繧ウ繧ケ繝「繧ケ
世界が、燃えている。
災厄を前に、挑んだ者も、抗った者も、全て等しく炎に呑まれて消えていく。
後に残るは巨大な背鰭を携えた獣だけ。
滅び行く世界の中心で雄叫びをあげるその背中に、どこか哀しき影がかかっていることに気付ける者も、今はもう世界には残っていない。
……否、
──これで30個目、ですか……
突如世界に響く美しくも荘厳な声。獣は鬱陶しげに空を見上げ、声の主を睨み付ける。
太陽。
まさにそうとしか言い表せない、極彩色の巨大な蝶……或いは、蚕蛾。
獣の背鰭が青白く発光し始め、罅が入っていく。
──自分が自分でなくなりながらも、破壊をやめようとしないとは……
獣が前傾姿勢になると同時に目と口の中が背鰭の様に発光し始める。
──そこまで人間が憎いと言うのですか……?
……そして、時は来る。
獣の口から世界を丸ごと白く染め上げる光線、放射能熱線が放たれた。
──ゴジラッッ!!
2024/1/9 12:40:38
「なんでいっつもこうかなぁ……」
誰もいない校舎裏で座り込み、弁当を食べながら独りごちるのは千智。
彼女が持つ弁当に先程焦がしてしまった鮭は入っていない。きっと今頃、同居人がお茶と共に胃に流し込んでいることだろう。
「ヴッ……苦い……」
「はっはっは!!!愛妻弁当なんだからしっかり食べなよ~!!」
「斉藤……?殴るわよ……?」
そんな会話が広げられる裏で、千智以外誰もいない校舎裏は静寂に支配されていた。
「寂しい、なぁ……」
普段と変わらぬ風景ながら、いつになっても慣れることのない自分に溜め息をつく千智。
「でも……私いたら邪魔になっちゃうし……仕方な──」
──あれ、あんな穴、あったっけ?
視線の先にあるのは草むらにぽっかりと空いた穴。
今まで見た記憶のない穴が突然目の前に現れ、困惑する気持ちと共に何かワクワクするような気持ちを感じながら、千智は穴に近付く。
──入ってみちゃおうかな、いやでも授業に遅れたら……
猛スピードで頭を回転させる千智。そして、辿り着いた答えは……
──ちょっとくらいなら、いっか!
さながら気分はトト□のXイちゃん。前だけを見て、四つん這いで穴の奥までズンズンと進んでいく。
……少しでも足元──この場合手元になるが──を見ていたら、或いは土の色が一部だけ他の場所とは違う事に、そしてそこが落とし穴になっていたことに気が付けていたかもしれないが。
2024/1/9 12:43:59?
……やっぱり、あんな怪しい穴なんて入らなかっきゃよかったんだ。
そう後悔したのは、今まで自分が気絶していたことに気付いてからだった。
突如地面が抜けたと思うと、全身が空中に投げ出され、そしてそこからの記憶はない。
目覚めてから最初に目に入った光景は更に奥へと進む真っ暗な道。今私がいる場所が洞窟の中だと気付くのにそう時間はかからなかった。
「行く、しかない……かな」
この先に進んだところで、学校まで戻れるという保証はないが、何もしないよりは絶対マシだろう。
それに。
目が覚めた瞬間。
あなたの使命を思い出して、と。
確かに、この道の先から声が聞こえた気がした。
全く光源のない洞窟は暗くて怖いけど、別に妖怪がいるわけでもないのだから、そんなに怖がることはな
──申し訳ありません。少々、手荒な真似をしてしまいました
「んぇ」
心臓、止まった。
繧ウ繧ケ繝「繧ケ(繝「繝ォ)
──私達に虐げられていた記憶をこの子に植え付けてくれ
そうせがんできた夫婦の声が今も忘れられない。
この子には私達のように人生を無駄にしないでほしい。巫女になんかならず、普通の人と同じ様に普通の生活をしてほしい。そう言った夫婦の顔が忘れられない。
本当は、2人の願いを叶えたかった。
皆が
──これ以上、被害者を出さない為ですから……覚悟を、決めてください
わかっている。
この少女1人の命か、全ての宇宙の命か、どっちが重いかなんて。
それでも。
──でももしわたしがかみさまのみこじゃなかったら、たぶんあなたとしりあえなかったとおもうから
私は、1人の少女を選ぶ。
2024/1/9 13:01:58?
声に導かれ、進んだ先にあったのは小さな祠とそこに立つ小人。
……そこに立つ小人?
「「驚かせてしまったのなら申し訳ありません。私達はコスモス。世界三大神獣の内の1柱にして至高の神、
「ほへぇ~……」
思わず間抜けな声が出る。
……もう不思議なことが多すぎてあんまりリアクション取れなくなってきたような気がする。
それになんだか、私から見て右側にいる、髪型がポニーテールな方の人とは会ったことがあるような……?
「早速本題で申し訳ないのですが……あなたの力が必要です。私達に力を貸してくれませんか?」
……ただでさえ情報過多なこの状況に、もっと意味のわからない要求が追加されてしまった。……帰りたい。
「申し遅れました。私の名前はロラ。そして私の左にいるのが、」
「
どうやら私から見て左側にいる、髪型がストレートな方の人がロラ、何か既視感を感じる方の人がモルと言うらしい。
「なんで私の名前……。……やっぱり、私達どこかで会ったことある?」
少し驚いたような表情をするモル。しかしすぐに「話を戻しましょう」と言い私の質問には答えない。
「いきなり力を貸してくれ、なんて言われても訳がわからないでしょうから、少しだけ貴女の助けが必要になった経緯でも話しましょうか。……そうですね、どこから話せばいいでしょうか……」
始めに聞いておきたいのですが、世界三大神獣伝説を知っていますか?
