「俺だってみんなのために」   作:荼枳尼天

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こんにちは。
週2投稿1話目です。


友と呼べる人達ができました。

 

 

 

「ねぇねぇ風音ぇ」

 

「?ミナ、どうしまし…もぐもぐ…」

 

「か、カロリーバーをそんなに美味しそうに……いや、風音が正門前のマスコミをどう躱したのか気になってさぁ」

 

「あぁ、あの群がる人々…何も聞いてきませんでしたよ?」

 

「えぇ!なにそれー」

 

 

 朝、コンビニで買ってきたカロリーバーをもぐもぐと咀嚼する。

 ミナが聞いてきたのは、原作では委員長になるならない騒動で問題になったマスコミたちのことだろう。

 まあどういう訳か俺には何も聞いてこなかった訳だが。

 美人すぎて何も聞いてこなかったのかな?

 

(そりゃ口いっぱいに食べ物頬張ってる子には何も聞けんわ)

 

 あはは〜とこちらを見ているオチャコは何か知っているようだ。

 聞いてみようか、と声をかけようとしたら、ドアから相澤先生が入ってきた。

 おや、もうそんな時間かとカロリーバーを嚥下する。

 

 

「「おはようございます!」」

 

「おはよう。昨日の戦闘訓練の成績とV、見せてもらった」

 

 

 挨拶を返した相澤先生は手元の資料を教卓に置いた。

 相澤先生の講評も聞けるのか。

 教壇にたった相澤先生は各々に一言ずつ労いの言葉をかけて行く。

 特筆すべきはイズクと爆豪への講評だろうか。

 ほぼ説教だった。

 

 

「以上。これからも励むように。えー、次だが今から君らには学級委員長を決めてもらう。」

 

「「学校っぽい!!」」

 

 

 学校っぽい。

 濃い経験で忘れていたがここは高校。

 委員長…誰がふさわしいだろうか。

 学外でやることのある自分では到底勤まるものではないし、自分以外の誰かがふさわしいだろう。

 

 

「静粛にしたまえ!!」

 

 

 仮にもトップヒーローの卵たち。

 自分が自分が、と騒ぎ出したクラスルーム内に響いたのは()()()()の声。

 シン、と静まり返った教室で飯田は続く言葉をクラス全員に届くように発した。

 

 

「他を牽引する重大な責務…!!民主主義に則りここは公平に投票制で決めるべきだ!!」

 

 

 その言葉に「時間内にきまりゃなんでもいいよ」と返し相澤先生は寝袋に潜る。

 うーん激務だったんだろう。よくお眠り。

 

「!!」

 

 

 何故だ。睨まれた。

 とはいえ投票制か。

 誰に投票しようか。

 第一候補は飯田…テンヤだ。

 理由は単純。

 彼はクソがつくほどのド真面目、先のように他を牽引する業務を務めた経験があると俺は睨んだ。

 ここはヒーロー科。反抗するような生徒も少ないように思うし適任だろう。

 

 ただ心情的に言えばイズクも推挙したい。

 

 さて、悩ましい。

 

 

 

 

 …うーんなぜ。

 

「マジか…」

 

「二票同率かい…」

 

 

 みんなの動揺の種は黒板にある。

 

緑谷出久 二票

 

八百万百 二票

 

 あれえ?緑谷って委員長になるじゃなかった?

 いや結果的に飯田に移る訳だが、同率なんて…

 

帯金風音 一票

 

 あー、俺のせいか。

 緑谷に行くはずだった票が俺にきている。

 そもそも俺は自分に入れていない。

 俺は結果的に飯田が相応しいと飯田に投票したのだが…

 

 

「…!!一票入っている…が…!!さすがは聖職といったところか…!」

 

「他に入れたのね…」

 

「あれ?じゃあなんで一票…?」

 

「私が入れました…が、テンヤも私に?」

 

「ああ…君が相応しいと……くっ…!」

 

「意味ねえじゃん!!」

 

「あれ?風音って委員長したくないの?」

 

