共鳴りとは──魂の振動(大嘘)   作:美味しいラムネ

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特級とのソロエンカって普通はデスエンカなんですよ。序盤のD.O.Eなんですよ。






京都姉妹校交流会②

 

 

 

 

誰だ二級って言ったの、思いっきり特級じゃねえか!

 

 樹々の間から現れた人型を睨みつける。

 本来なら目のある位置からは枝が生え、体表は白い甲殻に覆われている。

 片腕は...元々ないのか隠しているのか。

 

 「うーん、五条悟(ゴジョセン)に捕獲された...って訳でもなさそうね?」

 

 幾らあの人でも、二級と偽って特級を放つなんて洒落にならないことはしない筈だ。多分。...あの人なら「京都校東京校全員で協力すれば倒せるから頑張ってー!」ぐらいはやりそうだな。

 いや、まて。あれは確か妙に味のある五条悟の絵にあった、火山頭の一味の呪霊。

 

 「真人の知り合いかなー?」

 

 ポケットからスマホを取り出して、五条先生に連絡を取ろうとする。

 あーほんと。嫌になる。

 

 「不意打ちで決められると思ってんじゃねーよ雑草」

 

 スピードに自信のあるキャラは、背後を取るお約束でもあるのか。

 呪霊は一瞬にして背後に回り、スマホを叩き落とす。

 

 叩き落とされると同時に私は、スマホを叩き落とした腕を掴み取り、片方の腕に持った釘を叩き込む。

 

 「『簪』」

 

 掴んだ腕を離し、距離を取る。懐から12枚の二級呪霊の式神と、つい先程入手した準一級呪霊の式神を取り出し突撃させる。

 悍ましい異形の怪物たちが、牙で喰らい付き、爪を突き立て、呪詛を吐き出す。

 

 「ついでにこいつも喰らっとけ」

 

 投擲したグレネードから飛散した釘が、特級呪霊の体に突き刺さり、そこから呪力を注ぎ込む。

 ちょっとは削れてくれたか、なんて期待を持ちながら呪霊の方を見るが。

 

 殆ど効いていない、か。

 

 『やめなさい。愚かな児よ』

 

 「こいつ...脳内に直接!」

 

 意味だけが頭に叩き込まれる、なんだこれ気持ち悪っ!

 

 『私はただ、この星を守りたいだけだ』

 

 ちゃんと知能もある、独自の言語体系を構築しているのか?

 話が長くて半分以上聞き流しているが、まぁあれだ。自称地球意識的な呪霊なんだろう。自然への畏怖が元になった呪霊、といったところかしら。

 

 『自然はただ、人間のいない時間を欲している。』

 

 簪自体は効果はある。ただ、釘状の呪力が表面で弾けてしまい、内部への有効なダメージとなっていない感じだな。

 左手に釘を持ち、右手に金槌を構える。

 

 さて、どんな術式を使ってくるのか。

 一人で逃げ切れる相手でもないな...なんとか悠仁や恵と合流したいが。

 

 死中に活を見出す。

 特級呪霊が言葉を紡ぐと共に、その呪力が肥大化するのを感じる。

 

 「さっきまでは本気じゃなかったってことね...」

 

 『死して、賢者となりなさい』

 

 ...来るっ!

 背後に浮かび上がった、木製の球体から先端を尖らせた木の根が伸びると同時に、特級呪霊は距離を詰めると、そのまま殴りかかってくる。

 

 木の根を釘で相殺し、その拳を金槌で逸らす。

 腹部を蹴り飛ばし、靴のスパイクから呪力を送り込む。

 

 脳裏に地面に根を張った大樹が浮かぶ。硬っ...!

 

 顔面に裏拳を叩きつけると同時に、呪霊の拳が腹に刺さり、口から血が溢れる。

 

 『なるほど』

 

 腹に拳が衝突した瞬間、触覚と視覚を辿って送り込まれた呪力が、呪霊の動きを乱す。

 呪霊は、腹を貫くつもりだったのか。表面を抉ることすらできず、不思議そうに拳を開いては閉じてを繰り返す。

 

 反転術式で内臓を治療しつつ、背後の木を蹴り倒す。

 再び周囲を囲うようにして出現した木の球体を、呼び出したかまいたちの風の刃で切り払い、蹴り倒した樹木を槍のように持ち、投擲。

 

 「小さい釘がダメなら、これならどうよ!」

 

 2本、3本と自身よりも大きい樹木を槍のように投げつける。

 同時に、その表面に貼り付けられていた低級の式神たちが、呪霊を巻き込むようにして自爆する。

 

 『なんと愚かな...』

 

 盾のようにして展開された、人二人は入りそうな太さの木の根に即席の槍は防がれる。

 防がれたと同時に距離を詰め、盾となった根を踏み越え、頭上から五寸釘を投擲。

 