……そうですよね。いえ、何も謝ることではありません。神獣と言うのは所謂八百万の神と言われる者達などとは存在自体が全く違うものですし。
話を続けましょうか。
嘗て、世界には──正確に言うならば、日本には、なのですが──3柱の神獣がいました。
その3柱は他の神々とは違い、現実の世界に
……しかし、そのバランスを崩し、世界を崩壊させてまでも神獣になろうとする欲の深い者が現れました。
その名は、ゴジラ。
この獣は何度も現れ、そして神獣の座を奪うために私達に戦いを挑んできました。
始めは私達もそれに応戦していましたが、やがて気付いてしまったのです。
……私達では、この獣には勝てないと。
意外だ、とでも言いたいのですか?まあ、そうでしょうね。仮にも「神」の名を冠する存在が只の獣に勝てないなんて。しかし、奴は私達神獣をも凌駕するほどの力を持った存在だったんです。
私達は、3柱の内の1柱が神獣の座を降りることで奴を神獣の座に着かせ、そしてこれ以上争うことがないようにしようとしました。
話し合いの末、神獣の座を明け渡すことになったのは餓冥羅。餓冥羅は神獣から位の低い怪獣になり、結果的に世界三大神獣は呉爾羅、魏怒羅、最珠羅の3柱になったのです。
……それで奴が満足すると、思っていました。まさか、神獣になっても尚、私達への攻撃をやめないなんて。
結局ゴジラは神でもなんでもない只の獣でした。奴は欲のままに私達を倒して力を奪い、そして、今度は人類へとその矛先を向けた……。
最初の世界は呆気なく壊されました。
奴は人類を滅ぼし、世界をも壊し、そして、次の世界を手にかける為に消えました。
そんなことが何度も何度も続きました。まるで、世界を壊すことを目的に生きているかのように。
或いは……。
まるで、人類を殺す為だけに生きているかのように。
このままではこの世界もまた、奴に破壊されてしまいます。
そうなる前に、杜千智さん。貴女がこの世界を守ってほしいのです。
世界を守ると言っても、何も奴と戦うのではありません。
貴女にやってほしいことはただ1つ。
「──ここでガメラに祈りを捧げて、神獣として復活させてほしいのです」
……?
……。
……!
「つまり私に世界の命運がかかってるってこと!?」
「飲み込みが遅いですね」
……私今もしかして、ディスられた?
「この祠を開けてみてください」
「えぇ……それ、大丈夫なの……?」
「大丈夫です。中身を取ってください」
恐る恐る祠を開けると、そこあったのは3cm程の大きさの勾玉。
「これは……?」
「それはガメラと貴女を繋ぐ一種のアーティファクトです。それに向かってガメラに祈りを捧げることで復活させることができるかもしれません」
勾玉を握る手を見つめる。
「貴女がやらなければ、この世界は滅んでしまう……どうか、力を貸してくれませんか」
「……なんで、私なんですか?」
口をついて出たのは単純な疑問。
私よりもっと上手くできる人がいるなら、絶対にその人がやった方がこの世界のためになる。
本当に、私がやらなければいけないのか。
……本当に、私でいいのか。
「この世界で少しでもガメラと繋がることができるのは貴女しかいません。……これは、貴女にしかできないことなんです」
……私にしか、できないこと。
「……わかりました。やります」
途端に喜色満面になるロラ。
「本当ですか!ありがとうございます!では、復活させる方法を説明しますね!」
人の足しか引っ張れないような私でも、誰かの為にできることがあるのなら。
「勾玉を握りしめて、守護神の帰還と恒久的平和の訪れを強く願ってください。私達も全力で手伝います」
目を閉じて、強く願う。
ガメラが復活して、そして、みんなで幸せに暮らせるようにほしいと。
握りしめた手の中で勾玉が仄かに暖かくなるのを感じる。
目を閉じていてもわかるほどに勾玉が光を放ち、そして。
パリン、と。
何かが割れるような音がした。
「──え」
「モル、貴女一体……!?」
目を開けるとそこには目を見開き今にも叫び出しそうなロラと雰囲気が全く変わったモル。
「何……これ……!?」
「あんたとガメラが繋がる力を吸収させてもらった。……これであんたはもうガメラを呼べない。勾玉を返してもらう」
……逃げなきゃまずい。
直感的にそう思い、すぐさまさっきまで歩いていた道を駆け戻る。
距離自体はあまりなかったのかあまり時間はかからず始めに目を覚ました地点に辿り着いた。さっきまではなかった筈の穴から外に出る。
「本当にこっから出て大丈夫かなぁ……ッ」
こっちの道が正解なのかどうかもわからない。
それでも走る。
走らなければ取り返しのつかないことになると本能が訴えてきていた。
果たして、そこから3分程走ったところでやっと元の校舎裏に戻ってくることができた。
「やっと戻ってこれたぁぁぁ……」
ただ単に疲れた。
しかし授業開始時間ももうすぐだろう。疲れた体に鞭打って校舎へ歩きだす。
「あぁ!杜!何やってんのこんなところで!」
「あぁ……斉藤さん……ちょっと弁当食べてただけだけど……?」
急に遠くから呼んできたのは美琴の友達である
こんなに焦って呼んでくるとは、何か相当な事があったのかな、なんて思っていると。
「弁当って……もう4時だよ!?何言ってんの!?」
……どうやら私の苦悩はまだまだ続くらしい。
次回、番外編(作者の息抜き会)としてキャラ紹介を書く予定です。というかその為だけに三大神獣の設定とか斉藤とか出したまであります。