無気力ギャル神様の体を貰って楽しく暮らそうって話 作:匿名のTS好き
放課後、俺はギャル神様と買い物に来ていた。
元から神様の力で家には一瞬で帰れるため、時間を気にせず買い物ができるのは本当に便利だ。
そう思いながら近所のスーパーを巡っては日用品とか食料を買っていた。
「……でも本当にこういうの要るのかな」
「まー本当なら神の力で食べ物でもなんでもちょちょいのちょいではあるんだけどねー、さすがに家計になんの変動もなし、お金もないのに物の消費だけは増えていくって目を付けられて余計なトラブルを招くから」
つまり「形だけでも」人間のように金を消費して物を買うという行為を通して人間らしい生活を営まなければ余計な疑いを持たれるからこうしている、ということらしい。
それについては俺も同意見なので従っておく。
「ところで神通力ってどうやって加減出来るようになるのか分からないんだけど」
「うーん、それはアタシに聞かれても分かんない。
神として生まれてからずっと自然と使ってたものだから、そーいう『使い方』みたいなマニュアルとかノウハウ? ってゆーのはない、かな」
ごめんね? と申し訳なさげに言われ「そういうものなのか」と仕方なく地道に加減の方法を探っていくことにしたのだった。
……そしてギャル神様と家に帰った後。
思うところがあり現在は太平洋のど真ん中、海抜20m程度の空中に浮かんで神通力の加減について実験中。
傍目にはギャル美少女が海の上の空を歩いている姿は異様に映ることだろう。
人工衛星とかたまたま通りがかりの船に撮られて拡散される懸念があったので、俺の存在だけ認識できなくするように周囲の空間を改変して、色々やってみることにした。
まずは魚取り。権能なしでも素の運動能力が凄まじいということは分かったが、腕力や耐久性もさることながら、この肉体の持つ敏捷性はまさに「神速」と呼ぶべきものがあった。
普段生活する分には通常の時間の流れに乗って常人と同じように過ごせるのだが、一つの事象に集中する状態に入ると世界の時間が相対的に止まる。
光並みに速く動けば相対性理論がどうこうで時間が止まるとかいう話を聞いたことがあるが、これがそれなのだろうか。
いずれにせよ、一度魚取りに集中し始めると波は彫刻のように凍りつき、水面下の魚は微動だにせず、大気の分子一つ一つも固まってびくともしなくなる異常な感覚が現れる。
もちろんこの肉体はそんなこと関係なしに動けるのだが、とにかく俺が、というかこの肉体が本気を出すと、あまりに速すぎて時間の流れより速くなり、時間を置き去りにしてしまう。
マラソンで自分より足の遅い人をごぼう抜きにしすぎてゴール後に人が待ち遠しくなる健脚の持ち主のようなもので、時間を追い抜いてしまうのだ。
これではまともに魚取りなどできないと少し力を抜くことで、少しずつ世界が動き始める。
それでも魚の動きは千分の一秒単位で見えてしまう。
ゆえにクマさんの真似事の雑な水かきで魚が宙を舞い簡単に捕獲出来る。
次に水をすくって全力で空中に投げれば、弾丸のように射出された水滴が成層圏をぶち抜いて宇宙空間まで到達し、地球近くを漂う衛星を破壊するのが見えた。
……さらっと視力も宇宙まで届いてる辺り、やっぱり色々と異常な身体だ。
水上を走るのも何気なく出来た。
というか「水」というより「その場所そのもの」を踏み締めている感じがする。
おそらく走らなくても俺が水中に沈むことはない。
もう何度目かも分からないこの身体の異常なスペックの確認作業を終えて、今日のところは帰ることにした。
自宅にて。
「あ、お帰りー、どだった?」
「とりあえず今日は実験もそこそこに切り上げたよ、ところで今日って課題あったっけ?」
「数学のドリル進めとけってさー」
「ありがとう。じゃ、その前にお風呂行ってくる」
「うん」
……力加減の難しさはともかく、この身体のスタイルの良さには慣れたものである。
まあ飽きたわけではないのだが、やはり自分のものになると他人のものだった時より興奮しにくくなるというか、意識しない限りはムラムラしては来ない。
そう思いつつ裸になり、シャンプーなりボディソープなりで丁寧に髪や身体を洗う。
風呂に備え付けられたでかい姿見で、今は美少女の俺の身体を見てもなんだか「ふーん」という以上の感想が抱けない。
「もしかして身体が変わって性欲も減退してるのかな。怖くなってきた」
湯船に浸かりながらそう独りごちる。
ぷに。軽く胸を揉む。柔らか。
……うん、しっかり女の子の胸を女の子の胸だと認識できてる。ムスコが消えるのは構わんが、この性欲まで消えてなくなるのは(男として)めちゃくちゃ困る。
まっ、そこら辺はおいおい考えていこうか。