剣聖冒険譚 作:拝み二刀
ヒトというのは、種族それぞれに得手不得手が存在する。
例えば、トールマンは身体能力や魔力など様々な分野への一定以上の適性を持つ場合が多いが、その一方で一分野におけるトップと比べれば劣る。
例えば、エルフは長命で且つ魔力に対する高い親和性を有し、魔法の扱いに長ける。その一方で身体能力は基本的に低い。身体も華奢で脆い方。
例えば、ドワーフはエルフほどではないが長命であり、尚且つ頑強な肉体と剛力を有している。また、夜目が利き、コレは坑道などの暗い環境でも適応する為だろう。
例えば、ハーフフットは
要するに、組まれた一党は互いに長所を活かし、短所をカバーし合うのだ。
*
ダンジョンは、基本的に下っていく。その為に、時には頑丈なロープを用いたショートカットも求められたりする。
「行きますよ、マルシル殿。一応、固定はしていますがなるべく確りと掴まっていてください」
「う、うん……!」
緊張した面持ちのマルシルを背負って、ブライは自身の目の前に垂れ下がったロープを掴む。
塔の内側に垂らされたロープ。これは、地下から伸びる黄金城の尖塔を利用したショートカットの一つで懸垂下降を必要とするが、利用できれば先へと進む一助となる。失敗して蘇生屋のお世話になる者もゼロでは無いが。
命綱の様なものはない。身一つの懸垂下降だ。頼れるのは己の腕力のみ。
「だ、大丈夫よね?重かったりしない?」
「大丈夫ですよ。寧ろ、エルフの方は華奢過ぎて心配になる方です」
「そう、かしら?」
「はい。それに、エルフが種族柄肉体労働が苦手な事も知ってます。マルシル殿は、魔法使いですし。肉体労働は自分の仕事ですよ」
そう言いながら、ブライはスルスルとロープを伝って下へと降りていく。
このような形でロープを下る事になったのは、偏にマルシルの身体能力の低さ。あと、うっかり。
彼女を背負うだけならば、ライオスやセンシでも可能だろう。
だが、人一人を背負ってロープを伝って降りるとなれば、話は別だ。
如何にマルシルが女性で、一般的なトールマンよりも軽いといえども、二人分の体重を両手と足で支えながら不安定な縄を二十メートル近く下る。その大変さは、想像に難くないだろう。
最初は、それぞれが個人で降りる事になっていた。だが、青い顔をしたマルシルを見ていられず、ブライが提案した次第。
ライオスに上背は劣るとはいえ、彼以上に鍛え上げた肉体を持つブライの身体能力は一行の中でもトップクラス。マルシルを背負っても、その動きにほどんど陰りが無い事を証明し、いざ実践と相成った。
スルスルとロープを下っていくブライ。
そして、自分が降りる時にはあり得ないスムーズな降下に、若干のショックを受けるマルシル。
「いや、すっご……ブライって、本当に鍛えてるのね」
「そうですか?…………まあ、確かに自分は魔法はからっきしですから。前に出るのなら鍛える必要がありますし……この辺りは、魔法使いが魔法を学ぶことに近いかもしれませんね。あ、もう着きますよ」
下を見れば、二人の先に降りていたチルチャックが石畳の床に着地した所だった。続くように、ブライも石の床へと降り立った。
「お疲れ。重くなかったか?」
「大丈夫ですよ。寧ろ、マルシル殿は軽すぎませんかね?」
「それはいかん。よく食べる事は、健康な肉体を作る第一歩だ。昔から思っておったが、エルフは細すぎる。やはり、肉か」
「ッ!わ、私は適性体重ですぅ!!」
不穏な会話が聞こえたのか、荷物の近くに座り込んでいたマルシルが唇を尖らせる。彼女の脳裏では、魔物を散々に食わされたムッチリポチャポチャの自分の姿が過っていた。
談笑する四人の一方で、マッピングした地図を片手に、ライオスは考え込んでいた。
「うーん………今日中に三階に辿り着くのは無理か。良くないペースだなぁ」
「丁寧にローストしてるからじゃね」
「バジリスクの生焼けは宜しくない。食中毒の元だ」