 『無駄だと』

 

 「『簪・平打ち』切れろっ!」

 

 

 呪霊の腹が裂ける。

 簪の発展系。釘に沿った呪力を放出するだけではなく、放出された呪力を再度形成し、斬撃として体内から相手を蹂躙する拡張術式。

 釘の先から、針状の呪力が放たれる。さらにその先端から、斬撃状の呪力を形成。体内から、体外へ突き破るようにして斬撃が放たれる。

 

 「表面が固くても、内部まで固けりゃ動けねえだろ!」

 

 一瞬の硬直。

 

 「『蛇神』『かまいたち』『狐火』『大蜘蛛』!」

 

 狐火、大蜘蛛。前者は一人で、後者は悠仁、恵と共に祓った一級呪霊だ。後者は悠仁の、高専入学前に通っていた高校に出没した奴だ。

 かまいたちから風の刃が放たれ、蛇神から毒液が放たれる。

 狐火から放たれた炎が、周囲の草花を焼き尽くしながら迫り、大蜘蛛から放たれた蜘蛛の糸が呪霊の体を雁字搦めにし、呪力を吸収する。

 式神たちの猛攻、さらに投擲された釘から放たれた通常の『簪』。

 

 それを受けとめながらも、呪霊、その気迫全く衰えることを知らず。

 

 「不味い、戻れ!」

 

 隠されていた、もう一本の腕が現れる。

 絡めとっていた糸が、一瞬にして消し飛ばされる。

 

 式神たちを、形代の状態へ戻して収納するが、狐火だけは間に合わずに破壊される。

 

 『なるほど』

 

 呪霊の気配が変わる。

 

 盾に使われたものと同じ木の根が私の足をからめとり、そのまま天高く振り上げ、地面へ叩きつけようとする。

 

 簪なしでの斬撃じゃ、あの木の根は切れねえ。だったら!

 木の根ではなく、あえて呪力での強化を捨て、柔らかくなった足首を切断する。

 それをすぐさま反転術式で再生。

 

 『なるほど...これが』

 

 瞬間、振り上げた勢いのまま後方へ勢いよく放り出され、そこへ追撃と言わんばかりに束ねられた木の根が迫り、私の体を吹き飛ばす。

 

 数本の木々を吹き飛ばしながら漸く勢いはなくなり、地面に溝を作りながら止まる。

 ヒビの入った骨を無理やり接合し、地面から生えた木に押し上げられるようにして上空へ上がって行く呪霊を、私を吹き飛ばした根を足場にすることで追いかける。

 

 歩幅がズレるのが面倒なので、残った片足の靴を脱ぎ捨てる。

 

 多少の傷は問題ない。

 体を貫こうとする木の根を、致命傷に繋がりかねないものだけ避け、あとは食らいながら最短距離で駆ける。

 肉が弾けとんでも、治せばいい。脳を高速で回転させながら前へ。

 

 反転術式で、傷は治せても痛みは消えない。抉れた身体が痛い。何より、部位の欠損を無理やり直したせいか、脳が酔ったようにクラクラする。

 盾のようにして、前方へ式神を展開。それを使い潰しつつ、妨害を突破しながら前へ。

 

 「『簪』」

 

 それがダメージに繋がると理解されたのか、なかなか当たってはくれない。

 視界を塞ぐようにして展開された根を、数本の釘を束ねた物を差し込み、粉砕する。

 

 『戦いの、愉悦という物ですね』

 

 晴れた視界の目の前には、ナハナハと笑う種子型の弾丸の雨。

 式神を追加して受けるか、身体強度でゴリ押すか。

 

 余裕そうな魂の揺らめき。罠、何か特殊な性質が...毒?兎に角!受けたら不味そうだ!

 

 追加で呼び出した式神を盾に、ライフル弾の如く迫る弾丸を受け止める。

 種子は式神に根付くと、その呪力を吸い上げ、式神を灰に変える。

 

 「呪力を吸ってる、か...喰らっちゃダメなやつか。やどりぎの種ね!」

 

 『式神術...やはり厄介な』

 

 しかも、呪力で防げねえ攻撃と同時に、呪力で防がねえと即死しかねない攻撃が来るときた。

 前からは種子の弾丸、背後からは濁流のようにして迫る大樹の根。

 

 呪力の吸収、か...なら!

 あえて呪力を全開で回し、脚力を強化。全身で種子を喰らいながら前へ飛び出す。

 

 『自棄に...いや違う!』

 

 種子が根を伸ばし始めた瞬間、自分の体に釘を叩きつける。

 

 「『共、鳴りぃ』!」

 

 現在出現していたすべての種子が枯れ果て、更には繋がりをたどり、主人である呪霊の体内から棘状の呪力が生える。

 脚元の根にヒビが入るほどの脚力で、前へ跳ぶ。

 

 なんか帳降りてる気がするけど、気にしてる余裕がない!

