無気力ギャル神様の体を貰って楽しく暮らそうって話 作:匿名のTS好き
あれからもまあ色々あって、一週間ほど新しい身体の慣らしを続けていたが、ふと思い立って自分の身分をなんとかしようと思い至り、さっそく神様としての力でそれを叶えようとした。
簡単に言えば身分を人間にしようということで、今はどんな人間になろうか、という段階だった。
「んー、なるとしたらどんな立場のどんな女の子がいいかなあ」
元が神様とはいえ、この身体の外見はいわゆるギャルというやつで、年齢としては高校生ぐらい。
まあ花の女子高生ということである。
王道を行くならばどこかの高校に転校生か何かとして入るのだが、俺が元々住んでいた場所を基準にすると、周りには華やかな女子高生生活を送れそうな高校がろくになかった。というか男子校しかないし。
そう思案して街を歩いていると、『俺』を見つけた。
俺がこの身体になってから不都合がないように作ったもう一人の『俺』である。
なんとなく『俺』をぼうと眺めていたのだが、そこで俺はにわかには信じられないものを目にした。
「ん? あれ、えー?」
なんとその近くに女子高生が居るのだが、どうにもそれがこの身体に瓜二つなのだ。
つまりあのギャル風美少女神にそっくりなのだ。
んー? もしかしてドッペルゲンガー? もしくはタイムパラドックス? パラレルワールドの自分自身?
「あのー、ちょっといいですか?」
思わずその女子高生に話しかけてしまう。別に放っといても良かったのだが、この身体に瓜二つな女子高生となると何もなくとも気になるのだ。
「ん? あー! 貴女ってもしかして! お久ー!」
それからのやり取りは長くなるので多少省略するが、その女子高生はこの身体の前の持ち主……つまりギャル神様の
ん? なんかおかしくない?
だってこの身体貰ってから経った時間は三日と数ヶ月と一週間。仮にこの身体を預けてすぐ転生したとして、それでもこの時点では生後数ヶ月程度なはず。
まだまだ全然赤ちゃんなんだけど、目の前の元ギャル神様はどう見ても女子高生。
出るとこ出たボンキュッボンのナイスバディな女の子で、明らかに幼児とは言えない肉体年齢。
もしかしてやっぱりタイムパラドックス案件?
そう思って聞いてみると、どうやら転生する時間軸は『魂が天に召された時』を基準に、ある程度なら過去に未来にとズラして選べるらしい。
例えば現代人が亡くなったとして、次の人生に近代や古代を選ぶことはできないが、同じ『現代』の範疇で少しだけ過去の時間に生まれ変わることは可能、ということらしい。
「にしてもアタシの見た目って外から見るとこんな感じなんだねー、キミが入ってるせいかちょっとウブな男子っぽい可愛さがあってウケる」
「ほとんどあなたと同じ見た目なんだけど……」
そう言ってニコニコと同郷の人を見つけたように満面の笑顔な彼女と一緒に学校からの帰り道を歩く。
彼女の今世における学力や運動能力は人間相応に弱体化されているが、それでも成績優秀者として名を連ねる程度にはスペックは高いらしい。
それでいて校風もかなり緩く、こうしてギャルらしいちょっと派手な服装をしていてもあまり咎める人もいない。
だからといって不良の溜まり場があったりするわけでもなく、ちゃんと学校として教育は施しつつも緩い目で見てくれる、という世に珍しき超絶優良高校なのだと。
「いいなあー、俺も学校通いたいなあ」
「なら通っちゃう?」
「へ?」
彼女の言うことには、見た目がそっくりなことを利用して彼女の「妹」として学校に通おうというのだ。
実際、それは自分の身分に悩む俺からしたら有難いことなのだが、それにはちょっと問題がある。
「戸籍がないけどどうしよう」
「戸籍ならいくらでも作れるよ」
「両親になんて説明する?」
「アタシの親は二人とも人間に化けた神だよ。アタシと同じようにリストラされた神で、身を寄せ合って暮らそうってやつ。だから問題ないよ」
「え? じゃあ……」
「あー、アタシ生まれてからすぐ捨てられちゃったの。だから生みの親は居ないってワケ」
いくら元神様とはいえ、人に生まれて親に捨てられ、となればあまり思い出したくないことだろう。考え無しに聞いてしまったことを謝りつつ、問題が問題でなくなるらしいので、俺は彼女と共に暮らそうと決意した。