「肉を生食する場合は、ソレ専用に育てた家畜に限りますからね。トイレに籠る程度で済めば、御の字ですよ」
「分かってるって」
肉というのは、存外扱いに難しい食材だ。下手に厚くすれば中まで火が通らず、外側が黒焦げ。しかし薄すぎればフライパンなどにこびりつく。
直ぐに脱線していく話題に、キリッと顔を引き締めたライオスが引き戻しにかかる。
「炎竜は、月に一度目覚めて狩りを行うらしい。俺達がかち合ったのは、この日だったからだ」
「てことは、今は寝てるって事か?」
「恐らく。そして、出来れば炎竜が寝ているタイミングで辿り着きたい」
「確かにそちらの方が………いえ、そもそも一ヶ月の猶予が無いのでは?」
「ああ、そうだ」
ブライの言葉を肯定するライオス。
そもそも、この旅路は炎竜に食べられた仲間を助けに行くためのもの。そして、ダンジョンでは死んだとしても蘇生できるが、それは肉体の原型を留めていればいるほどに、成功確率が上がっていくというもの。
裏を返せば、原形を留めていない死体は蘇生確率が著しく下がる。過去の例ならば、微塵切りまでなら復活できたとか。
「諸々を考慮すれば、半月といった所。それだって、希望的観測に過ぎないかもしれない」
厳しい目測だが、しかしライオスの言葉は冷静に現実を見据えての事だ。かといって、今から炎竜の元へと駆け込めるかと問われれば、ソレも否。現実的に、不可能。
となれば、やはり行軍スピードを上げるしかない。
「やっぱり、外の道を進んだ方が良かったか……?」
「外は大蝙蝠が邪魔だろ。デカい上に、数が多いし」
「流石に群れを撃退するとなると、一日や二日じゃ終わりませんよ。仮に自分が突っ込んだとしても、時間がかかりますし、疲労が一方的に溜まるだけかと」
「じゃ、じゃあ!私の魔法で――――」
「いや、良い」
即答の拒否に、衝撃がマルシルを襲う。
しかし誰も気づかず。
「なら、隠し通路を使うか?罠は多いけど、魔物は少ない。罠の解除をしていけば、戦闘を繰り返すより早く進めるんじゃないか?」
「わ、罠なら私が解除の魔法を――――」
「いや、罠の解除はチルチャックに解除してもらった方が速いから」
二度目の衝撃。しかし誰も(以下略
「よろしいんですか?チルチャック殿。貴方への負担が増えてしまいますけど……」
「それが仕事なんでね。何より、罠の類は素人が解除しようとすれば時間がかかり過ぎる上に、危険だ。寧ろ、素人はそのまま引っ込んで置いてもらった方がこっちとしても助かる」
「成程。餅は餅屋、という事ですね」
ぶっきらぼうな、棘のある言い方が多いチルチャックに対して、ブライは素直に納得したように頷いた。言い方はどうあれ、彼の言い分は間違っていないのだから。
「良し、隠し通路を使おう」
「魔物の出現が少ないのなら、補充をしておきたい」
ライオスの決定に、センシが待ったをかける。
「昼の分では足りないのか?」
「肉と卵だけではな。出来れば、野菜を幾つか足しておきたい。肉だけでは栄養バランスが取れていない。直ぐとは言わないが、野菜や果物の接種を疎かにすれば壊血病になる可能性もある」
センシの言う病気は、所謂船乗り病とも呼ばれた旅をする上で問題になる病気。
重度のビタミン不足から陥る病なのだが、何故船乗りなのかというと彼らはビタミンを摂取できる機会が航海中に失われてしまうから。
そしてこれは、長旅を行うダンジョン探索でも無視できるものではない。
「野菜か……」
「幸い、この近くにマンドレイクの群生地がある。そこで幾つか採って来るとしよう」
「!はいっ!私がやる!」
思わぬ立候補に、四人の目が一人へと向けられる。
「あー、マルシル?君は休んでいてくれて良いんだが……」
「大丈夫!私、マンドレイクの採取方法は知ってるから!」
「別に、わし一人で構わんのだが……」
「一人だともしもの時危ないから!ねっ!?」
何やら妙に押しが強い。そして、急ぐ旅路であるとはいえ、彼女のやる気を阻めない。