「私は委員長に相応しくはありませんし、高校生活でやりたい他のことがあるので」

 

「そっかー…」

 

 

 この後、再度二人を選ぶ投票が始まり原作とは違い八百万百が委員長の枠に収まった。

 まあ、こうなったらさすがに八百万に分があるか。

 

 

「皆さんの期待にそえるよう、精進いたしますわ!!」

 

「よ、よよよろしくお願いします!!」

 

 

 と、まあそんなわけで委員長と副委員長は決まり通常通り授業が始まる。

 今世では俺も高校生。しっかりと勉学に励まねば。

 

 

 

 

 食事。

 それは誰もが救われ、洗われる聖なるモノ。

 一人で、静かに…

 

 

「かぁざね!!」

 

「もむもむ……ミナ」

 

「すごい量ですわ…」

 

「大食いなのね」

 

「モモにツユちゃんまで」

 

 

 我が聖域に押し入った侵略者どもは俺の学友であり、排斥するには躊躇われる。

 

 

「一緒にたーべよ!」

 

「構いませんが、モモとツユちゃんはよろしいのですか?」

 

「「もちろん」よ」ですわ」

 

 

 先日のようにテーブルを占拠するほどの食事はランチラッシュ直々にとめられてしまった為今は控えめ。

 ではあるのだが人より多い量を注文していることは理解しているため、みんなが食べられるようにできる限りこちらに寄せられるよう努力する。

 

 

「にしても、人多いね〜」

 

「ええ、ヒーロー科の他、サポート科、普通科も一堂に会しますから当然でしょう」

 

「そんな人が集まるのにテーブル一つ占拠したの?」

 

「ぐむ……ですから控えめでしょう…?」

 

「これを控えめと言うのかしら…?」

 

 

 苦笑しながらモモが苦言を漏らす。

 仕方ないだろうが、無個性で生きていくにはこれぐらいの食事量が必要なんだよ。

 

 

「わ、私がお金を出しているんです!…ランチラッシュに禁止されてしまったため控えますが、いいでしょう?好きなんですよ。食事」

 

「ランチラッシュ直々に禁止令出てんの?!」

 

「…放課後なら問題ないとのことです」

 

「ふっ…ふふっ…」

 

「も、モモ!なぜ笑うのですか!」

 

「伝説を作ったわね。風音ちゃん」

 

 

 

 そんなたわいもない話をしているとウウゥーーッ!!と警報が鳴り響く。

 それにいち早く反応したのはモモだった。

 

 

「校舎内に侵入者!!皆さん!避難しましょう!」

 

「まっ!待ってください!私の食事はまだッ!」

 

「そんなこと言ってる場合かぁ!!」

 

「早くいくわよ」

 

「あ、ああ…」

 

 

 いや、いやね?別に警報のことを忘れていたわけじゃない。

 食事中は救われてなきゃ…!!

 警報のことは忘れてません!!

 忘れてません!!!

 

 手を引かれる形で避難する俺だったがそんな状況も廊下に出るまでのものだった。

 

 

「いたいいたい!!」「押すなって!!」「ふむなよ!!」

 

「くっ!パニックになってますわ!」

 

「ど、どうしよ〜!!」

 

「け、けろぉ!」

 

「う、うぐ…」

 

 

 だが、大丈夫。

 なぜかって?

 俺は知っている。この状況で動こうしている者を。

 

 

「いってぇ!!」「おい!誰か倒れたぞ!!」「押すなよ!!」

 

『だいっじょぉおおおぶっ!!!』

 

「ただのマスコミです!だから大丈夫!!ここは雄英!!最高峰の人間として相応しい行動をとりましょう!!!」

 

 

 彼が、テンヤがいるから大丈夫。

 さて、食事をとりに戻ろう。

 

 

 美味!!!

