を除いて、両面宿儺を含めた全員がそう思ったはずだ。

 

 そう、普通なら即死だった。

 

 

 

「領域展開『無量空処』」

 

 

 

 

 

 






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本誌最新話、凄かった。
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