雑多なアサルト短編   作:ですティニー

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いや、さなしが楽屋で二人をセルフで話させて遊んでるって聞いたから、つい…多分TFGの後だと思う、特に山もオチもない、そんなよくわからん話。

とりあえず合間合間に気紛れやってたので、これで打ち止めっす。


郭神琳と天宮・ソフィア・聖恋との不思議な縁の話

「あ、あのっ!」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

 新宿での戦闘が終わり、百合ヶ丘からの迎えのガンシップを待つまでの間、一柳隊は校舎や塀が所々崩れていたりと戦火の爪痕が残るルド女の敷地内にて待たせてもらうことになっていたのだが、その中の一人である郭神琳へ声を掛けるのは、頭に包帯を巻いたルド女のリリィ。

 

「救援に来てくれた、百合ヶ丘の郭神琳……さん、でいいよな?」

 

「ええ、郭神琳はわたくしですが。そのジャケット、幸恵様たちと同じ「LGアイアンサイドのアタッカー、天宮・ソフィア・聖恋さん!!」二水さん」

 

 目敏くその様子を見掛けたレギオンメンバーの二川二水が駆けてくれば、神琳としては慣れたことだと驚きもせず、急なことにびっくりしている聖恋へ近寄り過ぎた彼女をそっと引っ張って離す。

 

「え、うん。そう、だけど?」

 

「聖恋さんは凄いんですよ神琳さん! 今年のルド女外部入試の成績トップを誇り、シュベスターは先程共闘した黒木・フランシスカ・百合亜様! 覚醒したレアスキルは前衛にピッタリな『この世の理』で、発動中は普段と一転クールな動きでヒュージを翻弄します!」

 

 恐らくいつかの戦いで連絡先を交換していたらしいルド女の二年生、リリィオタク仲間の松永・ブリジッタ・佳世からの情報だろうそれらをつらつらとメモの一つも見ずに語りきる二水だが、その中でも神琳の気を引いたのは──

 

「あら、あなたが百合亜様のシュベスターでしたのね?」

 

「ああ……それで、その百合亜お姉様のことなんだけどさ」

 

「ふむふむ。シュベスターの聖恋さんから見た百合亜様は、一体どういうお方なのでしょうか?」

 

 そこで二水がずいっと割り込んで来るのにまたギョッとなるが、これも何かの縁かと、聖恋もその質問には素直に答える。

 

「凄い人、だと思うよ。百合亜お姉様はオレなんかじゃ想像も付かないくらい辛い思いをしてきたのに、仲間のために体を張って戦える……だからオレも、あの人のシュベスターとして恥ずかしくないように、頑張れるんだって」

 

「おぉー。貴重なご意見、ありがとうございます!」

 

 なんか本当に戦闘後なのかも怪しい、元気が過ぎる二水の勢いにたじたじになりながらも、要件を告げようとする聖恋。

 

「あー、それで……二水さん、だっけ?」

 

「いえいえ、わたしのような補欠合格の木っ端リリィに聖恋さんのような東京御三家所属のスターリリィがさん付けだなんて、滅相もない!」

 

 もうルド女はゲヘナの仕業でガーデンとしての機能は崩壊しているのに今更御三家も何も無いとは思うが、とりあえず呼び方のことで揉めていても話が進まないと、神琳の腕を取りながら聖恋は告げる。

 

「ちょ、ちょっと神琳さん借りてくよ。そんなに時間は取らせないからさ」

 

「ということで、なんだか誘われてしまいましたので、皆さんへの伝言役をお願いしてもいいかしら?」

 

「はーい、雨嘉さんには真っ先に伝えておきますね!」

 

 そのままとことこと二水が去っていけば、こっちだと聖恋に案内されるまま、神琳は校舎から少し離れたところにある、小高い丘へ。

 

「ここは?」

 

「〈マリアの丘〉戦死したリリィたちが、眠るところ……今回の騒動で、ここも大分荒れちゃってるけど」

 

 慰霊碑なのだろう物の前で聖恋が祈りを捧げるので、神琳もそれに倣うと、少し歩いてルド女の敷地を一望出来る位置に揃って腰掛ける。

 

