無気力ギャル神様の体を貰って楽しく暮らそうって話 作:匿名のTS好き
あれから大体三日ほど。俺はこのギャル美少女神様のボディのスペックを念入りに確認していた。
「うお、胸おもたっ……そして声がめちゃ可愛い……」
男の欲望丸出しな女の胸への率直な感想も、すべての俺の言葉がこのギャル美少女神様の声で出力される。
男としてギャル美少女神様と相対していた時のイメージとは少し違う聞こえ方に感じられるが、これはいわゆる「自分で聞く声と他人が聞く声は違う」という現象によるものだろうか?
そう思いつつ、無人の山脈────多分日本の名峰の一つだったりするのかもしれない────に来ていた俺は、山のてっぺんに降り立つ。
さすがは神様と言うべきか、見た目は華奢な美少女にしか見えないのだが、実際に動かしてみると念じただけで空に浮いて、好きな速さで飛んだりできる。
なんならいわゆる『
山のてっぺんから見渡す下界はなんとも言えない風情があって、美少女の身体を貰えたという高揚感が未だに冷めやらぬ事も相まって、なんだかとても素敵な景色に見えた。
ふと、俺はここから大体……そうだな、5kmは離れていると思われる山の一つを見る。
そこに掌を向け、「……はっ」とかけ声のように軽く息を吐いてみた。
ズッッドオオオオンンン!!!!
「…………この身体、ヤバくねー?」
ちょっとパワーインフレの激しい少年漫画にでも出てきそうな光弾が掌から発射されたかと思えば、目にも止まらぬ一瞬でその山を丸ごと消し飛ばしてしまった。
しっかり計ってはいなかったが、目測で約5000mはありそうなそこそこ高い、でかい山だったと思う。
単に見た目が可愛いだけでなく、マジもんの神様の身体だったのだと、そこで俺は改めて自覚する。
というより、神様としてはあまり高位ではないとか言うわりには内包しているエネルギーがとんでもなく、何かを想像すればそれがほとんど現実になるのだ。
例えば「雷よ落ちろ」と願えば雲もないのに天空から稲光が落ちろと思った場所に落ちる。少し痺れる程度と設定すればその通りに、地面が焦げ付きクレーターが出来るほどと設定すればそれほどの威力に。
「火よ出ろ」と思えば空中に炎が生まれ、大きさも熱も自由に変えられる。
「石よバラバラになりパンへ変われ」と想像すれば石はその組成が素粒子レベルで分解され、素粒子の組み合わせ、あるいは素粒子そのものが置き換えられつつパンに変換される。
「時間よ止まれ」と考えれば時間が止まる。ある時まで戻そうと思えばそこまで時間が巻き戻る。
「俺がこの身体で生きていながら俺が『俺』のまま生きているという事実を作ろう」と思えば、もう一人の俺とでも言うべき人物が現れ、俺の人生を引き継いでいくことになる。
端的に俺は畏れを抱いた。神様としての力がこれ程とは予想していなかったからである。しかし自殺するのも嫌だし、あのギャル神様の中身はとっくに転生して別人に生まれ変わっている。
「こりゃ、この力に慣れてうっかり暴発しないようにしないといけないな……」
柔らかな少女の声で、俺は呟いた。