 

 もう一歩踏み込めば届く。多分だけど、あの...これ見よがしに生えてる顔面の二本の枝。あれが弱点だ。

 しかし、遠距離から折らせてくれるほど相手は甘くない。だから、懐に飛び込む。

 

 『大地の有り難みを知るといい』

 

 足場にしていた木の根が消え失せる。

 

 「まさか...これ全部、お前の呪力で具現化していたっていうの!?」

 

 流石は...流石は特級!

 落下する私目掛けて、木の根が槍のように迫る。

 でも、そう簡単に殺れるなんて、思ってないでしょう。貴女も、私も!

 

 「こい、『青龍』!」

 

 青の鱗に覆われた龍の背に飛び乗る。

 

 『その程度...想定済みだ!』

 

 呪霊──花御は、出現した龍目掛けて、木の槍を放とうとして気づく。

 いない。どこだ。龍の体内?...否。

 

 「『上か』だ!」

 

 青龍に咥えられ、放り投げられた釘崎は、出現させた低級の式神を足場にさらに天へ駆け上がる。

 

 そのまま、落下の勢いのままに、金槌を振るい。

 

 『黒閃』

 

 空間が黒く歪む。

 

 「あぁ、これでも」

 

 ──弱点だけは守るかっ!

 

 クロスした両腕が、黒閃の衝撃を防ぎ切る。

 そのまま彗星のように二人は地面へ落下。

 

 呪霊の私には、物理現象によるダメージは効かない、死ぬのは貴女だけだ、そう言おうとして気づく。

 自身の落下地点。そこにはびっしりと、比較的鋭い形状をした式神が。

 

 『なる、ほど!』

 

 互いに上を取り合おうとしながら、空中で殴り合う。

 釘が、木の根が空を舞う。

 

 最後に、下になっていたのは花御だった。

 

 「『かん...ざしぃ』!」

 

 落下の衝撃で破れかけた肺をなんとか修復し、花御に突き刺さった式神から呪力を流し込む。

 

 あぁ、ダメだ。これでも致命傷には程遠い。

 一撃で、一撃で吹き飛ばせるほどの火力が必要...だったら

 

 理論は組み立てた。しかし、実力が追いついていない切り札が一つある。成功率は、那由多の果てに一度あるかないか、その程度。

 

 一か、八か

 

 「『龍鱗』『四諦』『分つ彗せ、ぇ...っ!」

 

 『させません』

 

 想像以上に早く復帰した呪霊から、木の根が放たれる。

 それでも間に合うはずだった。威力と規模が大きい代わりに、速度はそこまででもない。その見立てだった。

 

 『えぇ。貴女に感謝を。解釈というのは、戦いというのは自由な物なのですね』

 

 速度と引き換え、だからこそ許されていた攻撃。

 

 しかし、今の攻撃は明らかに音速を超えていた。

 肉と臓腑をぶち破りながら、木の根が体にあたり、そのまま勢いよく吹き飛ばされる。

 

 鞭。それは人類が、機械に頼ることなく手にしていた音を超えた攻撃手段。先端に迫るほど細くなるその形状は、根本から離れるほどに拘束を脱し、文字通り加速度的に速度を上げ、最後には音の壁を越える。

 

 非力な人間が振るってこれだ。仮に、人間の数十倍の力を持つ呪霊が行えばどうなるか。

 鞭のようにしならせた木の根。それは呪力の守りを、腹筋を突き破る。

 

 即死は...してねえ!

 反転術式がなきゃ死んでたな。ああ、頭が痛い、気持ち悪い...が...それ以上に気分がいい!

 

 砲弾のように吹き飛ばされた私は、どこぞの建物に突っ込む。

 

 

 そこにいたのは、両手を前に突き出して構える恵と加茂。

 

 「...お取り込み中だった?というかこれに気づかないってどんだけ集中してんのよ」

 

 花御にとって不運だったのは、釘崎が飛び込んだ場所が、ちょうど今から大技対決をしようとしている二人のいる場所だった、ということだろう。

 

 

 『は?』

 

 

 

 

 いがみ合ってはいたが、二人とも呪術師。即座になんとなく状況を理解すると、こちらへ迫る呪霊目掛けて照準を合わせ──

 

 「「『穿血』!!」」

 

 半ばやけくそな叫び声と一緒に、二人の腕から放たれたレーザーが、花御の両肩を撃ち抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 







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体内から『解』もどき
次回はレイドボス戦(花御)。タフさが自慢の花御は生きて帰れるのか!

Q.詠唱って?

A.今使おうとしても絶対に失敗してた
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