いつもは魔物を食べる事を嫌がるマルシルが、率先して前を行く。その背中は、妙に気が張っていて、賭け事で言う所の入れ込み過ぎ、といった感じ。
「マルシル殿はどうされたんですか?」
こそり、とブライが付き合いが長いであろうライオスへと声を掛ける。声量が小さいのは、今のマルシルに声を掛ける気にならなかったからだ。
「分からないな。彼女は優秀な魔法使いだし、マンドレイクの扱いをした事もあると思うんだが……うーん」
「自分はそこまで交流がある訳ではありませんが、今の彼女は空元気に思えるんですが……」
チラッと見れば愛用の杖をブンブンと振りながら、もう片方の手には本を開いたマルシルの姿がある。
若干の不安を覚えながらも、しかしだからといって彼女を今更先程の場所まで戻す事は出来ない。
「マンドレイクは、土から抜く時大きな悲鳴を上げるの。これを生物が聞くと精神異常をきたすか、最悪死ぬの。だから、マンドレイクを抜く時にはその方法を代々伝えられてるモノなの」
「で?どうするんだよ」
「まず、ロープとよく躾けられた犬を用意します」
「……は?」
頭の後ろで手を組んでいたチルチャックが眉根を寄せる。
「……それで、どうするんだ?」
「犬をマンドレイクから少し離れた場所でお座りをさせて、ロープを括りつけて、その反対をマンドレイクに括りつけるの。後は、マンドレイクの叫びが聞こえない位置で犬を呼べば、マンドレイクが抜けるわ」
「そ、それは……」
「犬はどうなるんだ……?」
「…………死ぬ」
「えっ、ひど」
大抵の事には否を言わないブライも若干引いたように顔を引きつらせ、チルチャックもあまりの非道っぷりにそれ以上の言葉が出ない。
唯一、ライオスが興味深そうに聞いていたが、それはそれ。
そもそも、今この場に犬はいない。
「犬の用意なんてどうすんだよ。今から仔犬でも育てて躾けるか?第一、非効率が過ぎるだろ」
「うっ……で、でも、学校では――――」
「長い紐を使うのはどうだろうか?」
「えっ」
「マンドレイクが危険なのは叫び声を聞く事だろう?なら、叫び声の聞こえない長さの紐を括りつけて引き抜いたらどうだろうか」
「そ、それは……」
専門書へと視線を落としたマルシル。確かに、長い紐で引けるのなら、犬を犠牲にする必要は無いのだから。
更に、
「……そもそも、叫び声を聞かなければ良いのなら、耳栓を使えば良いのでは?」
「それはあるな。その点はどうなんだ?」
「ええっと、マンドレイクは声の大きさじゃなくて、声その物が良くないの。それに、耳栓で完全にふさいで周りの状況が確認できなくて、危ない、とか」
「成程?」
ちょっとふわっとした説明だったが、納得したのかブライは頷いた。
そうこうしている内に、センシが徐にその場へと腰を下ろす。
彼の目の前には、特徴的な根菜の様な葉。
むんず、とソレを掴み、
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
絶叫が木霊する。同時に、センシの握っていたナイフの刃が引き抜かれて悲鳴を上げようとしていたマンドレイクの首に相当する部分を刎ねていた。
そう、この絶叫はマンドレイクのものではないのだ。
「び、びっくりした……!」
「マ、マルシル殿の声量は、マンドレイク顔負けという事ですね……!」
「凄い叫びだったな………」
目を白黒させる三人。
そう、先程の爆音はマルシルの叫びだったのだ。もっとも、彼女は彼女で自身の叫び声など気にしている場合ではなかった。
彼女が詰め寄るのは、センシ。
「な、なななな何してるの!?」
「首を刎ねてしまえば、叫びも何もなかろう」
「だ、だからって危ないんだよ!?」
「そうは言うが……わしはこれで長年食ってきた」
「でも……」
もごもごと言い淀むマルシル。
確かに、センシの収穫方法は危険だ。その一方で、彼には年単位の実績というものが確かにあった。
「まあ、落ち着けよマルシル。確かに危険かもしれないが、センシのやり方はセンシの実践経験があるだろ?」