「それで、百合亜お姉様のことで聞きたいのは……同じ『テスタメント』持ちな神琳さんから見て、お姉様の戦い方ってどう見えた?」

 

「どう、ですか」

 

 恐らく擬似姉妹として見てきている実力のことではないだろうし、同じ〈御台場迎撃戦〉の参加者かつレアスキルも同じテスタメントな川村楪と戦線を支えたことや、姿の見えなかった佳世に代わり、彼女のシュベスターらしい一年生の面倒を見ていた、といった大まかな立ち位置もまた違う……わざわざテスタメント持ちである神琳を捕まえたからには、同じレアスキル持ちであるが故に分かる部分。

 

「そうですね……少し、回避や防御を疎かにしているように見えたかと。テスタメント覚醒者にしては、無頓着過ぎると言える程に」

 

「……やっぱりか。その、お姉様なんだけど」

 

「強化リリィ、であることは聞き及んでおります。なので自分に過度な心配は無用だとも」

 

 「ですが……」と神琳が言葉に困るのを見て、聖恋も言いたいことは分かると続きを紡ぐ。

 

「ああ、確かに『リジェネレーター』は傷なんてすぐに直しちまう……けど、それだけなんだよな」

 

「ええ、我が隊にも強化リリィな鶴紗さんがいますから、その点は把握しております」

 

 強化リリィが強化リリィたる所以、ブーステッドスキルの一つであるリジェネレーターにより体が強引に修復される時の音は外からも分かる程だし、それ故に痛みはむしろ増してしまう──戦闘からしばらく経っても、まだ残ってしまう程に。

 先程御台場へ戻っていったロネスネスの司馬燈などは、それを生きている実感とポジティブに捉えているようだが、全ての強化リリィがそうあれる訳ではない。あるいは彼女も、無理にそう解釈するようにしているだけなのかもしれないが。

 

「だから、もっと『whole order(ホールオーダー)』でも使ってちゃんと避けて欲しいんだけど、いっつも真っ先にテスタメント発動しててさぁ……」

 

「ふふ、擬似姉妹で同系のスキルに覚醒してらっしゃるのですね」

 

 whole order──この世の理のサブスキルであるそれを百合亜が使っているのを聖恋が見たのは、ルド女へ入学して半年と経たないこれまでにほんの一回、それもつい先日の戦闘である。

 

「……って、そういう話じゃなくて。なんか、神琳さんには思ったより話しやすいんだよな」

 

「ふむ、わたくしと聖恋さんは初対面だから、でしょうか? 同じレギオンの幸恵様や来夢さん、お姉様な百合亜様とでは距離が近すぎて、逆に言い辛いこともあるでしょうし」

 

「うーん、そうなのかな……ともかく、そんな無茶前提なお姉様のために、オレは何が出来るのかなって。神琳さんは、レギオンの仲間たちにどうしてもらってるんだ?」

 

 そう聞かれて、少し考え込むとある程度の整理をつけたのか、閉じていた目を開いて神琳は告げる。

 

「そこまで形式ばった物はありませんが、わたくしたちの隊はAZよりTZ、BZを多めに配置するフォーメーションになっています。夢結様や鶴紗さんといった攻撃力の高い前衛を構え、梅様や楓さん、わたくしと対応力の高い中衛がフォローに回って、二水さんと雨嘉さんが後衛で全体の目となり、戦局を変えうる梨璃さんやミリアムさんのレアスキルを適切なタイミングで展開する……どちらかと言えば受け寄りな戦術になりますね」

 

 神琳はそこで一拍置くと、聖恋が内容を飲み込んだのを確かめてから続ける。

 

「だから、ということもありませんが常に誰かが誰かの隣にいる、という形に自然となっているので……具体的にどう、という話は出来ないのですが」

 

「いや、なんとなくだけど、分かったと思う……その、いいレギオンなんだな、一柳隊って」

 

 それでも得るものはあったのか、どこか納得したように聖恋が返せば、神琳も誇らしげに応える。

 

