ARMORED CORE Ⅵ Liberator   作:flagカスタム

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第二話 壁

 

「コーラルの、声が聞こえる。」

 

悲しみに満ちた嗚咽の声。

怒りに満ちた叫喚の声。

 

誰に?

侵略者たちに。

 

古来よりその惑星に存在した「ルビコニアン」として、彼らは届かぬ声を上げ続けた。

 

「大丈夫だ、僕なら君たちの声を聞いてあげられる。」

 

コーラルがもたらすのは人類の可能性。

そんなものは要らない。

 

人とコーラルの共存?

そんなものは要らない。

 

僕はただ...。

 

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「おはようございます、べリング。また寝言を言っていましたが、幻聴は未だ続いているのでしょうか?」

 

「いや、問題ない。旧世代型の強化人間にはよくあることだ。」

 

僕はACを操るために強化人間となるための手術を受けた。

旧世代型と呼ばれる第1〜第6世代の強化人間はコーラル技術を用いてその処置を施される。

 

「ところで。」

 

運ばれたコーヒーに口をつけながら切り出した。

 

「ハンドラー・ウォルターの動向は掴めたかい?」

 

オペレーターのシィナは部屋の壁にスクリーンを投影しながら、収集したデータ類を表示しながら口を開いた。

 

「例の密航者、もといハンドラー・ウォルターの私兵ですが、ライセンス名「レイヴン」を取得したようです。撃墜されていたACからデータを抜き取って、偽装工作した上でのなりすましでしょう。」

 

「そうか。アーキバスかベイラムか、その辺りに名を売ろうというのかもしれない。今のところのレイヴンの実績は?」

 

「ベイラムが告示した解放戦線への攻撃任務や、ベイラムの試作ACの撃墜、ガリア多重ダムの襲撃、及び解放戦線の指導者の1人、インデックス・ダナムの排除、解放戦線の武装採掘艦の撃墜など、短期間で着実に名を上げているようです。」

 

武装採掘艦ストライダー。

解放戦線が星外企業への反抗に際して切り札として抱えていた大型の兵器。

元々は採掘艦であった艦体に各種砲塔を搭載、ジェネレーター直結型の高出力レーザー兵器「アイボール」を備えた制圧兵器であった。

 

「あんな設計思想ではどのみち壊されていただろうね。それに、インデックス・ダナムもやられたというのは、あまり良いニュースではないな。」

 

レイヴン1人に解放戦線の戦力が大幅に削られた。

それが何を意味するかは想像に難くない。

 

「戦闘ログが解放戦線から提供されています。ご覧になりますか?」

 

「いや、今はいい。それより、解放戦線はどう動く?」

 

「反抗作戦どころではないでしょう。数刻前、ベイラムインダストリーの主力部隊「レッドガン」を含んだ攻撃部隊がルビコン解放戦線の拠点の一つ、通称「壁」の攻略に乗り出しました。辛うじてこれを退けたとのことです。次いで、アーキバスの動きも活発になっています。アーキバスの侵攻に備え、解放戦線は壁の防衛に専念する見通しです。」

 

「アーキバスによる壁の攻略か。我々にも解放戦線から救援要請が来るだろうね。あそこの主な戦力はジャガーノートくらいだろうし。」

 

「あの重装機動砲台は難攻不落です。それは企業にもわかっているはずですが...。アーキバスのV(ヴェスパー)も投入されると聞いています。」

 

「企業が本気なら、Vの上位ナンバーが出てくるだろう。加えて、レイヴンも。」

 

壁を落とされては解放戦線の勢いは地に落ちる。

コーラルを守るためには、相応の覚悟が求められるだろう。

 

「解放戦線より緊急暗号通信です。壁の防衛に参加されたし。とのことです。」

 

「ああ。今回は僕とヴァルトで出よう。呼び出してくれ。」

 

 

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「べリング、この作戦に勝ち目はあるのか?」

 

「負け戦になるだろうけど、我々の計画にコーラルは不可欠だ。時間を稼ぐにも、コーラルの守人が解放戦線だけじゃないことを企業に知らしめておく必要があるんだ。」

 

「はぁ...。まぁいい。乗り掛かった船だ、付き合うぜ。」

 

そう言って、ヴァルトは彼の愛機、AC「アサンダー」を見上げた。

 

「ならず者から流れてきたパーツを組み上げたにしては悪くねぇ。お前のブラゥゲベートは慣れたのか?」

 

「問題ないよ。レイヴンとも渡り合えるさ。」

 

レイヴン。そう、彼こそが計画の最大の障害になる。そう確信していた。

 

「なら、いいんだが。今回は俺とお前さんの2人だけか?大規模な作戦と聞いた。どうせならウェッデルにも声を掛けときゃ良かったものを。」

 

「彼は外勤中だよ。それに、ACも無い。」

 

「...そうだったな。奴め、戦いたくてウズウズしてるに違いねぇ。おいシィナ!ブリーフィングを始めるぞ!!」

 

 

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「621。壁越えに当たり、アーキバスの連中はお前を捨て駒にする気かもしれん。主な仕事は露払いだろうが、ルビコン解放戦線の重装機動砲台を落とせばお前の価値を強固なものにする。行ってこい。」

 

輸送ヘリから1機のACが飛び立った。

 

眼下に広がるのは何層にも立ち塞がる巨大な防壁。

所々から上がる多くの煙が、ベイラムとの戦いの激しさを物語っていた。

確認できるMTや砲塔の数を見ても、その守りの固さが窺える。

 

「621。敵の砲撃が激しい。防壁を上手く利用し、前線を削れ。」

 

独立傭兵レイヴンとして成し遂げるために、彼はブーストを大きく踏み込んだ。

 

 

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「傭兵部隊「パンゲア」所属機、ACブラゥゲベート及びACアサンダーの到着を確認。よろしく頼む。コーラルよ、ルビコンと共にあれ!」

 

ルビコン解放戦線のオペレーターより通信が入る。

我々の配置は壁の右側、アーキバスの軍勢の迎撃を行う。

 

「左側は解放戦線の四脚MTが配備されてるとのことだが、大丈夫なのかねぇ。」

 

「ヴァルト、最悪の場合は持ち場を放棄して壁上に向かう。ジャガーノートでどこまで持つか...。」

 

「どうだかなぁ。さて、敵さんのお出ましだ!」

 

 

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