「ロープは未だしも、犬を用意するのは難しい。ここは、センシのやり方に倣うとしよう」
チルチャックとライオスがセンシの方へと向かい、ブライも既に収穫中。しょんぼりと肩を落とすマルシル。
「センシ殿、幾つ採りましょうか」
「とりあえず、一人一本あれば今日の分は持つ。それから、干して保存する分を幾つか選んでくれ。出来るだけ、太いものが良い」
「分かりました」
短刀で手際よく首を刎ねていくブライ。
その手元を見て、チルチャックは作業の雑談を振る。
「手慣れてんな」
「え?そうですね。刃物の扱いは、慣れてます」
応えながら、ブライは短刀を宛らペン回しの様に指の中で回してみせる。その白刃は、指の一本を飛ばす事すら可能な鋭さだが薄皮一枚も斬る事は無く、彼の手に柄をすっぽりと収めて止まった。
「冒険者じゃなくて、曲芸師でもやっていけそうじゃん」
「そうですね……もしも冒険者を廃業するのなら、ソレも良いかもしれません」
因みに、ブライは投げナイフなどの投擲術も修めていたりする。
程々にマンドレイクの収穫が進んだ頃、不意に近くの木の幹が爆発し中に居た大蝙蝠たちがパニックになって飛び出してきた。
同時に響くのは、甲高い悲鳴。
「な、なんだ?!」
「大蝙蝠の首に、縄が掛かってますね。アレは……マンドレイク?」
「ッ、マルシル……!?」
首に縄をかけられてマンドレイクの叫び声を聞いた大蝙蝠は錯乱していた。
そのまま出鱈目な軌道で飛行し、それでも超音波などを駆使して辛うじて障害物を回避していると何の因果かUターンを決め、この事態の主犯であるマルシルの居た塔へと突っ込んでいく。
慌ててその場へと向かう四人。
突入した塔の一室。そこには、壁を突き破った上に、そもそもマンドレイクの叫び声を聞いた結果絶命した大蝙蝠と、それからその大蝙蝠が激突した壁の隣で膝を抱えて座り込んだマルシルの姿が。
「マ、マルシル殿?」
持ち前の機動力で塔の外側から、大蝙蝠の開けた穴から内部へと侵入したブライがマルシルの傍へと駆け寄り膝をつく。
だが、
「どうだ?ブライ。マルシルは生きてるようだが……」
「ええっと…………」
ライオスの言葉に、歯切れ悪く答えないブライ。代わりに、手招きをする。
三人が近づき、その気配に気づいたマルシルが顔を上げ、
「はい 私は大変健康です」
「………ダメみたいですね」
「ダメだな」
「恐らく、間近でマンドレイクの叫び声を聞いたからだろう」
「ブライ、大蝙蝠の血抜きをする。少し手伝ってくれ」
「あ、はい」
ロープを片手にセンシの元へと向かうブライを見送り、ライオスとチルチャックはマルシルへと声を掛ける事にした。
「いったいどうしたんだ?マルシル。君らしくもないじゃないか」
「私の魔法が要らないと言われ、ショックを受けました」
「え゛、いやアレは……」
「ダンジョンに潜り始めたばかりのブライの方が頼られていて、焦りました」
「「あー……」」
未だに焦点の合わないマルシルから視線を外して、二人は大蝙蝠を逆さ吊りにして放血する青年の背を見た。
物腰が柔らかく、穏やかで、その上強い。思わず頼ってしまう心強さがあった。
とはいえ、ライオス達もマルシルを軽んじていた訳ではない。寧ろ、彼女の重要性はダンジョンを下れば下るほどに上がっていくのだから。
「マルシル。俺達は何も、君を頼りにしてない訳じゃないんだ。ダンジョンは、潜れば潜るほどに魔物が強くなっていく。そんな時に重宝するのが君の魔法だ。だからこそ、浅い階層では出来る限り温存してほしいんだ」
ライオスが言い聞かせるように言葉を紡いでいく。
「人には、得手不得手がある。ブライは戦闘面を、センシは食事面を、チルチャックは罠や隠し通路を、そしてマルシル。キミは魔法関連を。それぞれが得意な部分でフォローし合い、不得手な部分は他のメンバーがカバーをする。キミも、もっと頼ってくれて良いんだ」
(それで行くと、ライオスは何を担当するんだ?…………魔物か?毒味か?)