「はい。あの時梨璃さんのお誘いを受けて良かったと、心から思います」

 

「確か、そっちの隊長さんも『カリスマ』持ちなんだっけ? 来夢と同じで」

 

 いつだったか、クラスメイトたちがやいのやいのと10日くらいは騒いでいたネタを思い出しながら告げると、何故か神琳からはクスリとした笑いが。

 

「それが、梨璃さんったら今日出撃の直前までそのことを把握していなかったんです。結構な噂にもなっていたのに」

 

「えぇ? 佳世様から聞いた話だと『下北沢で後にシュッツエンゲルとなる白井夢結様の暴走を止めた時の様子や、あの梨璃さんを中心に力の沸いてくる感覚は、来夢さんと同じカリスマ持ちで間違いないです!』って感じだったんだけど」

 

「まあ、色々とありまして」

 

 それについては結局戦闘終了後もルド女に戻ってこなかった某猫耳風紀委員のやらかしだとか、夢結が亡くしたシュッツエンゲルとの問題だとか本当に色々あるのだが、流石にこれは初対面の聖恋に言うような話でもないだろう。

 

「せーれーんーちゃーん!」

 

「あ、来夢……やば、抜け出したのバレたか」

 

 そこで聞こえたのは、聖恋の幼馴染みであり何があっても守りたい大切な相手の、自分を探しているのだろう声。怪我で戦線離脱したというのに、勝手に医務室から出てきたのだからこうもなるか。

 

「では、馬に蹴られる趣味もありませんので、わたくしはこれで」

 

「う、馬って……」

 

 その例えの意味に、まさか来夢の声が聞こえただけでニヤケたりしてないだろうなと聖恋があたふたと顔を触っている内に、スカートを払いながら立ち上がってその裾を持ってのお辞儀──カーテシーというのだったかを残して神琳は丘を下っていく。

 

「聖恋ちゃん! みんな探してたよ、安静にって言ったのにって」

 

「あ、ああ。ごめん」

 

 言い付けを破って抜け出したのは事実なのだから、神琳に言われたことがなくともたじたじになるしかないが、聖恋の目の前まで来た来夢の視線は少し下へ向く。

 

「あれ、あの人って百合ヶ丘の……?」

 

「ちょっと、相談に乗ってもらってたんだ。百合亜お姉様の「わたしがどうかしたのかしら?」わあっ!?」

 

 恐らく来夢と一緒に探してくれていたのだろうが、スッと傾けた顔を来夢との間に滑り込ませてくるシュベスターの行動に、本当に時々突飛なことをする人だなと聖恋は驚いて飛び退く。

 

「……シュベスターに嫌われたわ」

 

「いや、多分聖恋ちゃんもびっくりしただけだと……」

 

「そ、そうそう。そうです! オレがお姉様のことを嫌いになるなんて、絶対あり得ませんから!」

 

 そのままショックで屈んで膝を抱え出す百合亜を二人で宥めることになるが、通信が入ったのか来夢が戦闘後も耳に付けたままだったインカムを抑えながら離れると、通信相手は先輩の誰かのようで、話しているのが聞こえる。

 

「はい、聖恋ちゃん確保しました。はい……」

 

「あー、そろそろ戻らないと本当に不味いか。ほら、お姉様」

 

「ええ、みんな心配していたわよ」

 

 これ以上外にはいられそうにないと百合亜を引っ張り起こそうとしたら、すくっと立ち上がるこの変わり身の速さである……まあ、派手に落ち込んだフリをしていたのも百合亜なりに場を和ませようとしてくれていたのだとすれば、可愛いと受け取れなくもない、のか?

 

「それで、彼女に何を聞いてもらったのかしら?」

 

「別に、大したことじゃないですよ。オレは今まで通り、来夢やお姉様たちと、仲間たちと一緒に戦えばいいって……多分、それだけなんです」

 

 レアスキルだとかブーステッドスキルだとか、そんな細かいことを考える必要など初めからなかった。焦る必要はなく、自分の守りたいものは仲間と守っていけばいい、そういうことだろうから。




─隣にいる仲間を信じてる だから歩んで行ける─
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