呉爾羅対餓冥羅-超神獣血戦-   作:小淵良樹

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次回かその次くらいで後書きに登場人物設定を書いとくか、あんまりにも長くなるようだったら特別編として設定集を投稿するかどっちかはする予定です。


懐かしい記憶へ

2011/9/25 21:32:05

 

「「……本当に、よかったのですか」」

 

 重々しい空気が広がる和室で口を開いたのは、この空間にはおよそ似つかわしいとは言えない2人の可憐な少女。身長は0.5尺程と人形の生物としてはあまりにも小さく、また仄かに光を発する()()()()()()()()を常に身にまとっているその姿を言葉で表せと言われたら、少なく見積もっても10人中8人は「妖精」だと答えるだろう。

 しかし今の彼女達には妖精、と聞いて思い浮かべるような華々しさも明るさもなく、その可憐な顔には影が射すばかりだ。

 

「なんで頼まれた側がそんなに罪悪感を感じてるんだい?別にいいんだよ、どれだけ狡いやり方だろうと。それがこの子の為になるならね。……とは言っても、穏便な平和主義のあんた達にゃそんなこと納得はできないだろうけど」

 

 少女達の問い掛けに対しそう答えるのは四十路程の女性。

 女性が視線を向ける先には布団があり、その中ではまだ3、4歳でしかないであろう幼い子供が眠っている。

 

「それに、この子は強い。きっと僕たちがいなくてもやっていけるさ」

 

 そして最後に口を開いたのは五十路程の男性で、彼の視線の先にもまた、先ほどの小さい子供がいた。

 

 いや、違う。2人が見ているのは幼い子供ではなく、私だ。何故か直感的にそう感じた。

 

 ──思い出して

 

 2人の妖精が(幼い子供)に語りかける。

 

 ──世界が滅びてしまう前に、あなたの使命を……!

 

 

 

 ????/??/?? ??:??:??

 

「──え」

 

 突如さっきまであったはずの和室が視界から消え去り、目の前には辺り一面の焼け野原が広がる。

 そんな"地獄"としか形容できない世界の中私はただ1人で立っている。

 

「違う」

 

 ここに立っている1()()は、私ではない。

 なら一体ここにいるのは誰なのか。

 

「千智」

 

 後ろから聞こえる声。普段から毎日のように聞いている、私の、大切なヒトの声。なのに、何故か今は全く違う、何か恐ろしいモノの声に聞こえてしまう。

 

「み、こと……?」

 

 恐る恐る後ろを振り返ると、そこには普段と全く変わらない美琴の姿があった。

 

「千智ったら、何回呼んだと思ってるのよ」

 

 美琴は笑顔で話しかけてくる。

 

「美琴……?なんでこんな、燃えて……?」

 

 その質問を聞き不思議そうな顔をする美琴だったが、周りを見渡し、突然明るい顔になる。

 

「やった、成功したのね!」

「え」

 

 せい、こう?

 まさか美琴が、この焼け野原を作り上げ、そして器用に私だけを生かしたとでも言うのか。

 今すぐにでもそんなことあるはずがない、と叫びたい。しかし、ここにいるのは1()()()()。そしてその1人がこの状況を作ったのが自分だと誇るように言っている。

 どんなに心で認めなくとも、誰がこの状況を作り上げたかなど一目瞭然だった。

 

「……なんで、こんなことしたの?」

 

 沸き上がったのは非難でも怨み言でもなく、ただ1つの疑問。その疑問に美琴はまたしても不思議そうな顔をし、

 

「なんでって……邪魔だから、だけど」

 

 まるで簡単な計算の問題に答えるかのように、いとも容易く全ての存在は邪魔だと言ってのけた。

 

「千智はさ、戦争って行ったことある?」

 

 あまりにも簡単に放たれた言葉を理解しきれていない私を他所に、美琴は話を進める。

 

「……行ったことなんて、ない」

「そうだよね。だったら千智にはわかるはずがないよ。人は自分達が犯した過ちを忘れ、何度でも同じ罪を繰り返す。戦争だって同じ。このままだといつかまた大きい戦争が起きて、今度は人だけじゃなくて動物達や地球も死ぬ。どれだけ国際協調を謳ったところで一度戦争が始まったら止まりっこない。だったら、事が始まる前に痛み()を忘れた奴を全員」

 

 ──殺すしかないでしょ?