 

 

 

 

 

 

「えー、さて他の委員の取り決めに移るが…緑谷から話したいことがあるそうだ」

 

「は、はい!」

 

 

 ホレ、と相澤先生に促されイズクが前に出る。

 何かを決心したとき、彼は人が変わったように自信を胸に秘め行動する。

 

 

「…八百万さんとも話した事なんだけど、僕らは飯田くんが委員長にふさわしいと思います!」

 

 

 モモと話をしたときたか。

 確かに昼休み騒動が収まったあと、イズクはモモに話があると私たちのグループにやってきていた。

 女子だけのグループだったから緊張したのだろう、ガタガタと震えていた。

 

 

「え?ヤオモモも?」

 

「ええ、私もあの場にいましたが対応に遅れました。私も迷いましたが緑谷さんの直談判、あの場で見た飯田さんの行動を鑑みて私も飯田さんが委員長にふさわしいと判断しましたわ」

 

 

 少し不服そうなモモはテンヤを見ながら言う。

 

 

「委員長、副委員長の指名なら仕方あるまい!!」

 

 

 顔をキラッとさせてテンヤが立ち上がる。

 原作とは流れが違うが本筋通りに、委員長にテンヤ、副委員長にはモモがおさまった。

 副委員長はどちらがなるのかも話し合ったんだろう。

 いやなに、自分というイレギュラーで一波乱あるかとも思ったが無事に騒動が終わってよかったよかった。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 日を跨いでヒーロー基礎学。

 相澤先生はいつもの調子で、俺たちにやることについてのアナウンスを行った。

 

「今日のヒーロー基礎学だが俺とオールマイト、それともう1人の3人体制で見ることになった」

 

「はい!なにをするんですか!!」

 

「災害水難なんでもござれ、人命救助(レスキュー)訓練だ!!」

 

 

 その言葉にクラス内がざわめく。

 大変そう、などの声も聞こえる中俺に声をかける者がいた。

 モモだ。

 

 

「人命救助ですか」

 

「…ヒーローは人命優先です。今回の授業は最も重要と言って差し支えないでしょうね」

 

「ええ、ヒーローは究極の自己犠牲。腕がなりますわ」

 

「がんばりましょう。モモ」

 

「はい!」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 校外での訓練のためにバスに乗り込んだ面々は各々話に花を咲かせていたが、段々と個性についての話に変わっていく。

 

 

「結局、風音の個性ってなんなの?」

 

 

 ミナが首を傾げながら聞いてくる。

 バス内が一瞬でシンと静まり返りクラス全員が俺の個性に注目していることは見て取れた。

 ただ教えるための個性を俺は有していない。

 無個性だとこの場でそのまま言うのは簡単だろうが、それでは皆が俺に手加減しかねない。

 相澤先生はそれも恐れているのだろう、俺の方向を見ている。

 

 もちろん、表面上は全力で戦ってくれるだろうが無意識下で手加減されてはかなわない。

 

 

「秘密です」

 

「「えええっ!!」」

 

「なんでぇ?!」

 

「増強系と思っていただければよろしいかと」

 

「チッ、秘密主義かよクソがッ!」

 

「サポートアイテムだよりの部分があることも否定しません」

 

 

 動きやすいように体操着を着てきたが、思っていたより優秀なカリバーン(偽)を持ってきた。

 カチャリ、と鞘を鳴らす。

 腰に提げているものだが、動きづらい。

 正直いって邪魔だが抜き身で持ち続けるのも気が引ける。

 

 

「それすごいよね。風がぶわわって!」

 

「俺の氷結も吹き飛ばされた」

 

「ええ、父のお抱えのサポート会社から授けて貰ったものです。ただ頑丈なものを依頼していたので依頼外のものになるのですが…屋内訓練ではとても役立ってくれたので今では感謝しています」

 

「へぇ…お抱え?!」

 

「ヒーロー関係の重役なので」

 

「お嬢様?!」

 

「ブルジョワかよクソがッ!」

 

「尊敬すべき人ではあるのですが少し過保護気味で…困ることもあるんです」

 

 

 これちなみに光ります。とピカピカさせると「「おおっ!」」と反応が帰ってくる。

 これだけで元が取れた気分だ。

 俺は金かけてないが。




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