チルチャックは空気の読める男。良い雰囲気を壊すのは宜しくない、と口を噤んだ。
どうにかこうにかマルシルも正気に戻り、良い時間という事もあって食事をとる事になった。
「今日は、オムレツにでもするか」
「オムレツ!なんか普通の……普通の?」
センシの言葉に反応したマルシルだったが、彼女はバジリスクの卵を一つ取って首を傾げた。
「これ、本当にバジリスクの卵なの?鶏のモノとは全然違うけど」
「ヘビの卵は、こんなものだよ」
「蛇……はっ!」
そこでマルシル、思い出す。この卵を採取した際に、ブライが言っていた一言を。
『蛇の卵に近い気がしますね』
思い出した瞬間、さーっと彼女の顔色は悪くなる。同時に、一行の中でこの手の知識には一番造詣が深いであろうライオスへと詰め寄った。
「蛇なのは尻尾だけじゃないの!?頭と体は鶏じゃ――――」
「いや、蛇が頭で鶏が尻尾なんだ」
「――――っ!?」
絶句、という他ない。ライオスの蘊蓄は続く。
「最近の研究では、蛇と鶏のちょうど中間で切断すると、鶏は死ぬが蛇は生き残る、という研究結果が出てるんだ」
「知りたくなかった…………」
項垂れるマルシル。一方で同じく話を聞いていたブライは顎に手を当てながら頷いていた。
「成程、敢えて尾の部分を大きく派手にして注目を集める事で本体の生存確率を上げているんですね」
「そうだな。ただ、やっぱり鶏の方も生きているんだ。致命傷を受ければ長くは生きられない」
「そう考えると、妙な体構造をしてますね。いえ、元々蛇と鶏のキメラの時点で既存の動物の類からは外れてますけど」
「ああ。昔の学説になるんだが、魔術師が作った、という話があったな。半分に切った蛇と鶏の尾骨をくっつけた、という話だ」
「あー……いや、言いたい事は分かります。特にキメラの類は、人為的に引っ付けないと合わさらないだろう、といったものが居ますからね」
そのまま続いていく議論。この手の話題は、人によっては忌避される事の多いライオスの口は止まる事を知らず、一方でブライはブライで馬鹿正直に話を聞いて、時折疑問点を口にする事だから話題が尽きない。
「あそこまでイキイキと語るライオスは見た事無いな。マルシルも、ブライみたいに魔物の蘊蓄を熱心に聞いてやれば、あんな風にやり取りできるんじゃないか?」
「む、無理無理無理無理!というか、あんな頼られ方を求めてるんじゃないんだけど!?」
茶化す様なチルチャックだが、マルシル全力の拒否。
オタクに対して、専門としている分野を尋ねる事は情報量で脳を抹殺されるに等しい。ライオスは、その類だ。
一食ごとに話題を欠かない一行。この後、マルシルはマンドレイクの頭を差し出されて泣きを見る事になるのだが、余談である。