無気力ギャル神様の体を貰って楽しく暮らそうって話 作:匿名のTS好き
魔法少女・
『マモラント・ヤバイゼ』の組織としての目的はただ一つ、「異能の存在が異能と関わりのない表社会に悪影響を及ぼすことのないようにすること」である。
静河は「怪異から人々を守る」と鈴木に説明していたが、それはあくまでマモラント・ヤバイゼの活動の一部を切り抜いたに過ぎない。
つまり、鈴木───ギャル神様の身体を棚ぼたで授かった、本来一般人でしかなかった者───も、「異能の存在」であることに変わりはなく、それが表社会の学校に通うという形で干渉することは組織にとってのルール違反であり、消されるはずだったのだ。
よしんばそれを免れても、組織の監視下、管理下に置かれることは最低条件であった。
では何故、監視すら付けずに完全に見逃されたのか?
敵意が無かったから? 否。今に敵意が無かろうと将来的に人類に牙を剥く可能性は消えない。将来的な危険因子は可能な限り摘み取っておきたいのが組織だ。
「では何故?」
「…………」
『マモラント・ヤバイゼ』
「……アレは……手を出してはいけない……アレは……本物の『神』だ……!」
絞り出すように、震える声で、そいつの本質を正確に見抜き、伝える。
文字通り次元違いの実力を持つ、この世界の神。すなわち人の身ではどうしても抗えない絶対の存在を、実物として初めて認識した彼は、常人なら狂気に呑まれてもおかしくない精神状態を気合いと矜持だけで正常に近い所で保っていた。
時間や因果の関係すら飛び越えて、望んだ通りの結果を引き寄せるもの、現実を思うように書き換えてしまうものも、マモラント・ヤバイゼの構成員なら対応できるように、尋常ではない訓練を重ねている。
その総責任者ともなれば、もはや生理的に必要な食事や睡眠すら不要なまま十年は活動できる程に、肉体そのものの改造に等しいレベルで鍛えられている。
それでもその『神』は一目見た者を恐怖に怯えさせる程の神威に満ちていた。
ただそこに存在するだけで周囲の全てを魂の底から屈服させる究極の大神秘は、己を物質界に馴染むようにダウンサイジングしていなければ、世界が存在の情報を処理しきれず、溢れる存在の情報で空間を圧迫して人類を絶滅させかねない。
まさしく圧倒的な存在感を放つそれは、これまで組織が相手取ってきたほとんどの怪異を超越していた。
「……とはいえ、『アレ』が本気で世界を滅ぼすつもりなら、私だって指を咥えて見ているわけにはいかない。対抗策も用意している。通用するかは別として」
「というと?」
「詳細は追々話すが、その名だけは今教えておいても良いだろう。それは─────」
─────元・特別有害指定存在。
最上に位置する指定等級、
『草の根食らい』。
かつて世界に牙を剥いた、『マモラント・ヤバイゼ』最高機密に属する
「それをもし目覚めさせなければならないことがあるとしたら、『この世界』を放棄することも覚悟しておいてほしい」
いつか来る滅びへの切り札は、今も深い眠りにある。