機動戦士ガンダムSEEDFREEDOM 運命の復活 作:鳳.
三部作には収まりそうにないな
前線は混沌ここに極まれりだった。
不沈艦と謳われたアークエンジェルは沈み、ハーケン隊の2名は死亡、キラとルナマリアは乗機を失う、端的に言えば大敗だった。
アスランとメイリンが救援に向かわなければ直後の核ミサイルで全滅していてもおかしくなかっただろう。
しかし、生き残った。ファウンデーションの陰謀を察知した人は確かに生き残ってしまったのだ。
一方、難を逃れたミレニアムの内部は、御通夜といった様子だった。
ファウンデーション本国に飛来した核ミサイルの迎撃には成功したが、その代償として、シン・アスカの消息は不明となってしまった。アークエンジェルも同じく消息不明。キラ・ヤマトも、ルナマリア・ホークも、アークエンジェルの乗組員も安否は不明だ。しかもエルドアにも核ミサイルが着弾したという。
宇宙に上がったファウンデーション上層部の面々は歯噛みしていた。当初の国を討たせてその報復としてユーラシア連合を焼くというシナリオにズレが生じたからだ。しかし、そのリカバリーは考えてあった。
オーブのアカツキ島の地下にあるいわゆる"秘密基地"の部屋で、キラ・ヤマトは目覚めた。
その部屋には、誰もおらず、とてもひっそりとしていた。―あの時を思い出す。アスランと戦い、傷を負い、ラクスの家で目覚めたあの時を。
そしてシンのインパルスに討たれ、AAの医務室で目覚めた時を。
あの時は、いつも傍らに誰かがいた。
まだ少し痛む身体に鞭を打ち、立ち上がる。
人の気配がする部屋に入ると、そこにはマリューと、ノイマン、ヒルダ、それにルナマリアがいた。
やはり全員無事だったことに―改めてキラは安堵する。ムゥの姿はないが、彼が助けたマリューがいることが彼の無事も証明している。
…しかし。状況は1ミリも良くはない。
「もう、大丈夫なの?」と聞いてくるマリューさんに、「はい」と返しながら、部屋に入った途端に消されたテレビを付け直した。
そこに映っていたのは、ファウンデーションの国内の映像と、『核ミサイル発射!?』と書かれた見出しだった。
『コンパス隊長、キラ・ヤマト准将が協定を破り、ユーラシア領に侵入したため、このような事件が起きたとして、各国理事はコンパスの活動を当面停止する案を―』
『―しかし地球上で核ミサイルを発射したユーラシア連合に対する批判も強く―』
キラは絶句した。
自分の気の迷いから起こしてしまった行為で、核の引き金が引かれてしまったことに。
マリューやルナマリアは不安気にキラの顔を見る。
すると、テレビの画面が切り替わり、街の人に対するインタビューになった。
画面に映る男はこう語る。
『この国が連合との仲が良くないのは知っていたけど、避難警報が出た時は終わりかと思ったよ。ミサイルっぽいのも見えた。…だけど、MSも見えたんだ。そのMSが…』
と言われると同時に画面に映る、少し荒い(視聴者提供)と書かれた映像。ミサイルと思しき物体に高速で近づくそれは…
「ジャスティス!?」
「…シン!?」キラとルナマリアは思わず声をあげる。
『あのMSのお陰で助かった』という言葉を括りに、ニュースは終了する。
すると、そこに丁度アスランとメイリンが入室してきた。
「ああ、あれはほぼ間違いなくイモータルジャスティスだ。」と言った。
ルナマリアは「シン…やったわね…」と呟くも、しかしキラは。
「ラクスは…?」
「…彼女はファウンデーション高官とシャトルで脱出したらしい…。」アスランは言いにくそうに答える。
「…彼女は、僕たちを裏切った…。」
―――
「…でも、何故ファウンデーションはこんなことを…?」ルナマリアはアスランとメイリンに尋ねる。
「あの国には…野心がある。少なくとも核を撃たせて口実を作るつもりだったんだろう。」
ルナマリアは驚く。
「"核を撃たせる"…!?」
「ああ、少なくとも、報復をする理由がな。…俺は任務でファウンデーションの監視を行っていた。恐らく奴等は…自分の国の国民を犠牲にすることになんの躊躇いも持っていない。」
「そんな…!?」コーディネイターにとって、自分たちにとっての地球にも等しいコロニーを焼いた核はとても許せるものではない。それを自国に向けて撃たせるなど…信じがたいことだった。
「まぁ…その核もファウンデーションに飛んできたものはシンが撃ち落としたが…。まったく、アイツもやるようになったな。」と呟き。
「ミレニアムの方は情報が入り乱れていて、細かい状況はわからないが、無事ではあるようだ。あとはファウンデーションがどのような手を取るか…」とアスランがいいかけたところで部屋に緊迫した声の呼び出しがかかり、アスランを呼び出した。
―――
宇宙から降り注いだ
キラもアスランもルナマリアもマリューもそれ以外も、皆その光景を眺めていた。
「これは…核…!?」
「いや…違うぞ……これは……!!……〈レクイエム〉だ…!!」
平和利用の為解体された筈のレクイエムが修理されていた、この事実を問題視した各国の首脳は会談を開いたが、そこに割り込まれ世界へと発進された、ファウンデーションの宰相、オルフェによる演説が入るのであった。
ーそれを、キラたちはまた、絶望の表情で眺めることとなった。
『―我々は地上を追われた―――ナチュラルが放った核によって。
決して多くを望まず、平和と安定のみを願った我々の想いを平気で踏みにじったのだ!
我が国は、ギルバート・デュランダル前議長が提唱したデスティニープランを受け入れることで、めざましい経済発展と技術革新の恩恵を享受した。完全に平等で平和な世界によって貧しさを克服したのだ!』
これを聞き、アスランとメイリン以外の一同に衝撃が走る。
嘗て自分たちが様々な形で関わった、デスティニープラン。その名前が出て。
『だが、怠惰なる者はそれが気に入らず、進化を否定するだけでなく、身勝手な恐れから我々を憎み、恨み、妬み続けた結果として二度の大戦が起きた。地球という安寧の地を手にしながらも、まるで寄生虫の如く我々の得た恩恵を奪っていく。それが果たして本当に許されるのか!?
プラントに住むコーディネイターたちよ。我々はあなた方の同胞だ。諸君も我々と同じく、人類の存在を未来へ引き継ぐ存在なのだ。我々は遺伝子操作によってつくられた最高のコーディネイター“アコード”。我々は人々を導く役割を与えられて生を受けた。かのラクス・クラインも我々の同胞なのだ!』
「え……そん……な…」キラが呟く。
『彼女も人類を導くものとして、今我らと共にある。我々の意思は彼女の意思でもあり、我々の願いは彼女の願いでもある。
この場で宣告する。
直ちに武装を解除し、デスティニープランの導入・即時実行を要求する。
期限は5日後まで。なお、我々を受け入れられぬ勢力がいた場合は、“ラクス・クライン”の名の下に『レクイエム』による制裁を下す。
その頭上にメギドの炎を降らせたくなければ、各国首脳の賢明な判断を切に願うこととする。』
そうオルフェが言い残すと、放送は終了した。
アスランにも信じられなかった。
まさかこのような行為で、直撃を避け、海に脅しとして発射したとはいえ強行するとは。
キラは、ふさぎ込むように椅子の上で身体を丸くしている。
それ以外も、状況に理解が出来ずにいた。
では