 

 本能が告げている。今すぐここから離れなければ、大変なことになる。

 目の前にいるナニカ(美琴)は何の悪気もなく、自分の考えが絶対に正しいと信じきっている。このままここにいれば、恐らく私もすぐに殺されるだろう。逃げようとするが、足が震えてとてもまともに走れる状態ではない。

 

「勿論それだけじゃなくて、私達にとってもいいことはあるのよ?」

「わたし…たち?」

「邪魔者がいなくなって、この世界には私達2人だけが残る。そしたら今まではできなかったコト、何でもできるでしょ。……それって、素敵なことじゃない?」

 

 ……少しだけ、安心した。もしも、ここにいるナニカが本当に美琴だったら。もしも、この焼け野原が美琴が本当に望む景色だったら。

 それが杞憂で済んで心からよかったと。

 

「あなたは、美琴じゃない」

「──え?何を言ってるの?私は美琴でしょ?美琴じゃなかったら、一体誰だって言うのよ?」

 

 あぁ、やっぱり。

 

「美琴は私の大切なヒト。だからわかる。……美琴は、そんなこと言わない」

 

 なんで、なんで、と。

 錯乱するナニカに背を向け、歩き出す。

 

 ──……を、思い……!

 

 頭の中に響く声。途端に私の体はまるで機械のように動き出し、ナニカの元へ戻ったかと思うと、ナニカの首を締め上げ始めた。

 

「え、どういうこと!?何が起こって──!?」

 

 私の混乱を他所に、腕にかかる力は増すばかりで、体の主導権がない私でも気付けるほどにナニカの命を確実に刈り取ろうとしていた。

 

 ──あなた……を、思い……て!

 

 ナニカの顔の色は既に赤を超えて白くまでなっており、その目は私をしっかりと捉えている。

 

「ぢ、さどぉ……だ、ずげ、でよぉ……」

 

 ……そう訴えるナニカの瞳が、あまりにも美琴と似すぎていて。

 気付いてしまった。全てを消してでも私だけを求めるあの姿こそが本当の美琴だと。……私は、美琴の思いを否定してしまったと。

 

 ──あなたの使命を、思い出して!

 

 

 

 21グラム。遠い昔の研究者が発表した魂の重さ。今までの私だったら、ただその内容を鵜呑みにするだけだっただろう。

 でも、今ならわかる。

 もし、本当に魂の重さが存在するならば。

 絶対に、21グラムよりも重いだろうと。

 

 涙は流れない。

 まるで何かの兵器になってしまったかのように心まで凍り付き、何も感じなくなってしまった。

 もはや光を灯すことはない瞳で。

 私は、永遠に美琴と共に存在し続ける。

 

 

 

 2024/1/9 04:09:13

 

 目が覚めた。

 どんな夢を見たのかはよく覚えていないが、余程魘されていたのかシーツは汗に濡れ、シワだらけになっている。

 心を落ち着かせるついでに時計を見ると、まだ普段起きる時間よりも50分も早い。

 

「──美琴」

 

 美琴は、無事だろうか。

 何か大変なことが起きたわけでもないのに、無性に美琴が心配になる。

 もしかしたら、これが虫の知らせと言うものかもしれない。

 鼓動が早くなっていくのを感じながら、ベッドから出て急いで美琴の部屋へ向かう。

 部屋を覗くと、ベッドで寝息をたてる美琴の姿があった。

 よかった、と安心しつつ側に近寄ると、美琴突然手を握られる。

 そういえば前にもこんなことがあったな、と思い出して苦笑する。あの時は、たしか……

 

「入るよー……?」

 

 美琴を起こさないように慎重に布団の中に入る。

 寝ている美琴に手を握られたら最後、起きるまでずっと離してくれない。なのでこの時期に風邪を引かないようにするためには必然的に美琴と同じ布団に入るしかないのだ。

 ……入った途端、美琴が抱き締めてくるので毎度暑すぎて逆に体調を崩しかけるのだが。

 今回も例外ではなく、前のように私は美琴に抱き締められた。

 かすかに聞こえる美琴の寝息を聞きながら、私ももう一眠りしようとした時。

 

「ちさと……」

 

 聞こえてきたのは美琴の寝言。

 

 ──ぢ、さどぉ……だ、ずげ、でよぉ……

「──あ」

 

 よっぽど、辛い夢だったのだろう。詳しく思い出すことはできないが、私は確かに、美琴を……

 

「……ごめんなさい」

 

 自然に溢れてきたのは涙と謝罪の言葉。

 

「役立たずで、ごめんなさい……ッ」

 

 さっきまで見ていたものはただの夢で、そんなに深く考えるようなことではないと。

 わかっていても、今の私には大切なヒトの胸で哭くことしかできなかった。




今回書いててあんま楽しくなかった挙げ句最後の方頭回ってなかったから読みづらかったりつまんなかったりしたと思うけどユルシテ
また、一応赤タグつけてはいるのですがこれから特にガールズラブ要素が強くなりますので、苦手な方、ゴジラでそういうの見たくないなーと思う方はここで読むのをやめることを推奨します。
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